給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
要点国民年金法 24 条は、年金の受給権について譲渡・担保提供・差押えを禁じる。例外は老齢基礎年金と付加年金を国税滞納処分で差し押さえる場合のみで、振込後の預金には保護が及ばない。
Q · 年金って、税金を滞納していても差し押さえられないんですか?
受給権は守られるが、振込後の預金は差押え対象になる
国民年金法 24 条本文は、給付を受ける権利の譲渡・担保提供・差押えを全面的に禁止しています。ただし書の例外は、老齢基礎年金と付加年金を国税滞納処分により差し押さえる場合のみで、障害基礎年金と遺族基礎年金の受給権は滞納処分でも差し押さえられません。もっとも、保護の対象は受給権であり、口座に振り込まれた後の預金債権には及びません。差押えを受けたときは、民事執行法 153 条の差押禁止債権の範囲変更の申立てが実務上の対抗手段になります。
借金の取り立ての場で「年金を担保に入れれば貸せる」と持ちかけられたなら、その提案は法律上そもそも成立しない。国民年金法 24 条は、給付を受ける権利の譲渡、担保提供、差押えを本文で全面的に禁じている。あなたの年金受給権は、あなた以外の誰の手にも渡らない。例外はただ一つ、老齢基礎年金と付加年金を国税の滞納処分(税金や社会保険料の未納を理由に役所が財産を強制的に取り立てる手続)で差し押さえる場合だけである。裏返せば、障害基礎年金と遺族基礎年金は、税金を滞納していても受給権を差し押さえられない。ここまでが条文の表側だ。裏側にはもっと重要な事実がある。この盾が守るのは「受給権」という一点であって、振り込まれた後のお金ではない。銀行口座に入った瞬間、年金は預金債権へ姿を変え、最高裁は原則として差押え可能と判断している(最判平成 10.2.10)。守られているのは蛇口であって、バケツの中身ではない。
国民年金法 24 条は受給権の保護を定める規定であり、給付を受ける権利について譲渡、担保供与、差押えを本文で禁止する。ただし書は例外として、老齢基礎年金及び付加年金を受ける権利を国税滞納処分により差し押さえる場合を除外する。保護の対象は受給権自体であり、支給後に生じた預金債権はこれに含まれない。
年金を受け取る権利そのものを譲渡・担保・差押えの対象から外す仕組みです。国民年金法 24 条本文が定め、受給者の生活原資を法律上流通の外に置きます。
24 条ただし書により、老齢基礎年金と付加年金は国税滞納処分による差押えが可能です。ただし国税徴収法 77 条の差押禁止額があり、全額を失うわけではありません。
できません。担保に供する法律行為が 24 条により効力を持たないためです。年金担保貸付制度も令和 4 年(2022 年)3 月末で新規受付を終了しています。
振り込まれた時点で預金債権に変わるため、原則として差押えの対象になります。受給権の保護は振込完了までで、口座残高までは及びません。
受給権は差押禁止財産として破産財団に属さず(破産法 34 条 3 項 2 号)、自由財産として手元に残ります。24 条の保護がそのまま破産手続に持ち込まれます。
分割できるのは厚生年金の報酬比例部分の記録のみです。基礎年金の受給権は 24 条の譲渡禁止により、協議書に書いても移転しません。
執行抗告は差押命令の送達から 1 週間(民事執行法 10 条 2 項)、差押禁止債権の範囲変更の申立ては差押債権者の取立てが行われるまでです(同法 153 条)。
国税滞納処分の例による処分も 24 条ただし書に含まれます。対象は老齢基礎年金と付加年金に限られ、障害基礎年金と遺族基礎年金の受給権は含まれません。
担保に供する合意は 24 条により効力を持たず、正規の金融機関がこの形で貸すことはない。かつての年金担保貸付制度も令和 4 年(2022 年)3 月末で新規受付を終了している。業界裏話ヒント:この手の業者は担保設定ではなく、年金証書と通帳、印鑑を預からせて事実上の取立てを行う形を取る。年金証書は年金事務所で再発行できるので、預けてしまった後でも手続の主導権は取り戻せる
24 条ただし書の例外は老齢基礎年金と付加年金だけである。障害基礎年金と遺族基礎年金の受給権は、国税滞納処分によっても差し押さえられない。ただし口座に入った後の預金は別枠になる。業界裏話ヒント:徴収担当が「年金は差押えできる」と説明する場面があるが、それは老齢基礎年金を前提にした一般論であることが多い。給付の種類を明示して根拠条文を確認すると、対応が変わる
取立てが実行される前なら、執行裁判所に差押禁止債権の範囲変更を申し立てられる(民事執行法 153 条)。振込直後を狙った差押えを違法とした裁判例もある(広島高裁松江支部 平成 25.11.27)。業界裏話ヒント:この申立ては本人でも出せる書面で、裁判所に書式がある。弁護士を探す時間がないときほど、まず自分で出して取立ての一時禁止を求めておくほうが、結果として残る額が大きい
ならない。未支給年金は国民年金法 19 条が定める遺族固有の請求権であり、相続財産には属さない(最判平成 7.11.7)。24 条の譲渡禁止と同じく、受給権の一身専属的な性格から導かれる帰結である。業界裏話ヒント:請求できる遺族の範囲と順位は民法の相続順位と異なり、生計同一が要件になる。相続放棄をした人でも未支給年金だけは請求できるというねじれが生じ、実務ではよく見落とされる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 保護の内容 | 国民年金法 24 条:受給権の譲渡・担保・差押えの禁止 | — |
| 守る局面 | 債権者・徴収機関による受給権への実行を遮断する | — |
| 例外の有無 | 老齢基礎年金・付加年金の国税滞納処分による差押えのみ例外 | — |
| 振込後の効力 | 及ばない。預金債権化した後は原則として差押え可能 | — |
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