要点厚生年金保険法 84 条の 8 は、実施機関が標準報酬の総額等を所管大臣経由で厚生労働大臣へ報告する義務を定める。報告事項を定める省令には所管大臣との協議を要する。
Q · 厚生年金保険法 84 条の 8 って、結局なにを決めている条文ですか?
実施機関から厚労大臣への報告ルートを定めた条文です
厚生年金保険法 84 条の 8 は、被用者年金一元化後に残った各実施機関(国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団など)と厚生労働大臣との間の情報の流れを定めます。実施機関は標準報酬の総額その他省令で定める事項を、所管大臣(財務大臣・総務大臣・文部科学大臣)を経由して報告し、厚生労働大臣も 84 条の 5 第 3 項の予想額等を所管大臣へ報告します。第 5 項は、これらの省令を定める際の所管大臣との協議を義務づけています。
2015年10月1日、公務員と私学教職員の共済年金は厚生年金に統合された。ところが実務の裏側では、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団という実施機関が、今もそれぞれ別々に保険料を集め、記録を管理している。集めた金を厚生年金という共通の財布へいくら移すか(実施機関拠出金)を決める計算の土台が、本条が求める「標準報酬の総額」の報告である。しかもその報告は厚生労働大臣へ直行しない。財務大臣、総務大臣、文部科学大臣という各実施機関の所管大臣を必ず経由する。さらに第5項は、報告事項を定める厚生労働省令を作るとき、厚生労働大臣に所管大臣との協議を義務づけている。あなたが受け取る厚生年金の原資は、あなたの見えないところで省庁の間を書類で行き来している。その通り道と関所を定めているのが、この五つの項である。
厚生年金保険法 84 条の 8 は、被用者年金一元化後における実施機関と厚生労働大臣との間の報告関係を定める規定である。実施機関は標準報酬の総額その他厚生労働省令で定める事項および実施機関拠出金の予想額の算定に必要な事項を、所管大臣を経由して厚生労働大臣へ報告し、厚生労働大臣も予想額等を所管大臣へ報告する。関係する省令の制定には所管大臣との協議を要する。
厚生年金の適用・徴収・記録管理・給付を実際に担う機関のことです。厚生年金保険法 2 条の 5 に列挙され、日本年金機構のほか国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団が該当します。
平成 24 年(2012 年)法律第 63 号により、2015 年 10 月 1 日から共済年金が厚生年金へ統合されました。以後、公務員も私学教職員も厚生年金の被保険者となり、84 条の 8 の報告制度もこの時に整備されています。
共済側の実施機関が厚生年金の給付費等を分担するために納付する拠出金です。84 条の 5 が納付義務と予想額を定め、84 条の 8 の報告値がその算定の基礎データになります。
実施機関ごとの負担割合を按分するための分母になるからです。各実施機関の標準報酬月額・標準賞与額の合計が、拠出金の予想額と後年度の精算額を左右します。
実施機関の違いによる区分です。第 1 号は日本年金機構(民間等)、第 2 号は国家公務員共済、第 3 号は地方公務員共済、第 4 号は私学共済が記録を管理します。給付の算式自体は共通です。
一元化により相談・請求はどの実施機関の窓口でも受け付けます。ただし記録を保有する実施機関は期間ごとに異なるため、必要書類の取り寄せ先が分かれる点に注意が必要です。
本条自体は行政機関間の報告手続を定める規定であり、事業主や被保険者個人に対する罰則は置かれていません。義務の名宛人は実施機関と各所管大臣です。
本条に関する厚生労働省令については単独で決められません。第 5 項が実施機関を所管する大臣との協議を義務づけており、財務省・総務省・文部科学省との調整が前提になります。
2015年10月の一元化で共済年金は厚生年金に統合され、実施機関は厚生年金保険法2条の5に列挙されました。保険料率も給付の算式も同一です。差が残るのは旧職域加算に代わる年金払い退職給付の部分に限られます。業界裏話ヒント:得か損かより実務で効くのは、自分の期間をどの実施機関が持っているかです。ここを取り違えると、請求時に必要書類の取り寄せだけで数週間持っていかれます
個人に直接の権利義務は生じません。ただし第3項の報告は84条の5第3項の予想額、つまり概算で納める拠出金の算定基礎になり、ずれは後年度の精算で調整されます。業界裏話ヒント:報告事項を定める省令を、厚生労働大臣は単独で決められません(第5項の協議義務)。年金財政のルール変更が実施機関側の事情で動きにくい構造的な理由は、まさにこの一項にあります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 84 条の 8:実施機関と厚生労働大臣の間の報告(情報の流れ) | — |
| 義務の名宛人 | 実施機関・所管大臣・厚生労働大臣(双方向) | — |
| 経由の有無 | 必ず所管大臣を経由(直接のやり取りは想定されていない) | — |
| 省令・協議 | 第 5 項で所管大臣との協議義務あり | — |
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