国民健康保険法 第65条(不正利得の徴収等)
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- 偽りその他不正の行為によつて保険給付を受けた者があるときは、市町村及び組合は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。
- 2.前項の場合において、保険医療機関において診療に従事する保険医又は健康保険法第八十八条第一項に規定する主治の医師が、市町村又は組合に提出されるべき診断書に虚偽の記載をしたため、その保険給付が行われたものであるときは、市町村又は組合は、当該保険医又は主治の医師に対し、保険給付を受けた者に連帯して前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
- 3.市町村及び組合は、保険医療機関等又は指定訪問看護事業者が偽りその他不正の行為によつて療養の給付に関する費用の支払又は第五十二条第三項(第五十二条の二第三項及び第五十三条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第五十四条の二第五項の規定による支払を受けたときは、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に対し、その支払つた額につき返還させるほか、その返還させる額に百分の四十を乗じて得た額を支払わせることができる。
- 4.都道府県は、市町村からの委託を受けて、市町村が前項の規定により保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から返還させ、及び支払わせる額の徴収又は収納の事務のうち広域的な対応が必要なもの又は専門性の高いものを行うことができる。
この条文の基本情報
不正利得の徴収等とは何ですか?
定義不正利得の徴収等とは、国民健康保険法第65条に定められた規定で、「偽りその他不正の行為によつて保険給付を受けた者があるときは、市町村及び組合は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第65条(不正利得の徴収等)は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第65条の条文原文は「偽りその他不正の行為によつて保険給付を受けた者があるときは、市町村及び組合は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。」で始まります。
- 国民健康保険法第65条は第四節に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第65条の前の条は国民健康保険法第64条です。
- 国民健康保険法第65条の次の条は国民健康保険法第66条です。
- 国民健康保険法第65条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第65条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第65条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/65
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法65条は、不正に保険給付を受けた者から給付の価額を徴収できると定める。不正請求した保険医療機関等には返還額に40% の加算金が課されうる。
Q · 保険証を返し忘れて使っちゃった場合、いくら返すことになりますか?
自己負担3割ではなく、保険者が払った7割分が返還対象
国民健康保険法65条1項により、偽りその他不正の行為で保険給付を受けた者からは、給付の価額の全部または一部が徴収されます。返還を求められるのは窓口で払った自己負担分ではなく、市町村が医療機関へ支払った給付分です。ただし「うっかり」の場合は65条ではなく民法703条の不当利得として請求されることが多く、その違いで時効が2年か5年かに分かれます。通知書に根拠条項の記載がなければ、窓口で必ず確認してください。
解説
会社を辞めて国保に入り、再就職で社保に移る。その切り替えの隙間に古い保険証で病院にかかる、よくある話だ。数か月後、市役所から届く封筒がこの条文の入口になる。第1項は、偽りその他不正の行為で保険給付を受けた者から、給付の価額の全部または一部を徴収できると定める。ここで効いてくるのは三点。返還を求められるのは窓口で払った3割ではなく、保険者が病院に払った7割の側だ。第2項は、診断書に虚偽を書いた保険医や、訪問看護の指示を出す主治の医師に、受給者と連帯して納付するよう命じられるとする。医師個人が患者の債務を背負う、社会保険法の中でも珍しい設計である。そして第3項の名宛人は医療機関そのもので、不正請求が確定すれば返還額に40%が上乗せされる。実質1.4倍だ。
法的な位置づけ
国民健康保険法65条は不正利得の徴収を定める規定であり、不正行為により保険給付を受けた者からの徴収、虚偽診断書を作成した保険医への連帯納付命令、不正請求をした保険医療機関等・指定訪問看護事業者への返還および100分の40の加算金支払いという三方向の回収手段を規律する。第4項は都道府県による広域的・専門的な徴収事務の受託を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.通知書の根拠条項を確認する 市町村から届いた返還通知の根拠が国民健康保険法65条1項なのか、民法703条の不当利得なのかを確認する。記載がなければ国保担当窓口に問い合わせる。時効年数(2年か5年か)と争える論点がここで決まる
- 2.対象期間の受診記録を時系列で整理する 資格喪失日と各受診日を突き合わせ、どの受診が対象期間に入るかを一覧化する。医療費通知、領収書、診察券、健康保険資格取得届の控えを揃え、悪意の有無を事実ベースで示せる状態にする
- 3.医療機関・事業者は監査移行前に自主点検・自主返還する 個別指導や自主点検の段階で誤請求を自ら申し出て返還する。実務運用では自主返還に40% の加算金を課さない扱いが一般的で、指定取消の判断にも影響する。監査開始後では同じ金額を返しても結果が変わる
- 4.督促状が出る前に分納・猶予を協議する 全額即納が難しい場合、督促状が発せられる前に国保担当へ分納や徴収猶予を申し入れる。督促後は滞納処分の射程に入り、交渉の主導権が保険者側へ移る
- 5.不服があれば期限内に審査請求する 徴収処分に不服がある場合、通知書の教示欄に記載された期間内に国民健康保険審査会へ審査請求を行う。期限を過ぎると争う手段が実質的に消えるため、分納協議と並行して期限管理をする
よくある質問 AI による整理
Q1不正利得の徴収とは何ですか?
不正な行為で受けた保険給付を保険者が取り戻す制度です。国民健康保険法65条が根拠で、受給者本人・虚偽診断書を書いた保険医・不正請求した医療機関の三者が対象になりえます。
Q2資格喪失後に保険証を使うと返還はいくらですか?
窓口負担ではなく、市町村が医療機関に支払った給付分(通常7割)が返還対象です。受診回数分が累積するため、数万円から数十万円に及ぶこともあります。
Q340% の加算金は誰に課されますか?
65条3項の名宛人である保険医療機関等と指定訪問看護事業者です。受給者個人や保険医個人には加算金の規定はありません。
Q4返還請求の時効は何年ですか?
国民健康保険法110条による徴収金は2年が原則です。民法703条の不当利得として構成される場合は民法166条により5年または10年となります(現行規定をご確認ください)。
Q5国保の返還金は世帯主に請求されますか?
国保の納付義務は76条により世帯主に集約されるため、世帯員の受診に関する請求が世帯主名義で届くことがあります。
Q6返還金を払わないとどうなりますか?
地方自治法231条の3の強制徴収公債権として扱われ、督促を経れば裁判所の判決なしに預貯金や給与の差押えに進みうります。
Q7徴収処分に不服がある場合はどうしますか?
徴収処分は行政処分であり、通知書の教示欄に従って国民健康保険審査会へ審査請求ができます。期限は教示欄記載の日数です。
Q8自主返還すれば加算金は免除されますか?
3項は「支払わせることができる」という裁量規定で、監査前の自主点検・自主返還には加算金を課さない運用が一般的です。申し出の時点が分かれ目になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険証を返し忘れて使っちゃっただけでも、不正扱いになるんですか?
うっかりであれば65条1項の「偽りその他不正の行為」に当たるかは争いがあり、多くの自治体は民法703条の不当利得として給付分の返還を求めます。悪質な場合のみ65条を使い、さらに刑法246条の詐欺罪で立件されることもあります。実務のポイント:どちらの根拠かで時効が2年か5年かに分かれる。通知書に条項の記載がないなら、必ず窓口で根拠を確認する。それを聞くだけで、遡及される期間が縮む余地が出る
Q2返還通知が来たけど、放っておいたらどうなりますか?
この法律による徴収金は強制徴収公債権として扱われ、督促を経れば裁判所の判決なしに預貯金や給与の差押えまで進みます(地方自治法231条の3)。訴訟を起こされるのを待つ、という発想が通用しません。実務のポイント:差押えの引き金は督促状であって通知書ではない。督促が出る前に分納の申し出をすれば猶予の余地があるが、督促後は担当者の裁量が一気に狭まる
Q3医療機関の40%の加算金って、必ず取られるものなんですか?
第3項は「支払わせることができる」という裁量規定であり、自動的に確定するものではありません。実務では、監査で不正が認定された事案に課され、指導段階での自主点検・自主返還には課さない運用が一般的です。実務のポイント:加算金が発生するかどうかの分水嶺は金額の大小ではなく、申し出が監査開始の前か後かという一点にある。この順序を知っている顧問社労士・医療コンサルとそうでない者とで、クリニックが失う額は桁が変わる
Q4診断書に少し盛って書いた医師は、お金を返すだけで済みますか?
済まないことが多いです。第2項の連帯納付命令は金銭の話ですが、虚偽記載は健康保険法に基づく保険医の登録取消という別系統の処分につながり、さらに刑法上の虚偽診断書等作成罪や詐欺の共犯が問題になりえます(最新の運用をご確認ください)。実務のポイント:患者から頼まれた側は「頼まれただけ」と考えがちだが、条文は保険医個人を名宛人に書いている。診断書の控えと依頼の経緯を残しておくかどうかが、後の立場を分ける
間違えやすい点 AI による整理
- 多くの人は「自分は騙すつもりがなかったから不正ではない」という問いを立てるが、その問い自体が的を外している。故意がなければ65条1項の徴収は難しくなるが、それで返還を免れるわけではない。保険者は民法703条の不当利得として給付分を請求できる。本当に分かれ目になるのは「不正かどうか」ではなく「どの根拠で請求されているか」であり、それによって時効年数も、争える論点もまったく変わる
- 40%の加算金という数字は医療業界ではそれなりに知られている。だが知られていないのはその先の深さだ。返還は発覚した1件で終わらず、同種の請求が対象期間まるごと遡って洗い直される。さらに不正請求が確定すれば健康保険法に基づく保険医療機関の指定取消・保険医の登録取消という別系統の処分が控えており、再指定・再登録までの空白期間は事業の終わりを意味することが多い。40%は入口の数字にすぎない
- あなたから見れば、これは「病院と市役所のあいだの精算の話」だ。だが条文から見ると、第1項の名宛人はあなた個人であり、しかも国保の納付義務は世帯主に集約されている。世帯員がやったことの請求書が世帯主の名前で届く。この視点の落差に気付かないまま「うちには関係ない」と放置した結果、督促の段階に進んでしまう例が多い
- 「行政からの請求だから、払わなければ裁判になる」と考えている人がいるが、順序が逆である。この法律に基づく徴収金は地方自治法231条の3が定める強制徴収公債権として扱われ、督促を経れば裁判所の判決を待たずに預貯金や給与の差押えまで進みうる。普通の借金より一段階早い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 名宛人 | 65条:受給者本人・虚偽診断書を書いた保険医・不正請求した医療機関等 | 64条:第三者(加害者)への求償 76条:保険料納付義務者としての世帯主 |
| 発動の前提 | 偽りその他不正の行為による給付・支払い | 第三者の行為による傷病で給付が行われたこと 世帯に被保険者がいること |
| 金額の性質 | 給付の価額(医療機関等は返還額 + 40% 加算) | 給付額を限度とする損害賠償請求権の代位 保険料そのもの |
| 時効 | 110条の2年(不当利得構成なら民法166条) | 代位取得した損害賠償請求権の時効に従う 110条の2年 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は詐欺的な保険給付の受領・請求について返還に加え2倍の罰鍰を科す。日本の40% 加算より制裁比率が高い設計
韓国も受給者・療養機関の双方を徴収対象とし、連帯徴収の規定を持つ点で日本と構造が近い
ドイツは不当に給付された額の返還を社会法典総則で一般規律し、医療機関の不正請求は別途刑事(StGB § 263詐欺)で処理される傾向
米国は Medicare/Medicaid の不正請求に対し返還額の3倍賠償と1件ごとの民事制裁金を科し、内部告発者報奨(qui tam)制度を備える
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 転職して社会保険に入ったのに、家族分の国保証を返し忘れ、子どもの小児科受診に半年使い続けた。ある日届いた市役所の通知に書かれていた金額は、窓口で払った自己負担の何倍にもなっている。請求されているのは自己負担分ではなく、市町村が医療機関に支払った給付分だからだ。ここで争点になるのは「返すかどうか」ではなく「根拠が65条1項なのか、民法703条の不当利得なのか」であり、その違いが時効の長さを決める
- 患者に「診断書、少し重めに書いてもらえませんか」と頼まれ、断らなかった医師はどうなる? 第2項は、虚偽記載のせいで保険給付が行われた場合、市町村がその保険医に対し、受給者と連帯して徴収金を納めるよう命じることができると定める。患者の不正が、書いた側の債務になって返ってくる
- 個別指導のあとに監査へ移行する旨の通知が届いた。返還の対象期間は数年分に及び、確定すれば40%が上乗せされる。応答期限は通知に書かれた日までしかない
- 訪問看護ステーションの管理者として、実施していない訪問を実績に計上していたことが内部告発で発覚。第3項は指定訪問看護事業者を明示的に名宛人にしている。返還と40%加算だけでなく、この先に指定の取消という別ルートが待っており、事業そのものの存続がかかる
- 交通事故で治療を受け、加害者側から治療費相当額を受け取った。第三者行為による傷病届を出さないまま国保も使っていると、同じ治療費を二重に得たことになり、64条の求償だけでなく65条の射程にも入りうる。示談書にサインする前が唯一の分岐点で、サイン後は保険者との精算が一気に複雑になる
- 医療費通知を開いたら、行った覚えのないクリニックの受診歴が並んでいた。あなたの被保険者番号が使われている。この場合あなたは徴収される側ではなく、第3項で医療機関が追及される側の端緒を握っている人間だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 医療費通知や年間の医療費のお知らせで、受診した覚えのない医療機関・日付・回数がないか照合する2. 該当があれば、その医療機関に直接問い合わせる前に、保険者である市町村の国保担当と国民健康保険団体連合会へ書面で申し出る。直接連絡は証拠の改ざんを招きやすい3. 診察券・領収書・通院記録を時系列で保全する4. 保険証の紛失・盗難が疑われるなら、警察への届出と保険証の再交付を同日に行い、第3項に基づく調査の端緒として記録に残す
訴えられた側:1. 通知の根拠条項を確認する。65条1項なのか、不当利得としての請求なのかで時効も争点も変わる2. 対象期間の受診日ごとに、資格がいつ喪失したか、悪意があったかを事実ベースで整理する3. 医療機関・訪問看護事業者の場合は、監査に移行する前の自主点検と自主返還を最優先で検討する。40%加算と指定取消の双方に効く4. 徴収処分は行政処分であり、通知書の教示欄に従って国民健康保険審査会への審査請求ができる。期限は教示欄に記載された日数で、過ぎれば争う手段が実質的に消える5. 全額即納が困難なら、督促前に分納協議を申し入れる
時効(請求できる期限):この法律の規定による徴収金を徴収する権利は、国民健康保険法110条により2年で時効消滅するのが原則である(最新の改正状況をご確認ください)。一方、保険者が民法703条の不当利得として請求する場合は民法166条が適用され、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年となる。起算点は各受診日ごとの給付時であり、どちらの根拠で構成するかで遡及できる期間が大きく変わるため、実務上も解釈が分かれている。徴収処分に対する審査請求は、処分があったことを知った日から起算する法定期間内に行う必要がある
改正沿革 AI による整理
- 医療制度改革期の改正(要検証) 保険医療機関等および指定訪問看護事業者の不正請求について、返還額に100分の40を乗じた額を支払わせる加算金の制度が導入されたとされる。健康保険法の対応規定と同時期の改正と考えられるが、公布年・法律番号は人的検証が必要
- 国保の都道府県単位化以降の改正(要検証) 第4項として、都道府県が市町村の委託を受け、保険医療機関等からの返還額の徴収・収納事務のうち広域的な対応が必要なもの、または専門性の高いものを行える旨が追加されたとされる。追加年次は人的検証が必要
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