要点商標法 68 条の 9 は、国際商標登録出願が同一商標・指定商品役務の重複・同一権利者の三要件を満たす場合、その重複範囲につき国内登録の出願日にさかのぼるリプレースメントを定める。
Q · 海外展開のとき、古い日本の商標登録の出願日を国際登録に引き継げるって本当?
三要件を満たせば重複範囲で引き継げます
商標法 68 条の 9 により、国際登録に基づく登録商標が国内登録に基づく登録商標と「同一」で、「指定商品役務が重複」し、「権利者が同一」であるとき、その重複範囲については国際商標登録出願が国内登録の出願日にされたものとみなされます。これがリプレースメント(国際登録による国内登録の代替)です。20 年前の日本の出願日を世界中の権利の基礎として生かせる一方、これを知らずに各国へ新規出願すれば優先日は今日の日付に上書きされます。重複しない商品役務には古い日付は及びません。
海外でブランドを守るため、マドリッドプロトコル(国際登録制度)で複数国へ一気に商標を広げる。その手続の裏で、多くの日本企業が気づかないまま古い権利を捨てている。商標法68条の9はこう定める。すでに日本で登録していた商標と、後から国際登録で日本を指定した商標が同一で、指定商品役務が重複し、しかも権利者が同一人であるとき、その重複範囲については、国際商標登録出願は古い国内登録の出願日にされたものとみなす、と。専門用語で『リプレースメント(国際登録による国内登録の代替)』と呼ぶこの仕組みは、要するに、新しい器に古い出願日を丸ごと注ぎ込む装置だ。あなたが20年前に取った日本の商標登録の出願日を、世界中の権利の基礎として生かし続けられる。これを知らずに各国へ新規出願すれば、優先日は今日の日付に上書きされ、先使用者との争いで足場を失う。
商標法 68 条の 9 は、国際登録に基づく登録商標が国内登録に基づく登録商標と同一であり、指定商品役務が重複し、かつ権利者が同一であるとき、その重複範囲につき国際商標登録出願を国内登録の出願日にされたものとみなす規定である。マドリッド協定議定書 4 条の 2 が定めるリプレースメントを国内法化したものであり、既得の優先日を国際登録へ承継させる機能を持つ。
マドプロの国際登録が既存の国内登録を重複範囲で代替する仕組みです。商標法 68 条の 9 が根拠で、古い国内登録の出願日を国際商標登録出願に引き継がせます。
できます。国際登録に基づく登録商標が国内登録と同一・指定商品役務が重複・同一権利者なら、その重複範囲は国内登録の出願日にされたものとみなされます。
マドリッド協定議定書に基づき日本を指定した領域指定が、商標法上の商標登録出願とみなされたものです。68 条の 9 のリプレースメントの前提となります。
①商標が同一、②指定商品役務が重複、③国内登録と国際登録の権利者が同一、の三つです。一つでも欠けると重複範囲のさかのぼりは認められません。
効果は要件を満たせば当然に生じますが、国際登録簿への記録は別手続で、68 条の 9 第 2 項が 68 条の 32 第 3 項・4 項を準用します(最新手続は施行規則をご確認ください)。
国内登録は日本特許庁に直接出願した権利、国際登録は議定書経由で日本を指定した権利です。重複範囲では 68 条の 9 により国際登録が国内登録を代替します。
三要件を満たした時点で重複範囲につき当然に生じます。特別な出訴期限や時効はありませんが、国内登録の更新を怠ると基礎を失う恐れがあります。
新規出願ではなく国際登録で日本を指定し、商標・指定商品役務・権利者を一致させれば、68 条の 9 で古い国内登録の出願日を承継できます。名義のずれは事前統一が必須です。
リプレースメントが成立すれば、国際登録が重複範囲で国内登録の出願日を引き継ぐため、国内登録を維持しなくても取得済みの権利は保護される。ただし実務では、要件充足の立証リスクを避けて国内登録を併存させる戦略も多い。業界裏話ヒント:代理人が『二重維持は無駄』と単純化して捨てさせる例があるが、係争中や要件が微妙なら残す方が安全だ。捨てる前に重複範囲が完全か必ず確認する。
効果は本条1項の要件(同一商標・指定商品役務の重複・同一権利者)を満たせば、重複範囲につき当然に生じる。ただし国際登録簿に記録する手続は別で、本条2項が68条の32第3項・4項を準用する。業界裏話ヒント:効果が当然発生することと、第三者に証明できることは別物。記録手続を怠ると、侵害訴訟で優先日を主張するとき立証に手間取る(最新の手続はご確認ください)。
原則ならない。本条は『商標権者が同一』を要件とし、別法人格なら親子会社でも同一権利者とは扱われない。名義が旧社名と新社名で食い違うだけでも要件を欠く。業界裏話ヒント:M&Aや組織再編、社名変更のあとは、リプレースメントを使う前に商標権の名義を統一しておくこと。この一手を飛ばすと、優先日を引き継げず権利の基礎が今日の日付に化ける。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 優先日(出願日)の扱い | 68 条の 9(リプレースメント):重複範囲は国内登録の出願日にさかのぼる | — |
| 成立要件 | 商標が同一 + 指定商品役務の重複 + 権利者の同一 | — |
| 効果の発生 | 三要件充足で重複範囲につき当然に発生(記録手続は別途準用) | — |
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