国民年金法 第24条(受給権の保護)
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給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
受給権の保護とは何ですか?
定義受給権の保護とは、国民年金法第24条に定められた規定で、「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第24条(受給権の保護)は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第24条の条文原文は「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。」で始まります。
- 国民年金法第24条は第一節 通則に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第24条の前の条は国民年金法第23条です。
- 国民年金法第24条の次の条は国民年金法第25条です。
- 国民年金法第24条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第24条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第24条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/24
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法24条は、年金の受給権について譲渡・担保提供・差押えを禁じる。例外は老齢基礎年金と付加年金を国税滞納処分で差し押さえる場合のみで、振込後の預金には保護が及ばない。
Q · 年金って、税金を滞納していても差し押さえられないんですか?
受給権は守られるが、振込後の預金は差押え対象になる
国民年金法24条本文は、給付を受ける権利の譲渡・担保提供・差押えを全面的に禁止しています。ただし書の例外は、老齢基礎年金と付加年金を国税滞納処分により差し押さえる場合のみで、障害基礎年金と遺族基礎年金の受給権は滞納処分でも差し押さえられません。もっとも、保護の対象は受給権であり、口座に振り込まれた後の預金債権には及びません。差押えを受けたときは、民事執行法153条の差押禁止債権の範囲変更の申立てが実務上の対抗手段になります。
解説
借金の取り立ての場で「年金を担保に入れれば貸せる」と持ちかけられたなら、その提案は法律上そもそも成立しない。国民年金法24条は、給付を受ける権利の譲渡、担保提供、差押えを本文で全面的に禁じている。あなたの年金受給権は、あなた以外の誰の手にも渡らない。例外はただ一つ、老齢基礎年金と付加年金を国税の滞納処分(税金や社会保険料の未納を理由に役所が財産を強制的に取り立てる手続)で差し押さえる場合だけである。裏返せば、障害基礎年金と遺族基礎年金は、税金を滞納していても受給権を差し押さえられない。ここまでが条文の表側だ。裏側にはもっと重要な事実がある。この盾が守るのは「受給権」という一点であって、振り込まれた後のお金ではない。銀行口座に入った瞬間、年金は預金債権へ姿を変え、最高裁は原則として差押え可能と判断している(最判平成10.2.10)。守られているのは蛇口であって、バケツの中身ではない。
法的な位置づけ
国民年金法24条は受給権の保護を定める規定であり、給付を受ける権利について譲渡、担保供与、差押えを本文で禁止する。ただし書は例外として、老齢基礎年金及び付加年金を受ける権利を国税滞納処分により差し押さえる場合を除外する。保護の対象は受給権自体であり、支給後に生じた預金債権はこれに含まれない。
手順
- 1.差押命令の送達日を記録し、対象を特定する 差押命令が届いたら封筒と書面から送達日を控える。差押えの対象が年金の受給権なのか、振込先の預金債権なのかを書面上で特定する。受給権に対する差押えであれば、給付の種類が老齢基礎年金・付加年金以外なら24条本文により差押え自体が許されない
- 2.原資が年金であることを疎明できる資料を揃える 年金振込通知書と通帳の入金記録を並べ、口座残高の原資が年金給付であることを日付と金額で追跡できる形にする。給与や事業収入と同一口座で混在している場合は、入金日ごとの内訳表を作成する。日が経つほど他の入金と混ざり追跡が困難になるため、着手は早いほどよい
- 3.差押禁止債権の範囲変更を申し立てる 差押債権者の取立てが実行される前に、執行裁判所へ民事執行法153条の差押禁止債権の範囲変更を申し立て、あわせて取立ての一時禁止を求める。書式は裁判所に備えられており本人でも提出できる。生活費として必要な額と家計の状況を具体的に記載する
- 4.滞納処分の場合は禁止額の計算根拠を開示させる 差押えが役所の滞納処分によるものであれば、徴収担当に国税徴収法77条に基づく差押禁止額の計算根拠の開示を求める。受け取っている給付が障害基礎年金または遺族基礎年金であれば、受給権自体が24条ただし書の例外に当たらない旨を明示して争う
よくある質問 AI による整理
Q1受給権の保護とは何ですか?
年金を受け取る権利そのものを譲渡・担保・差押えの対象から外す仕組みです。国民年金法24条本文が定め、受給者の生活原資を法律上流通の外に置きます。
Q2老齢基礎年金は差し押さえられますか?
24条ただし書により、老齢基礎年金と付加年金は国税滞納処分による差押えが可能です。ただし国税徴収法77条の差押禁止額があり、全額を失うわけではありません。
Q3年金を担保に借入れはできますか?
できません。担保に供する法律行為が24条により効力を持たないためです。年金担保貸付制度も令和4年(2022年)3月末で新規受付を終了しています。
Q4年金の振込口座は差し押さえられますか?
振り込まれた時点で預金債権に変わるため、原則として差押えの対象になります。受給権の保護は振込完了までで、口座残高までは及びません。
Q5自己破産すると年金はどうなりますか?
受給権は差押禁止財産として破産財団に属さず(破産法34条3項2号)、自由財産として手元に残ります。24条の保護がそのまま破産手続に持ち込まれます。
Q6離婚で年金を分けることはできますか?
分割できるのは厚生年金の報酬比例部分の記録のみです。基礎年金の受給権は24条の譲渡禁止により、協議書に書いても移転しません。
Q7年金の差押えに異議はいつまでに出せますか?
執行抗告は差押命令の送達から1週間(民事執行法10条2項)、差押禁止債権の範囲変更の申立ては差押債権者の取立てが行われるまでです(同法153条)。
Q8国民健康保険料の滞納でも年金は差し押さえられますか?
国税滞納処分の例による処分も24条ただし書に含まれます。対象は老齢基礎年金と付加年金に限られ、障害基礎年金と遺族基礎年金の受給権は含まれません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1年金を担保にお金を貸してくれるって業者を見つけたんですが、大丈夫ですか?
担保に供する合意は24条により効力を持たず、正規の金融機関がこの形で貸すことはない。かつての年金担保貸付制度も令和4年(2022年)3月末で新規受付を終了している。実務のポイント:この手の業者は担保設定ではなく、年金証書と通帳、印鑑を預からせて事実上の取立てを行う形を取る。年金証書は年金事務所で再発行できるので、預けてしまった後でも手続の主導権は取り戻せる
Q2税金を滞納しています。障害年金も差し押さえられてしまうんでしょうか?
24条ただし書の例外は老齢基礎年金と付加年金だけである。障害基礎年金と遺族基礎年金の受給権は、国税滞納処分によっても差し押さえられない。ただし口座に入った後の預金は別枠になる。実務のポイント:徴収担当が「年金は差押えできる」と説明する場面があるが、それは老齢基礎年金を前提にした一般論であることが多い。給付の種類を明示して根拠条文を確認すると、対応が変わる
Q3年金の振込口座を丸ごと差し押さえられました。もう取り戻せませんか?
取立てが実行される前なら、執行裁判所に差押禁止債権の範囲変更を申し立てられる(民事執行法153条)。振込直後を狙った差押えを違法とした裁判例もある(広島高裁松江支部 平成25.11.27)。実務のポイント:この申立ては本人でも出せる書面で、裁判所に書式がある。弁護士を探す時間がないときほど、まず自分で出して取立ての一時禁止を求めておくほうが、結果として残る額が大きい
Q4親が亡くなりました。まだ振り込まれていない年金は、相続財産になりますか?
ならない。未支給年金は国民年金法19条が定める遺族固有の請求権であり、相続財産には属さない(最判平成7.11.7)。24条の譲渡禁止と同じく、受給権の一身専属的な性格から導かれる帰結である。実務のポイント:請求できる遺族の範囲と順位は民法の相続順位と異なり、生計同一が要件になる。相続放棄をした人でも未支給年金だけは請求できるというねじれが生じ、実務ではよく見落とされる
間違えやすい点 AI による整理
- 年金は差し押さえられないという事実自体は、多くの人が知っている。知られていないのは、その保護が「受給権」という一点にしか及ばない深刻さのほうだ。振り込まれた瞬間に預金債権へ変わり、最高裁は原則として差押えを認めている(最判平成10.2.10)。知識としての差押禁止は、そのままでは生活防衛の武器にならない
- 「年金を担保にお金を借りられるか」という問いの立て方そのものが誤っている。24条が禁じているのは借りる行為ではなく、担保に供するという法律行為の効力そのものだからだ。かつて存在した年金担保貸付制度は、独立行政法人福祉医療機構が法律上の特例として運営していたもので、令和4年(2022年)3月末で新規申込の受付を終えている。今「年金担保」を持ちかけてくる業者がいれば、違法業者と考えてよい
- ただし書があるから老齢基礎年金は丸ごと持っていかれる、と読むのは早計である。滞納処分で差し押さえる場合でも、国税徴収法77条が社会保険制度に基づく給付についての差押禁止額を定めており、生活に必要な部分は残される。差押えの対象になることと、全額を失うことは別の話だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 保護の内容 | 国民年金法24条:受給権の譲渡・担保・差押えの禁止 | 国民年金法25条:給付に対する租税その他の公課の禁止 国民年金法19条:未支給年金を遺族固有の請求権とする |
| 守る局面 | 債権者・徴収機関による受給権への実行を遮断する | 課税による給付額の実質的な目減りを防ぐ 受給者死亡時に給付が相続財産へ流出することを防ぐ |
| 例外の有無 | 老齢基礎年金・付加年金の国税滞納処分による差押えのみ例外 | 老齢給付等について例外的に課税される場合がある 請求できる遺族の範囲と順位に生計同一の要件がある |
| 振込後の効力 | 及ばない。預金債権化した後は原則として差押え可能 | 給付段階の課税関係を規律し、預金化後は一般の財産として扱う 未支給分が対象であり、支払済みの金銭には及ばない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保険給付を受ける権利について譲渡・相殺・差押え・担保供与をまとめて禁止する。租税滞納を理由とする例外を条文上明示しない点で日本と設計が異なる
韓国も受給権の譲渡・差押え・担保供与を禁止する同旨の規定を置く。給付の種類による例外の切り分け方は日本と細部が異なる
ドイツは社会給付の譲渡・質入れと差押えを分けて規律し、差押えを一律禁止せず債権の性質と金額に応じて可否を判定する段階的構造を採る
米国は社会保障給付の譲渡・差押えを広く禁止し、判例上も強い保護を認めるが、連邦税債務や扶養料など連邦法上の例外が別途定められている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、市役所から国民健康保険料の滞納を理由に財産調査の通知が届いたとしたら? あなたの収入が障害基礎年金だけなら、その受給権は24条本文で守られ、ただし書の例外にも当たらない。だが徴収担当が見るのは受給権ではなく通帳残高である。守られている領域と、実際に持っていかれる領域が食い違っていることを、通知を受け取った時点で理解しているかどうかで、その後の交渉の言葉が変わる
- 親の介護費用を立て替えた見返りに、年金証書と通帳、印鑑を預かって毎月引き出している。家族の間では珍しくない光景だが、年金受給権そのものを担保に取る合意は24条違反で無効であり、法的な回収手段としては一切機能しない。回収したいなら、親の一般財産に対する通常の債権として最初から組み立て直すしかない
- 離婚協議で「将来の年金の半分を毎月渡す」と書面に残した。受給権の譲渡は24条で無効。分けられるのは厚生年金の報酬比例部分の記録(年金分割)だけで、基礎年金の受給権は動かない
- 年金の振込口座に差押命令が送達された。執行抗告の期間は送達から1週間(民事執行法10条2項)、差押禁止債権の範囲変更の申立ては差押債権者の取立てが行われるまで(同法153条)。年金振込通知書と通帳の入金記録を揃えて動けるかどうかで、来月の生活費が手元に残るかが決まる
- 年金の振込口座と住宅ローンの引落口座を同じにしていたところ、返済が滞ったことを理由に銀行が預金と貸金を相殺してきた。相殺は差押えではないため、24条はこれを止めない。条文が想定した盾の外側で、年金がそのまま消えていく典型例である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押命令が届いたら送達日を記録する、執行抗告は送達から1週間(民事執行法10条2項) 2. 年金振込通知書と通帳の入金記録を揃え、原資が年金であることを疎明できる形にする3. 取立てが実行される前に執行裁判所へ差押禁止債権の範囲変更を申し立て、あわせて取立ての一時禁止を求める(同法153条) 4. 滞納処分によるものなら、差押えを行った役所の徴収担当に国税徴収法77条の禁止額の計算根拠の開示を求める5. 受け取っているのが障害基礎年金または遺族基礎年金なら、受給権自体は24条本文で差押え不可であることを明示して争う
訴えられた側:年金受給権そのものを担保に取る合意書は24条違反で無効であり、回収手段として一切機能しない。組み立て直す道は二本、(1)年金以外の一般財産の調査、(2)振込後の預金債権への差押えである。ただし振込日を狙い撃ちする預金差押えは、差押禁止の潜脱として違法とされた裁判例がある(広島高裁松江支部 平成25.11.27)。入金直後かつ全額という組み合わせを避け、生活費相当を残す設計にしなければ、回収そのものが後から覆る
時効(請求できる期限):24条自体に期間の定めはない。実務で効いてくる期限は、差押命令に対する執行抗告が送達から1週間(民事執行法10条2項)、差押禁止債権の範囲変更の申立てが差押債権者の取立てが行われるまで(同法153条)。年金給付そのものは、支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅する(国民年金法102条、各支払期の分について。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:24条の趣旨は、稼得能力の喪失に対応する年金給付を受給者の手元に確実に到達させ、社会保険制度が債務整理の原資に転化することを防ぐ点にあると理解されている。保護は受給権に限定され、支給後の金銭は一般財産として扱われる。
実務的理解:属性非承継の原則を形式的に適用すると保護が空洞化するため、振込直後の全額差押えなど潜脱的な執行は違法評価を受けうるとされ、民事執行法153条の範囲変更が事実上の救済ルートとして位置づけられている。
改正沿革 AI による整理
- 昭和60年(1985年)基礎年金制度導入改正(施行昭和61年4月1日) 基礎年金制度の創設に伴い、ただし書の対象給付の名称が現行の「老齢基礎年金又は付加年金」に整理された。制度導入前の給付名称との対応関係を含め、改正時期と文言の異同は原文照合による人的検証が必要である
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国民年金法制定に伴い、受給権の譲渡・担保供与・差押えを禁止する規定として設けられた。制定時の文言および例外の範囲は原文照合による確認が必要である
- 2.昭和60年(1985年) 改正:基礎年金制度の創設に伴い、ただし書の対象給付が「老齢基礎年金又は付加年金」に整理された(施行は昭和61年4月1日)。制度導入前の給付名称との対応関係は人的検証が必要である
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