特許法 第91条の2(裁定についての不服の理由の制限)
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第八十三条第二項の規定による裁定についての行政不服審査法の規定による審査請求においては、その裁定で定める対価についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。
この条文の基本情報
裁定についての不服の理由の制限とは何ですか?
定義裁定についての不服の理由の制限とは、特許法第91条の2に定められた規定で、「第八十三条第二項の規定による裁定についての行政不服審査法の規定による審査請求においては、その裁定で定める対価についての不服をその裁定についての不服の理由とするこ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第91条の2(裁定についての不服の理由の制限)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第91条の2の条文原文は「第八十三条第二項の規定による裁定についての行政不服審査法の規定による審査請求においては、その裁定で定める対価についての不服をその裁定についての不服の理由とするこ…」で始まります。
- 特許法第91条の2は第一節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第91条の2の前の条は特許法第91条です。
- 特許法第91条の2の次の条は特許法第92条です。
- 特許法第91条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第91条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第91条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/91_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法91条の2は、83条2項の裁定に対する審査請求において、その裁定で定める対価についての不服を理由にできないと定める。対価の額は183条の訴えで裁判所に争う。
Q · 特許の不実施裁定で決まった使用料が安すぎます。特許庁に不服申立てして金額を上げてもらえますか?
できません。対価の額は183条の訴えで裁判所に争います。
特許法91条の2により、83条2項の裁定に対する審査請求では、その裁定で定める対価についての不服を理由とすることができません。対価の額に不満がある場合は、特許法183条の「対価の額についての訴え」を裁判所に提起する必要があります。この訴えは裁定の謄本の送達があった日から6か月を経過すると提起できません。裁定そのものの当否(存否・手続の瑕疵)を争う場合は審査請求または取消訴訟が入口となり、対価とは別トラックで進行します。
解説
あなたが特許を持っているとする。3年以上それを使っていなかったら、その特許を使いたい第三者が特許庁に申し立て、長官が「この人に使わせなさい」という裁定を下すことがある(83条2項、不実施裁定)。裁定には、相手があなたに払う対価(使用料)の額まで書き込まれる。ここで多くの人が踏み外す。「この金額は安すぎる」と腹を立て、行政不服審査法の審査請求で役所に文句を言おうとする。ところが91条の2は、その入口を固く閉ざしている。裁定そのものへの不服申立てで、対価の額を争うことはできない、と。なぜか。対価の額には専用の入口が別にあるからだ。183条の「対価の額についての訴え」、つまり裁判所に増額(または減額)を求める訴訟である。入口を間違えれば、審査請求は中身を見られないまま却下され、その間に183条の出訴期限(裁定謄本の送達から6か月)が静かに過ぎていく。たった一行の制限規定が、あなたの救済の窓を開けもし、閉じもする。
法的な位置づけ
特許法91条の2は不服理由の制限を定める規定であり、特許法83条2項の裁定に対する行政不服審査法上の審査請求において、当該裁定が定める対価に関する不服を審査請求の理由とすることを禁じる。対価の額に対する不服は、特許法183条の対価の額についての訴えによって裁判所で争うものとされ、行政上の不服申立てと司法審査の対象が制度的に分離される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.裁定の謄本の送達日を確定して記録する 特許庁から届いた裁定の謄本について、送達日を封筒・受領記録とあわせて確定する。この日が183条2項の6か月の起算点になる。受領日を曖昧にすると以後の期限計算が根元から崩れる
- 2.不服の中身を「対価」と「裁定本体」に仕分ける 不満が対価の額のみなのか、裁定の存否・手続の瑕疵にも及ぶのかを切り分ける。対価の額は91条の2により審査請求で争えず、183条の訴えのみが入口となる。裁定本体は審査請求または取消訴訟
- 3.訴訟代理ができる代理人を選定する 183条の訴えは裁判所の民事訴訟であるため、訴訟代理ができる弁護士(または訴訟代理権を有する付記弁理士との協働)に早期に相談する。出訴期限が迫ってから代理人を選び直すと準備が間に合わない
- 4.実施料相場の証拠を収集する 増額または減額の主張を支える証拠として、同種技術の実施料率統計、類似ライセンス契約、業界慣行、当該特許の実施可能性資料を整理する。対価の額は事実認定の勝負になる
- 5.6か月以内に対価の額についての訴えを提起する 裁定の謄本の送達日から6か月以内に、管轄裁判所へ対価の増額(または減額)を求める訴えを提起する。被告適格は特許法184条に従い、裁定の相手方当事者を被告とする
よくある質問 AI による整理
Q1特許法91条の2とは何ですか?
83条2項の不実施裁定に対する審査請求で、裁定が定める対価についての不服を不服理由にできないと定める制限規定です。対価は183条の訴えで争います。
Q2裁定の対価はどこで争うのですか?
裁判所です。特許法183条の「対価の額についての訴え」を提起します。特許庁への審査請求では91条の2により対価を理由にできません。
Q3対価の額の訴えはいつまでに起こせますか?
裁定の謄本の送達があった日から6か月以内です(特許法183条2項)。この期間を過ぎると増額・減額を求める訴え自体が提起できなくなります。
Q4不実施裁定とは何ですか?
特許発明が継続して3年以上日本国内で適当に実施されていない場合などに、実施しようとする者の請求により特許庁長官が通常実施権の設定を裁定する制度です(83条)。
Q5裁定そのものを取り消したい場合はどうしますか?
裁定の存否や手続の瑕疵を争うなら、行政不服審査法の審査請求または行政事件訴訟法の取消訴訟が入口です。対価の額とは別トラックで進めます。
Q6対価が高すぎる側も183条の訴えを使えますか?
使えます。裁定で実施権を得た側が減額を求める場合も、91条の2により審査請求は使えず、183条の訴えが唯一の道です。
Q7審査請求と訴訟を同時に進められますか?
対価の額は183条の訴え、裁定本体は審査請求・取消訴訟と対象が異なるため、両方に不満があれば並行して進めることになります。
Q8対価の額の訴えは誰を被告にしますか?
特許法184条が被告適格を定めます。国ではなく、裁定の相手方当事者(特許権者または実施権者)を被告とする構造です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁定の使用料が安すぎます。特許庁にもう一度見直してもらえませんか?
審査請求で対価の額を争うことはできません(91条の2)。対価の増額を求めるなら、裁定謄本の送達から6か月以内に裁判所へ訴えを起こす必要があります(183条)。実務のポイント:この「役所では金額を争えない」という仕切りを知らずに審査請求へ時間を費やし、183条の6か月を逃して権利そのものを失う例が実務で起きる。裁定書が届いたら、金額の話は最初から裁判所、と頭を切り替えるのが安全。
Q2裁定そのものが不当だと思う場合と、金額だけが不満な場合とで、やることは違うんですか?
全く違います。裁定の存否や手続の瑕疵は審査請求・取消訴訟、対価の額は183条の訴え(裁判所)と、入口がはっきり分かれています(91条の2)。実務のポイント:両方に不満があるなら、二つの手続を並行して走らせる必要がある。対価の訴え(6か月)の期限が短いので、迷ったらまず183条の起算点を押さえ、裁定本体の争いはその枠内で組み立てるのが定石。
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁定に不満なら、とりあえず役所に不服申立てをすればいい」という発想そのものが、ここでは罠になる。問うべきは「何に不満なのか」だ。対価の額なら役所ではなく裁判所、裁定の存否や手続の瑕疵なら審査請求。不満の中身を分けないまま動くと、最初の一手で負ける。
- 「審査請求で全部まとめて争える」と思われがちだが、対価だけは明確に切り離されている。裁定の取消しが認められたとしても、対価の額はその場では1円も動かない。動かしたければ別の扉を叩くしかない。
- 183条の訴えがあること自体は知っていても、その期限の短さを甘く見ている人が多い。裁定謄本の送達から6か月、これは民事の一般的な時効感覚とはまるで別物だ。数か月迷っているうちに、増額・減額を求める権利そのものが消える。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 争える対象 | 特許法91条の2:審査請求では対価の額を不服理由にできない(制限規定) | 特許法183条:裁定で定める対価の額そのもの 行政不服審査法による審査請求:裁定の存否・手続の瑕疵 |
| 判断機関 | —(入口を仕分ける仕切り規定) | 裁判所(民事訴訟) 行政庁(特許庁長官の上級行政庁等)/取消訴訟なら裁判所 |
| 期間制限 | — | 裁定の謄本の送達があった日から6か月(183条2項) 行政不服審査法・行政事件訴訟法の定める期間 |
| 相手方 | — | 裁定の相手方当事者(特許法184条が被告適格を規定) 処分庁・国 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も強制授權の補償金について専責機関の判断と司法救済の役割分担があり、補償金の争いを本体処分の争いと切り分ける発想は日本と共通する
韓国は裁定(재정)による通常実施権設定と、対価に関する訴訟を別条文で規律しており、日本の83条・183条・91条の2の構造と対応関係が強い
ドイツは強制実施権の許諾自体を行政処分ではなく連邦特許裁判所の判決で行うため、対価も同一手続内で裁判所が定める。行政不服申立てとの仕切りという問題自体が生じにくい
米国には一般的な不実施を理由とする強制実施権制度がなく、政府使用に対する補償の額を連邦請求裁判所が判断する枠組みが最も近い対応物となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が10年前に取得した製造装置の特許。コストの問題で実用化を見送っていたら、競合が「不実施だ」と特許庁に裁定を申し立て、通常実施権が設定された。設定された使用料は市場相場の半分。この金額を争いたいなら、行く先は審査請求ではなく裁判所だ。しかも裁定書を受け取った日から6か月で扉は閉じる。
- もし、裁定の使用料に納得がいかないからと、まず行政不服審査法の審査請求をしてしまったら? その申立ては、対価を理由とする限り却下される。そして審査請求にかけた数か月の間に、183条の出訴期限が削られていく。入口の選択を誤った時点で、救済の窓が狭まっていく。
- 逆の立場。あなたが裁定で特許を使わせてもらう側で、設定された対価が高すぎると感じた。同じ91条の2と183条が、あなたにも等しく適用される。減額を求める訴えを、6か月以内に裁判所へ。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 裁定書(謄本)の送達日を記録、これが183条の6か月の起算点になる2. 不満を仕分け:対価の額のみなら183条の訴え(裁判所)、裁定の存否や手続の瑕疵なら行政不服審査法の審査請求または取消訴訟3. 対価については審査請求で争えない(91条の2)ので、最初から訴訟代理ができる弁護士へ相談4. 6か月以内に管轄裁判所へ増額(または減額)を求める訴えを提起。実施料相場・類似ライセンスの資料を証拠として準備する
訴えられた側:1. あなたが裁定で実施権を得た側で対価が高すぎると感じるなら、同じく91条の2で審査請求は使えず、183条の減額訴訟が唯一の道2. 相手(特許権者)が増額訴訟を起こしてきたら、被告適格・管轄を確認して答弁を準備3. 裁定自体の取消しを狙うなら、対価とは別軸で審査請求・取消訴訟の期間内に動く4. 対価と裁定本体は別トラックと割り切り、二つの期限を同時に管理する
時効(請求できる期限):対価の額を争う183条の訴えは、裁定の謄本の送達があった日から6か月を経過すると提起できない(特許法183条2項)。裁定そのものへの審査請求・取消訴訟は行政不服審査法・行政事件訴訟法の期間に従う(審査請求は処分があったことを知った日の翌日から原則3か月等、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(二元的救済構造):裁定は行政処分であるがその中で定まる対価は私人間の財産的利害であるため、裁定本体の当否は行政上の不服申立て、対価の額は183条の訴えによる司法判断に振り分けられるとする理解。91条の2はこの振り分けを担保する明文規定と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)公布、平成28年(2016年)4月1日施行(要検証) 行政不服審査法の全部改正に伴い、異議申立てを廃止し審査請求へ一元化した関連整備として、本条の文言が「行政不服審査法の規定による審査請求」を前提とする形に整えられたと見られる。制定時期および改正回数の正確な確認が必要
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