特許法 第48条の6(優先審査)
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特許庁長官は、出願公開後に特許出願人でない者が業として特許出願に係る発明を実施していると認める場合において必要があるときは、審査官にその特許出願を他の特許出願に優先して審査させることができる。
この条文の基本情報
優先審査とは何ですか?
定義優先審査とは、特許法第48条の6に定められた規定で、「特許庁長官は、出願公開後に特許出願人でない者が業として特許出願に係る発明を実施していると認める場合において必要があるときは、審査官にその特許出願を他の特許出願に…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第48条の6(優先審査)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第48条の6の条文原文は「特許庁長官は、出願公開後に特許出願人でない者が業として特許出願に係る発明を実施していると認める場合において必要があるときは、審査官にその特許出願を他の特許出願に…」で始まります。
- 特許法第48条の6は第三章 審査に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第48条の6の前の条は特許法第48条の5です。
- 特許法第48条の6の次の条は特許法第48条の7です。
- 特許法第48条の6には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第48条の6 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第48条の6(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/48_6
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法48条の6は、出願公開後に第三者が業として発明を実施していると特許庁長官が認め必要があるとき、その出願を他に優先して審査させる優先審査を定める。
Q · 特許出願中に発明を真似されたら、順番待ちを飛ばして早く審査してもらえますか?
はい、優先審査で審査の行列を飛び越えられます。
特許法48条の6により、出願公開後に特許出願人でない第三者が業として当該発明を実施していると特許庁長官が認め、必要があると判断したときは、その出願を他の出願に優先して審査させることができます。前提として出願公開(特許法64条)と出願審査請求(同48条の3)が必要です。優先審査で特許が早期に成立すれば、特許法65条の補償金請求権を現実に行使でき、差止請求(同100条)の起点も前倒しになります。
解説
特許の審査は、出願審査を請求した順に長い行列で進む。あなたが出願し、出願公開もされた。ところが公開された途端、資本力のあるライバルがあなたの発明を堂々と製品化し始めた。特許がまだ下りていないあなたは、止める権利を持たないまま、行列の最後尾で何年も待たされる。ここで効くのが特許法48条の6だ。出願公開後に、出願人でない者が業としてあなたの発明を実施していると特許庁長官が認め、必要があると判断すれば、あなたの出願を他の出願に優先して審査させることができる。つまり行列を飛び越えられる。早く特許が成立すれば、特許法65条の補償金請求権が現実の武器になり、差止めへの道も開ける。多くの出願人はこの制度の存在すら知らず、ただ順番を待っている。
法的な位置づけ
特許法48条の6は優先審査を定める規定である。出願公開後に、特許出願人でない第三者が業として当該発明を実施していると特許庁長官が認め、かつ必要があると判断した場合に、審査官が当該出願を他の出願に優先して審査する。通常の出願審査請求順の原則に対する例外として機能し、模倣被害を受ける出願人の早期救済を図る。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.前提要件を確認する 自分の特許出願が出願公開済み(特許法64条)で、かつ出願審査請求(同48条の3)を済ませているかを確認する。両方が優先審査の前提条件になる
- 2.第三者の実施を示す証拠を集める 出願人でない者が業として当該発明を実施している事実を示す証拠を収集する。製品カタログ、販売ページ、展示会資料、購入記録などを揃える
- 3.優先審査に関する事情説明書を提出する 特許庁へ優先審査に関する事情説明書を提出し、第三者の業としての実施の事実と優先審査の必要性を疎明する
- 4.並行して警告書を送付する 相手方へ出願公開済みの発明である旨の警告書を送り、特許法65条の補償金請求権の起算点を確保する。審査加速と補償金の起算を同時に走らせる
- 5.早期成立後に権利行使の準備をする 特許が早期に成立したら、直ちに補償金請求・差止請求(特許法100条)・損害賠償の準備に移る
よくある質問 AI による整理
Q1優先審査とは何ですか?
出願公開後に第三者が業として発明を実施している場合、特許庁長官が必要と認めれば、その出願を他の出願に優先して審査させる制度です。特許法48条の6が根拠です。
Q2優先審査の要件は何ですか?
出願が公開済みで出願審査請求が済んでいること、出願人でない第三者が業として発明を実施していること、特許庁長官が必要と認めること、の三点が必要です。
Q3優先審査を申し立てるには何が必要ですか?
特許庁への「優先審査に関する事情説明書」の提出が必要です。第三者の実施を示す製品カタログ・販売ページ・展示会資料などで実施の事実を疎明します。
Q4補償金請求権とは何ですか?
出願公開後に警告した場合、公開時から特許成立までの実施に対し実施料相当額を請求できる権利です(特許法65条)。特許成立後に行使できます。
Q5出願審査請求の期限はいつまでですか?
原則として出願の日から3年以内です(特許法48条の3)。この請求をしないと審査自体が始まらず、優先審査の前提も欠けます。
Q6出願公開はいつされますか?
原則として出願の日から1年6か月経過後に出願公開されます(特許法64条)。出願公開が優先審査と補償金請求の前提になります。
Q7優先審査は誰でも申し立てられますか?
出願人本人が申し立てます。前提として第三者が業として発明を実施している客観的事実が必要で、実施がなければ必要性の根拠が弱くなります。
Q8優先審査が認められると差止めもできますか?
優先審査自体は差止めではありません。ただし早期に特許が成立すれば、その時点から差止請求(特許法100条)や損害賠償請求が可能になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1早期審査と優先審査って同じものですか?
別物です。優先審査(特許法48条の6)は『出願人でない第三者が業として発明を実施している』ことが法定要件で、特許庁長官が必要と認めて発動する制度。一方、早期審査は特許庁の運用(ガイドライン)に基づくもので、中小企業・ベンチャー・実施関連出願などが対象です。実務のポイント:実務では『他社に真似されている』ケースでも、要件のハードルが低く手続が軽い早期審査を先に使う出願人が多い。優先審査は実施の疎明が要るぶん重い。状況に応じて使い分けるのが定石です
Q2優先審査を申し立てたら、どのくらい早く特許になりますか?
通常の審査が請求から十数か月待ちのところ、優先審査・早期審査が認められると数か月程度まで短縮されることが多いです(運用により変動、最新の状況をご確認ください)。早く成立すれば、特許法65条の補償金請求権を現実に行使でき、差止請求(特許法100条)の起点も前倒しになります。実務のポイント:審査が早まること自体より、『特許成立日』が前倒しになることで相手への交渉力が跳ね上がる点が本当の狙い。成立前と成立後では、警告書の重みがまるで違います
間違えやすい点 AI による整理
- 「早く審査してほしいなら早期審査を申請すればいい」と考える人が多いが、48条の6の優先審査と、運用上の早期審査は別物だ。優先審査は第三者の業としての実施という客観的事実が法定要件、早期審査は特許庁のガイドラインに基づく運用。あなたが直面しているのが「他人に真似されている」状況なら、検討すべき制度の名前そのものが違う
- 「優先審査を申し立てれば必ず順番が飛ばせる」と思われがちだが、特許庁長官が『必要があるとき』と認めて初めて発動する。第三者の実施を示す疎明が薄ければ、申立てだけでは行列は動かない
- 優先審査の存在は知っていても、その本当の威力を理解している人は少ない。早く特許が成立すれば、特許法65条の補償金請求権が出願公開時まで遡って現実化し、差止請求の起点も前倒しになる。単に『早く審査される』のではなく、損害回復の時計全体が前へ動く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 審査の順序 | 48条の6:他の出願に優先して審査(行列を飛び越える) | 48条の3:出願審査請求の順に審査(原則) 早期審査(運用):ガイドラインに基づき順序を繰り上げ |
| 発動の根拠 | 第三者の業としての実施という客観的事実+長官の必要性判断 | 出願審査請求(出願から3年以内) 特許庁ガイドライン(中小企業・ベンチャー・実施関連等) |
| 手続の重さ | 実施の疎明が必要でやや重い | 請求書提出のみで軽い 事情説明書が必要だが要件のハードルは低め |
他国ではどう定めているか 4 か国
発明特許出願の公開後、出願人以外の者による商業的実施がある場合に専利専責機関が優先審査できる点で日本と極めて近い構造
韓国も第三者の業としての実施等を事由とする優先審査(우선심사)を明文で規定。要件・趣旨とも日本に類似
中国は法律本体ではなく行政規則(管理弁法)で優先審査を規律。対象事由の一つに第三者の無許諾実施等を含む
米国の優先審査は主に手数料(Track One)や特別事由に基づき、第三者の実施を直接の要件とはしない点で日本と設計思想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたのスタートアップが新しい製造プロセスで特許出願し、公開された直後、資本力のある大手が同じ仕組みで量産を開始した。資金の続かないあなたにとって、特許成立までの数年は致命的。48条の6で優先審査を申し立て、審査期間を数年から数か月に圧縮できれば、補償金請求の交渉カードを早期に握れる
- あなたの会社が、他社の公開済み特許出願に近い技術で製品を出した。まだ特許になっていないから安全だと思っているかもしれない。だが相手が優先審査を申し立て、想定より早く特許が成立すれば、出願公開時の警告に遡って補償金(特許法65条)を請求される立場に変わる
- もし、ライバルがあなたの公開された発明をそのまま真似て売り始めたら、特許が下りるまで指をくわえて待つしかないのか。答えはノー。第三者が業として実施しているという事実こそが、優先審査を発動させる鍵になる
- 展示会まであと一か月、競合がすでに市場であなたの発明を模した製品を流通させている。優先審査の事情説明書を今すぐ準備しなければ、審査の行列で機を逸する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の特許出願が出願公開済みで、かつ出願審査請求を済ませているか確認、両方が前提2. 第三者が業として実施している証拠を集める、製品カタログ・販売ページ・展示会資料・購入記録3. 特許庁へ優先審査に関する事情説明書を提出し、実施の事実と必要性を疎明4. 並行して相手へ特許法65条に基づく警告書を送り、補償金請求の起算点を確保5. 早期成立後すぐ差止め・損害賠償の準備に移る
訴えられた側:1. 自社製品が他社の公開済み特許出願の技術的範囲に入るか、弁理士と請求項を精査2. 入る可能性があれば、相手が優先審査で早期成立させる前提で対応を設計3. 先使用権(特許法79条)の主張可否、無効理由(先行技術)の有無を調査4. 設計回避(クレーム外への変更)を検討5. 特許法65条の警告書を受け取った時点から補償金が積み上がるため、漫然と販売を続けず早期に方針を決める
時効(請求できる期限):特定の申立て時効はない。ただし優先審査の前提として、出願公開(特許法64条)と出願審査請求(特許法48条の3、原則として出願から3年以内)が必要。第三者の業としての実施という要件が満たされている間に申し立てる、実施が止めば必要性の根拠も弱まる(最新の運用状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和45年(1970年) 新設:出願審査請求制度の導入に伴い、審査順序の例外として優先審査の規定が設けられた。第三者の業としての実施を要件とする早期救済の仕組みを明文化
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