厚生年金保険法 第78条の4(当事者等への情報の提供等)
クイックジャンプ
- 当事者又はその一方は、実施機関に対し、主務省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報であつて次項に規定するものの提供を請求することができる。ただし、当該請求が標準報酬改定請求後に行われた場合又は第七十八条の二第一項ただし書に該当する場合その他厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない。
- 2.前項の情報は、対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲、これらの算定の基礎となる期間その他厚生労働省令で定めるものとし、同項の請求があつた日において対象期間の末日が到来していないときは、同項の請求があつた日を対象期間の末日とみなして算定したものとする。
この条文の基本情報
当事者等への情報の提供等とは何ですか?
定義当事者等への情報の提供等とは、厚生年金保険法第78条の4に定められた規定で、「当事者又はその一方は、実施機関に対し、主務省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報であつて次項に規定するものの提供を請求することができる…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の4(当事者等への情報の提供等)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の4の条文原文は「当事者又はその一方は、実施機関に対し、主務省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報であつて次項に規定するものの提供を請求することができる…」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の4は第三章の二に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の4の前の条は厚生年金保険法第78条の3です。
- 厚生年金保険法第78条の4の次の条は厚生年金保険法第78条の5です。
- 厚生年金保険法第78条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の4は、離婚時年金分割の当事者またはその一方が、実施機関に対し対象期間標準報酬総額や按分割合の範囲の情報提供を単独で請求できると定める規定である。
Q · 離婚を切り出す前に、自分がいくら年金分割できるか調べられますか?
できます。厚年法78条の4で単独請求が可能です
厚生年金保険法78条の4第1項により、当事者またはその一方は実施機関(日本年金機構・各共済組合)に対し、標準報酬改定請求に必要な情報の提供を単独で請求できます。離婚前でも請求でき、その場合は2項により請求日を対象期間の末日とみなした暫定値が示されます。情報通知書に載るのは対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲(上限0.5)、算定の基礎となる期間です。ただし標準報酬改定請求を済ませた後や、離婚等から2年を経過した場合は請求できません。
解説
離婚を口に出す前の段階で、相手に知られないまま、自分が将来どれだけ年金記録を取り戻せるかを役所に計算させることができる。それを可能にしているのが本条である。年金分割の本番は78条の2の標準報酬改定請求だが、その手前で、当事者の一方は単独で実施機関(日本年金機構や各共済組合など、年金記録を管理する側)に情報提供を請求できる。返ってくる情報通知書には、婚姻期間中の双方の対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲(上限は0.5)、算定の基礎となる期間が並ぶ。つまり交渉のカードが感情ではなく数字で手に入る。離婚前に請求した場合は、2項により請求日を対象期間の末日とみなして計算するので、数字は暫定値になる。そして離婚から2年を過ぎると、1項ただし書によってこの窓口自体が閉じる。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の4は、離婚時年金分割における情報提供請求権を定める規定である。当事者またはその一方が実施機関に対して単独で請求でき、対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲、算定の基礎となる期間の提供を受ける。標準報酬改定請求(78条の2)の前段階に位置する情報開示手続であり、離婚前の請求では請求日を対象期間の末日とみなして算定される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.請求前に必要書類を揃える 基礎年金番号が分かる書類(年金手帳・基礎年金番号通知書)と、婚姻期間が確認できる戸籍謄本等を用意する。離婚前に請求する場合は現在の戸籍、離婚後なら離婚日が記載された戸籍が必要になる。必要書類の詳細は実施機関の様式に従う
- 2.実施機関に情報提供請求書を提出 年金事務所または共済組合に「年金分割のための情報提供請求書」を提出する。78条の4第1項により相手の同意は不要で、単独で請求できる。離婚前の請求では、2項により請求日を対象期間の末日とみなした暫定値が算定される
- 3.情報通知書の数字を読み解く 届いた通知書で、双方の対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲(下限は現在の持分割合、上限は0.5)、算定の基礎となる期間を確認する。総額を婚姻月数で割れば相手の平均的な報酬水準が逆算でき、財産分与の交渉材料にもなる
- 4.按分割合を合意するか家裁に申し立てる 協議で按分割合が決まるなら、合意を証する書類として求められる形式(公正証書、公証人の認証を受けた私署証書等)で残す。合意できなければ情報通知書を添えて家庭裁判所へ按分割合を定める処分の調停・審判を申し立てる。通知書は交付から一定期間内のものが求められる運用があるため、申立て時期に合わせて取得する
- 5.2年の期限内に標準報酬改定請求を完了させる 按分割合が定まったら、78条の2の標準報酬改定請求を実施機関に行う。離婚等をした日の翌日から2年が期限であり、情報通知書を取得しただけでは記録は一切動かない。2年経過前に按分割合を定める処分の申立てをしていた場合は、審判確定等の日の翌日から6か月以内に請求できる例外がある
よくある質問 AI による整理
Q1年金分割の情報通知書とは何ですか?
厚年法78条の4に基づき実施機関が交付する書面です。対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲(上限0.5)、算定の基礎となる期間が記載されます。
Q2年金分割の情報提供請求はどこに出しますか?
実施機関、つまり日本年金機構(年金事務所)または加入していた各共済組合です。厚生年金と共済の両方に記録がある場合の窓口は実施機関にご確認ください。
Q3年金分割の情報提供請求に相手の同意は必要?
不要です。78条の4第1項は「当事者又はその一方」と定めており、単独請求が認められています。相手の署名や委任状は求められません。
Q4年金分割はいつまでに請求できますか?
78条の2第1項ただし書により離婚等をした日の翌日から2年です。これを過ぎると標準報酬改定請求ができず、本条の情報提供請求も原則閉じます。
Q5年金分割の情報提供請求は何度もできますか?
標準報酬改定請求を済ませた後は78条の4第1項ただし書により請求できません。それ以外の再請求の可否や間隔は厚生労働省令・実施機関の運用によります。
Q6情報通知書に相手の勤務先は載りますか?
載りません。2項が開示対象とするのは対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲、算定の基礎となる期間などで、勤務先名や月別給与の内訳は含まれません。
Q7按分割合の上限はなぜ0.5なのですか?
婚姻期間中の двоих の厚生年金記録の合計を等分する以上には動かせないためです。0.5は「相手の年金の半分」ではなく「合計記録の半分」を意味します。
Q8年金分割の対象にならない年金はありますか?
老齢基礎年金(国民年金部分)は対象外です。分割されるのは婚姻期間中の厚生年金の報酬比例部分の記録に限られ、婚姻前・離婚後の期間も対象外です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1離婚するかまだ決めてないんですけど、先に調べるだけってできますか?
できる。本条1項は当事者またはその一方が請求できると定めており、離婚前でも単独で請求可能である。その場合は2項により、請求日を対象期間の末日とみなして計算した暫定値が示される。実務のポイント:離婚前に一方だけが請求したときは、他方に通知書が送られない取扱いになっている。相手に知られないまま数字だけ先に握れるかどうかは、この一点で決まる(最新の運用をご確認ください)。
Q2情報通知書をもらえば、あとは自動的に年金が半分になるんですか?
ならない。通知書は数字の開示にとどまり、記録が実際に動くのは78条の2の標準報酬改定請求からである。按分割合の合意がなければ家庭裁判所の調停・審判が必要になる。実務のポイント:通知書を手にした時点で安心してしまい、離婚から2年の期限を落とす人が実際にいる。管理すべき日付は通知書の交付日ではなく、離婚日から2年の締切のほうだ。
Q3相手の給料がいくらだったか、通知書を見れば分かるんですか?
対象期間標準報酬総額という形で、婚姻期間中の合計額が分かる。ただし2項が開示対象とするのは総額、按分割合の範囲、算定の基礎となる期間であり、勤務先ごとの内訳や月別の給与額までは出てこない。実務のポイント:総額を婚姻月数で割れば平均的な報酬水準が逆算できる。相手が「大した稼ぎではなかった」と言い出したとき、この逆算値が反論の起点になる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「夫の年金の半分をもらえるのか」という問いの立て方そのものが誤っている。分割の対象は婚姻期間中の厚生年金の報酬比例部分の記録(標準報酬)に限られ、老齢基礎年金も、婚姻前や離婚後の期間も対象外である。按分割合0.5は「相手の年金額の半分」ではなく「対象期間における二人の記録の合計の半分」を意味する。この読み違いのまま交渉に入ると、期待額が二重三重にずれる。
- 情報提供請求という制度があること自体は知られてきたが、離婚前に一方だけが請求した場合に他方へ通知が行かない取扱いになっている点まで知る人は少ない。制度の存在を知っているかどうかではなく、この一点を知っているかどうかが、数字を握って交渉に入るか、手札を開示してから交渉に入るかを分ける(最新の運用をご確認ください)。
- 情報通知書が届けば自動的に分割されると思われがちだが、通知書は数字の開示にすぎない。実際に記録が動くには78条の2の標準報酬改定請求が別途必要で、按分割合の合意がなければ家庭裁判所の調停・審判を経る。通知書を取っただけで一段落した気になり、2年の期限を落とす人が現実にいる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の性質 | 78条の4:情報提供請求(数字の開示のみ、記録は動かない) | 78条の2:標準報酬改定請求(実際に記録が移る本体手続) 78条の3:分割後の標準報酬の改定・決定の方法 |
| 相手の同意 | 不要。当事者の一方が単独で請求できる | 原則必要。按分割合の合意または家裁の審判が前提 改定請求が有効に行われたことが前提 |
| 期限 | 固有の期限はないが、改定請求後・2年経過後は請求できない | 離婚等をした日の翌日から2年(1項ただし書) 改定請求の効力に従う |
| 得られる結果 | 情報通知書(対象期間標準報酬総額・按分割合の範囲・算定基礎期間) | 婚姻期間中の標準報酬記録の移転 改定後の標準報酬に基づく年金額の確定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では労工保険・国民年金の記録を離婚で分割する仕組みがなく、民法第1030条の1の剰余財産分配請求権で退職金・保険給付の期待権を評価する運用に依存する。日本のように役所に計算させる情報請求窓口は存在しない
韓国は記録の分割ではなく、受給権発生後に分割年金を受け取る方式。제64조의3は離婚時点で先に請求しておける制度で、日本の情報提供請求とは機能が異なるが「離婚時点で権利を確保する」という発想は共通する
ドイツは離婚手続の中で家庭裁判所が職権的に年金調整(Versorgungsausgleich)を行い、当事者と年金保険者に情報提供義務を課す。日本のように当事者が自ら請求して数字を取りに行く必要がない点が最大の違い
米国は私的年金プランを QDRO により裁判所命令で分割する。公的年金(Social Security)は分割ではなく、10年以上の婚姻期間があれば元配偶者給付として独立に受給する構造で、日本の記録分割とは設計思想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 離婚届を出してから1年半、感情の整理と引っ越しに追われ、年金分割の話を誰も切り出さなかったとしたら? 残り時間は6か月を切っている。78条の2第1項ただし書により離婚等から2年で改定請求権が消え、本条の情報提供請求も同時に閉じる。情報通知書を取り、それを添えて家庭裁判所に按分割合を定める申立てを入れる。この一連を2年の内側に収めなければならない。
- あなたが会社員として20年働き、配偶者が家庭に入っていた側だとする。ある日、年金事務所から情報通知書が届く。相手が離婚後に単独で請求したため、あなたにも同じ数字が届いた形だ。この瞬間、相手は按分割合の上限が0.5であることも、あなたの婚姻期間中の標準報酬総額も把握している。「年金の話はよく分からない」で押し切る余地は、その封筒が届いた時点で消えている。
- 熟年離婚を考える人が最初に口にするのは「私は年金をいくらもらえるのか」である。答えは友人との会話でも弁護士の初回相談でも出ない。本条の情報提供請求で実施機関に計算させるのが最短経路である。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 離婚を切り出す前に、基礎年金番号が分かる書類と婚姻期間が確認できる戸籍を揃え、実施機関へ情報提供請求。2. 届いた情報通知書で対象期間標準報酬総額と按分割合の範囲(上限0.5)を確認。3. 協議で割合に合意できるなら、公正証書または公証人の認証を受けた私署証書など、合意を証する書類の形式要件を満たす形で残す。4. 合意できなければ通知書を添えて家庭裁判所へ調停・審判を申し立てる。5. 離婚成立後は2年の期限を最優先で管理する。
訴えられた側:1. 通知書が届いたら、按分割合の上限が0.5であり法律上それ以上は動かないことをまず確認。2. 分割対象は婚姻期間中の厚生年金記録に限られるため、対象期間の始期と終期の認定が争えるかを検討。3. 年金分割だけを切り離さず、財産分与全体の配分と一体で交渉材料にする。4. 家庭裁判所の実務では0.5が原則的な着地点として定着しているため、そこを前提に早期に現実的な線を引く。
時効(請求できる期限):情報提供請求それ自体に固有の期限はないが、離婚等をした日の翌日から起算して2年を経過すると78条の2第1項ただし書により標準報酬改定請求ができなくなり、本条の請求も原則として閉じる。2年経過前に按分割合を定める処分の申立てをしていた場合は、審判確定等の日の翌日から6か月以内に請求できる例外がある(最新の改正状況をご確認ください)。また標準報酬改定請求を済ませた後は、1項ただし書により再度の情報提供請求はできない。
学説
通説的理解:本条の情報提供請求権は、年金分割制度を実効化するための手続的権利であり、相手方の年金記録に対する実体的権利を直接создает ものではないと理解されている。開示範囲を総額・按分割合の範囲・算定基礎期間に限定したのは、プライバシーとの調整の結果とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)年金制度改正、平成19年(2007年)4月1日施行 離婚等をした場合における標準報酬の特例(合意分割)とともに新設。分割の前提となる情報提供請求権を当事者の一方の単独請求として制度化し、離婚前の請求も認めた
- 平成24年(2012年)被用者年金一元化法、平成27年(2015年)10月1日施行 請求先を「厚生労働大臣」から「実施機関」に改め、共済組合等も窓口に。手続部分を主務省令、開示内容を厚生労働省令に振り分ける現在の書き分けとなった
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:年金制度改正により離婚時の厚生年金の分割(合意分割)が創設され、その前提となる情報提供請求権が本条として新設された。施行は平成19年(2007年)4月1日
- 2.平成24年(2012年) 改正:被用者年金一元化法により請求先が「厚生労働大臣」から「実施機関」に改められ、共済組合等も窓口となった。施行は平成27年(2015年)10月1日
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める