国民年金法 第20条の2(受給権者の申出による支給停止)
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- 年金給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。ただし、この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。
- 2.前項ただし書のその額の一部につき支給を停止されている年金給付について、この法律の他の規定又は他の法令の規定による支給停止が解除されたときは、前項本文の年金給付の全額の支給を停止する。
- 3.第一項の申出は、いつでも、将来に向かつて撤回することができる。
- 4.第一項又は第二項の規定により支給を停止されている年金給付は、政令で定める法令の規定の適用については、その支給を停止されていないものとみなす。
- 5.第一項の規定による支給停止の方法その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
この条文の基本情報
受給権者の申出による支給停止とは何ですか?
定義受給権者の申出による支給停止とは、国民年金法第20条の2に定められた規定で、「年金給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金給付を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第20条の2(受給権者の申出による支給停止)は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第20条の2の条文原文は「年金給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金給付を除く。」で始まります。
- 国民年金法第20条の2は第一節 通則に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第20条の2の前の条は国民年金法第20条です。
- 国民年金法第20条の2の次の条は国民年金法第21条です。
- 国民年金法第20条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第20条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第20条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/20_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法20条の2は、受給権者の申出により年金の全額の支給を停止できると定める。受給権は消滅せず、申出はいつでも将来に向かって撤回できる。
Q · 自分の年金って、本人から「止めてください」と言って止められるんですか?
はい。受給権者本人の申出で全額停止でき、撤回も自由です
国民年金法20条の2により、年金給付の受給権者は自ら申し出て、その年金の全額の支給を停止できます。受給権自体は消滅せず、申出は3項によりいつでも将来に向かって撤回できます。ただし4項により、停止中の年金は政令で定める法令の適用上は「支給を停止されていないもの」とみなされるため、他制度の判定で収入ゼロ扱いになるとは限りません。既に他の規定で全額停止されている年金は本条の対象外です。
解説
年金は「もらう権利がある人が、必ず受け取らなければならないもの」だと思われている。だが国民年金法20条の2は、その常識に穴を開ける。受給権者が自分から申し出れば、年金の全額支給を止められる。権利そのものが消えるわけではない。止めるだけで、しかも3項によって、いつでも将来に向かって撤回できる。なぜこんな制度があるのか。年金を受け取ることで扶養控除の枠から外れる、相手方の所得制限に引っかかる、生活保護の運用上不利になる、あるいは家族の関係上その口座に入金されると困る。金額の多寡ではなく、入金されること自体が不利益を生む場面が現実に存在するからだ。さらに4項が効く。支給停止中でも、政令で定める法令の適用上は「停止されていないものとみなす」。つまり止めたことで他の資格まで失うわけではない。あなたが握るのは、年金を蛇口のように開閉できるレバーである。
法的な位置づけ
国民年金法20条の2は、受給権者の申出による年金給付の支給停止を定める規定である。既に全額停止されている年金は対象外であり、一部停止中の場合は停止されていない部分の額が対象となる。申出は将来に向かって撤回でき、停止中の年金は政令で定める法令の適用については支給を停止されていないものとみなされる。
手順
- 1.自分の年金が全額停止中か一部停止中かを確定させる 年金証書・支給額変更通知書・振込通知書を確認し、他の規定による支給停止の有無を特定する。既に全額停止されている年金は1項括弧書きにより本条の対象外であり、申出自体が空振りになる
- 2.申出の目的と4項の効果が噛み合うか事前に検証する 扶養控除・被扶養者判定・他制度の収入判定を目的とする場合、4項の「政令で定める法令」に当該制度が含まれていないかを年金事務所に確認する。含まれていれば、年金は入らないのに他制度上は受給扱いという最悪の組み合わせになる
- 3.本人の意思確認、または法定代理権を整える 申出は受給権者本人の意思表示が要件である。本人に判断能力がない場合は、成年後見・保佐・補助の申立てを行い法定代理権を得る。後見人が申し出る場合、本人の財産に影響するため家庭裁判所への事前相談を検討する
- 4.年金事務所で申出書を提出し、撤回時の取扱いを記録に残す 所定の支給停止申出書を提出する。提出時に、効果が発生する月、撤回した場合の再開時期、停止期間分の取扱いを窓口に確認し、担当者名と日付をメモに残す。3項により撤回はいつでも可能である
よくある質問 AI による整理
Q1申出による支給停止とは何ですか?
受給権者本人が年金事務所に申し出ることで、年金給付の全額の支給を止める制度です。国民年金法20条の2が根拠で、役所側の判断による停止とは力の向きが逆です。
Q2年金を止めたら受給権も消えますか?
消えません。本条が止めるのは支給だけで、受給権そのものは残ります。だからこそ3項により、いつでも将来に向かって申出を撤回して支給を再開できます。
Q3家族が本人の代わりに年金停止を申し出できますか?
家族という立場だけでは足りません。本条は受給権者本人の申出を要件とするため、本人に判断能力がなければ成年後見人等の法定代理権、または本人からの委任が必要です。
Q4年金の支給停止の申出はどこで手続きしますか?
年金事務所または街角の年金相談センターです。所定の申出書を提出します。効果が発生する月と、撤回した場合の取扱いを窓口で必ず確認し、記録に残してください。
Q5扶養控除のために年金を止めるのは有効ですか?
目的と効果が噛み合うかを事前に確認する必要があります。扶養控除や被扶養者の判定基準と、本条の停止の効果は別の法令に属します。税理士・社会保険労務士への事前相談が前提です。
Q6支給停止の申出に期限はありますか?
申出および撤回そのものに期限の定めはありません。3項は「いつでも」撤回できると明記します。ただし年金給付を受ける権利の消滅時効(国民年金法102条)とは別問題です。
Q7生活保護を受けるために年金を止められますか?
申出自体は可能ですが、生活保護は他の制度を優先する仕組みであり、年金を止めれば保護が有利になるとは限りません。4項により他法令上は受給しているものとみなされる場面もあります。
Q8障害年金や遺族年金も申出で止められますか?
本条の対象は国民年金法上の「年金給付」であり、老齢基礎年金だけに限られません。ただし既に他の規定で全額停止されている年金は、1項括弧書きにより対象外です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1年金を止めたら、あとで「やっぱり欲しい」と言っても取り返せないんですか?
撤回自体はいつでもできる(本条3項)。ただし条文は「将来に向かつて」と書いており、止めていた期間分が自動的に遡って支払われるとは書かれていない。実務のポイント:この「遡及の可否」こそ相談で最初に聞くべき点であり、条文だけ読んで判断すると数十万円単位の差が出る。申出書を出す前に、撤回時の取扱いを窓口に確認して記録に残しておくこと
Q2止めれば収入ゼロ扱いになって、他の給付が受けやすくなりますよね?
そう単純ではない。4項は、政令で定める法令の適用については支給を停止されていないものとみなすと定めている。つまり制度によっては、止めていても受け取っているものとして計算される。実務のポイント:どの法令が政令で指定されているかが実務の分かれ目であり、ここを確認せずに申出をすると「年金は入らないが他制度上は収入があるものとされる」という最悪の組み合わせになりうる
Q3他の理由ですでに一部止められている年金でも、この申出はできますか?
できる。1項ただし書が正面から手当てしており、一部停止されている場合は停止されていない残りの部分が申出の対象になる。さらに2項により、その後に他の規定による停止が解除されたときは、全額が停止される扱いに移行する。実務のポイント:既に全額停止されている年金は1項括弧書きで対象外である。自分の年金が全額停止か一部停止かを先に確定させないと、申出自体が空振りする
間違えやすい点 AI による整理
- 「年金の支給停止」と聞くと、在職老齢年金や所得制限による強制的な停止を思い浮かべる人がほとんどである。だが20条の2の停止は正反対の性質を持つ。役所が止めるのではなく、受給権者本人が自ら申し出て止める制度である。同じ「支給停止」という言葉が、真逆の力の向きを指している
- 止めれば受給権も消えると思われがちだが、消えるのは支給だけで権利は残る。ここまでは多くの解説が書いている。だが本当に重要なのは4項の射程である。政令で定める法令の適用上は「支給を停止されていないものとみなす」。つまり他の給付や制度の判定においては、止めたのに受け取っているものとして扱われる場面がある。「止めれば他の制度上も収入ゼロになる」という期待は、この4項によって裏切られる可能性がある
- 「本人が困っているなら家族が代わりに申し出ればいい」と考える人がいるが、問いの立て方が誤っている。20条の2は受給権者本人の申出を要件とする制度であり、家族という立場だけでは代理権は生じない。必要なのは成年後見人・保佐人・補助人といった法定代理権の裏付け、あるいは本人からの委任である。誰が申し出るかではなく、どの法的地位に基づいて申し出るかが問われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 停止を決める主体 | 20条の2:受給権者本人の申出 | 20条:法律の規定による併給調整(本人の意思と無関係) 16条:裁定は請求に基づく行政処分(そもそも支給開始の手続) |
| 受給権への影響 | 受給権は残り、支給だけが止まる | 受給権は残るが、選択しなかった給付が停止される 裁定がなければ支給が始まらない(権利の確認手続) |
| 元に戻す方法 | 3項によりいつでも将来に向かって撤回できる | 調整事由の消滅または選択替えによる 未請求なら改めて裁定請求を行う |
| 他法令上の扱い | 4項により政令で定める法令の適用上は停止されていないものとみなす | 停止された給付は原則として受給していない扱い 裁定前は受給権の存在自体が未確定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の國民年金法は請求主義を前提とし、受給権者の申出による自主的な支給停止の明文は確認できない。実務上は未請求または請求権の時効の問題として処理される(現行条文は要確認)
지급정지(支給停止)の規定群は存在するが、本人の申出による停止に相当する明文があるかは要確認。日本の本条のような撤回自由の明文は確認できていない
書面による社会給付の放棄を認め、かつ「jederzeit mit Wirkung für die Zukunft widerrufen」=いつでも将来に向かって撤回できると定める。日本の本条1項・3項とほぼ同じ設計思想であり、比較対象として最も近い
受給者の申出による給付の任意停止(voluntary suspension)を認める。米国では繰下げ加算との関係で使われる場面が中心であり、扶養・世帯判定のために止めるという日本的な動機とは文脈が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 老齢基礎年金の受給が始まった親を、あなたが税法上の扶養に入れている。年金収入が加わって扶養控除の要件から外れそうだと分かったとき、20条の2の申出という選択肢がテーブルに乗る。ただし控除要件の判定と支給停止の効果は別問題であり、税務上の扱いは事前に税理士へ確認すべきである
- 認知症の親名義の口座に年金が振り込まれ続けているが、家族の誰も引き出せない。成年後見の申立てにも時間がかかる。この間、入金だけが積み上がる。支給停止の申出は受給権者本人の意思表示が要件であり、本人に判断能力がない場合は成年後見人等を通じることになる。ここが最大の実務上の壁である
- もし、あなたが申出をした後で「やっぱり生活が苦しくなった」と気付いたら、どうなるのか。3項が答えを持っている。いつでも撤回できる。ただし条文が明記するのは「将来に向かつて」。止めていた期間の分が遡って支払われるかどうかは、この条文だけからは読み取れない。撤回を考えた時点で年金事務所に確認すること
- 離婚協議の最中で、年金の入金記録が財産分与や養育費の算定資料として相手方に把握されることを避けたい。だが停止しても記録は残り、4項により他法令上は受給しているものとみなされる場面がある。「止めれば見えなくなる」という発想は成立しない
- 自分に受給権があることに気付かないまま数年が過ぎ、まとめて請求しようとしている。この場合そもそも20条の2の申出は不要で、必要なのは裁定請求である。止めるレバーと、そもそも蛇口を開ける手続きは別物である
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分または本人の年金が、既に他の規定で全額停止されていないか確認する。全額停止中の年金は1項括弧書きにより本条の対象外である2. 一部停止中なら、1項ただし書により停止されていない部分が対象になる3. 年金事務所に申出の書式・効果発生時期・4項の政令が具体的にどの法令を指すかを確認する4. 扶養控除や被扶養者判定を目的とするなら、税務・健保の判定基準と申出の効果が本当に噛み合うか、税理士または社会保険労務士に事前確認する。目的と効果がずれた申出は、収入だけ失って目的を達成しない
訴えられた側:1. 家族が本人の年金停止を求めてきた場合、本人の意思確認が可能かをまず切り分ける2. 本人に判断能力があるなら本人の申出、なければ成年後見等の法定代理権が必要であり、家族の立場だけでは足りない3. 本人の利益に反する申出(他者の都合のために本人の生活資金を絶つ)が疑われる場面では、家庭裁判所や地域包括支援センターへの相談を検討する4. 3項により撤回はいつでも可能である以上、一度の申出が不可逆的な損失になるわけではない。この点を家族間の議論の前提に置く
時効(請求できる期限):本条の申出および撤回そのものに特定の期限は定められていない。3項は「いつでも、将来に向かつて撤回することができる」と明記する。ただし年金給付を受ける権利は5年を経過したときに時効によって消滅する(国民年金法102条)ため、支給停止と時効の関係は個別に年金事務所へ確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
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