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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

特許法 第72条(他人の特許発明等との関係)

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特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその特許権がその特許出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその特許発明の実施をすることができない。

この条文の基本情報

他人の特許発明等との関係とは何ですか?

定義他人の特許発明等との関係とは、特許法第72条に定められた規定で、「特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 特許法第72条(他人の特許発明等との関係)は、日本の特許法に含まれる条文です。
  2. 特許法第72条の条文原文は「特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利…」で始まります。
  3. 特許法第72条は第一節に置かれています。
  4. 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
  5. 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 特許法第72条の前の条は特許法第71条の2です。
  7. 特許法第72条の次の条は特許法第73条です。
  8. 特許法第72条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第72条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121
  • 本サイト収録特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第72条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/72

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点特許法72条は、特許発明が出願日前の他人の特許・実用新案・意匠を利用し、又は他人の意匠権・商標権と抵触するとき、業として実施できないと定める。

Q · 特許を取ったのに、その製品を売れないことがあるって本当ですか?

本当です。先願の他人の権利を利用・抵触すると実施できません。

特許法72条により、あなたの特許発明が特許出願日前の他人の特許・実用新案・登録意匠を利用し、又は他人の意匠権・商標権と抵触する場合、業としてその特許発明を実施できません。特許は「他人を排除する権利」であって「自分が自由に使える権利」ではないため、改良特許を取得しても土台となる基本特許の権利者の許諾がなければ製品化できないのです。交渉が決裂した場合は、特許法92条の裁定通常実施権を求める道があります。

解説

苦労して開発した製品で特許を取った。これで堂々と売り出せる、と思った瞬間に落とし穴が口を開ける。特許法72条は冷たく告げる。あなたの発明が、あなたより前に出願された他人の特許・実用新案・意匠を「利用」している、あるいは他人の意匠権・商標権と「抵触」しているなら、あなたは自分の特許発明を業として実施できない。ここで多くの人が根本から誤解している。特許とは「自分が自由に使える権利」ではなく、「他人を排除する権利」にすぎない。あなたが取った改良特許は、その土台になっている基本特許の存在を消してはくれない。土台の権利者が「うちの特許を踏んでいる」と差止めを求めれば、あなたは自分の名前で登録された発明すら、一つも売れなくなる。つまり、特許証を握っていることと、その製品を市場に出せることは、まったく別の話だ。この一行を知らずに量産投資した会社が、発売直前に全在庫を倉庫で凍結させる。

法的な位置づけ

特許法72条は利用抵触関係を定める規定であり、特許権者・専用実施権者・通常実施権者が、その特許発明が出願日前の他人の特許・実用新案・登録意匠を利用し、又は他人の意匠権・商標権と抵触する場合には、業としてその特許発明の実施ができない旨を規定する。特許権が排他権にとどまり、実施の自由を当然には保証しないことを示す基礎条文である。

手順

  1. 1.設計初期にFTO(先行特許)調査を実施 量産投資や金型製作を決める前、設計の初期段階で自社製品が他人の特許・実用新案・意匠権を利用・抵触しないかを調査する。在庫を積んでから抵触が判明すると損失は数千万円規模で固定される
  2. 2.利用・抵触の有無を構成要件対比で判断 先行権利が見つかったら、相手権利の構成要件を分解し、自社製品が全要件を満たすかを一つずつ検証する。一つでも欠ければ利用・抵触にあたらない可能性がある
  3. 3.回避設計またはライセンス交渉を選択 抵触が動かせない場合、構成要件を一つ外す回避設計を技術部門と詰める。困難ならクロスライセンスまたは通常実施権のライセンス交渉に入る。膠着したら92条の裁定通常実施権を交渉の梃子にする
  4. 4.相手権利の有効性を無効審判で検討 指摘された相手権利について先行技術を探し、無効審判(特許法123条)で権利そのものを潰せないか検討する。潰せれば72条の制約自体が消える

よくある質問 AI による整理

Q1特許法72条とは何ですか?

特許発明が先願の他人の特許・実用新案・意匠を利用し、又は他人の意匠権・商標権と抵触する場合、業として実施できないと定める利用抵触関係の規定です。

Q2利用発明とは何ですか?

他人の先願発明の構成要件をすべて含んだ上に新たな要素を加えた発明です。独立して特許を取得できますが、土台の権利者の許諾なしには実施できません。

Q3FTO調査とは何ですか?

Freedom to Operate 調査の略で、自社製品が他人の特許権を侵害しないかを事前に確認する調査です。量産投資前に行うのが実務の鉄則とされます。

Q4特許を取ったのに実施できないのはなぜですか?

特許は他人を排除する排他権であり、実施の自由を保証しないためです。改良特許でも土台の基本特許を利用していれば、その権利者の許諾が必要になります。

Q5特許権と実用新案権が抵触するとどうなりますか?

出願日が前の実用新案権と抵触する場合、後願の特許権者は業として実施できません。実用新案権者の許諾を得るか、回避設計等が必要です。

Q6特許の無効審判とは何ですか?

特許法123条に基づき、特許が無効理由を有するとして特許庁に無効を求める手続です。抵触を指摘された側が相手の権利自体を潰す反撃手段になります。

Q7特許権侵害の過失推定とは何ですか?

特許法103条により、他人の特許権を侵害した者には過失があったと推定されます。「知らなかった」の立証責任は侵害側にあり、覆すのは困難です。

Q8特許権の存続期間は何年ですか?

特許法67条により、原則として特許出願の日から20年です。土台の基本特許が満了すれば、72条の実施制約も消えます。

この条文についての質問 AI による整理

Q1自分の特許なのに、なんで他人の許可がいるんですか?

特許権は「他人を排除する権利」であって「自分が自由に使える権利」ではないからです(特許法68条と72条の組み合わせ)。あなたの発明が先に出願された他人の特許を土台にした改良発明(利用発明)の場合、土台の権利者の許諾なしには実施できません。実務のポイント:この「利用関係」は、相手の特許の構成要件をあなたの製品がすべて含んでいるかで判断されます。一つでも欠けていれば利用にあたらない可能性がある。だから優秀な弁理士は、警告を受けたときまず相手特許の構成要件を分解し、自社製品が全要件を満たすかを一つずつ潰しにかかる。素人は「似ているからアウト」と諦めるが、プロは「一要件でも外れていれば抵触しない」と攻める

Q2相手が許可してくれない場合、もう諦めるしかないんですか?

諦める必要はありません。特許法92条に「協議による通常実施権の設定の裁定」という制度があり、協議が不成立なら特許庁長官の裁定で強制的にライセンスを得られる道があります。ただしあなたの利用発明が相手の発明に対して相当の技術的価値を持つことが要件です。実務のポイント:92条裁定が実際に下されるケースは極めて稀ですが、制度が存在すること自体が交渉の梃子になります。「協議が決裂すれば裁定請求する」と示すだけで、ゼロ回答だった権利者がライセンス交渉のテーブルに着くことは多い。使うのは裁定そのものではなく、裁定請求できるという事実です

Q3先行特許の存在を知らずに製品を作って売っていたら、賠償はどうなりますか?

知らなかったという言い訳は通りにくいのが実情です。特許法103条は、他人の特許権を侵害した者には過失があったと推定する規定を置いています。つまり「知らなかった」ことの立証責任は侵害側にあり、これを覆すのは非常に困難です。実務のポイント:だからこそ、製品を出す前の先行特許調査(FTO)が事実上の必須手続きになります。調査記録を残しておくことは、万一訴えられたときに「相当の注意を払った」ことの証拠にもなり、故意侵害による賠償額の上乗せ(特許法102条)を防ぐ盾にもなる。調査は守りであると同時に保険です

間違えやすい点 AI による整理

  • 「特許を取れば、その発明は自由に使える」と信じている人が圧倒的に多い。だが特許権の本質は排他権、つまり他人にやめさせる力であって、自分が実施できる保証ではない。改良発明に特許が付いても、土台の基本特許が消えるわけではなく、あなたは自分の特許を「持っているのに使えない」状態に置かれる。これは制度の欠陥ではなく、設計そのものだ
  • 「自分が先に特許を取った方が勝つ」という早い者勝ちの感覚で動く人がいるが、72条が見るのは特許登録の順番ではなく出願日の前後だ。あなたが先に登録されても、相手の出願日があなたの出願日より前なら、相手が上位に立つ。レースのゴールではなくスタートの号砲が、勝敗を決めている
  • あなたから見れば、自分の頭で考え抜いた完全オリジナルの発明だ。だが法律から見れば、それは既存特許の構成要件をすべて含んだ上に新たな要素を足した「利用発明」でしかない。この主観と法的評価の落差が、独自性を信じて投資を重ねた事業者を、発売直前に最も深く突き落とす
比較の観点この条文ほかの条文
条文の役割72条:利用抵触時は実施できないという制約(排他権の限界)68条:特許発明を業として実施する権利の原則(実施権の付与)
92条:協議不成立時の裁定による通常実施権(救済制度)
権利者への効果自分の特許でも実施が止まる(先願者の許諾が必要)特許権者は業として実施を独占できる
特許庁長官の裁定で強制的にライセンスを得られる
発動の前提出願日前の他人の権利を利用、又は意匠権・商標権と抵触有効な特許権の存在
利用発明が相手発明より相当の技術的価値を持ち協議が不成立

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
中華民国 專利法第87條第2項

台湾は再発明(利用発明)が先行特許を利用する場合、協議不成立時に強制授権を申請できる制度を置く。日本の72条+92条の組合せに近い。

韓国
대한민국 특허법 제98조

韓国も出願日前の他人の特許・実用新案・意匠の利用、意匠権・商標権との抵触時に許諾なく実施できないと定め、日本72条とほぼ同一構造。

ドイツ
PatG § 24(abhängige Patente)

ドイツは従属特許について、後願発明が相当の経済的重要性を持つ技術的進歩を示す場合に限り強制ライセンスを認める。実施制約と救済の枠組みが日本に類似。

アメリカ
Blocking patent doctrine(判例法理)

米国は明文規定ではなく判例法理により、従属特許(improvement patent)の権利者も先行の基本特許を侵害せずに実施できないとする。救済は当事者間ライセンスに委ねられ強制許可制度は限定的。

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • スタートアップのあなたが、大手の基本特許を改良して新機能を載せ、その改良点で特許を取得した。発売の準備が整った頃、大手から警告書が届く。「貴社製品は弊社の基本特許を利用している」。あなたの特許は本物だが、基本特許の許諾なしには一個も売れない。改良特許は盾にならず、交渉カードにしかならない
  • もし、あなたの自社特許製品の外観が、他社の先に登録された意匠とそっくりだと指摘されたら? 特許は技術、意匠はデザイン、別物だと思っていても、72条は意匠権との「抵触」も実施の壁にする。技術的にはオリジナルでも、見た目の権利で差し止められる
  • あなたがメーカーの開発責任者で、競合の登録実用新案の構造を一部取り込んだ製品を特許化した。量産ラインはもう動いている。だが実用新案権者が抵触を主張すれば、ラインを止めるか、ライセンス料を払い続けるかの二択を迫られる
  • 製品発売まであと30日。法務が先行技術調査(FTO、Freedom to Operate)の漏れに気付いた。自社特許の土台に、出願日の半年前に出された他社特許がぶら下がっている。今から交渉か、設計変更か、発売延期か。決断のタイムリミットは資金繰りが先に切れる

取るべき行動

被害を受けた側:1. あなたが先行する特許・実用新案・意匠・商標の権利者で、他人の特許製品が自分の権利を利用・抵触していると気付いたら、まず相手の出願日と自分の出願日の前後を確定する(あなたが前なら72条の盾が立つ) 2. 構成要件の対比表を作り、相手製品が自分の権利範囲に入っているかを技術的に立証3. 差止請求(特許法100条)と損害賠償請求(民法709条、特許法102条の損害額推定)を組み合わせる4. 全面対決ではなくライセンス収入を狙うなら、警告書で抵触を示しつつ実施料率の交渉に持ち込む方が回収は早い

訴えられた側:1. 自社の特許製品が他人の先行権利を利用・抵触していると指摘されたら、まず相手権利の有効性を疑う。先行技術を探して無効審判(特許法123条)で相手の権利そのものを潰せないか検討2. 抵触が動かせないなら、構成要件を一つ外す回避設計を技術部門と詰める3. それも難しければ、92条の裁定通常実施権または通常のライセンス交渉へ4. 既に実施してしまった分は、相手の差止めと過失推定(特許法103条)による損害賠償リスクがあるため、在庫の取扱いを弁理士・弁護士と即決する

時効(請求できる期限):72条自体に特定の時効はない。ただし権利者からの差止請求権に消滅時効はなく(権利存続中はいつでも行使可能)、損害賠償請求権は損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年(民法724条)で消滅する。特許権の存続期間は出願から原則20年(特許法67条)であり、土台の特許が満了すれば72条の制約も消える。満了日の管理が交渉の時間軸を決める

学説

通説:72条の利用関係は、後願の特許発明が先願発明の構成要件をすべて含む場合に成立する(全部充足説)。特許の付与と実施の可否を切り離し、権利付与のインセンティブと先願者保護を両立させる趣旨と解される。実施の調整は92条の裁定制度に委ねられる。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和34年(1959年) 新設:現行特許法(昭和34年法律第121号)の制定に伴い、利用抵触関係の規定として設けられた。

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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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