建築士法 第18条(設計及び工事監理)
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- 建築士は、設計を行う場合においては、設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。
- 2.建築士は、設計を行う場合においては、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うように努めなければならない。
- 3.建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。
- 4.建築士は、延べ面積が二千平方メートルを超える建築物の建築設備に係る設計又は工事監理を行う場合においては、建築設備士の意見を聴くよう努めなければならない。ただし、設備設計一級建築士が設計を行う場合には、設計に関しては、この限りでない。
この条文の基本情報
設計及び工事監理とは何ですか?
定義設計及び工事監理とは、建築士法第18条に定められた規定で、「建築士は、設計を行う場合においては、設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建築士法第18条(設計及び工事監理)は、日本の建築士法に含まれる条文です。
- 建築士法第18条の条文原文は「建築士は、設計を行う場合においては、設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。」で始まります。
- 建築士法第18条は第四章 業務に置かれています。
- 建築士法の公布日は昭和25年5月24日です。
- 建築士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 建築士法第18条の前の条は建築士法第17条です。
- 建築士法第18条の次の条は建築士法第19条です。
- 建築士法第18条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第18条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000202 - 本サイト収録
建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第18条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC1000000202/18
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建築士法18条は、建築士に設計を法令・条例へ適合させる義務を課し、工事監理で図面と異なる施工を認めたときは施工者への指摘・是正要求と、従わない場合の建築主への報告を義務付ける。
Q · 監理を頼んだ建築士は、図面と違う工事を見つけたら施主に知らせる義務があるの?
ある。施工者が是正に従わなければ施主へ報告する義務がある
建築士法18条3項により、工事監理を行う建築士は、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めたとき、直ちに工事施工者に指摘して設計図書どおりの施工を求めなければなりません。施工者が従わないときは、その旨を建築主に報告する義務を負います。また同条1項は、設計を法令・条例の基準に適合させる義務を建築士本人に課しており、建築確認を通ったことは免責になりません。
解説
2005年の耐震偽装事件で、確認申請の審査をすり抜けたマンションが何棟も建ち、住民は退去を迫られた。役所や検査機関の審査を通ったからといって、建物が安全だという保証にはならなかったのである。建築士法18条は、設計の時点で法令や条例の基準に適合させる責任(1項)を、審査する側ではなく建築士本人に負わせている。さらに工事監理(設計図どおりに工事が進んでいるかを図面と照らし合わせて確認する仕事)を引き受けた建築士は、図面と違う施工を見つけたら、直ちに施工者に指摘して是正を求めなければならない。施工者が従わなければ、建築主であるあなたに報告する義務を負う(3項)。つまり、施工会社と建築士が「なあなあ」で済ませた食い違いは、本来あなたの耳に入っていなければならない情報である。報告がなかったこと自体が、責任を追及するときの入口になる。家を建てる人、マンションを買う人が握るべき鍵は、契約書や確認済証よりも、この「指摘と報告の連鎖」のほうにある。
法的な位置づけ
建築士法第18条は、建築士の業務執行上の義務を定める規定である。設計における法令・条例の基準への適合義務(1項)、設計委託者への説明の努力義務(2項)、工事監理において設計図書との相違を認めた場合の施工者への指摘・是正要求および建築主への報告義務(3項)、大規模建築物の設備について建築設備士の意見を聴く努力義務(4項)から成る。
手順
- 1.設計図書と監理の記録をそろえる 設計図書、確認済証、工事監理契約書の写しを手元にそろえ、工事監理者として記名された建築士が誰かを確認する。
- 2.食い違いを写真と日付で記録する 現場で図面と違うと感じた箇所を、日付入りの写真と図面の該当ページで記録する。壁や床がふさがる前(配筋・断熱・防水)が勝負になる。
- 3.工事監理者に書面で照合を依頼する 口頭で終わらせず、メールまたは書面で工事監理者に照合と是正指摘を依頼し、施工者への指摘の有無と結果の報告を求める。
- 4.引渡し前に工事監理報告書を確認する 最終金の支払い前に工事監理報告書(建築士法20条3項)を受け取り、各工程の照合方法と結果、是正指摘の記載があるかを確認する。
よくある質問 AI による整理
Q1建築士法18条とは何ですか?
建築士の業務上の義務を定めた条文です。設計の法令適合、施主への説明、工事監理での指摘・報告、建築設備士の意見聴取の4つを規定しています。
Q2工事監理者の報告義務とは?
図面と違う工事を認めた監理建築士は、施工者に指摘して是正を求め、施工者が従わなければ建築主に報告しなければなりません(建築士法18条3項)。
Q3建築確認が通れば建築士の責任はない?
ありません。法令適合の義務は建築士法18条1項で建築士本人に課されており、確認審査を通過したことは建築士の免責理由になりません。
Q4建築士法18条に違反するとどうなる?
国土交通大臣または都道府県知事による戒告・業務停止・免許取消しなどの懲戒処分(建築士法10条)の対象になり、民事上の損害賠償責任も問われ得ます。
Q5施主の要望なら違法な設計をしてもいい?
いけません。施主の依頼があっても、法令・条例に適合させる義務は建築士にあり、要望に従ったことは懲戒や責任の免除理由になりません。
Q6建築設備士の意見は必ず聴かないといけない?
延べ面積2,000㎡超の建築物の設備の設計・監理では意見を聴くよう努める義務(努力義務)です。設備設計一級建築士が設計する場合、設計については不要です。
Q7欠陥住宅で建築士を訴えることはできる?
できます。設計・監理契約の債務不履行のほか、建物の基本的な安全性を損なう瑕疵については、契約関係のない取得者からの不法行為責任も判例上認められています。
Q8建築士は施主に設計内容を説明する義務がある?
建築士法18条2項は、設計の委託者に設計内容を適切に説明するよう努める努力義務を定めています。契約前の重要事項説明(24条の7)とは別の規定です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1監理料を払ったのに、建築士が現場にほとんど来なかったんです。これって文句言えますか?
来た回数そのものより、照合すべき工程で照合したかどうかが問題になる。工事監理とは設計図書と工事を照合し確認すること(2条8項)であり、食い違いを見逃して施主に報告しなかったなら、18条3項の観点から責任を問える。実務のポイント:工事監理報告書(20条3項)には照合の方法を書く欄がある。「書類確認」ばかりで「立会い」がほとんどない報告書は、交渉の材料になる
Q2確認申請が通ってるなら、違法建築じゃないってことですよね?
そうとは限らない。法令に適合させる義務は18条1項で建築士本人に課されており、確認審査を通ったことは免責にならない。耐震偽装事件では、偽装された計算書が審査をすり抜けた。実務のポイント:確認申請後の「変更」に注意すること。申請図と実際の施工図が違う物件は珍しくなく、完了検査後に手を入れた違反増築も多い。中古物件では検査済証の有無が最初の確認ポイントになる
Q3名前だけ貸してた建築士にも責任ってあるんですか?
ある。最高裁(最判平成15.11.14)は、実際には工事監理をしていないのに確認申請書へ工事監理者として名前を貸した建築士について、建物を取得した者に対する不法行為責任を認めた。懲戒処分(10条)の対象にもなる。実務のポイント:実際の監理者と書類上の監理者が違う現場は少なくない。確認済証の監理者欄と、現場に来ている人物が同じかどうかを一度確かめておく価値がある
間違えやすい点 AI による整理
- 建築確認が下りたのだから設計は法令に適合している、と考える人は多い。しかし確認審査はあくまで行政側のチェックであり、法令に適合させる義務そのものは18条1項で建築士に課されている。審査を通ったことは、建築士の免責にならない。2025年4月の建築基準法改正で縮小された旧「4号特例」の時代は、木造2階建て住宅の構造規定が確認審査で省略されていたが、その間も建築士の適合義務は一度も免除されていなかった
- 「欠陥工事の責任は施工会社にある」という発想は半分しか正しくない。法律から見ると、工事監理者は施工の食い違いを見つけて止める役割を引き受けた専門家である。あなたにとっては「監理料を払った相手」でも、法律にとっては「指摘と報告の義務を負った者」であり、この認識の差を知らないと請求先を一つ取りこぼす
- 「監理者は毎日現場にいるべきだ」という前提が、そもそもずれている。工事監理は常駐を意味せず、設計図書と工事を照合・確認する業務である(2条8項)。争点になるのは来た回数ではなく、どの工程をどの方法で照合したかである。そこを問わない限り、「必要な時には行っていた」と言われて終わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 建築士法18条:設計の法令適合と工事監理中の指摘・報告義務 | 建築士法20条:設計図書への表示と工事監理終了時の報告書提出 建築士法20条の3:設備設計一級建築士による法適合確認 |
| 建築主への報告のタイミング | 施工者が是正に従わないとき、その都度報告 | 工事監理を終了したとき、報告書で結果を報告 建築主への報告の規定ではない(設計段階の関与) |
| 義務の性質 | 1項・3項は義務、2項・4項は努力義務 | 義務 一定規模以上の建築物の設備設計で義務 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も建築師に設計責任と監造義務を課し、営造業者が図面どおり施工するよう監督させる構造で、日本の18条と近い
韓国は工事監理を建築法で規律し、違反施工を発見した監理者に是正要求と報告の仕組みを設けている
ドイツでは建築家の監理義務は主に契約(建築家契約)上の義務として構成され、報酬は HOAI が規律する
米国は州ごとの資格法と契約約款(AIA 書式など)で建築家の監理範囲が決まり、全国統一の法定報告義務はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 基礎の配筋検査の日、現場監督が「図面より鉄筋を一本減らしましたが強度は問題ありません」と言った。監理を頼んだ建築士はその場にいなかった。もしその場にいて黙認していたら、18条3項の指摘義務に違反した可能性がある。いなかったのなら、照合のやり方そのものが問われる
- もし引渡しから3年後、壁の中の断熱材が図面の半分しか入っていないと分かったら、誰に何を言えばいいのか? 施工会社だけでなく、工事監理者として記名した建築士にも「なぜ報告がなかったのか」を問える
- あなたは設計事務所の二級建築士。施主から「予算が足りないので、確認申請後に吹き抜けを床で塞いで部屋にしたい」と頼まれた。容積率オーバーになると分かっていて図面を描けば、18条1項違反として懲戒処分(10条)の対象になる。断るのは施主のためでもある
- 上棟まで残り5日。サッシの仕様が図面と違うことに気付いた。工事が進んで壁がふさがれば確認できなくなる。今すぐ工事監理者に書面で伝えること
- 延べ面積3,000平方メートルの物流倉庫で、空調・電気設備の設計に建築設備士の意見を聴かなかった。4項は努力義務なので直ちに違法ではないが、設備不具合で紛争になれば、専門家を通さなかった判断の合理性を説明する立場に立たされる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 図面との食い違いや欠陥を写真・日付付きで記録し、設計図書・確認済証・工事監理報告書の写しを揃える2. 工事中なら工事監理者へ書面で照合と是正を依頼し、18条3項の指摘・報告がなされたかを確認する3. 引渡し後なら、施工者には請負契約上の契約不適合責任、建築士には設計・監理契約上の債務不履行や不法行為を検討する4. 建築士の重大な違反は都道府県知事または国土交通大臣への懲戒申立ての対象になる。住宅紛争審査会(品確法)での紛争処理という選択肢もある
訴えられた側:1. 照合を行った日時・工程・方法(目視、立会い、写真確認など)の記録を時系列で整理する2. 施工者に是正を求めた事実、建築主へ報告した事実を、メールや議事録で示せるようにする3. 施主の要望で法令違反の設計をした場合は、要望があったことは免責にならないと理解したうえで、早めに是正案を示す4. 建築士賠償責任保険の約款と通知期限をすぐに確認し、弁護士に相談する
時効(請求できる期限):建築士に対する債務不履行責任は、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年(民法166条)。不法行為責任は、損害および加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年)、行為時から20年(民法724条、724条の2)。新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分については、売主・請負人が引渡しから10年の担保責任を負う(住宅の品質確保の促進等に関する法律94条・95条)。(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)改正(耐震偽装事件を受けた改正) 設備設計一級建築士の制度が設けられ、本条4項ただし書と関連する規定が整備されたとみられる。各項が新設か改正かの区別と施行日は人による検証が必要
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:建築士法の制定。建築士の業務執行に関する規定が置かれた
- 2.平成18年(2006年) 改正:耐震偽装事件を受けた改正。設備設計一級建築士制度の創設に伴い、本条4項ただし書等が整備されたとみられる。各項の改正内容と施行日は要検証
- 建築士法 第2条工事監理の定義(第8項)
- 建築士法 第10条法令違反・不誠実行為に対する懲戒
- 建築士法 第20条設計図書への表示と工事監理報告書
- 建築士法 第20条の3設備設計一級建築士による法適合確認
- 建築士法 第24条の7契約締結前の重要事項説明
- 建築基準法 第5条の6建築士による設計・工事監理の強制
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律 第94条新築住宅の10年瑕疵担保の特則
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