特許法 第155条(審判の請求の取下げ)
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- 審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。
- 2.審判の請求は、第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
- 3.二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。
- 4.請求項ごとに又は一群の請求項ごとに訂正審判を請求したときは、その請求の取下げは、その全ての請求について行わなければならない。
この条文の基本情報
審判の請求の取下げとは何ですか?
定義審判の請求の取下げとは、特許法第155条に定められた規定で、「審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第155条(審判の請求の取下げ)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第155条の条文原文は「審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。」で始まります。
- 特許法第155条は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第155条の前の条は特許法第154条です。
- 特許法第155条の次の条は特許法第156条です。
- 特許法第155条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第155条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第155条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/155
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法155条は、審判請求の取下げの可否と制限を定める規定である。審決確定前なら取下げできるが、相手方の答弁書提出後は相手方の承諾が必要となる。
Q · 無効審判って、一度起こしたら途中でやめられないんですか?
答弁書提出前なら自由、提出後は相手の承諾が必要です
特許法155条により、審判請求は審決が確定するまで取り下げられます。ただし相手方が答弁書(134条1項)を提出した後は、相手方の承諾がなければ取り下げられません。承諾を得られないまま審決が確定すると、167条の一事不再理により、同一の事実・証拠では二度と同じ無効審判を起こせなくなります。なお特許無効審判は請求項ごとの部分取下げができますが(3項)、訂正審判の取下げは全請求一括のみです(4項)。
解説
競合他社の特許を潰そうと無効審判を起こした。ところが、相手の答弁書が特許庁に届いた瞬間、形勢が反転する。特許法155条2項により、答弁書提出後は相手方の承諾なしに請求を取り下げられなくなるからだ。なぜこれが効くのか。無効審判は審決が確定すると一事不再理(167条)が働き、同じ事実と証拠では二度と争えなくなる。形勢が悪いと見て途中で降りたい請求人を、相手方は「承諾しない」と言って土俵に縛りつけ、自分に有利な審決を確定させられる。逆に請求人の側も、答弁書が出る前なら自由に引っ込められる。3項では請求項ごとの部分取下げ、4項では訂正審判の全件一括取下げという、攻め方の細かい設計まで用意されている。引き際の一手が、特許の生死を分ける。
法的な位置づけ
特許法155条は審判の取下げを定める手続規定であり、審判請求は審決確定までは取下げが可能であるが、相手方の答弁書提出後は相手方の承諾を要すると定める。特許無効審判では請求項ごとの部分取下げを認め、訂正審判では全請求一括の取下げのみを認めるという非対称な設計を採る。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手方の答弁書が提出済みか確認 自分が審判請求人で形勢が悪いと感じたら、まず相手方の答弁書(134条1項)が提出済みかを確認する。未提出なら155条1項で単独かつ自由に取り下げられるため、即断で動く
- 2.形勢と一事不再理リスクを天秤にかける 答弁書提出済みなら相手方の承諾が必須(2項)。承諾を得られないまま審決が確定すると167条の一事不再理で再請求が遮断されるため、いま撤退する利益と将来の再挑戦不能リスクを比較する
- 3.請求項ごとの部分取下げで戦線を整理 二以上の請求項について無効審判を起こしている場合、3項により勝てない請求項だけを請求項ごとに取り下げ、勝てる請求項に戦力を集中させる。訂正審判は全件一括のみで部分取下げできない点に注意
- 4.代理人弁理士と確定審決の波及効果まで詰める 撤退・部分取下げ・審決確定のいずれを選ぶかは、確定審決の一事不再理効や将来の係争相手の数まで含めて代理人弁理士と検討し、取下書(必要なら相手方承諾書を添付)を特許庁に提出する
よくある質問 AI による整理
Q1特許の無効審判は取り下げできますか?
審決が確定するまでは取り下げられます(155条1項)。ただし相手方の答弁書提出後は相手方の承諾が必要です(2項)。答弁書が出る前が自由な撤退の窓です。
Q2審判の取下げに相手の承諾が必要なのはいつからですか?
相手方が134条1項の答弁書を提出した後からです(155条2項)。それ以前なら請求人は単独で自由に取り下げられます。この一線が事実上の締切になります。
Q3一事不再理とは特許でどういう意味ですか?
無効審判の審決が確定すると、同一の事実および証拠に基づいて二度と同じ審判を起こせなくなる効力です(167条)。取下げに失敗すると再挑戦の道が閉ざされます。
Q4無効審判を取り下げる期限はありますか?
審決が確定するまでは取り下げ可能です(155条1項)。ただし相手方の答弁書が出た後は承諾が必要になるため、実務上は答弁書提出が自由撤退の締切です。
Q5訂正審判は一部だけ取り下げられますか?
できません。訂正審判の取下げは全ての請求について一括で行う必要があります(155条4項)。請求項ごとの部分取下げは無効審判にのみ認められます(3項)。
Q6審判取下書はどこに提出しますか?
審判を管轄する特許庁に提出します。方式は特許法施行規則に従います。答弁書提出後は相手方の承諾書の添付が必要になる点に注意してください。
Q7無効審判を取り下げると相手の特許はどうなりますか?
取下げにより審判は初めから係属しなかったものとなり、特許は無効審決を受けずに存続します。一事不再理も生じないため、別途要件を満たせば再度の請求も可能です。
Q8標準必須特許の交渉で無効審判は使えますか?
ライセンス交渉の圧力として使われますが、答弁書のタイミングを誤ると撤退できず不利な審決を確定させ、交渉カードを失うリスクがあります。手続段階の管理が重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1無効審判って、途中でやめたくなったらいつでもやめられるんですか?
審決が確定する前なら取下げ自体は可能ですが、相手方が答弁書(134条1項)を出した後は、相手の承諾がないとやめられません(155条2項)。承諾なしに突き進んで審決が確定すると、167条の一事不再理で同じ事実・証拠では二度と争えなくなります。実務のポイント:実務では「答弁書が出る前に勝てるか見極める」のが鉄則。経験ある弁理士は、証拠が固まらないうちは本気の主張を温存し、引き際の窓を残しておく。素人が手の内を全部出し切ってから引こうとすると、もう逃げ場がない
Q2請求項がたくさんある特許、全部まとめてしか取り下げられないんですか?
無効審判なら違います。二以上の請求項について無効審判を起こした場合、155条3項で請求項ごとに取り下げられます。勝てない請求項だけ落として、強い請求項に集中できる。ただし訂正審判は逆で、4項により取下げは全請求について一括でしかできません。実務のポイント:無効審判は分割して各個撃破、訂正審判は一蓮托生。この非対称を知らないと、訂正審判で一部だけ直そうとして全部やり直しになる。攻めと守りで取下げの自由度が真逆だと覚えておく
Q3相手が「取り下げたい」と言ってきたら、承諾したほうが得ですか?
状況次第です。あなたが特許権者で特許が有効と確信できるなら、あえて承諾せず審決を確定させれば、167条で同じ相手の再攻撃を封じられます。逆に長期化を避けたいなら承諾して畳む手もある。実務のポイント:承諾を渋るのは、将来また同じ相手や仲間に無効審判を起こされるのを防ぐため。一回の有効審決は、確定すれば同一事実・証拠の範囲で再請求の盾になる。だから強い特許ほど、相手の撤退をわざと許さない判断がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「負けそうなら途中でやめればいい」という前提そのものが、答弁書提出後は崩れる。155条2項で相手方の承諾が要るからだ。あなたが立てるべき問いは「やめられるか」ではなく「いつまでにやめるか」である
- 取下げが相手の承諾なしにできなくなることは知っていても、その本当の怖さを知らない人は多い。承諾されずに審決が確定すれば、167条の一事不再理で、同じ事実と証拠では二度と無効審判を起こせない。一回の撤退失敗が、永久の敗北になる
- 請求人から見れば「早く損切りしたい」だけだが、相手方から見れば「逃がさず有効審決を取り、将来の攻撃者ごと封じる好機」である。この温度差を読めないと、相手がなぜ承諾を渋るのか理解できないまま不利な立場に置かれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 155条:審判の取下げの可否と制限 | 134条:答弁書の提出(取下げ自由の分水嶺) 167条:確定審決の一事不再理効 |
| 作用するタイミング | 審判係属中(審決確定まで) | 審判請求後・審理の入口 審決確定後 |
| 当事者への効果 | 答弁書提出後は相手方の承諾がなければ取下げ不可 | 答弁書提出により請求人の自由撤退の窓が閉じる 同一事実・証拠での再請求を恒久的に遮断 |
| 部分・一括の別 | 無効審判は請求項ごと、訂正審判は全件一括 | — 確定した請求項の範囲で効力発生 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は無効審判に相当する『挙発』の撤回を規律。審査手続段階に応じた撤回制限を置く点で日本と発想を共有する
韓国も審判請求の取下げを認めつつ、相手方の答弁後は同意を要する構造で日本法と近似する
ドイツは特許無効を連邦特許裁判所の訴訟手続で扱い、取下げは ZPO の一般規律に従う。行政審判ではなく司法手続である点が日本と異なる
米国の当事者系レビュー(IPR)は当事者の和解による終結を認めるが、公益的観点から特許庁が手続を継続できる余地を残す点が特徴
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競合に無効審判を起こしたが、提出した証拠が思ったより弱いと気付いた。相手の答弁書はまだ届いていない。もし今動かなければ、その撤退の窓はあと数日で閉じる。今のうちに取り下げれば、不利な審決を確定させずに済む。一日の判断の遅れが、一事不再理の壁を作るかどうかを決める
- あなたが特許権者で、競合から無効審判を仕掛けられた。証拠を読むと相手の主張は弱い。ここで相手が逃げようと取下げを申し出てきても、答弁書を出した後なら「承諾しない」と突っぱねて、特許有効の審決を確定させられる。これで同じ相手は二度と同じ攻撃をできなくなる
- 10個の請求項のうち、強い3つだけ無効にできれば十分。3項を使い、弱い7つは請求項ごとに取り下げ、戦線を整理する
- 訂正審判で複数の請求項を一度に直そうとしたが、一部だけ取り下げたくなった。4項により訂正審判の取下げは全件一括でしかできない。一つの判断ミスが、全部の訂正をやり直しに追い込む
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分が審判請求人で形勢が悪いと感じたら、まず相手の答弁書(134条1項)が提出済みかを確認。未提出なら155条1項で自由に取下げ可能、即断で動く2. 提出済みなら相手方の承諾が必須(2項)、承諾なしで審決が確定すると167条の一事不再理で再挑戦不能になるリスクを天秤にかける3. 無効審判で複数請求項を争っているなら、3項で請求項ごとに部分取下げし、勝てる請求項に戦力を集中4. 撤退判断は代理人弁理士と、確定審決の波及効果まで含めて詰める
訴えられた側:1. あなたが被請求人(特許権者)で、相手が取下げを申し出てきたら、答弁書提出後かどうかをまず確認。提出後なら承諾は義務ではなく、あなたの戦略次第2. 相手の主張が弱く有効審決が見込めるなら、あえて承諾せず審決を確定させ、167条で同じ攻撃者を封じる3. 早期決着を優先するなら承諾して紛争を畳む。どちらが有利かは将来の係争相手の数で判断4. 自ら訂正審判を起こしている場合、その取下げは4項で全件一括のみ、部分撤回はできない点に注意
時効(請求できる期限):取下げができるのは審決が確定するまで(155条1項)。ただし相手方の答弁書(134条1項)が提出された後は、相手方の承諾がなければ取り下げられない(155条2項)。この「答弁書提出」が自由な撤退の事実上の締切。特定の消滅時効はないが、審決確定後は取下げの余地が消える
学説
通説:155条は処分権主義を原則としつつ、答弁書提出後は相手方の応訴利益と紛争の一回的解決の要請から取下げに相手方の承諾を要求する。無効審判の請求項ごと部分取下げ(3項)と訂正審判の一括取下げ(4項)の非対称は、前者が請求項単位で可分であるのに対し、後者は訂正の一体性・法的安定を重視した設計と説明される。
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