特許法 第150条(証拠調及び証拠保全)
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- 審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。
- 2.審判に関しては、審判請求前は利害関係人の申立により、審判の係属中は当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠保全をすることができる。
- 3.前項の規定による審判請求前の申立は、特許庁長官に対してしなければならない。
- 4.特許庁長官は、第二項の規定による審判請求前の申立てがあつたときは、証拠保全に関与すべき審判官及び審判書記官を指定する。
- 5.審判長は、第一項又は第二項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
- 6.第一項又は第二項の証拠調又は証拠保全は、当該事務を取り扱うべき地の地方裁判所又は簡易裁判所に嘱託することができる。
この条文の基本情報
証拠調及び証拠保全とは何ですか?
定義証拠調及び証拠保全とは、特許法第150条に定められた規定で、「審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第150条(証拠調及び証拠保全)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第150条の条文原文は「審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。」で始まります。
- 特許法第150条は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第150条の前の条は特許法第149条です。
- 特許法第150条の次の条は特許法第151条です。
- 特許法第150条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第150条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第150条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/150
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法150条は、特許庁の審判での証拠調べと証拠保全を定める。証拠保全は審判請求前でも申立て可能で、審判官は職権でも証拠調べができ、地方裁判所への嘱託もできる。
Q · 特許の無効審判って、証拠は自分で全部集めないといけないの?証拠が消えそうなときはどうする?
職権証拠調べもあるが基本は当事者。証拠保全は審判請求前でも可能。
特許法150条により、審判の証拠調べは当事者・参加人の申立てのほか審判官の職権でも行えます(1項)。ただし基本は当事者の主張立証であり、職権は補充的です。証拠が滅失・改変されるおそれがある場合、証拠保全を利用でき、審判請求前でも利害関係人が特許庁長官に対して申し立てられます(2項・3項)。職権で証拠調べ・保全をしたときは、審判長がその結果を通知し、相当の期間を指定して意見申立ての機会を与えます(5項)。証拠調べは地方裁判所・簡易裁判所への嘱託も可能です(6項)。
解説
競合他社の特許を潰したい、あるいは自社特許に無効審判を仕掛けられた。その勝敗を分けるのは、条文解釈より先に証拠だ。特許法150条は、特許庁の審判という土俵で証拠をどう集めどう守るかを定める。見落とされがちな急所が二つある。一つ、証拠保全は審判を請求する前でも申し立てられる(2項)。相手があなたの動きに気付く前に、消されそうな製造記録や販売データを凍結できる。二つ、審判官は当事者の申立てを待たず職権で証拠調べができる(1項)。この土俵は、相手のミスを待つ受け身では戦えない。さらに証拠調べは地方裁判所に嘱託でき(6項)、証人尋問のような裁判所並みの強制力も引き込める。特許の喧嘩は、条文を読む前に証拠の地図を描いた側が勝つ。
法的な位置づけ
特許法150条は、特許庁の審判手続における証拠調べおよび証拠保全に関する規定である。証拠調べは当事者・参加人の申立てまたは審判官の職権により行われ、証拠保全は審判請求前は利害関係人、係属中は当事者等の申立てまたは職権で実施される。職権による証拠調べ・証拠保全の結果には意見申立ての機会が保障される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.証拠の滅失リスクを棚卸しする 相手の製造ライン刷新・展示会後の撤収・記録の保存期限など、証拠が消える要因を洗い出す。凍結すべき対象(製造記録、出荷データ、設計図面、現物サンプル)を具体化する
- 2.審判請求前の証拠保全を特許庁長官に申し立てる 証拠の滅失・改変のおそれがある場合、審判を請求する前でも利害関係人として特許庁長官に対し証拠保全を申し立てる(150条2項・3項)。相手が防御態勢を整える前のタイミングが最重要
- 3.職権証拠調べの当たり外れを見据えて主張を組む 審判官は職権で証拠調べを行える(1項)。有利にも不利にも働くため、審判官に着目させたい公知資料を整理し、自社に不利な公知技術が掘り出される可能性も先回りで潰す
- 4.裁判所嘱託が必要な証拠は早期に準備する 証人尋問など強制力を要する証拠調べは、地方裁判所・簡易裁判所への嘱託を見据える(6項)。証人の確保や反対尋問の準備を早期に着手する
- 5.職権証拠に対する意見を指定期間内に提出する 審判長から職権証拠調べ・証拠保全の結果通知が届いたら、指定された相当の期間内に必ず意見を申し立てる(5項)。沈黙は不利な証拠の追認になる
よくある質問 AI による整理
Q1特許の証拠保全とは何ですか?
特許庁の審判に関し、滅失や改変のおそれがある証拠を事前に確保する手続です。特許法150条2項が根拠で、審判請求前でも利害関係人が申し立てられます。
Q2証拠保全は審判請求前でも申し立てられますか?
できます。特許法150条2項が審判請求前の証拠保全を明文で認めており、その申立ては特許庁長官に対して行います(3項)。相手が証拠を整理する前の先手が要点です。
Q3特許審判の証拠調べは誰が請求できますか?
当事者・参加人が申立てできるほか、審判官が職権でも証拠調べを行えます(150条1項)。当事者主義を基本にしつつ、公益の観点から職権が補充されます。
Q4審判官の職権証拠調べに反論できますか?
できます。審判長は職権で調べた結果を当事者・参加人に通知し、相当の期間を指定して意見申立ての機会を与えなければなりません(150条5項)。
Q5特許庁の審判で証人尋問はできますか?
実質的に可能です。150条6項により証拠調べ・証拠保全を地方裁判所または簡易裁判所に嘱託でき、裁判所の強制力を借りた証人尋問等が行えます。
Q6証拠保全の申立ては誰に対して行いますか?
審判請求前は特許庁長官に対して行います(150条3項)。民事訴訟の証拠保全が地方裁判所宛てなのと入口が異なる点に注意が必要です。
Q7特許無効審判の証拠はどう集めますか?
当事者が主張立証するのが基本で、公知文献・製造記録・出荷データ等を提出します。消滅のおそれがあれば証拠保全を、強制力が要れば裁判所嘱託を併用します。
Q8職権で調べた証拠に意見を言う期限は?
審判長が指定する相当の期間内です(150条5項)。通知に記載された指定期間を過ぎると反論の機会を失い、不利な証拠を追認する結果になり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特許の証拠保全って、裁判の証拠保全と何が違うんですか?
民事訴訟の証拠保全は地方裁判所に申し立てるが、特許の審判では審判請求前の証拠保全を特許庁長官に対して申し立てる(150条3項)。同じ証拠保全でも入口が違う。実務のポイント:審判請求前に証拠保全を打てる点を使いこなす実務家は少ない。相手が無効審判を予想して証拠を固める前に、長官への申立てで先手を取れる。この一手の有無が、消えるはずだった証拠を審判廷に残すかを分ける
Q2審判官が職権で証拠を調べてくれるなら、こっちは証拠集めをサボっていいんですか?
それは危険な誤解。職権証拠調べ(150条1項)はあくまで補充的で、審判は当事者の主張立証が基本だ。サボれば不利な認定をそのまま受ける。しかも職権はあなたに不利な公知文献も掘り出しうる。実務のポイント:職権で集められた証拠には5項の意見申立ての機会が必ず与えられる。この通知を見落とすと反論の窓が閉じる。届いた通知の指定期間こそ、審判官の心証に触れる最後のチャンスだ
間違えやすい点 AI による整理
- 証拠保全は審判を起こしてからやるものだと思って手順を組んでいる人がいる。だがその問いの立て方が既にずれている。150条2項は審判請求の前の申立てを明文で認めている。起こす前に動けるかどうかが、相手に証拠を整理される前に押さえられるかの分かれ目だ
- 職権証拠調べがあることは知っていても、それが自分に牙を剥く可能性まで考えている人は少ない。審判官は中立だからこそ、あなたに有利な証拠だけでなく不利な公知技術も自ら掘り出す。職権主義は受益と被弾の両面を持つ諸刃の剣だ
- 特許庁の審判だから証人尋問のような強制力はない、と思われがちだが、6項で地方裁判所または簡易裁判所への嘱託ができる。裁判所の権限を借りて、実質的に裁判同様の証拠調べが可能になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 150条:審判での証拠調べ・証拠保全の実施 | 151条:証拠調べ・証拠保全への民事訴訟法規定の準用 153条:職権探知(申立てない理由の審理) |
| 職権の働き方 | 職権で証拠調べ・証拠保全ができる | 民訴の証拠調べ手続を借りて実施する 当事者が申し立てない理由も職権で審理できる |
| 手続保障 | 5項:職権証拠の結果を通知し意見申立ての機会 | 準用される民訴の証拠手続保障の範囲 153条2項:未主張理由についての意見申立ての機会 |
| 申立ての入口 | 審判請求前の証拠保全は特許庁長官に申立て(3項) | 民訴上は原則として裁判所へ 職権発動のため当事者の申立ては不要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では専利の無効(挙発)は経済部智慧財産局が扱い、証拠保全は智慧財産案件審理法に基づき裁判所が関与する点が日本と枠組みを異にする
韓国も特許審判における証拠調べ・証拠保全を規定し、民事訴訟法の準用と職権による証拠調べを認める点で日本と類似する
ドイツは特許庁(DPMA)および連邦特許裁判所(BPatG)で無効・審判手続の証拠調べを行い、職権探知主義(Amtsermittlungsgrundsatz)を採る点で日本の職権主義と親和的
米国は当事者系レビュー(IPR)で PTAB が審理し、証拠は当事者主導の discovery が中心。職権探知的要素は限定的で、日本の職権主義とは対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競合が来月、製造ラインを刷新すると噂で聞いた。現行ラインがあなたの特許を侵害している証拠は、刷新されたら永遠に消える。審判請求前でも証拠保全を申し立てられると知っていれば、動くべきはいつか。答えは噂を聞いた今日だ。あと数週間で証拠は工場ごと入れ替わる
- あなたの会社の主力特許に、ライバルが無効審判を仕掛けてきた。相手は職権証拠調べを当てにして、立証は審判官がやってくれると高を括っている。だがその刃は逆も向く。審判官が職権であなたに不利な公知文献を掘り出すこともある。職権主義の土俵では、座って待つ側が先に転ぶ
- 審判官が職権で集めた証拠であなたの特許が覆されかけている。意見を述べる機会は5項で保障されている。だがその通知に書かれた指定期間を見逃せば、反論なしで審決が下る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 侵害の証拠が相手の手元にあり、改変や滅失のおそれがあるなら、審判を請求する前でも証拠保全を検討。申立ては特許庁長官に対して行う(150条3項) 2. 何を固めたいかを具体化:製造記録、出荷データ、設計図面、サンプル現物3. 無効審判や侵害訴訟の本筋と並行して、職権証拠調べの可能性も見据え、審判官に着目させたい公知資料を整理4. 5項の意見申立ての通知が来たら、指定期間内に必ず反応。沈黙は不利な証拠の追認になる
訴えられた側:1. 無効審判を仕掛けられたら、相手の証拠説明書を精読し、職権で補強されうる弱点を先回りで潰す2. 自社に不利な記録が証拠保全の対象になりうるなら、適法な範囲で文書管理方針を平時から整備(隠滅は厳禁、整理は事実の正確な保存) 3. 審判官の職権証拠調べが自社に不利に働いたら、5項の意見申立てで証拠の証明力を争う4. 必要なら証拠調べの裁判所嘱託(6項)を見据え、証人の確保や反対尋問の準備を早期に
時効(請求できる期限):証拠保全の申立て自体に消滅時効はない。だが要件は証拠の滅失や改変のおそれであり、相手が証拠を整理する前に動くことが事実上の期限となる。審判請求前の証拠保全の申立ては特許庁長官に対して行う(150条3項)。無効審判の請求自体は特許権の消滅後でも可能(特許法123条3項)
学説
通説:特許審判は無効な特許の存続を防ぐという公益的側面を持つため、150条・153条は職権による証拠調べ・職権探知を認める。ただし当事者主義を基本とする補充的なものであり、職権発動後は5項の意見申立てにより手続保障を確保する二段構えと理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 制定:現行特許法(昭和34年法律第121号)の制定に伴い、審判手続における証拠調べ・証拠保全および職権発動と意見申立ての手続保障が整備された
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