特許法 第38条の3(先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願)
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- 特許を受けようとする者は、外国語書面出願をする場合を除き、第三十六条第二項の規定にかかわらず、願書に明細書及び必要な図面を添付することなく、その者がした特許出願(外国においてしたものを含む。以下この条において「先の特許出願」という。)を参照すべき旨を主張する方法により、特許出願をすることができる。ただし、その特許出願が前条第一項第一号又は第二号に該当する場合は、この限りでない。
- 2.前項に規定する方法により特許出願をしようとする者は、その旨及び先の特許出願に関し経済産業省令で定める事項を記載した書面を当該特許出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
- 3.第一項に規定する方法により特許出願をした者は、経済産業省令で定める期間内に、当該特許出願に係る願書に添付して提出すべき明細書及び必要な図面並びに同項に規定する方法における主張に係る先の特許出願に関し経済産業省令で定める書類を提出しなければならない。
- 4.前項の規定により提出された明細書及び図面に記載した事項が、第一項に規定する方法における主張に係る先の特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(当該先の特許出願が、外国語書面出願である場合にあつては外国語書面、外国においてしたものである場合にあつてはその出願に際し提出した書類であつて明細書、特許請求の範囲又は図面に相当するもの)に記載した事項の範囲内にない場合は、その特許出願は、前条第一項の規定にかかわらず、前項の規定により明細書及び図面を提出した時にしたものとみなす。
- 5.第三項の規定により提出された明細書及び図面は、願書に添付して提出したものとみなす。
- 6.前各項の規定は、第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項又は第二項の規定による出願の変更に係る特許出願及び第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、適用しない。
この条文の基本情報
先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願とは何ですか?
定義先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願とは、特許法第38条の3に定められた規定で、「特許を受けようとする者は、外国語書面出願をする場合を除き、第三十六条第二項の規定にかかわらず、願書に明細書及び必要な図面を添付することなく、その者がした特許出願…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第38条の3(先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第38条の3の条文原文は「特許を受けようとする者は、外国語書面出願をする場合を除き、第三十六条第二項の規定にかかわらず、願書に明細書及び必要な図面を添付することなく、その者がした特許出願…」で始まります。
- 特許法第38条の3は第二章 特許及び特許出願に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第38条の3の前の条は特許法第38条の2です。
- 特許法第38条の3の次の条は特許法第38条の4です。
- 特許法第38条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第38条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第38条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/38_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法38条の3は、明細書を添付せず先の特許出願を参照する方法で特許出願を認める制度で、出願日を即日確保できるが、後日提出する明細書が先の出願の範囲を超えると出願日は繰り下がる。
Q · 明細書がまだ完成していなくても、特許を出願して出願日を確保できるの?
はい、先にした自分の出願を参照すれば出願日を確保できます
特許法38条の3により、外国語書面出願の場合を除き、明細書及び必要な図面を添付せず、自己が既にした先の特許出願を参照すべき旨を主張して特許出願ができます。その旨の書面は出願と同時に特許庁長官へ提出し、明細書等は経済産業省令で定める期間内に提出します。ただし後日提出した明細書が先の出願の範囲を超えると、出願日はその提出時まで繰り下がります。分割出願・変更出願・実用新案に基づく出願には使えません。
解説
スタートアップで画期的な発明をした。だが明細書をきっちり書き上げるには、まだ数日かかる。その数日のあいだに、競合が似た発明を先に出願したら、あなたの特許は永遠に取れない。日本は先願主義、つまり「早い者勝ち」の国だからだ。特許法38条の3が握らせるのは、この時間との勝負をひっくり返す手段である。明細書や図面を添付しなくても、すでに自分がした先の特許出願(外国でしたものを含む)を「参照する」と主張するだけで、その日に出願日を確保できる。後から経済産業省令で定める期間内に明細書を出せばよい。ただし落とし穴がある。後出しの明細書が先の出願の範囲を超えていたら、出願日はその提出日まで繰り下がる。速さと引き換えに、内容の同一性という縛りがかかる。
法的な位置づけ
特許法38条の3が定める参照出願とは、明細書及び必要な図面を願書に添付せず、出願人が既にした先の特許出願(外国においてしたものを含む)を参照すべき旨を主張する方法により特許出願を行う制度をいう。第36条2項の添付原則の例外として、出願日の早期確保を可能にする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.参照すべき先の特許出願を特定する 自己が既にした特許出願(国内・外国を問わない)を確認し、参照方式の基礎とする「先の特許出願」を特定する。外国出願の場合は出願番号・出願国・出願日を控える
- 2.参照方式の書面を出願と同時に提出する 願書に明細書・図面を添付せず、参照方式による旨および先の特許出願に関し経済産業省令で定める事項を記載した書面を、特許出願と同時に特許庁長官へ提出する(2項)。同時提出でないと参照方式が成立しない
- 3.省令所定の期間内に明細書・図面・関係書類を提出する 経済産業省令で定める期間内に、願書に添付すべき明細書・必要な図面、および先の特許出願に関する所定の書類を提出する(3項)。期間徒過は手続失効のリスクがあるため最優先で段取りする
- 4.後出し明細書が先の出願の範囲内かを確認する 提出する明細書・図面の記載事項が、先の特許出願の明細書・特許請求の範囲・図面(外国出願なら相当書類)の範囲内に収まるか精査する。範囲を超えると出願日が提出時まで繰り下がる(4項)ため、改良点は別出願にする
よくある質問 AI による整理
Q1参照出願とは何ですか?
明細書・図面を添付せず、自己が既にした先の特許出願を参照すべき旨を主張して行う特許出願です。特許法38条の3が根拠で、出願日を早期に確保できます。
Q2特許の出願日はどうやって確保しますか?
通常は明細書・図面を添付して出願しますが、参照出願なら先の特許出願を参照する書面を同時提出するだけで、その日に出願日を確保できます。
Q3参照出願で明細書はいつまでに出しますか?
経済産業省令で定める期間内に、明細書・必要な図面・先の出願に関する書類を提出します。具体的期間は特許法施行規則で定まるため最新版の確認が必要です。
Q4外国でした特許出願も参照できますか?
できます。条文は「外国においてしたものを含む」と明記し、海外先行出願を日本に持ち込む高速ルートとして使えます。
Q5参照出願と国内優先権の違いは何ですか?
参照出願は出願日を確保する入口の手続で、国内優先権(41条)は先の出願の内容を後の出願に取り込む制度です。目的も条文も異なります。
Q6参照出願は分割出願でも使えますか?
使えません。特許法38条の3第6項が、分割出願・変更出願・実用新案に基づく特許出願への適用を除外しています。
Q7参照出願の出願日が繰り下がるのはどんなときですか?
後日提出した明細書・図面の記載事項が、参照した先の特許出願の範囲を超える場合に、出願日がその提出時まで繰り下がります(4項)。
Q8先願主義とは何ですか?
同じ発明について先に出願した者に特許を与える原則です。日本は先願主義のため出願日の早さが決定的で、参照出願はその日を素早く押さえる手段になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1明細書がまだ書けていないのに、本当に特許出願できるんですか?
できます。特許法38条の3により、すでにした自分の特許出願を『参照する』と主張すれば、明細書・図面を添付せずに出願日を確保できます。後から省令所定の期間内に明細書を提出すればよい仕組みです。実務のポイント:これは特許法条約(PLT)に合わせた制度で、もともと欧米では一般的でした。日本の弁理士でも使い慣れていない人がいるので、急ぎの局面では『参照出願でいけますか』とこちらから切り出すと話が早い
Q2後から出す明細書に、思いついた改良点を足してもいいですか?
足すと危険です。後出しの明細書が先の出願に書いてあった範囲を超えると、特許法38条の3第4項により、出願日がその明細書を提出した日まで繰り下がります。せっかく早く確保した出願日が無意味になる。実務のポイント:改良点は『新たな出願』として別建てにするのが定石。先の出願の範囲内で出願日を確保しつつ、改良は優先権主張(43条)や国内優先権(41条)で後から束ねるのがプロの組み立て方
間違えやすい点 AI による整理
- 「参照方式で出せば、明細書はいつ出してもいい」と考えるのは、問いの立て方そのものが間違っている。省令所定の期間内に出さなければ手続として失効し、しかも後出しの内容が先の出願の範囲を超えれば出願日が繰り下がる。守るべきは『出したかどうか』ではなく『何を、いつまでに、どの範囲で』だ
- 出願日が1日繰り下がる程度のこと、と軽く見ている人は、先願主義の残酷さを知らない。同じ発明を別々の者が出願して先後が問題になれば、協議、協議不成立なら誰も取れないという帰結もある(特許法39条)。1日どころか数時間の差が、独占権そのものの有無を分ける
- 「自分の過去の出願しか参照できない」と思われがちだが、条文は外国でした特許出願も「先の特許出願」に含めている。海外先行出願を日本に持ち込む高速ルートとして使える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 明細書・図面の添付 | 38条の3:添付せず先の出願を参照する方法で出願可 | 36条:願書に明細書・必要な図面を添付するのが原則 38条の2:出願後に明細書等の欠落を補完する手続 |
| 主な目的 | 出願日の早期確保(時間との勝負の防衛線) | 発明内容の完全な開示 添付漏れの事後救済 |
| 出願日への影響 | 参照で即日確保、範囲逸脱なら提出時まで繰り下がる | 願書提出日が出願日 補完書面提出時が出願日となる場合がある |
| 適用除外 | 外国語書面出願、分割・変更・実用新案に基づく出願(6項) | なし(原則規定) 38条の3とは適用場面が交錯 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は参照出願そのものの規定はなく、申請要件(第25条)と国際優先権(第28条)で出願日・優先日を管理する。範囲同一性の縛りより優先権書類の提出が中心
米国は AIA により先に出願した自己の出願を参照して出願日を確保する制度を明文化。日本38条の3は PLT を通じてこの潮流と整合する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あと2日で展示会、そこで発明を公開すれば新規性を失うかもしれない。明細書はまだ完成していない。先にした出願を参照する方法で、今日中に出願日だけ押さえる。残り時間がほぼゼロでも、書面一通で防衛線を引ける
- もし、海外で先に出願していた発明を、急いで日本でも押さえたいとしたら? 外国でした先の特許出願を参照すれば、日本での出願日を即日確保できる。翻訳した明細書は後から間に合わせればいい
- 参照方式で出願した。だが後から出した明細書に、先の出願になかった改良点を盛り込んでしまった。その瞬間、出願日は明細書提出日まで繰り下がる。盛り込んだ一文が、確保したはずの数日を吹き飛ばす
- 資金調達のデューデリ前に、とにかく特許出願済みのステータスが欲しい。中身を練り込む時間はない。参照方式なら、先の出願を指すだけで「出願中」の事実を一日で作れる
取るべき行動
被害を受けた側:1. すでにした自分の特許出願(国内・外国問わず)があるか確認、それが参照すべき『先の特許出願』になる2. 願書に明細書・図面を添付せず、参照方式である旨と先の出願に関する省令所定事項を記載した書面を、出願と同時に特許庁長官へ提出(2項) 3. その日に出願日を確保したら、省令所定の期間内に明細書・図面・先の出願に関する書類を必ず提出(3項) 4. 提出する明細書は先の出願の範囲を絶対に超えないこと、超えると出願日が繰り下がる(4項)
訴えられた側:1. 後出しした明細書・図面が、先の出願の願書添付書類の範囲内かを精査、外国語書面出願や外国出願なら相当書類との対照が必要(4項) 2. 範囲を超えた疑いがあれば、補正で削るより、繰り下がった出願日でも新規性・進歩性が保てるかを再評価3. 分割出願・変更出願・実用新案に基づく出願では、そもそもこの参照方式は使えない(6項)ので別ルートを検討4. 期間徒過のリスクがあれば、期間内提出を最優先、弁理士と即時に段取りを詰める
時効(請求できる期限):参照方式である旨の書面は出願と同時に提出しなければならない(2項)。明細書・図面・先の出願関係書類は、経済産業省令で定める期間内に提出する(3項、起算は当該特許出願の時。具体的期間は特許法施行規則で定まるため、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:38条の3は特許法条約(PLT)対応の手続簡素化規定であり、出願日の早期確保という利益を認めつつ、後出し明細書が先の出願の範囲内であることを条件として出願日を維持し、範囲を超える場合は出願日を繰り下げることで、迅速性と公示の正確性の均衡を図るものと解される。
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)改正、令和4年(2022年)4月1日施行 特許法条約(PLT)対応として新設。明細書・図面を添付せず先の特許出願を参照する方法による出願を認め、出願手続の簡素化と出願日確保の柔軟化を図った
改正の年表
- 1.令和3年(2021年) 新設:特許法条約(PLT)対応として新設。明細書・図面を添付せず先の特許出願を参照する方法による出願を認め、令和4年(2022年)4月1日施行。出願手続の簡素化と出願日確保の柔軟化を図った
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