国民健康保険法 第57条の2(高額療養費)
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- 市町村及び組合は、療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。次項において同じ。)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは特別療養費として支給される額若しくは第五十六条第二項の規定により支給される差額に相当する額を控除した額(次条第一項において「一部負担金等の額」という。)が著しく高額であるときは、世帯主又は組合員に対し、高額療養費を支給する。ただし、当該療養について療養の給付、保険外併用療養費の支給、療養費の支給、訪問看護療養費の支給若しくは特別療養費の支給又は第五十六条第二項の規定による差額の支給を受けなかつたときは、この限りでない。
- 2.高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、療養に必要な費用の負担の家計、とりわけ長期にわたつて継続的に療養を受ける者の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して、政令で定める。
この条文の基本情報
高額療養費とは何ですか?
定義高額療養費とは、国民健康保険法第57条の2に定められた規定で、「市町村及び組合は、療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第57条の2(高額療養費)は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第57条の2の条文原文は「市町村及び組合は、療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。」で始まります。
- 国民健康保険法第57条の2は第一節 療養の給付等に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第57条の2の前の条は国民健康保険法第57条です。
- 国民健康保険法第57条の2の次の条は国民健康保険法第57条の3です。
- 国民健康保険法第57条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第57条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第57条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/57_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法57条の2は、一部負担金等の額が著しく高額なとき、超過分を高額療養費として世帯主又は組合員に支給すると定める。食事療養・生活療養の費用は除かれる。
Q · 入院で窓口に数十万円払ったら、あとからいくら戻ってくるんですか?
事前に限度額適用認定証を用意すれば窓口で上限額に止められます
国民健康保険法57条の2により、一暦月の一部負担金等の額が政令の定める自己負担限度額を著しく超えた場合、その超過分が高額療養費として世帯主又は組合員に支給されます。限度額は所得区分と年齢区分で決まり、同一世帯の同月分は合算できます(世帯合算)。事前に限度額適用認定証を取得するか、マイナ保険証で限度額情報の提供に同意すれば、窓口支払い自体を上限額で止められます。ただし食事療養・生活療養の費用、差額ベッド代、保険外診療は計算の対象外です。請求権は2年で時効消滅します(同法110条)。
解説
入院と手術で窓口に87万円払った。そのうち約78万円が数か月後に戻ってくる、と聞いたら驚くだろうか。国民健康保険法57条の2は、自己負担が「著しく高額」になったとき、超過分を保険が返す仕組みを定める。年収370万円から770万円の世帯なら、ひと月の自己負担上限はおよそ8万円台。それを超えた分は、原則すべて戻る。しかもこの条文には、あなたが握るべき選択肢がもう一本ある。1項本文が「支払われた一部負担金」を前提とする以上、事後の払い戻し(償還払い)が原型だが、政令が定める「限度額適用認定証」またはマイナ保険証を使えば、窓口での支払い自体を上限額で止められる。87万円を一度立て替えるか、最初から8万円台で済ませるか。差は手続き一つ、それを知っているかどうかだけだ。
法的な位置づけ
国民健康保険法57条の2に定める高額療養費は、被保険者が支払った一部負担金等の額が政令の定める自己負担限度額を著しく超える場合に、その超過分を保険者が世帯主又は組合員に支給する保険給付である。食事療養及び生活療養に要した費用、保険外の自費診療は算定の基礎から除外される。支給要件と支給額は同条2項の委任により政令が定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.入院・手術が決まった日に上限額の事前手続きをする 入院日や手術日が確定した時点で、市区町村の国保窓口へ行き限度額適用認定証を申請する。オンライン資格確認に対応した医療機関なら、マイナ保険証で限度額情報の提供に同意するだけでよい。これで窓口支払いを上限額で止められる
- 2.自分の所得区分と上限額の目安を確認する 上限額は所得区分と年齢区分で決まる。窓口または保険者のサイトで、自分の世帯がどの区分に当たるか、住民税非課税世帯なら減額認定の対象になるかを確認する。区分を誤解したまま資金計画を立てると数十万円ずれる
- 3.同一世帯・同一月の領収書を全部集めて合算する 70歳未満は1医療機関・1月・入院外来別で21,000円以上が合算対象、70歳以上は下限なく合算できる。院外処方の薬局分も処方元と合算できるため、病院・歯科・薬局の領収書を月ごとに並べる
- 4.支給申請書を保険者へ提出する すでに支払済みの分は、市区町村の国保窓口に高額療養費支給申請書を提出する。振込口座を登録し、次回以降も同じ口座へ自動的に支給されるかを必ず窓口で確認しておく
- 5.多数回該当と時効を月次で管理する 直近12か月の該当回数をカレンダーで管理し、4回目から上限額が下がることを前提に資金計画を組む。あわせて診療月の翌月1日から2年の時効(法110条)を意識し、未申請の月を残さない
よくある質問 AI による整理
Q1高額療養費とは何ですか?
一暦月の医療費自己負担が政令の定める上限額を超えたとき、その超過分が保険から支給される制度です。根拠は国民健康保険法57条の2で、上限額は所得区分と年齢で変わります。
Q2限度額適用認定証はどこでもらえますか?
加入している市区町村の国民健康保険窓口(国保組合なら組合事務所)で申請します。原則として申請した月の1日から有効で、過去の月にさかのぼって使うことはできません。
Q3高額療養費の申請はいつまでにすればいいですか?
診療を受けた月の翌月1日から2年で時効消滅します(国民健康保険法110条)。2年以内なら過去の入院分もさかのぼって請求できるので、古い領収書を確認する価値があります。
Q4マイナ保険証だけで上限額は適用されますか?
オンライン資格確認に対応した医療機関で、限度額情報の提供に同意すれば認定証なしで上限額が適用されます。未対応の医療機関では従来どおり限度額適用認定証が必要です。
Q5月をまたぐ入院は損になりますか?
高額療養費は暦月(1日から末日)ごとに計算するため、同じ治療でも月が分かれると各月で上限を超えないと支給されません。結果として自己負担の合計が増えることがあります。
Q6多数回該当だと上限額はいつから下がりますか?
同一世帯で直近12か月のうち3回上限額に達していれば、4回目から上限額が引き下げられます。57条の2第2項が長期療養者の家計への配慮を命じた結果の仕組みです。
Q7高額療養費と医療費控除は両方使えますか?
両方使えますが、確定申告の医療費控除では、高額療養費として戻った金額は「補填された金額」として支払医療費から差し引いて計算します。二重に控除することはできません。
Q8国保料を滞納していても高額療養費は受けられますか?
資格証明書の交付を受けている場合、窓口でいったん全額を支払い、特別療養費(法54条の3)の枠組みで精算されるため計算構造が変わります。まず滞納の相談を優先してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1同じ月に別々の病院にかかったんですが、合算できますか?
できます。70歳未満の場合は1医療機関・1月・入院外来別で21,000円以上の自己負担が合算対象、70歳以上は金額の下限なく合算されます。本条2項が細目を政令に委ねているため、細かい線引きは国民健康保険法施行令に書かれています。実務のポイント:同じ病院でも医科と歯科、入院と外来は別カウントになります。院外処方の薬代は処方した医療機関の分と合算できるので、薬局の領収書を捨てないこと。これを知らずに「病院の分だけ」で計算して上限に届かないと諦める人が非常に多い
Q2会社を辞めて国保に入ったばかりですが、前の健康保険での回数は引き継がれますか?
引き継がれません。多数回該当(直近12か月で4回目から上限が下がる仕組み)の回数は、同一保険者での該当回数で数えるのが原則です。協会けんぽから国保へ移ると、回数はリセットされます。実務のポイント:長期治療中に退職を考えているなら、任意継続被保険者制度(協会けんぽ等で最長2年)を選べば多数回該当の回数が維持される場合があります。保険料の額だけで国保と任意継続を比べる人が多いが、治療中の人は「回数が消えるコスト」も計算に入れるべきです
Q3上限を超えたら自動で振り込まれるんじゃないんですか?
自治体によります。国保では該当者に支給申請の勧奨通知を送る市町村が多いものの、申請主義が原則で、通知が届かないケースもあります。本条1項は「支給する」と定めますが、手続きの細目は2項により政令と各保険者の運用に委ねられています。実務のポイント:一度申請して口座を登録すると、以降は自動振込にしてくれる自治体があります。初回申請時に「次回以降も同じ口座で自動的に支給されますか」と一言聞くだけで、その後の取りこぼしがなくなる
Q4差額ベッド代や食事代も高額療養費の対象になりますか?
なりません。本条1項が括弧書きで食事療養・生活療養を除外しており、差額ベッド代(特別療養環境室料)はそもそも保険給付の対象外です。先進医療の技術料も同様に対象外となります。実務のポイント:差額ベッド代は、病院側の都合(満床、感染管理など)で個室になった場合や、患者の同意書がない場合には請求できないとされています。同意書にサインする前に「これは私の希望ですか、病院の都合ですか」と確認するだけで、月に数万円から十数万円が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「高額療養費は知っている」という人は多いが、その多くが後から返ってくる制度だと思い込んでいる。実際は限度額適用認定証(またはマイナ保険証のオンライン資格確認)を事前に用意すれば、窓口支払いの時点で上限額に止められる。知っているのに使えていない、その落差が数十万円の立て替えを生む
- 「上限を超えた分は全部戻る」と考えると、退院時の計算が合わなくなる。入院時の食事代(食事療養費)、差額ベッド代、先進医療の技術料、これらは本条の計算から外れている。1項が括弧書きで「食事療養及び生活療養を除く」と明記している通りだ。保険外の費用は天井の外側にあり、そこには上限がない
- 「うちの家族はそれぞれ上限に届かないから対象外」と諦めている世帯が最も多く取り逃がしている。同一世帯の同じ月の自己負担は合算できる(世帯合算)。70歳未満は1件21,000円以上という条件があるが、夫の通院と妻の入院を足せば上限を超えることは珍しくない。1項が支給先を「世帯主又は組合員」としているのは、世帯単位で見る制度だからだ
- 問いの立て方自体がずれていることもある。「いくら戻るか」を考える前に、「そもそも自分は国保か、協会けんぽか、後期高齢者医療か」を確認すべきだ。75歳になった瞬間に後期高齢者医療制度へ移り、根拠条文も窓口も変わる。誕生月の扱いを間違えて申請先をたらい回しにされる人が毎年いる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 給付の対象 | 57条の2:一暦月の医療費自己負担の超過分 | 57条の3:医療と介護の自己負担を年間で合算した超過分 54条の3:資格証明書交付者が全額支払った療養費の精算 |
| 計算の単位 | 暦月ごと、世帯単位で合算 | 計算期間(年度単位)ごと、医療+介護を合算 療養ごと、保険者が相当と認める額 |
| 窓口での扱い | 限度額適用認定証またはマイナ保険証で事前に上限額適用が可能 | 事前適用の仕組みはなく、原則として事後申請 窓口で全額(10割)支払い、後に精算 |
| 算定から外れる費用 | 食事療養・生活療養、差額ベッド代、保険外診療 | 同様に保険外費用は対象外 保険給付の範囲を超える費用は対象外 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は部分負担そのものに上限を設け、重大傷病証明を持つ者は部分負担を免除する方式。日本のように所得区分別の月間上限を政令で細分化する構造ではない
韓国は年間の自己負担上限額を所得十分位で設定し、超過分を事後に還付する。上限が年単位である点で、暦月単位の日本と最も大きく異なる
ドイツは年収に対する割合(一般2パーセント、慢性疾患者1パーセント)で年間の自己負担上限を定め、上限到達後は追加負担が免除される。所得比例の割合方式である点が日本の定額区分方式と対照的
米国は保険プラン単位で年間の自己負担上限を法定するが、ネットワーク外診療や保険未加入者には及ばない。公的皆保険を前提としないため、上限の外側に落ちる層が構造的に残る
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 親が脳梗塞で緊急入院した。月末の請求書は60万円。貯金を崩すか、カードローンを組むか、家族会議が始まる。だが入院翌日に市役所の国保窓口へ行けば、その月の窓口負担を上限額で止められる。翌月に慌てて申請するのと、入院中に動くのとでは、手元に残る現金が数十万円違う
- 自営業のあなたが12月20日に手術、翌年1月10日に退院した。同じ一連の治療なのに、高額療養費は暦月(1日から末日)ごとの計算。12月分と1月分が別勘定になり、それぞれで上限を超えないと戻らない。月をまたぐ入院が最も損をする、という設計上の落とし穴がここにある
- もし、あなたが国保料を滞納していて、短期被保険者証や資格証明書しか持っていないとしたら? 資格証明書だと窓口でいったん全額(10割)払う扱いになる。特別療養費(法54条の3)の枠組みに入るため、高額療養費の計算構造も変わってくる。滞納は保険料の問題に見えて、実は医療費の支払い方そのものを変える
- 抗がん剤治療が半年続いている。毎月の負担が重い。同じ世帯で直近12か月のうち3回以上上限に達していれば、4回目から上限額がさらに下がる(多数回該当)。誰も教えてくれないが、これは2項が「長期にわたつて継続的に療養を受ける者の家計」を考慮せよと明文で命じている結果だ
- 申請期限まであと2か月。診療を受けた月の翌月1日から2年で、高額療養費の請求権は時効消滅する。3年前の入院分を思い出しても、もう戻らない。過去の医療費の領収書を今夜一度確認する価値がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 入院・高額治療が決まったら、その日のうちに市区町村の国保窓口で限度額適用認定証を申請するか、マイナ保険証での限度額情報提供に同意する2. すでに支払い済みなら領収書を全部保管、診療月ごとに世帯全員分を並べて21,000円以上の件を拾う3. 自治体によっては該当者へ勧奨通知が届くが、届かない自治体もあるので自分から申請する4. 直近12か月で3回該当していないか確認、4回目からは上限額が下がる(多数回該当)
訴えられた側:保険者(市町村・国保組合)側の視点では、支給要件は政令で定まっており裁量の余地は小さい。支給決定に不服がある場合、被保険者は都道府県の国民健康保険審査会へ審査請求ができる(法91条)。不支給の理由が「療養の給付等を受けていない」(1項ただし書)に当たるのか、それとも計算方法の争いなのかを最初に切り分けると、争点が絞れる
時効(請求できる期限):高額療養費の請求権は2年で時効消滅する(国民健康保険法110条)。起算点は診療を受けた月の翌月1日(自己負担分を後日支払った場合は支払った日の翌日とされる運用もある)。限度額適用認定証は原則として申請月の1日から有効で、過去の月にさかのぼって適用することはできない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(社会保障法・行政法):本条1項は「著しく高額であるとき」という不確定概念を用い、2項で支給要件・支給額を政令に全面委任している。給付行政における委任立法は広く許容されるが、2項が列挙する考慮事項(家計への影響、長期療養者の家計、費用の額)が委任の外枠として機能すると解されている。
実務上の理解:1項本文が「支払われた一部負担金の額」を前提とする以上、償還払いが原型であり、限度額適用認定証等による現物給付化は政令・規則レベルの運用で実現された例外的扱いと整理される。したがって事前手続きを取らなければ立替が生じる構造は条文上の帰結である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和48年(1973年) 新設:高額療養費制度が創設され、自己負担が著しく高額となった場合に超過分を保険給付する仕組みが医療保険各法に導入された
- 2.平成19年(2007年) 改正:限度額適用認定証により入院時の窓口負担を自己負担限度額にとどめる現物給付化が実施され、償還払いによる立替負担が緩和された
- 3.平成24年(2012年) 改正:限度額適用認定証の適用が外来にも拡大され、通院治療でも窓口段階で上限額を適用できるようになった
- 4.平成27年(2015年) 改正:70歳未満の所得区分が細分化され、負担能力に応じた上限額設定が進められた(具体的な区分と金額は施行令の現行規定を参照)
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