商標法 第82条(両罰規定)
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- 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
- 一第七十八条、第七十八条の二又は前条第一項三億円以下の罰金刑
- 二第七十九条又は第八十条一億円以下の罰金刑
- 2.前項の場合において、当該行為者に対してした前条第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
- 3.第一項の規定により第七十八条、第七十八条の二又は前条第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
この条文の基本情報
両罰規定とは何ですか?
定義両罰規定とは、商標法第82条に定められた規定で、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第82条(両罰規定)は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第82条の条文原文は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その…」で始まります。
- 商標法第82条は第九章に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第82条の前の条は商標法第81条の2です。
- 商標法第82条の次の条は商標法第83条です。
- 商標法第82条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第82条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第82条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/82
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法82条は両罰規定を定め、従業者が商標法違反をした場合、行為者本人に加え、その法人にも罰金刑(最大3億円)を科す。法人は相当の注意を尽くした立証がない限り免責されない。
Q · 従業員が偽ブランド品を売ったら、何も知らない会社まで罰金を払うことになるの?
行為者本人に加え、会社にも最大3億円の罰金が科されます
商標法82条の両罰規定により、従業者が業務に関し商標法違反をした場合、現実に行為した本人を罰するほか、その法人にも別個に罰金刑が科されます。第78条・第78条の2・第81条1項違反なら3億円以下、第79条・第80条違反なら1億円以下です。判例は法人の選任・監督上の過失を推定する立場をとるため、会社が「相当の注意を尽くした」と立証しない限り、知らなかったでは免責されません。
解説
自社の従業員が、仕入れた商品に他社ブランドのロゴを無断で付けて売っていた。社長は何も知らなかった。それでも、商標法82条はあなたの会社そのものに最大3億円の罰金を科す。両罰規定と呼ばれるこの仕組みは、実際に手を下した従業員(行為者)を罰するだけでなく、その背後にいる法人にも別個に罰金刑を科す。しかも法人への罰金は、行為者個人の罰金とは桁が違う。78条・78条の2・81条1項の違反なら3億円、79条・80条の違反なら1億円。なぜ会社まで罰せられるのか。判例は、法人が従業員の選任・監督を怠った過失を推定する立場をとる。つまり「知らなかった」では逃げられず、「きちんと監督していた」と会社側が立証しない限り責任を免れない。商標チェックの社内体制があるかどうかが、3億円の分かれ目になる。
法的な位置づけ
商標法第82条は両罰規定であり、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が法人の業務に関して商標法上の一定の罪を犯した場合に、現実に行為した自然人を罰するほか、その法人に対しても別個に罰金刑を科すことを定める規定である。法人に対しては行為者個人より高額の罰金(法人重課)が定められている点に特色がある。
よくある質問 AI による整理
Q1両罰規定とは何ですか?
違反行為をした行為者本人だけでなく、その背後の法人や事業主にも別個に罰金刑を科す仕組みです。商標法では82条が定め、法人と個人を別人格として併せて処罰します。
Q2商標法82条の罰金はいくらですか?
法人に対する重課で、第78条・第78条の2・第81条1項違反は3億円以下、第79条・第80条違反は1億円以下です。行為者個人は各本条の罰金刑になります。
Q3偽ブランド品を売ると会社も罰せられますか?
従業者が業務に関し他社商標を無断使用すれば、行為者個人に加え法人にも82条で罰金が科され得ます。会社の仕入れチェック体制が機能していたかが問われます。
Q4両罰規定はどんな法律にありますか?
商標法のほか特許法・不正競争防止法・著作権法など知的財産法、独占禁止法、各種行政取締法に広く置かれています。日本の規制立法に共通する処罰手法です。
Q5法人が両罰規定の罰金を免れる方法はありますか?
判例は選任・監督上の過失を推定するため、会社が「相当の注意を尽くした」ことを社内規程・研修記録・確認フロー等で積極的に立証できれば免責の余地があります。
Q6両罰規定の時効は何年ですか?
82条3項により、法人への罰金刑の時効は各違反規定の罪の時効によります。例えば78条違反は拘禁刑を含むため公訴時効は7年で、起算点は行為終了時です。
Q7下請けが商標違反したら発注元も罰せられますか?
下請けが独立の主体なら直ちに発注元法人の犯罪にはなりませんが、発注元が監督を怠った関与があれば、業務関連性に応じて両罰規定の射程に入る可能性があります。
Q8退職した社員の商標違反でも会社は罰金ですか?
在職中の行為が会社の業務に関するものであれば、行為者が退職していても法人への罰金刑は別個に成立し得ます。「辞めた人がやったこと」では会社は逃れられません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社長が本当に何も知らなかったのに、会社が罰金を払わされるのは納得いかないんですが?
判例の立場では、両罰規定の法人処罰は従業員の選任・監督を怠った過失を推定する構造です(最大判昭和32.11.27の趣旨)。つまり会社側が「相当の注意を尽くした」と立証しない限り、知らなかったでは免責されません。実務のポイント:この立証は理屈ではなく証拠で決まります。商標チェックの社内マニュアル、定期研修の出席記録、仕入れ時の権利確認フローが文書で残っているかどうかが分水嶺。事件が起きてから作っても遅い、平時の記録が会社を救う
Q2行為者個人にも罰金、会社にも罰金、これって二重に罰してませんか?
二重処罰ではありません。憲法39条が禁じるのは同一人を二度罰することで、行為者個人と法人は法律上別の人格です。それぞれが自己の責任で処罰されます(商標法82条1項)。実務のポイント:実務では法人の罰金額(最大3億円)の方が行為者個人の罰金より桁違いに重い。会社にとっての本当のダメージは個人の刑罰ではなく法人罰金です。だから弁護方針も、まず法人を守る設計から組み立てるのがセオリー
Q3従業員一人を告訴したら、会社は告訴しなくても自動的に対象になるんですか?
なります。商標法82条2項により、行為者に対してした告訴は法人にも効力を生じ、法人に対してした告訴は行為者にも効力を生じます。片方だけを告訴対象にしたつもりでも、両方に及びます。実務のポイント:これは告訴を受ける側にとっても重要で、行為者個人とだけ示談して告訴を取り下げてもらっても、法人への効力が残る構造に注意が必要。示談は行為者・法人の両方を巻き込んで一括で設計しないと、片方に火種が残る
間違えやすい点 AI による整理
- 「行為者本人を罰したうえに会社も罰するのは二重処罰では」と思う人が多いが、これは前提が誤っている。罰せられる主体が違う。行為者個人と法人は別人格であり、それぞれが自己の責任で処罰される。二重処罰の禁止(憲法39条)は同一人を二度罰することを禁じるのであって、別主体への併科を妨げない
- 「社長や役員が個人的に関与していなければ会社は無罪」と信じられているが、判例はその逆を行く。法人処罰の根拠は従業員への直接の指示ではなく、選任・監督上の過失の推定にある。会社が「相当の注意を尽くした」と積極的に立証できなければ、関与を知らなくても罰金は科される
- 両罰規定は知っていても、その罰金額の重さを知る経営者は少ない。行為者個人の罰金は数百万から1000万円規模だが、法人重課は3億円。会社にとっては個人の刑罰より法人罰金の方が事業継続を脅かす本丸であり、軽視できる金額ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 法人への罰金上限 | 第82条:違反規定ごとに3億円/1億円を法人に重課 | 第78条・第78条の2・第81条1項:3億円以下 第79条・第80条:1億円以下 |
| 処罰される主体 | 行為者と法人(人)の双方を別個に処罰 | 行為者本人(各本条の罰金・拘禁刑) 行為者本人(各本条の罰金・拘禁刑) |
| 告訴の効力 | 行為者・法人の双方に効力が及ぶ(82条2項) | 親告罪の告訴は81条2項による — |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は商標法には包括的な両罰規定を置かないが、著作権法101条が代表者・従業者の業務上の侵害について法人・自然人にも罰金を科す兩罰規定を定め、機能的に対応する。
韓国商標法も양벌규정を置き、法人・個人事業主に対して罰金を科す。相当の注意を尽くした場合の免責規定(但書)が明文化されている点が特徴。
ドイツは法人自体の刑事責任を認めず、秩序違反法(OWiG)30条により法人へ過料(Geldbuße)を科す行政制裁の枠組みで対応する。
米国は respondeat superior 法理により、従業員が職務範囲内で会社の利益のために行った犯罪について法人に刑事責任を認める。New York Central 事件(1909)が先例。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが仕入れ担当として並行輸入品を扱っていて、実はその一部が精巧な偽ブランド品だった。あなた個人が78条で起訴されるのは当然として、勤務先の法人にも82条で最大3億円の罰金が降りかかる。会社の法務担当者が真っ先に確認するのは、あなた個人の故意ではなく、会社の仕入れチェック体制が機能していたかどうかだ
- もし、もう退職した元社員が在職中に他社商標を無断使用した製品を製造していたと、数年後に発覚したらどうなる? 行為者本人が辞めていても、その業務が会社の事業に関するものであれば、法人への罰金刑は別個に成立しうる。「もう辞めた人間がやったこと」では会社は逃げきれない
- OEM で製造を下請けに丸投げ。下請け工場が勝手に有名キャラクターの商標を付けて出荷した。発注元のあなたの会社も、監督を怠れば問われる
- 商標権者から刑事告訴された。あと数日で告訴期間の判断が動く局面で、知っておくべきは82条2項。行為者個人への告訴は法人にも自動的に効力が及び、逆もまた然り。片方だけ守れば済む話ではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 商標権者として侵害品を発見したら、行為者個人だけでなく、その背後の法人を被告とする構図を最初から描く。82条により法人へも罰金刑が及ぶ2. 証拠保全:侵害品の現物、販売ページ、流通経路、製造主体を特定し記録化3. 刑事告訴は78条等の本条と82条をセットで構成、82条2項で告訴の効力が行為者・法人双方に及ぶことを踏まえる4. 並行して民事の差止・損害賠償(商標法36条、38条)を検討、刑事の圧力が和解を促す
訴えられた側:1. 法人として疑いをかけられたら、まず「相当の注意を尽くした」ことを示す証拠を固める。商標チェックの社内規程、研修記録、稟議の承認履歴2. 発覚後の是正対応(販売停止、回収、権利者への謝罪)を即座に記録化、過失推定を覆す材料にする3. 行為者個人と法人で利益相反が生じうるため、それぞれ別の弁護人を立てることを検討4. 告訴前の段階での権利者との示談・和解を最優先、不起訴の可能性を残す。罰金額(最大3億円、最新の改正状況をご確認ください)を踏まえコストを試算
時効(請求できる期限):本条3項により、法人・人に罰金刑を科す場合の時効期間は、78条・78条の2・81条1項など各違反規定の罪の時効期間による。例えば78条(商標権侵害)は10年以下の拘禁刑を含むため公訴時効は7年(刑事訴訟法250条)。起算点は犯罪行為の終了時
学説
過失推定説(通説・判例):両罰規定における法人・事業主の処罰根拠を、従業者の選任・監督を怠った過失の推定に求める立場。無過失責任ではなく、相当の注意を尽くした立証により免責の余地を残すことで責任主義との整合を図る。実務上の中心的見解である。
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