国税徴収法 第120条(有価証券の裏書等)
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- 税務署長は、換価した有価証券を買受人に引き渡す場合において、その証券に係る権利の移転につき滞納者に裏書、名義変更又は流通回復の手続をさせる必要があるときは、期限を指定して、これらの手続をさせなければならない。
- 2.税務署長は、前項の場合において、滞納者がその期限までに同項の手続をしないときは、滞納者に代つてその手続をすることができる。
この条文の基本情報
有価証券の裏書等とは何ですか?
定義有価証券の裏書等とは、国税徴収法第120条に定められた規定で、「税務署長は、換価した有価証券を買受人に引き渡す場合において、その証券に係る権利の移転につき滞納者に裏書、名義変更又は流通回復の手続をさせる必要があるときは、期限…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第120条(有価証券の裏書等)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第120条の条文原文は「税務署長は、換価した有価証券を買受人に引き渡す場合において、その証券に係る権利の移転につき滞納者に裏書、名義変更又は流通回復の手続をさせる必要があるときは、期限…」で始まります。
- 国税徴収法第120条は第五款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第120条の前の条は国税徴収法第119条です。
- 国税徴収法第120条の次の条は国税徴収法第121条です。
- 国税徴収法第120条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第120条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第120条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/120
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法120条は、換価した有価証券の権利移転に必要な裏書・名義変更等を、税務署長が期限を指定して滞納者にさせ、応じない場合は代わって行えると定める。
Q · 差し押さえられた株券が公売にかかったとき、裏書や名義書換を拒めば取得を止められますか?
止められません。税務署長が代わりに手続できます
国税徴収法120条1項により、税務署長は換価した有価証券を買受人に引き渡す際、裏書・名義変更・流通回復の手続が必要なときは、期限を指定して滞納者にこれをさせます。滞納者が期限までに応じない場合、同条2項により税務署長が滞納者に代わって手続を行うことができます。したがって非協力は換価を止める手段にならず、買受人への権利移転は完結します。
解説
差し押さえられた株券や社債券が公売にかけられ、買い手がついた。ところがその証券は、単に紙を渡せば権利が移るとは限らない。記名式の証券なら裏書が要り、振替株式なら口座間の振替手続が要り、名義書換が済まなければ買った側は発行会社に対して株主だと主張できない。国税徴収法120条は、この「引き渡しただけでは終わらない」ギャップを埋めるために置かれている。税務署長は滞納者に期限を切って裏書・名義変更・流通回復の手続をさせることができ、滞納者がその期限を無視したときは、税務署長が滞納者に代わって手続をしてしまえる。あなたが滞納者側なら、この条文は「協力しなければ徴収が止まる」という最後の抵抗手段が存在しないことを意味する。あなたが買受人側なら、売主が非協力でも権利移転は完結すると保証されている。滞納処分の世界では、名義を握っている人の意思は、思っているほど強くない。
法的な位置づけ
国税徴収法120条は、公売等により換価した有価証券の買受人への引渡しに伴う権利移転手続を定める規定である。1項は税務署長が期限を指定して滞納者に裏書・名義変更・流通回復の手続をさせるべきことを、2項は滞納者が期限内に応じない場合に税務署長が滞納者に代位して当該手続を行う権限を規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.期限指定通知の内容と対象証券を確認する 税務署から届いた期限指定通知について、対象となる有価証券の種類(記名式株券・社債券・振替株式など)、求められている手続(裏書・名義変更・流通回復のいずれか)、指定期限の日付を確認する。封を開けずに放置すると、確認の機会ごと失うことになる
- 2.換価そのものを止める余地が残っていないか税務署に相談する 滞納者側であれば、指定期限内に換価猶予(国税徴収法151条、151条の2)や分割納付の申請余地がないかを徴収職員に相談する。交渉のテーブルが存在するのはこの段階までで、代位手続の完了後は選択肢が消える
- 3.自ら手続をするか、代位に委ねるかを期限内に決める 自ら裏書や名義書換請求を行えば、証券の記載内容や譲渡先を自分の目で確認できる。期限を徒過すれば国税徴収法120条2項により税務署長が代位し、確認の機会は失われる。どちらを選ぶかを指定期限までに判断する
- 4.買受人側は代位手続の事実を書面で記録に残してもらう 買受人であれば、落札した証券が120条の手続を要する種類か代金納付前に徴収職員へ確認し、滞納者本人が応じたのか税務署長の代位なのかを書面で明らかにしてもらう。後日の名義書換請求で決定的な資料になる
- 5.発行会社へ名義書換を請求し、拒否されたら法的手段を検討する 発行会社に対し、公売による取得であることと120条の手続完了の事実を書面で示して名義書換を請求する。正当な理由なく拒まれる場合は、名義書換請求訴訟や株主の地位確認訴訟を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1国税徴収法120条とは何ですか?
公売等で換価した有価証券を買受人に引き渡す際、裏書・名義変更・流通回復の手続を滞納者にさせ、応じないときは税務署長が代わって行えると定める規定です。
Q2公売で買った株はいつ自分のものになりますか?
売却決定と代金納付により権利が移転します(国税徴収法118条)。ただし証券の種類によっては120条の裏書・名義変更手続を経なければ、発行会社に権利を主張できません。
Q3税務署が指定した期限を過ぎたらどうなりますか?
国税徴収法120条2項により、税務署長が滞納者に代わって裏書や名義変更の手続を行います。期限徒過で換価が止まることはなく、手続はそのまま完結します。
Q4120条の手続を拒むと罰則はありますか?
本条自体に罰則規定はありません。ただし拒んでも代位されるだけで実益はなく、差押財産の隠匿等に及べば別途、滞納処分免脱罪などの問題になり得ます。
Q5代位手続に不服がある場合はどうすればよいですか?
期限指定や滞納処分そのものが違法であれば、国税通則法75条以下の不服申立て(再調査の請求・審査請求)の対象になり得ます。処分を知った日の翌日から3か月が目安です。
Q6差し押さえられた株券を換価前に取り戻せますか?
納付か換価猶予(国税徴収法151条、151条の2)が現実的な手段です。換価が完了し120条の手続まで進むと、取戻しの余地は事実上なくなります。
Q7国税徴収法120条と121条の違いは何ですか?
120条は有価証券の裏書・名義変更等を税務署長が代位する規定、121条は不動産等の権利移転登記を税務署長が関係機関に嘱託する規定です。対象財産と手続方法が異なります。
Q8滞納者が行方不明でも公売手続は進みますか?
進みます。期限指定の通知は公示送達等の方法によることができ、滞納者の所在不明は換価の中止事由ではありません。手続不応答として2項の代位が発動します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1税務署が勝手に自分の名前で裏書するって、私文書偽造にならないんですか?
なりません。国税徴収法120条2項が法律上の代位権限を与えているため、税務署長の行為は権限に基づく適法な手続です。滞納者本人の署名を偽造するのではなく、代位して手続を行った旨が明らかにされます。実務のポイント:この種の代位規定は徴収法の各所にあり、権利移転登記の嘱託(同法121条)などと同じ発想で組まれている。「本人がやらないと動かない手続」は徴収の世界にはほとんど存在しない、と考えておいた方が現実に近い
Q2非上場株を公売で買ったのに、会社が名義書換を渋っています。どうすれば?
会社は正当な理由なく名義書換を拒めません。120条の手続が完了していれば権利移転は有効なので、書面で請求し、それでも拒否されるなら名義書換請求訴訟や株主の地位確認訴訟が選択肢になります。実務のポイント:非上場株の公売は、こうした会社側の抵抗リスクが価格に織り込まれて相場が安い。逆に言えば、法的手続を最後まで押し切る覚悟がある買受人にとっては、他の入札者が降りる分だけ有利な場面になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「株券を渡さなければ、あるいは裏書しなければ、買受人は権利を取得できないから公売は無意味になる」と考える滞納者は少なくない。だが2項がその前提を崩している。抵抗しても手続は完結し、残るのは徴収職員の心証を悪くしたという事実だけである
- 税務署長が代位して裏書するのだから、その証券の権利関係も国が保証してくれる、と考えるのは問いの立て方が誤っている。120条が定めるのは手続の代行であって、権利の内容や証券の価値を国が担保するものではない。買受人は自分で発行会社の実態を調べる必要がある
- 「代位手続をされたら、後から無効だと争えない」と思われがちだが、期限指定そのものが違法(期限が著しく短い、通知を欠く等)であれば、滞納処分に対する不服申立て(国税通則法75条以下、審査請求)の対象になりうる。争える場面は確かに狭いが、ゼロではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の対象 | 120条:換価した有価証券の裏書・名義変更・流通回復 | 119条:動産・有価証券そのものの買受人への引渡し 121条:不動産等の権利移転登記・登録 |
| 誰が動くか | まず滞納者(期限指定)、応じなければ税務署長が代位 | 税務署長・徴収職員が引渡しを実行 税務署長が登記所等へ嘱託 |
| 滞納者の非協力の効果 | 効果なし。2項の代位で手続は完結する | 効果なし。占有は差押えにより既に移転している 効果なし。嘱託は滞納者の関与を要しない |
| 買受人が次に取るべき行動 | 発行会社へ名義書換を請求し、拒否時は訴訟を検討 | 現物の受領と保管、証券の記載内容の確認 登記完了の確認と権利証書類の受領 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では公法上の金銭給付義務の強制執行は行政執行法により強制執行法を準用し、債務人の意思表示を要する場合は裁判等が意思表示に代わる構成をとる。行政機関自身が代位して手続を行う日本の120条2項とは、代替の主体が異なる
韓国も国税徴収法により公売と権利移転手続を規律し、公売財産の権利移転に必要な手続について徴収機関が関与する枠組みを持つ。具体的な条番号と代位の範囲は要確認
税務機関が差押財産を法により競売または売却して滞納税額に充てる旨を定める。権利移転の細目は民事執行の関連規定に委ねられており、有価証券に特化した代位規定という形はとっていない
ドイツでは租税債権の強制執行を租税基本法(AO)が自己完結的に規律し、動産としての有価証券の差押えと換価が定められている。権利移転に必要な行為の職権代行の構成は日本と細部が異なる
米国では IRS の差押財産売却について、売却証書(certificate of sale)自体が滞納者の権利・権原・利益を買受人に移転させる効力を持つ。本人の行為を代行するのではなく、証書に移転効を与える立法技術を採用している点が対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 経営していた会社の税金を滞納し、あなた個人が保有していた非上場会社の株券が差し押さえられて公売にかかった。買受人が決まり、税務署から「○月○日までに裏書と名義書換請求をせよ」という通知が届く。無視しても、税務署長が代わりにやる。手続を拒めば時間が稼げるという発想は、この条文の前では成立しない
- 公売で非上場株式を買った側の視点。落札して代金を払ったのに、発行会社が「名義書換請求は元の株主本人からでなければ受け付けない」と言ってきた。このとき持ち出すのが120条2項。税務署長が滞納者に代位して手続をした事実を示せば、会社は正当な理由なく名義書換を拒めない
- もし、滞納者が既に行方不明だったら、どうなる? 期限指定の通知が届かないケースでも、公示送達などの手続を経れば2項の代位は動く。滞納者の所在不明は、換価の中止事由ではない
- 指定期限まであと5日。あなたは自分で裏書するか、税務署長に代位されるかを選べる。自分でやれば、少なくとも証券の記載内容や譲渡先を自分の目で確認できる。放置すれば、確認の機会ごと失う
取るべき行動
被害を受けた側:買受人の立場なら、1. 落札した証券が裏書・名義書換を要する種類か、代金納付前に徴収職員へ確認する2. 120条の手続が必要なら、滞納者本人が応じたのか税務署長の代位なのかを記録として残してもらう3. 発行会社に名義書換を請求し、拒否されたら公売による取得であることと代位手続の事実を書面で示す4. なお拒まれる場合は、会社法上の名義書換請求訴訟を検討する
訴えられた側:滞納者の立場なら、1. 指定期限までに換価猶予(国税徴収法151条、151条の2)や分割納付の申請余地がないか、期限内に税務署へ相談する2. 手続を拒んでも代位されるだけなので、拒否を交渉カードに使わない3. 差押財産の選択自体に不服があるなら、超過差押えの禁止(国税徴収法48条)などを根拠に不服申立てを検討する4. 証券の評価額に疑義があるなら、公売公告の段階で指摘する
時効(請求できる期限):本条自体には固有の時効はなく、税務署長が指定する期限が実質的な期限として機能する。滞納処分に不服がある場合は、処分を知った日の翌日から3か月以内に審査請求(国税通則法77条)。国税の徴収権自体の消滅時効は法定納期限の翌日から5年(国税通則法72条)。(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:国税徴収法の全部改正(昭和34年法律第147号)により現行法が成立。換価から買受人への権利移転までの手続が体系的に整備され、有価証券の裏書等に関する規定が本条に置かれた
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