特許法 第68条の2(第六十七条第四項の規定により存続期間が延長された場合の特許権の効力)
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第六十七条第四項の規定により同条第一項に規定する存続期間が延長された場合(第六十七条の五第四項において準用する第六十七条の二第五項本文の規定により延長されたものとみなされた場合を含む。)の当該特許権の効力は、その延長登録の理由となつた第六十七条第四項の政令で定める処分の対象となつた物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあつては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には、及ばない。
この条文の基本情報
第六十七条第四項の規定により存続期間が延長された場合の特許権の効力とは何ですか?
定義第六十七条第四項の規定により存続期間が延長された場合の特許権の効力とは、特許法第68条の2に定められた規定で、「第六十七条第四項の規定により同条第一項に規定する存続期間が延長された場合(第六十七条の五第四項において準用する第六十七条の二第五項本文の規定により延長されたもの…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第68条の2(第六十七条第四項の規定により存続期間が延長された場合の特許権の効力)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第68条の2の条文原文は「第六十七条第四項の規定により同条第一項に規定する存続期間が延長された場合(第六十七条の五第四項において準用する第六十七条の二第五項本文の規定により延長されたもの…」で始まります。
- 特許法第68条の2は第一節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第68条の2の前の条は特許法第68条です。
- 特許法第68条の2の次の条は特許法第69条です。
- 特許法第68条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第68条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第68条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/68_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法68条の2は、延長された特許権の効力が承認の対象となった物、用途が定められた場合はその用途に使うその物に限られ、それ以外の実施には及ばないと定める。
Q · 特許が延長されたら、その薬は延長期間中まるごと独占できるの?
いいえ、効力は承認された物と用途に限られます
特許法68条の2により、存続期間が延長された特許権の効力は、延長登録の理由となった処分(承認)の対象となった物、処分で用途が定められている場合はその用途に使用されるその物についての特許発明の実施にのみ及びます。本来の20年の存続期間中は発明全体を独占できても、延長期間に入った瞬間、守備範囲は承認を取った一点に縮みます。承認された物と少しでも違う、または別の用途であれば、延長期間中でも後発参入の余地が残ります。
解説
新薬を世に出すまでには、薬機法の承認待ちで何年も特許の「持ち時間」が削られる。だから特許法は、その失われた期間を最大5年まで取り戻させる(67条4項の存続期間延長)。ところが、この延長で復活した独占には他の特許にはない「輪郭」がある。延長された特許権が及ぶのは、延長理由となった処分(承認)の対象になった「その物」だけ。さらにその処分で特定の用途(効能・効果)が定められていれば、「その用途に使うその物」に限られる。つまり、20年の本来期間中はその発明全体を独占できたのに、延長期間に入った瞬間、守備範囲は承認を取った一点に縮む。あなたが後発(ジェネリック)側なら、ここに合法的な通路が走っていることになる。承認された物と少しでも違う、あるいは承認された用途と別の用途なら、延長期間中でも参入の余地が出てくる。逆にあなたが新薬側なら、延長登録のときに用途をどう書くかで、この壁の高さが決まる。
法的な位置づけ
特許法68条の2は、存続期間が延長された特許権の効力範囲を画定する規定である。その効力は、延長登録の理由となった政令で定める処分の対象となった物(処分で特定の用途が定められている場合は当該用途に使用されるその物)についての特許発明の実施にのみ及び、それ以外の行為には及ばない。
手順
- 1.延長登録公報を満了日より先に開く 先発品の特許が『延長登録済み』と分かったら、満了日を調べる前に延長登録公報(J-PlatPat)を開く。延長理由となった処分(承認)の対象物と効能・効果を特定し、それが効力の輪郭であることを押さえる
- 2.承認の対象物・用途と自社製剤を一語ずつ照合 延長理由となった処分の『対象物』と『効能・効果』を、自社が申請予定の製剤・有効成分・用途と逐語で照合する。承認された物と異なる、または別用途であれば延長効力が及ばない可能性がある点を確認する
- 3.輪郭外であることを開発の入口で立証固め 自社製品が延長効力の射程外だと固める証拠(成分・製剤・用途の相違)を、承認申請を組む前の段階で準備する。用途の同一性は実務上解釈が分かれるため、弁理士・知財弁護士と早期に射程を詰める
- 4.差止・警告を受けたら物と用途の一点で反論 延長特許で差止・警告を受けた場合、争点を満了日ではなく『延長理由となった処分の対象物・用途に該当するか』に絞る。自社製品が対象物と異なる、または別用途であれば延長期間中の効力は及ばないと反論する
よくある質問 AI による整理
Q1特許権の存続期間延長とは?
医薬品や農薬などで、行政の承認・登録を待つ間に失われた特許期間を最長5年まで回復させる制度です(特許法67条4項)。延長後の効力範囲を画定するのが68条の2です。
Q2特許の延長登録公報はどこで確認できる?
特許庁の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)や延長登録公報で確認できます。延長理由となった処分の対象物と効能・効果が記載され、それが効力の輪郭になります。
Q3特許の存続期間延長は最長何年?
最長5年です(特許法67条)。本体の存続期間は特許出願から20年で、承認待ちで失われた期間分がそれに加算されます。
Q4後発医薬品はいつ発売できる?特許の調べ方は?
先発品の特許が延長登録済みなら、満了日だけでなく延長登録公報の対象物と効能・効果を照合します。自社製剤がその輪郭外なら延長期間中でも参入の余地があります。
Q5延長された特許の効力範囲はなぜ限定される?
68条の2が、延長効力を承認の対象となった物と用途に絞るためです。現実に承認を取って事業化した範囲だけを守り、それ以外には後発参入の通路を開く趣旨です。
Q6医薬品の特許 存続期間延長の要件は?
薬機法の製造販売承認など政令で定める処分を受ける必要があったこと等が要件です。延長登録出願で処分の対象物と用途を特定し、効力範囲がそこで固まります。
Q7農薬の特許も存続期間延長できる?
できます。農薬取締法の登録も特許法67条4項の政令で定める処分に含まれ、その対象物と用途が68条の2による効力範囲を画します。
Q8特許満了とジェネリック参入のタイミングは?
延長特許では満了日だけでなく延長効力の射程が参入可否を左右します。薬価収載の改定時期を逃さないため、満了を待つ前に公報の読み込みを終えるのが実務です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特許が延長されたら、その薬は完全に5年間独占できるんですか?
いいえ。本条により、延長期間中の効力は延長理由となった処分(承認)の『対象物』、用途が定められていれば『その用途に使うその物』に限定されます(特許法67条4項・68条の2)。本来の存続期間中のような発明全体の独占ではありません。実務のポイント:延長登録公報には、効力が及ぶ範囲を画する『処分の対象物』と『効能・効果』が記載されている。先発側はここを広く取りたい一心で記載を工夫し、後発側はその記載の隙間を突く。公報の読み方を知る企業と知らない企業で、参入時期が何年も変わる
Q2同じ成分でも、別の効能のジェネリックなら延長期間中に出せますか?
可能性があります。本条の効力は承認で定められた『用途』に限定されるため、別の効能・効果で承認を取れば延長効力が及ばない場合があります。ただし用途の同一性の解釈は実務上分かれており、知財高裁大合議や最高裁が射程を積み上げている繊細な領域です。実務のポイント:『効能を一つずらす』戦略は理論上有効だが、薬機法の承認を別途取る負担と、用途解釈で争われるリスクが伴う。安易にやると侵害認定される。成功事例は、開発の入口から法務と一体で射程を読み切った企業に集中している
Q3延長効力の範囲って、結局どこを見れば分かるんですか?
延長登録の理由となった『政令で定める処分』(主に薬機法の製造販売承認、農薬取締法の登録)の対象物と用途が基準です。具体的内容は特許法施行令と延長登録公報で確認します(特許法67条4項)。実務のポイント:弁理士は延長特許を見たとき、まず満了日ではなく『どの承認で延長されたか』を引く。その承認の対象物と効能・効果が効力の輪郭そのものだからだ。満了日だけ見て判断する人は、戦える隙間にも、踏んではいけない地雷にも気付けない
間違えやすい点 AI による整理
- 特許権者から見れば「延長されたのだから独占が5年延びた」と安心しがちだが、法律から見れば延長期間の効力は処分対象の物と用途に限定されている。この落差を知らないまま全方位を守れると思い込むと、輪郭の外を突かれて後発参入を許す
- 存続期間延長制度の存在は知っていても、効力が『物』だけでなく『用途(効能・効果)』のレベルまで縛られる深刻さを見落としている人が多い。同じ有効成分でも、承認された効能と別の効能なら延長効力が及ばない可能性がある。この一段深い射程の理解が、参入可否を分ける
- 「先発品の特許はいつ切れるのか」と問うこと自体が、延長特許では的を外している。延長期間に入った特許で問うべきは満了日ではなく『今この瞬間、何が守られているのか』。問いを立て直さない限り、戦える隙間に永遠に気付けない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 効力が及ぶ範囲 | 68条の2:承認の対象物、用途が定められた場合はその用途に使うその物に限定 | 68条:特許発明の実施全体(業として)に及ぶ原則的効力 67条:存続期間・延長の根拠(効力範囲は定めない) |
| 適用場面 | 存続期間が延長された『延長期間中』の効力 | 本来の存続期間中(出願から20年)の効力 延長登録の可否・延長年数の算定 |
| 後発参入への含意 | 承認された物・用途の外側に合法的な参入通路が残る | 存続期間中は発明全体が独占され参入不可 延長年数が長いほど独占期間が伸びる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も医薬品・農薬について特許権期間延長を認め、延長後の効力を承認された有効成分と用途に限定する点で日本と機能的に同じ。
韓国も許可等に基づく存続期間延長を設け、延長された特許権の効力を承認対象と用途に絞る構造で日本と類似。
ドイツを含む EU は特許とは別個の補充的保護証明(SPC)で最長5年保護を延長。承認された製品の範囲に効力が限定される点は日本の68条の2と発想を共有する。
米国は Patent Term Extension を承認された製品(approved product)に限定。日本の延長制度は米国の潮流を一つの契機に導入された。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが後発医薬品メーカーの開発担当で、先発品の特許が「延長登録済み」と分かったらどうする? 諦める前に延長登録公報を開き、延長理由となった承認の対象物と効能・効果を一語ずつ照合する。自社製剤がその輪郭の外側にあると立証できれば、延長期間中でも参入の道が残っている。ここを読み飛ばすと、本来戦える市場を何年も明け渡すことになる
- 先発メーカーが、延長された特許を盾に後発企業へ差止請求を打ってきた。だが争点は「特許発明の全部」ではなく、「承認の対象となった物・用途に該当するか」の一点に絞られる。被告(後発)側は、自社製品が処分対象物と異なること、または別用途であることを突けば、延長期間中の効力は及ばないと反論できる
- 抗がん剤の延長特許で、承認された効能は『大腸がん』だけだった。別の効能で承認を取った同一成分の後発品に、延長効力は及ぶのか。最高裁・知財高裁大合議はこの『物・用途』の射程をめぐって判断を積み重ねており、実務上、解釈が分かれる繊細な領域である
- あと数か月で先発品の延長期間が満了する。後発企業は薬価収載のタイミングを逃すと次の改定まで半年以上待つことになる。延長効力の射程を読み違えれば、参入を一期遅らせ、数十億円の機会を失う。延長公報の読み込みは、満了を待つ前に終わらせておく勝負だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自社の延長特許が侵害された疑いがあるなら、まず延長登録の根拠となった処分(承認)の対象物と用途を特定し、相手製品がその輪郭内かを照合2. 輪郭内なら、本来の存続期間中と同じく差止請求(特許法100条)と損害賠償(民法709条)の両輪を準備3. 輪郭外を主張されそうなら、用途の解釈幅について判例の射程を確認、実務上解釈が分かれる点は専門家(弁理士・知財弁護士)と早期に詰める4. 延長登録出願段階なら、用途特定の文言を戦略的に設計し、効力範囲を最大化する
訴えられた側:1. 延長特許で差止・警告を受けたら、満了日ではなく『延長理由となった処分の対象物・用途』を最優先で確認2. 自社製品がその物と異なる、または承認された用途と別用途であれば、延長期間中の効力は及ばないと反論できる(本条) 3. 用途の同一性が争点になる場合、解釈が分かれる領域なので、知財高裁大合議・最高裁の射程を踏まえた主張を組む4. 参入の合法性に確信が持てるまで薬価収載のスケジュールと法的リスクを並行管理し、見切り発車を避ける
時効(請求できる期限):延長期間は最長5年(特許法67条)。本体の存続期間は特許出願から20年で、それに延長分が加算される。侵害に基づく損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年で消滅(民法724条)。差止請求は延長期間が満了するまで可能(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説・知財高裁の考え方:延長された特許権の効力は承認対象物と実質的に同一の範囲に及び、単なる製剤上の微差では効力を免れないとされる。他方、別の有効成分・別用途であれば効力は及ばない。『実質同一』の外縁の引き方が後発参入の可否を分ける中心論点である。
改正沿革 AI による整理
- 昭和62年(1987年)改正 存続期間延長登録制度の導入に伴い新設された、延長後の特許権の効力を処分対象物・用途に限定する規定とされる。その後の改正回数・改正内容は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和62年(1987年) 新設:存続期間延長登録制度の導入に伴い新設。延長後の特許権の効力を延長理由処分の対象物・用途に限定する範囲画定規定として設けられたとされる(改正沿革の詳細は人的検証が必要)。
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