出入国管理及び難民認定法 第74条の4
クイックジャンプ
- 第七十四条第一項又は第二項の罪を犯した者からその上陸させた外国人の全部若しくは一部を収受し、又はその収受した外国人を輸送し、蔵匿し、若しくは隠避させた者は、五年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。当該外国人の全部若しくは一部を、これを収受した者から収受し、又はその収受した外国人を輸送し、蔵匿し、若しくは隠避させた者も、同様とする。
- 2.営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上十年以下の拘禁刑及び千万円以下の罰金に処する。
- 3.前二項の罪の未遂は、罰する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第74条の4は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の4の条文原文は「第七十四条第一項又は第二項の罪を犯した者からその上陸させた外国人の全部若しくは一部を収受し、又はその収受した外国人を輸送し、蔵匿し、若しくは隠避させた者は、五年…」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の4は第九章 罰則に置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の4の前の条は出入国管理及び難民認定法第74条の3です。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の4の次の条は出入国管理及び難民認定法第74条の5です。
- 出入国管理及び難民認定法第74条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第74条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第74条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/74_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点入管法74条の4は、集団密航させた者から外国人を収受・輸送・蔵匿・隠避させた者を5年以下の拘禁刑等で罰し、営利目的なら1年以上10年以下の拘禁刑と罰金を併科する。
Q · 密航者だと知りながら外国人を泊めたり車で運んだりしたら、罪になるの?
なる。無償でも5年以下の拘禁刑等の対象
入管法74条の4により、74条の罪を犯した者から上陸させられた外国人を収受・輸送・蔵匿・隠避させた者は、5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処されます。収受した者からさらに収受した者も同罪です。営利目的があれば1年以上10年以下の拘禁刑と1000万円以下の罰金が併科され(2項)、未遂も処罰されます(3項)。故意は未必的な認識で足りるとされます。
解説
密航や不法上陸を手引きした人間を罰する条文は世間にも知られている。だが入管法74条の4が撃ち抜くのは、その船や車に一度も乗らなかった人間だ。不法上陸させた者から外国人を「受け取った」、受け取った人を「運んだ」、自宅や寮に「かくまった」、身分を偽って「逃げ隠れさせた」。これだけで5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が成立する。さらに恐ろしいのは第1項後段だ。収受した者からさらに収受した者も同罪、つまりチェーンの何段目にいても切れない。営利目的が付けば第2項で1年以上10年以下の拘禁刑「及び」1000万円以下の罰金、この「及び」は併科であり、身柄も金も両方取られる。しかも第3項で未遂まで処罰される。人材ブローカーから紹介された労働者を寮に入れた中小企業の経営者が、ある朝いきなりこのチェーンの一員として扱われる。それが現実に起きている。
法的な位置づけ
出入国管理及び難民認定法74条の4は、集団密航に関する罪の一つであり、同法74条1項または2項の罪を犯した者から上陸させられた外国人を収受し、またはその外国人を輸送・蔵匿・隠避させる行為を独立に処罰する規定である。収受の連鎖の後段の行為者も対象とし、営利目的による加重と未遂処罰を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1入管法74条の4の「収受」とは何ですか?
74条の罪を犯した者などから、上陸させられた外国人の身柄を引き受けることです。全員でなく一部を引き受けただけでも成立します。
Q2外国人を車で運んだだけでも罪になりますか?
収受された外国人を運ぶ「輸送」は本条の実行行為そのものです。不法上陸者である可能性を認識していれば、運転手でも処罰対象になりえます。
Q3入管法74条の4の時効は何年ですか?
1項の罪は5年、営利目的の2項の罪は7年です(刑事訴訟法250条2項)。蔵匿は、かくまい続けた最終日から起算されると解されます。
Q4受け取る前に警察が来た場合も罪になりますか?
3項が未遂を処罰するため、受け渡しが途中で阻止されても訴追されえます。未遂減軽(刑法43条)は任意的で、必ず軽くなるとは限りません。
Q5在留カードを確認していれば罪に問われませんか?
確認記録は故意を否定する有力な事情になりますが、偽造カードや不自然な経路を見過ごした場合は未必の故意が問題になりえます。確認の方法と記録の残し方が重要です。
Q6営利目的の場合、執行猶予はつきますか?
2項の下限は1年のため、言渡し刑が3年以下なら執行猶予の余地はあります。ただし罰金1000万円以下が併科される点に注意が必要です。
Q7かくまっている外国人がいる場合、どこに相談すればよいですか?
まず刑事事件に強い弁護士に相談し、対応方針を決めたうえで出入国在留管理庁への相談を検討します。自己判断での証拠整理や削除は避けるべきです。
Q8密航してきた外国人本人は処罰されますか?
本人は本条ではなく、入管法上の不法入国・不法上陸の罪や退去強制手続の対象になります。本条は受け入れ側を罰する規定です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1友達に頼まれて一晩泊めただけでも、本当に犯罪になるんですか?
相手が74条の罪により不法上陸させられた外国人であり、その事情を認識していれば「蔵匿」に当たり、第1項の5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になる。無償でも成立する。実務のポイント:実務で起訴に至るかどうかは、宿泊が単発か反復か、他の関与者との連絡頻度はどうかで大きく分かれる。一晩の単発で本人に前科がなければ起訴猶予の余地が残る。だが LINE に受け渡しの相談履歴が残っていると、組織性の証拠として評価が一変する
Q2紹介料をもらっていたら、やっぱり営利目的になりますか?
報酬の受領は第2項の営利目的を推認させる中心的事情である。第2項は1年以上10年以下の拘禁刑「及び」1000万円以下の罰金で、併科であるため身柄も金も両方科される。実務のポイント:弁護実務では、受け取った金銭が交通費や食費の実費精算にとどまることを帳簿と領収書で立証し、営利目的を崩す構成を取ることがある。事件発覚後に作った帳簿は通用しない。実費で動くなら、動いたその日に記録を残しておくことが唯一の防御線になる
Q3会社の従業員が勝手にやったことでも、会社が罰を受けるんですか?
入管法76条の2の両罰規定により、法人の代表者や従業者が業務に関してこの罪を犯した場合、行為者のほか法人にも罰金刑が科されうる。法人が相当の注意・監督を尽くしたと立証できれば免責の余地がある。実務のポイント:この「相当の注意」の立証は、事件後の言い訳では通らない。在留資格確認のマニュアル、確認記録の保存、紹介業者の審査基準、この三点セットが平時から運用されているかを検察官は見る。紙があるかではなく、実際に回っていたかを問われる(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「密航の手引きをした本人だけが罪に問われる」という理解は、条文の前半しか見ていない。74条の4は実行犯とは別個の独立した犯罪として、受け取った者・運んだ者・かくまった者を処罰する。船にも車にも乗っていない、密航計画も知らない、それでも成立する
- 「知らなかったと言えば済む」と考える人は、刑事実務における故意認定の実像を知らない。求められるのは確定的な認識ではなく未必の故意、つまり「不法上陸者かもしれないと思いながら受け入れた」で足りる。在留カードを確認しなかった事実、相場より安い紹介料、深夜の受け渡し、こうした客観的事情の積み重ねが「知らなかったはずがない」という認定を作る
- 多くの人は「自分は雇用主だから、せいぜい不法就労助長罪(入管法73条の2)だろう」と問題の枠を誤って設定している。だが受け入れの経路に74条の罪を犯した者がいれば、適用される条文は74条の4であり、営利目的なら法定刑の下限が1年に跳ね上がる。問われるべきは「就労させたか」ではなく「誰から、どう受け取ったか」だ
- 「未遂だから執行猶予で済む」という感覚は、この条文の構造を見誤っている。第3項の未遂処罰は、受け渡しが警察の介入で中断しても訴追できる設計であり、営利目的の未遂であれば第2項の法定刑(下限1年)を基礎に未遂減軽(刑法43条)が検討されるにすぎない。減軽は任意的であって、必ず軽くなるとは限らない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される行為 | 74条の4:上陸させた者等から外国人を収受し、輸送・蔵匿・隠避させる行為 | 74条:集団密航者を本邦に入らせ、または上陸させる行為 73条の2:外国人に不法就労活動をさせる行為(不法就労助長罪) |
| 関与の段階 | 上陸後の受け入れ・移動・潜伏の段階(連鎖の後段も対象) | 密航の実行・上陸の段階 雇用・就労あっせんの段階 |
| 営利目的の扱い | 2項で1年以上10年以下の拘禁刑と1000万円以下の罰金を併科 | 営利目的による加重規定あり(現行条文を要確認) 営利目的は要件ではない(法定刑は近年の改正状況を要確認) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は大陸地区人民の非法入境を両岸条例で、外国人の非法容留を就業服務法で別々に規律しており、日本のように上陸後の収受・蔵匿を一条で独立処罰する構造とは異なる
韓国も不法入国のあっせんや不法入国者の隠匿・逃避を入管法上の罰則で処罰し、営利目的による加重を設ける点で日本と類似する
ドイツは外国人の密入国援助(Einschleusen)を処罰し、業としてまたは集団で行う場合に加重する。EU の密入国援助指令に沿った枠組みである
米国は不法入国者の輸送・隠匿(harboring)を連邦犯罪とし、商業的利益目的で加重する。受け入れ側の雇用主が訴追される点で日本の議論と近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 知人の紹介で来た技能実習生らしき青年を、社員寮の空き部屋にひと月泊めた。家賃も取っていない、善意だった。だが彼が不法上陸者で、紹介者が74条の罪を犯した者だったと後から判明する。「蔵匿」の成立に対価は要らない。無償の善意も条文上は蔵匿である
- 運送会社のドライバーとして、港で待っていた外国人8名を指定の住所まで運んだだけ。荷主の指示に従った通常業務のつもりだった。「輸送」はこの条文の実行行為そのもので、あなたは運転席にいながらチェーンの一員になる。問われるのは、相手が不法上陸者だと知っていたか、未必的にでも認識していたかだ
- もし、あなたの会社の人事担当が人材ブローカーに紹介料を払って外国人を受け入れていたとしたら? 紹介料の支払記録が残った瞬間、第2項の「営利の目的」認定の中心証拠になる。5年以下から1年以上10年以下へ、そして罰金が併科される。しかも法人には両罰規定(入管法76条の2)で別途罰金が科されうる
- 深夜、警察から「明日、任意で話を聞きたい」と電話が来た。過去に住まわせた外国人の件だという。あなたに残された時間は一晩。何を話すか、弁護士を呼ぶか、この夜の判断が今後1年を決める
- 受け入れ予定だった外国人を迎えに指定場所へ向かったが、警察が先に踏み込んで誰も受け取らずに終わった。何も起きなかったと思っている。第3項は未遂を罰する。受け取る前に止まっていても、既に構成要件の射程内にいる
取るべき行動
被害を受けた側:この条文に直接の被害者は想定されにくいが、悪質ブローカーに騙されて受け入れ側に立たされた事業者は、自らが捜査対象になりうる立場である。1. 紹介元との連絡履歴、契約書、支払記録をすべて保全する(削除は証拠隠滅と評価される) 2. 在留カードの真贋確認は出入国在留管理庁の在留カード等番号失効情報照会で記録付きで行う3. 違法な経路が判明したら、自主的に入管へ相談した記録を残す。自首(刑法42条)に至らずとも、情状として評価される余地がある
訴えられた側:1. 任意同行を求められた時点で弁護人を選任する。当番弁護士制度は逮捕後だが、逮捕前でも刑事事件に強い弁護士への相談を優先する2. 争点は(1)相手が不法上陸者であるという認識、(2)紹介者が74条の罪を犯した者であるという認識、(3)営利の目的、の三点に集約される。認識を認める供述を安易にしない3. 対価の授受があった場合でも、それが実費精算か利益取得かで第2項該当性が分かれる。会計帳簿で実費性を説明できるか検討する4. 法人であれば両罰規定(入管法76条の2)により会社にも罰金が及ぶため、法人と個人で弁護方針が衝突しうる。早期に別々の弁護人を立てる判断が要る
時効(請求できる期限):公訴時効は法定刑により決まる。第1項の罪(長期5年の拘禁刑)は5年、第2項の罪(長期10年の拘禁刑)は7年(刑事訴訟法250条2項)。起算点は犯罪行為が終わった時であり、蔵匿のような継続的性質を持つ行為は、かくまい続けた最終日から数える。逮捕された場合の身柄拘束は最大23日(逮捕72時間+勾留10日+延長10日)で、その間に起訴・不起訴が決まる
学説
通説:本条は密航ビジネスにおける上陸後の受け入れ・潜伏段階を独立に処罰し、分業による摘発回避を封じる趣旨とされる。故意として、相手が74条の罪により上陸させられた外国人であることの認識を要するが、未必の故意で足りると解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:集団密航事件の多発を受け、集団密航者を上陸させる罪などとともに、収受・輸送・蔵匿・隠避を処罰する集団密航に関する罪が整備された
- 2.令和4年(2022年) 改正:刑法改正による懲役・禁錮の拘禁刑への一本化に伴い、法定刑の表記が「拘禁刑」に改められた(2025年6月1日施行)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める