受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 8 分8 分8 分

特許法 第180条(出訴の通知等)

クイックジャンプ
  1. 裁判所は、前条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。
  2. 2.裁判所は、前項の場合において、訴えが請求項ごとに請求された特許無効審判又はその審判の確定審決に対する再審の審決に対するものであるときは、当該訴えに係る請求項を特定するために必要な書類を特許庁長官に送付しなければならない。

この条文の基本情報

出訴の通知等とは何ですか?

定義出訴の通知等とは、特許法第180条に定められた規定で、「裁判所は、前条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 特許法第180条(出訴の通知等)は、日本の特許法に含まれる条文です。
  2. 特許法第180条の条文原文は「裁判所は、前条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。」で始まります。
  3. 特許法第180条は第八章に置かれています。
  4. 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
  5. 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 特許法第180条の前の条は特許法第179条です。
  7. 特許法第180条の次の条は特許法第180条の2です。
  8. 特許法第180条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第180条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121
  • 本サイト収録特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第180条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/180

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点特許法180条は、無効審判など当事者系事件の審決取消訴訟が提起されたとき、裁判所が遅滞なくその旨を特許庁長官に通知しなければならないと定める手続規定である。

Q · 特許無効の裁判って原告と被告だけの話なのに、なんで特許庁が出てくるの?

当事者でない特許庁も必ず裁判所から通知される

特許法180条により、無効審判など当事者系事件の審決取消訴訟が提起されると、裁判所は遅滞なくその旨を特許庁長官へ通知します。被告は相手方当事者であって特許庁ではありません(179条ただし書)が、特許庁は自らの審決を守る利害があるため通知を受け、意見を述べる権限(180条の2)を得ます。請求項ごとに争われた事件では、対象請求項を特定する書類も特許庁長官へ送付されます。

解説

あなたの特許が無効審判で潰された。納得できないから知財高裁に訴える。相手はあなたを攻撃してきた競合他社だ。ここで多くの人が見落とす事実がある。この裁判の当事者は、あなたと競合の二者だけ。無効の審決を下した特許庁は、被告ですらない。だが特許法180条は裁判所にこう命じる。こういう訴えが起きたら、遅滞なく特許庁長官に通知せよ、と。つまり当事者ではないはずの特許庁が、あなたの裁判の存在を必ず知らされる。なぜか。自分の下した審決を覆されるかもしれないから、横から意見を言う機会(180条の2)を確保するためだ。さらに無効が請求項ごとに争われていたなら、裁判所はどの請求項が争点かを特定する書類まで特許庁に送る。二者の対決に見えるあなたの裁判には、実は三つ目の目がずっと注がれている。

法的な位置づけ

特許法180条は、審決取消訴訟における裁判所の通知義務を定める手続規定である。無効審判等の当事者系事件に関する訴えが提起された場合、裁判所は遅滞なくその旨を特許庁長官へ通知し、請求項ごとに争われたときは対象請求項を特定する書類を送付する。特許庁長官の意見陳述(180条の2)の前提をなす。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.審決謄本の送達日から出訴期間を確認 審決謄本を受け取ったら、末尾の出訴期間と不服申立ての記載を確認し、送達日を起点に30日(特許法178条3項)を即カレンダーへ記入する。在外者は附加期間の有無も確認する
  2. 2.被告と訴える請求項を確定 無効審判など当事者系なら被告は相手方当事者、査定系なら特許庁長官(特許法179条)。請求項ごとに無効が分かれている場合は、事業上重要な請求項に絞って訴える範囲を確定する
  3. 3.知的財産高等裁判所へ提訴 第一審専属管轄の知財高裁(東京)へ訴状を提出する。特許庁長官への通知は裁判所が遅滞なく行うため(特許法180条)、当事者が自分で通知する必要はない
  4. 4.特許庁長官の意見書を想定して主張を構築 特許庁長官が意見を述べる(特許法180条の2)前提で準備書面を組む。自庁の審決を擁護する内容が出ることを見越し、想定反論まで先回りして主張を用意する

よくある質問 AI による整理

Q1審決取消訴訟とは何ですか?

特許庁の審決に不服がある者が、その取消しを求めて知的財産高等裁判所に提起する訴訟です。特許無効審判の結論などを司法審査する仕組みで、出訴期間は審決謄本の送達から30日です(特許法178条3項)。

Q2特許の審決取消訴訟の被告は誰ですか?

無効審判のような当事者系事件では被告は相手方当事者であり、特許庁ではありません(特許法179条ただし書)。査定系事件では特許庁長官が被告になります。

Q3特許法180条の特許庁への通知はいつ行われますか?

179条ただし書の訴えが提起された後、裁判所が「遅滞なく」特許庁長官へ通知します。当事者が自分で通知する必要はなく、裁判所の職責です。

Q4審決取消訴訟の出訴期間は何日ですか?

審決または決定の謄本の送達があった日から30日です(特許法178条3項)。不変期間ですが、在外者には職権で附加期間が定められます(同条5項)。

Q5特許庁長官の意見書とは何ですか?

180条の通知を受けた特許庁長官が、裁判所の許可を得て事件について意見を述べる書面です(特許法180条の2)。自庁の審決を擁護する内容になりがちです。

Q6特許の審決取消訴訟はどこの裁判所に起こしますか?

第一審は東京の知的財産高等裁判所の専属管轄です(特許法178条1項)。専門部が技術的争点を審理します。

Q7特許無効審判で勝っても訴えられることはありますか?

あります。負けた相手が審決取消訴訟を起こせば、勝った側が被告になります。裁判所は特許庁にも通知しており、特許庁長官の意見が自分と食い違うこともあります。

Q8審決が取り消されたらその後どうなりますか?

事件は特許庁へ差し戻され、審判官が改めて審理します(特許法181条)。裁判所が直接特許の有効・無効を確定させるわけではありません。

この条文についての質問 AI による整理

Q1特許を無効にされた裁判で、なんで特許庁が当事者じゃないのに出てくるんですか?

無効審判のような当事者系の事件では、争いは請求人と特許権者の間のものなので、被告は相手方当事者であって特許庁ではありません(特許法179条ただし書)。それでも特許庁は自分が下した審決の正しさに利害があるため、180条で通知を受け、180条の2で裁判所に意見を述べられます。実務のポイント:特許庁長官の意見書は中立的な解説ではなく、自庁の審決を擁護する内容になりがちです。裁判官はこれを重く見るので、原告側は特許庁の意見が出る前提で、その想定反論まで先回りして主張を組める代理人を選ぶべきです。

Q2請求項ごとに無効って、どういうことですか? 特許がまるごと消えるんじゃないんですか?

一つの特許には複数の請求項(クレーム)があり、無効審判は請求項ごとに請求できます(特許法123条2項)。だから請求項1は有効、請求項2は無効、という結論もありえます。180条2項が「請求項を特定する書類」の送付を定めるのはこのためです。実務のポイント:訴える側は、無効とされた請求項のうち本当に事業上重要なものだけに絞って争うのが定石です。全請求項を機械的に争うと審理が膨らみ、コストも時間も跳ね上がる。どの請求項が自社製品をカバーしているかの棚卸しが、訴訟戦略の出発点になります。

間違えやすい点 AI による整理

  • 「審決取消訴訟は特許庁を相手取る裁判だ」と思い込んで訴状を準備すると、出発点から間違える。無効審判のような当事者系の事件では、被告は特許庁ではなく相手方当事者(特許法179条ただし書)。特許庁は当事者ですらないのに通知される、というこの変則的な構造を知らないと、誰を被告にすべきかでつまずく。
  • 特許庁への通知を「形式的な事務連絡」だと軽く見ている人は、その重みを知らない。この通知があるからこそ特許庁長官は意見を述べる権限(180条の2)を行使でき、裁判所はそれを判断材料にする。あなたの知らないところで、あなたの審決を書いた当の役所が、裁判官に向けて反論を送り込めるのだ。
  • 「無効になったなら特許まるごと消えた」と思い込みがちだが、無効は請求項ごとに切り分けられる。180条2項が請求項を特定する書類の送付を定めているのはそのため。どの請求項が落ちて、どれが生き残ったのかを正確に把握しないと、訴える範囲そのものを取り違える。
比較の観点この条文ほかの条文
規律の対象特許法180条:裁判所から特許庁長官への出訴の通知・書類送付特許法179条:審決取消訴訟の被告適格
特許法180条の2:特許庁長官の意見陳述
行為の主体裁判所(職権で遅滞なく通知)原告(誰を被告にするかを決める)
特許庁長官(許可を得て意見を述べる)
手続上の位置訴え提起の直後(意見陳述の前提となる連絡)訴え提起時(被告の確定)
通知後(審決を守る反論の投入)
特許庁の立場当事者ではないが通知を受ける第三者当事者系では非当事者、査定系では被告
意見を述べる限りで手続に関与する存在

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
智慧財産案件審理法・専利法

台湾では専利無効(挙発)の司法審査は行政訴訟として智慧財産及商業法院が扱い、智慧財産局が被告機関となる。日本のように特許庁が非当事者として通知される構造とは異なる

韓国
대한민국 특허법 제186조

韓国は特許法院が審決取消訴訟を審理する点で日本に近い。特許庁の手続関与の構造も類似する

ドイツ
PatG § 81 ff.(Nichtigkeitsklage)

ドイツは連邦特許裁判所が無効訴訟を第一審として直接審理する。日本のように特許庁の審決を事後審査する構造とは前提が異なる

アメリカ
35 U.S.C. § 143

米国では PTAB の審決に対する連邦巡回控訴審において、USPTO 長官が介入して意見を述べる権利をもつ。日本の180条の通知+180条の2の意見陳述と機能的に近い

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 無効審決の謄本が届いたが、到底納得できない。訴えるには審決送達から30日以内(特許法178条3項)。あと何日残っている? この出訴期間を1日でも過ぎれば審決は確定し、その特許は永久に消える。
  • あなたは無効審判で勝った側。相手が知財高裁に審決取消訴訟を起こしてきた。被告はあなたで、特許庁ではない。だが裁判所は特許庁にも通知している。特許庁長官が意見書を出してきたとき、それがあなたの主張と食い違う可能性もある。
  • 特許の請求項1から5のうち、3と4だけが無効と判断された。訴えるのはその2つだけ。裁判所はどの請求項が争点かを特定する書類を特許庁に送る。

取るべき行動

被害を受けた側:1. 審決謄本の送達日を起点に出訴期間30日(特許法178条3項)を即カレンダーへ記入、在外者は附加期間の有無を確認2. 訴える相手を確定:無効審判など当事者系なら被告は相手方当事者、査定系なら特許庁長官(179条) 3. 請求項ごとに無効が分かれているなら、訴える請求項を特定4. 知財高裁(東京)へ提訴、特許庁への通知は裁判所が行うので自分でする必要はない5. 特許庁長官の意見書(180条の2)が出る前提で主張を組み立てる

訴えられた側:1. 訴状が届いたら、自分が勝った審決を守る立場であること、被告はあなたで特許庁ではないことを確認2. ただし裁判所は特許庁へ通知済みで、特許庁長官が意見を述べることがある(180条の2)、その見解が自分と一致するか早めに見極める3. 請求項ごとの争いなら、どの請求項が争点かを送付書類で確認4. 審決が取り消されれば事件は特許庁へ差し戻され再審理(181条)になるので、長期戦を覚悟する

時効(請求できる期限):審決取消訴訟の出訴期間は、審決または決定の謄本の送達があった日から30日(特許法178条3項)。この期間は不変期間だが、在外者には職権で附加期間が定められる(同条5項)。180条の通知義務自体に確定的な期限はないが、裁判所は訴え提起後「遅滞なく」通知しなければならない。

学説

通説:180条の通知義務は、当事者系の審決取消訴訟で当事者とならない特許庁に対し、自らの専門的判断の根拠を裁判所へ説明する機会(180条の2)を保障するための手続的担保であると解される。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和34年(1959年) 新設:特許法(昭和34年法律第121号)制定に伴い、審決取消訴訟提起時の特許庁長官への通知義務を規定
  2. 2.平成15年(2003年) 改正:請求項ごとの特許無効審判制度の導入に対応し、争いが請求項ごとの事件では対象請求項を特定する書類の送付を定める第2項を整備

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

特許法の全文を見る所属する編章節を開く:第八章

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›