厚生年金保険法 第78条の7(記録)
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実施機関は、厚生年金保険原簿に前条第三項の規定により被保険者期間であつたものとみなされた期間(以下「離婚時みなし被保険者期間」という。)を有する者の氏名、離婚時みなし被保険者期間、離婚時みなし被保険者期間に係る標準報酬その他主務省令で定める事項を記録しなければならない。
この条文の基本情報
記録とは何ですか?
定義記録とは、厚生年金保険法第78条の7に定められた規定で、「実施機関は、厚生年金保険原簿に前条第三項の規定により被保険者期間であつたものとみなされた期間(以下「離婚時みなし被保険者期間」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の7(記録)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の7の条文原文は「実施機関は、厚生年金保険原簿に前条第三項の規定により被保険者期間であつたものとみなされた期間(以下「離婚時みなし被保険者期間」という。」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の7は第三章の二に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の7の前の条は厚生年金保険法第78条の6です。
- 厚生年金保険法第78条の7の次の条は厚生年金保険法第78条の8です。
- 厚生年金保険法第78条の7には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の7 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の7(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_7
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の7は、実施機関に離婚時みなし被保険者期間と標準報酬を厚生年金保険原簿へ記録する義務を課す。分割は合意書ではなく原簿記録で年金額に反映される。
Q · 離婚のとき年金分割の合意書があれば、それで年金は増えるんですか?
増えません。原簿に記録されて初めて反映されます
厚生年金保険法78条の7により、実施機関(日本年金機構または各共済組合等)は、離婚時みなし被保険者期間を有する者の氏名・当該期間・その期間に係る標準報酬などを厚生年金保険原簿に記録しなければなりません。合意書や調停調書は請求の根拠にすぎず、標準報酬改定請求(同法78条の2、離婚等をした日の翌日から2年)を経て原簿へ記録された時点で、初めて年金額の計算に反映されます。記録内容は標準報酬改定通知書で確認でき、事実と異なる場合は同法28条の2の訂正請求ができます。
解説
離婚の協議で年金分割に合意し、調停調書や公正証書まで手元にある。だがその紙だけでは、あなたの年金は一円も増えていない。分割が現実になるのは、実施機関(日本年金機構または各共済組合)が厚生年金保険原簿に、あなたの氏名と「離婚時みなし被保険者期間」、そしてその期間に係る標準報酬を書き込んだ瞬間である。本条はその記録を国の義務として定めた条文だ。押さえるべきは二点。第一に、原簿に移った記録は生涯あなたのものになり、元配偶者が再婚しても死亡しても戻らない。第二に、離婚時みなし被保険者期間は年金額の計算には効くが、受給資格期間(原則10年)には算入されない。分割で得た記録が「年金をもらえる資格」まで作ってくれるわけではない。そして原簿に何がどう載ったかを確認し、誤っていれば訂正を請求する権利があなたにはある(厚生年金保険法28条の2)。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の7は、離婚時の年金分割に伴う記録義務を定める規定である。実施機関は、同法78条の6第3項により被保険者期間であったものとみなされた期間(離婚時みなし被保険者期間)を有する者の氏名、当該期間、当該期間に係る標準報酬その他主務省令で定める事項を、厚生年金保険原簿に記録しなければならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.離婚成立日から2年の期限を先に確定する 離婚等をした日の翌日を起点に2年後の日付を計算し、カレンダーに記入する。標準報酬改定請求の期限であり(78条の2)、この日を過ぎると合意内容がどれほど整っていても原簿への記録は行われない
- 2.年金分割のための情報通知書を請求する 年金事務所または共済組合に「年金分割のための情報提供請求書」を提出し、対象期間と分割対象となる標準報酬総額を数字で確認する(78条の4)。離婚前でも一方のみで請求でき、50歳以上なら分割後の年金見込額まで交付される
- 3.按分割合を公的な形式で確定させる 按分割合(上限2分の1)について、公正証書、公証人認証を受けた私署証書、調停調書、審判書または判決書のいずれかを用意する。私製の合意書のみの場合は双方が年金事務所に出頭する必要がある
- 4.標準報酬改定請求を年金事務所へ提出する 「標準報酬改定請求書」に情報通知書と按分割合を証する書類を添えて提出する。この請求が受理されて初めて78条の6の改定・決定が行われ、78条の7の原簿記録につながる
- 5.標準報酬改定通知書で原簿記録を突き合わせる 後日届く標準報酬改定通知書で、記録された離婚時みなし被保険者期間と標準報酬が合意内容と一致するか確認する。婚姻前や離婚後の期間が誤って含まれていないかも検算し、事実と異なれば28条の2の訂正請求へ進む
よくある質問 AI による整理
Q1離婚時みなし被保険者期間とは?
年金分割により、分割を受けた側が厚生年金の被保険者であったものとみなされる期間です。厚生年金保険法78条の6第3項で発生し、78条の7により原簿へ記録されます。
Q2年金分割の手続きはいつまで?
標準報酬改定請求は離婚等をした日の翌日から2年です(78条の2)。2年を過ぎると合意書や調停調書があっても原簿に記録されず、年金額は変わりません。
Q3厚生年金保険原簿とは何ですか?
実施機関が管理する厚生年金の記録台帳です。被保険者期間や標準報酬が記録され、将来の年金額計算の唯一の根拠になります。離婚時みなし被保険者期間もここに載ります。
Q4標準報酬改定通知書はいつ届く?
標準報酬改定請求の受理後、実施機関の処理が終わった時点で郵送されます。原簿にどの期間・どの標準報酬が記録されたかを確認できる唯一の書面なので必ず保管してください。
Q5年金記録が間違っていたら訂正できる?
できます。厚生年金保険法28条の2の訂正請求により、原簿の記録が事実でないと考える場合に訂正を求められます。請求できる年齢や期間の制限はありません。
Q6公務員だった配偶者でも年金分割できる?
できます。2015年10月の被用者年金一元化で共済年金は厚生年金に統合され、共済組合等も実施機関として78条の7の記録義務を負っています。
Q7分割された記録で年金の受給資格はできる?
できません。離婚時みなし被保険者期間は年金額の計算には反映されますが、受給資格期間(原則10年)には算入されません。自身の加入歴が別途必要です。
Q8年金分割は違法に取り消される?
原簿に記録された離婚時みなし被保険者期間は本人の記録として確定し、元配偶者の再婚や死亡では増減しません。取消しではなく28条の2の訂正請求が争い方になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1専業主婦だったんですが、年金分割すれば夫の年金の半分がもらえるんですか?
もらえるのは夫の年金額の半分ではなく、婚姻期間中の厚生年金の標準報酬記録が最大2分の1まであなたの原簿へ移るという話である(78条の6、78条の7)。国民年金の基礎年金部分は分割されない。実務のポイント:移った離婚時みなし被保険者期間は年金額の計算には効くが、受給資格期間(原則10年)には算入されない。自分の加入歴が足りないままだと、記録はあるのに受け取れない事態が起こりうる。
Q2元夫が先に亡くなったら、分割してもらった分は消えるんでしょうか?
消えない。原簿に記録された離婚時みなし被保険者期間はあなた自身の記録として残り、元配偶者の死亡でも再婚でも減らない(78条の7)。逆に、離婚している以上、元配偶者の死亡による遺族厚生年金は原則として受けられない。実務のポイント:相手が高齢・病気がちなケースほど、分割請求を先に片づける実益がある。請求前に相手が死亡した場合の可否と手続は個別性が高いので、死亡日を伝えて年金事務所に直接確認するのが最短だ。
間違えやすい点 AI による整理
- 「年金の半分がもらえる」という問いの立て方そのものがずれている。分割の対象は年金額ではなく、婚姻期間中の厚生年金の標準報酬(保険料納付記録)であり、上限2分の1は対象期間の記録合計に対する按分割合である。国民年金(基礎年金)部分は分割されないし、相手の企業年金や退職金も本条の射程外だ。
- 2年で締め切られることを知っている人は多いが、その2年が家庭裁判所の審理時間を待ってくれないところまでは知られていない。按分割合を家裁で争っている間も期限は進み、審判確定が2年目前後にずれ込む事件は珍しくない。確定後に残される請求可能期間はごく短い例外扱いにすぎない(最新の運用をご確認ください)。
- あなたから見れば「長年支えた分の取り分」だが、制度から見れば「標準報酬の記録の移転」でしかない。だから記録は移った瞬間に元配偶者から切り離され、その後に相手が死亡しても増減せず、あなたが再婚しても失われない。感情の清算は何年も続いても、記録の清算は一度きりで完結する。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 78条の7:実施機関の原簿記録義務 | 78条の2:当事者による標準報酬改定請求 28条の2:原簿記録の訂正請求 |
| 動く主体 | 実施機関(日本年金機構・共済組合等) | 分割の当事者(第1号改定者・第2号改定者) 記録が事実でないと考える本人 |
| 期限 | 請求に基づく処理として記録(当事者側の期限規定なし) | 離婚等をした日の翌日から2年 期間の定めなし |
| 生じる効果 | 離婚時みなし被保険者期間と標準報酬が原簿に確定 | 標準報酬の改定または決定(78条の6) 誤った原簿記録の訂正 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には離婚時に公的年金の記録を移転する制度がなく、労工保険・国民年金の受給権は分割されない。実務上は離婚時の財産分与で調整するため、日本のような原簿記録という発想自体が存在しない
韓国は分割年金として、婚姻期間に対応する老齢年金の一定割合を離婚した配偶者に支給する構成をとる。日本が記録(標準報酬)を移転するのに対し、韓国は給付段階で分けるという設計の違いがある
ドイツの Versorgungsausgleich は離婚手続の中で裁判所が職権的に年金調整を行い、Entgeltpunkte(報酬点数)の増減として記録に反映される。当事者の請求と2年の期限に依存する日本とは、発動構造が根本的に異なる
米国は私的年金についてQDRO(適格国内関係命令)で分割し、公的年金であるSocial Securityは分割せず、婚姻10年以上等の要件で離婚配偶者給付を認める二層構造をとる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 調停成立から1年11か月、合意はあるのに忙しさで年金事務所に行きそびれていたとしたら、どうなる? 標準報酬改定請求は離婚等をした日の翌日から2年で締め切られる。期限を過ぎれば、合意書が完璧でも原簿には一行も記録されない。残り1か月でそろえるのは、年金分割の合意書または調停調書の謄本、双方の基礎年金番号がわかる書類、そして年金事務所の予約枠だ。
- 分割される側(第1号改定者)として立つ場面。あなたの婚姻期間中の標準報酬の一部が原簿から相手の欄へ移され、移った分はあなた自身の老齢厚生年金から永久に消える。ただし按分割合の上限は2分の1であって、それ以下で合意する余地は制度上残っている。相手方の代理人が「法律で半分と決まっている」と言い切ったとき、それは交渉の言葉であって条文の命令ではない。
- 郵便受けに「標準報酬改定通知書」が届く。会社勤めをしたことは一度もないのに、そこには厚生年金の標準報酬が並んでいる。原簿に記録された離婚時みなし被保険者期間が、初めて目に見える形になった瞬間である。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 離婚成立日を起点に2年後を計算し、その日を最優先の締切として押さえる2. 年金分割のための情報通知書を請求し、対象期間と分割対象の標準報酬総額を数字で把握する(78条の4) 3. 合意書は公正証書、または調停調書・審判書の謄本の形で用意する(私製の合意書のみだと双方出頭が必要になる) 4. 年金事務所で標準報酬改定請求を行い、後日届く標準報酬改定通知書で原簿への記録内容を必ず突き合わせる5. 記録が実態と違えば28条の2の訂正請求へ
訴えられた側:1. 分割は年金額ではなく標準報酬記録の移転であることを確認し、2分の1は上限であって下限ではない点を交渉の前提に置く2. 情報通知書で対象期間を確定させ、婚姻前・離婚後の記録が誤って対象期間に含まれていないか検算する3. 財産分与全体(民法768条)の中で年金分割をどう位置づけるか、現金や不動産との組み合わせで按分割合を交渉する4. 記録が移れば自分の老齢厚生年金は恒久的に減る。将来の受給見込額を試算したうえで合意する
時効(請求できる期限):標準報酬改定請求は、離婚等をした日の翌日から起算して2年(厚生年金保険法78条の2)。2年経過前に按分割合を定める審判等を申し立て、2年経過後に確定した場合は、確定日の翌日から起算して1か月以内という例外的取扱いがある(最新の改正状況・運用をご確認ください)。原簿記録の訂正請求(28条の2)自体には期間の定めはない
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)年金制度改正法、平成19年(2007年)4月1日施行 離婚時の年金分割(合意分割)制度の新設に伴い、第3章の2の一部として本条を新設。離婚時みなし被保険者期間とその標準報酬を厚生年金保険原簿に記録することを国の義務として明文化した
- 平成24年(2012年)被用者年金一元化法、平成27年(2015年)10月1日施行 共済年金の厚生年金への統合に伴い、記録主体を「厚生労働大臣」から「実施機関」へ、委任先を「厚生労働省令」から「主務省令」へ改めた。共済組合等も同一の記録義務を負う建て付けになった
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:年金制度改正法により離婚時の年金分割(合意分割)制度を導入(平成19年4月1日施行)。第3章の2の一部として本条を新設し、離婚時みなし被保険者期間とその標準報酬を厚生年金保険原簿に記録することを国の義務として明文化した
- 2.平成24年(2012年) 改正:被用者年金一元化法により、平成27年(2015年)10月1日から記録主体を「厚生労働大臣」から「実施機関」へ、委任先を「厚生労働省令」から「主務省令」へ改めた。共済組合等も同一の記録義務を負う建て付けとなった
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