特許法 第38条の4(明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の通知等)
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- 特許庁長官は、特許出願の日の認定に際して、願書に添付されている明細書又は図面(外国語書面出願にあつては、明細書に記載すべきものとされる事項を第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語で記載した書面又は必要な図面でこれに含まれる説明を同項の経済産業省令で定める外国語で記載したもの。以下この条において同じ。)について、その一部の記載が欠けていることを発見したときは、その旨を特許出願人に通知しなければならない。
- 2.前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、明細書又は図面について補完をすることができる。
- 3.前項の規定によりその補完をするには、経済産業省令で定めるところにより、明細書又は図面の補完に係る書面(以下この条及び第六十七条第三項第六号において「明細書等補完書」という。)を提出しなければならない。
- 4.第一項の規定による通知を受けた者が第二項に規定する期間内にその補完をしたときは、その特許出願は、第三十八条の二第一項又は第六項の規定にかかわらず、明細書等補完書を提出した時にしたものとみなす。ただし、その補完が第四十一条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係るものであつて、かつ、前項の規定により提出した明細書等補完書に記載した内容が経済産業省令で定める範囲内にあるときは、この限りでない。
- 5.第二項の補完をした特許出願が、第三十八条の二第一項第一号又は第二号に該当する場合であつて、その補完に係る手続補完書を第三項の規定により明細書等補完書を提出した後に提出したときは、その特許出願は、前項の規定にかかわらず、当該手続補完書を提出した時にしたものとみなす。
- 6.第二項の規定によりその補完をした明細書又は図面は、願書に添付して提出したものとみなす。
- 7.第二項の補完をした者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第三項の規定により提出した明細書等補完書を取り下げることができる。
- 8.前項の規定による明細書等補完書の取下げがあつたときは、その補完は、されなかつたものとみなす。
- 9.第三十八条の二第九項の規定は、第一項の規定による通知を受ける前に執つた手続に準用する。
- 10.前各項の規定は、第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項又は第二項の規定による出願の変更に係る特許出願及び第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、適用しない。
この条文の基本情報
明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の通知等とは何ですか?
定義明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の通知等とは、特許法第38条の4に定められた規定で、「特許庁長官は、特許出願の日の認定に際して、願書に添付されている明細書又は図面(外国語書面出願にあつては、明細書に記載すべきものとされる事項を第三十六条の二第一項…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第38条の4(明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の通知等)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第38条の4の条文原文は「特許庁長官は、特許出願の日の認定に際して、願書に添付されている明細書又は図面(外国語書面出願にあつては、明細書に記載すべきものとされる事項を第三十六条の二第一項…」で始まります。
- 特許法第38条の4は第二章 特許及び特許出願に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第38条の4の前の条は特許法第38条の3です。
- 特許法第38条の4の次の条は特許法第38条の5です。
- 特許法第38条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第38条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第38条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/38_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法38条の4は、明細書または図面の一部欠落を補完できると定める。補完すると原則出願日は補完日まで繰り下がるが、優先権主張があれば維持される。
Q · 明細書の一部を付け忘れて出願した場合、後から補完できますか?
補完できるが原則出願日は補完日まで繰り下がる
特許法38条の4により、特許庁長官から一部記載の欠落を通知された出願人は、経済産業省令で定める期間内に明細書等補完書を提出して補完できます。ただし補完すると、その出願は原則として補完書を提出した時にしたものとみなされ、出願日が繰り下がります(同4項本文)。優先権を主張し、補完内容が省令の範囲内であれば出願日は維持されます(同但書)。先願主義の日本では出願日の数日のズレが競合との勝敗を分けるため、通知受領後はまず優先権書類との照合を最優先すべきです。
解説
特許出願は、願書に明細書と図面を添付して出す。だが製本ミスやファイルのアップロード漏れで、明細書の一部や図面が欠けたまま提出されることがある。特許庁はそれを発見すると、あなたに「一部の記載が欠けています」と通知する。ここからが本番だ。あなたは経済産業省令で定める期間内に明細書等補完書を出して補える。問題はその代償。補完すると、あなたの特許出願は原則として補完書を提出した時にしたものとみなされる。つまり出願日が、最初に出した日ではなく、後から補った日まで飛ぶ。先願主義の日本では、出願日の数日のズレが、同じ発明を出した競合に特許を奪われる分岐点になる。ただし救済がある。優先権の主張を伴い、補完した内容が優先権書類の範囲内なら、出願日は飛ばない。この但書を知っているかどうかが、あなたの発明の生死を分ける。
法的な位置づけ
特許法38条の4は明細書等の補完制度を定める規定であり、特許出願の日の認定に際して明細書または図面の一部記載の欠落が発見された場合に、出願人が経済産業省令で定める期間内に明細書等補完書を提出して補完することを認める。補完がされた出願は原則として補完書提出時にしたものとみなされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.通知書の日付と補完期間を即座に確認 特許庁長官からの一部欠落通知が届いたら、通知の到達日を起算点として、経済産業省令で定める補完期間の締切を最優先で確認する。期間経過後は補完できないため残り日数の把握が最重要
- 2.優先権書類と欠落部分を照合 補完すべき内容が、パリ優先または国内優先の優先権書類に既に記載されているかを照合する。含まれていれば但書(4項)により出願日が維持されるため、補完前にこの照合を必ず先に行う
- 3.先願調査で中間の競合出願を確認 優先権で守られず出願日が繰り下がる前提の場合、繰り下がる期間内に第三者の同一発明の出願がないか先願調査を行い、先願の地位を失うリスクを評価する
- 4.明細書等補完書を作成・提出 弁理士と補完内容・提出タイミングを詰め、経済産業省令で定める様式に従って明細書等補完書を期間内に提出する(3項)。外国語書面出願の場合は所定外国語での記載要件も確認する
- 5.不利な補完なら期間内に取下げを検討 提出後に「出願日が繰り下がる不利な補完だった」と判明した場合、経済産業省令で定める期間内なら明細書等補完書を取り下げ(7項)、補完をなかったことにして新規出願+優先権主張など別ルートへ切り替える
よくある質問 AI による整理
Q1明細書等補完書とは何ですか?
願書添付の明細書・図面の一部欠落を補完するために提出する書面です。特許法38条の4第3項が根拠で、経済産業省令で定める様式・期間内に提出します。
Q2明細書を補完すると出願日はどうなりますか?
原則として補完書を提出した時にしたものとみなされ、出願日が繰り下がります(38条の4第4項本文)。優先権主張があり省令の範囲内なら出願日は維持されます。
Q3明細書の補完はいつまでにできますか?
特許庁長官の通知を受けた後、経済産業省令で定める期間内に限られます(38条の4第2項)。起算点は通知の到達時で、期間経過後は補完できません。
Q4提出した明細書等補完書は取り下げられますか?
経済産業省令で定める期間内であれば取り下げられます(38条の4第7項)。取り下げると補完はなかったものとみなされます(同8項)。
Q5図面を添付し忘れた場合も補完できますか?
できます。明細書だけでなく図面の一部欠落も補完対象です。ただし補完すると原則出願日が繰り下がる点は同じです。
Q6分割出願でも明細書の補完はできますか?
できません。分割出願、出願変更に係る特許出願、実用新案登録に基づく特許出願には本制度は適用されません(38条の4第10項)。
Q7外国語書面出願でも補完制度は使えますか?
使えます。外国語書面出願では、明細書に記載すべき事項を所定の外国語で記載した書面・図面が補完の対象になります(38条の4第1項括弧書)。
Q8補完しても出願日が飛ばないのはどんな場合ですか?
優先権主張を伴う出願で、補完書に記載した内容が経済産業省令で定める範囲内にある場合です(38条の4第4項但書)。優先権書類に欠落部分が既にあるかが鍵です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1明細書の一部を付け忘れたら、もう特許は取れないんですか?
取れます。特許庁から通知が来てから経済産業省令で定める期間内に明細書等補完書を提出すれば補完できます(特許法38条の4第2項)。ただし原則として出願日は補完書を提出した日まで繰り下がります(同4項本文)。実務のポイント:弁理士はこの通知を受けると、まず補完内容が優先権書類に含まれているかを照合します。含まれていれば但書で出願日が維持され、含まれていなければ日付が飛ぶ。この一手間の有無で出願日が守れるかが決まる
Q2補完したら出願日が後ろにずれるって本当ですか?
本当です。補完すると、その出願は明細書等補完書を提出した時にしたものとみなされます(特許法38条の4第4項本文)。ただし優先権を主張し、補完内容が省令の範囲内なら出願日は維持されます(同但書)。実務のポイント:補完書は省令期間内なら取り下げられます(同7項)。出してしまった補完が出願日を飛ばす不利なものだと気づいても、期間内なら撤回して仕切り直せる。この巻き戻しを知らない出願人は、初動のミスをそのまま確定させてしまう
Q3実用新案から特許に変更する出願でも、同じように補完できますか?
できません。分割出願、出願変更による特許出願、実用新案登録に基づく特許出願には、この補完制度は適用されません(特許法38条の4第10項)。実務のポイント:これらの変更・分割ルートでは補完という保険が効かない。元の出願段階で明細書・図面が完全であることが前提になるので、変更前の原出願の完成度を弁理士に二重チェックしてもらうのが実務の鉄則
間違えやすい点 AI による整理
- 「出願し直せばいいだけ」と思いがちだが、出し直すと新しい出願日になり、その間に他人が同じ発明を出願していれば先願主義で負ける。補完制度はまさにこの出し直しのダメージを軽減する仕組みで、使わない手はない
- 補完できること自体は知っていても、補完すると出願日が飛ぶという代償の深刻さを知らない人が多い。先願主義では出願日が一日違うだけで、同日出願の協議(特許法39条)や中間の第三者出願に負ける。「補完できる=元通り」ではない
- 「どうやって早く補完するか」を考える前に、本当に問うべきは「そもそも補完すべきか、補完で日付が飛ぶのか」だ。優先権書類に欠落部分が含まれていれば日付は飛ばない、含まれず内容追加を伴えば飛ぶ。補完の可否ではなく、日付への影響を先に判断する人だけが正しい一手を打てる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 38条の4:明細書・図面の一部欠落の補完 | 38条の2:出願日の認定の原則 39条:先願主義(出願日による優劣) |
| 出願日への影響 | 補完すると原則補完日まで繰り下がる(但書で維持余地) | 所定要件を満たした日を出願日と認定 認定された出願日で先後を判断 |
| 救済の有無 | 期間内の補完・取下げで救済(7項) | 手続補完書による救済規定あり 救済規定ではなく優劣判断ルール |
| 適用除外 | 分割・変更・実用新案ベースの出願に不適用(10項) | 出願一般に適用 出願一般に適用 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も申請書類の完備を出願日認定の要件とし、書類補完により出願日が影響を受ける構造を持つ。PLT 非加盟のため制度の詳細は日本と異なる。
欧州特許条約規則56条は明細書・図面の欠落部分(missing parts)の事後提出を認めるが、原則として提出日が出願日となる。優先権書類に含まれる場合は出願日を維持できる点で日本の但書と同旨。
米国は incorporation by reference の制度により、優先権基礎出願に含まれる不注意で省略された部分を、出願日を維持したまま取り込める場合がある。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 特許庁から「明細書の一部が欠けている」という通知が届いた。補完できる期間は省令で決まっていて、過ぎれば永遠に補えない。残り日数を確認せずに弁理士への連絡を後回しにすると、その出願は救えなくなる。今日がもう起算日かもしれない
- 資金調達前に急いで自力で特許出願したスタートアップのあなたが、図面ファイルを一枚添付し忘れた。補完すれば出願日は補完日まで飛ぶ。その数週間の間に、同じ技術を開発していた大手が出願していたら、あなたは先願の地位を失う
- 優先権を主張した出願で、欠けていた部分が優先権書類にすでに書いてあった。この場合、補完しても出願日は飛ばない。但書があなたを救う
- もしあなたが競合の公開前出願を分析していて、相手が明細書の一部を欠いたまま出していたとしたら? 相手が補完した瞬間に出願日が後ろへ動く。その間隙にあなたが先に完全な出願を出せば、先願の地位を取りにいける
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書の日付を確認し、補完期間の起算点と締切を即座に把握する2. 補完すべき内容がパリ優先・国内優先の優先権書類に既に記載されているか照合する。含まれていれば但書(4項)で出願日が維持される3. 含まれていなければ、出願日が飛ぶ前提で先願調査を行い、中間に競合出願がないか確認する4. 弁理士と明細書等補完書の内容・提出タイミングを詰める。期間内なら取下げ(7項)も選択肢に残す
訴えられた側:1. 補完で出願日が繰り下がる場合、その間に第三者の同一発明の出願がないか先願調査を最優先する2. 中間に競合出願があれば、優先権主張の活用や補完内容の見直しで日付維持の余地を探る3. 救済が効かないなら、補完書の取下げ(7項)で補完をなかったことにし、新規出願+優先権主張など別ルートを検討する4. 分割・変更・実用新案ベースの出願には本条が適用されない(10項)点に注意し、その場合の保険を別途確保する
時効(請求できる期限):補完は特許庁長官の通知を受けた後、経済産業省令で定める期間内に限る(特許法38条の4第2項)。起算点は通知の到達時。補完書の取下げも同じく省令期間内に限られる(同7項)。具体的な期間日数は特許法施行規則を確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:38条の4の補完制度は特許法条約(PLT)対応として出願人を救済する趣旨だが、補完に伴う出願日の繰下げは先願主義の下で重大な不利益となりうる。優先権主張を伴い補完内容が省令範囲内であれば出願日が維持される但書の活用と、期間内の取下げ(7項)による巻き戻しが実務上の要点とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成27年(2015年)改正、平成28年(2016年)4月1日施行 特許法条約(PLT)への対応として新設。出願日認定要件を緩和し、明細書・図面の一部欠落を事後に補完できる救済制度(38条の2から38条の5の一連の規定)の一部としてゼロから追加された
改正の年表
- 1.平成27年(2015年) 新設:特許法条約(PLT)への対応として、出願日認定要件を緩和し明細書・図面の一部欠落を事後補完できる救済制度(38条の2から38条の5の一連の規定)の一部としてゼロから追加。平成28年(2016年)4月1日施行。
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