災害対策基本法 第49条の15(個別避難計画情報の利用及び提供)
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- 市町村長は、避難支援等の実施に必要な限度で、前条第一項の規定により作成した個別避難計画に記載し、又は記録された情報(以下「個別避難計画情報」という。)を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
- 2.市町村長は、災害の発生に備え、避難支援等の実施に必要な限度で、地域防災計画の定めるところにより、避難支援等関係者に対し、個別避難計画情報を提供するものとする。ただし、当該市町村の条例に特別の定めがある場合を除き、個別避難計画情報を提供することについて当該個別避難計画情報に係る避難行動要支援者及び避難支援等実施者(次項、次条及び第四十九条の十七において「避難行動要支援者等」という。)の同意が得られない場合は、この限りでない。
- 3.市町村長は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、避難行動要支援者の生命又は身体を災害から保護するために特に必要があると認めるときは、避難支援等の実施に必要な限度で、避難支援等関係者その他の者に対し、個別避難計画情報を提供することができる。この場合においては、個別避難計画情報を提供することについて当該個別避難計画情報に係る避難行動要支援者等の同意を得ることを要しない。
- 4.前二項に定めるもののほか、市町村長は、個別避難計画情報に係る避難行動要支援者以外の避難行動要支援者について避難支援等が円滑かつ迅速に実施されるよう、避難支援等関係者に対する必要な情報の提供その他の必要な配慮をするものとする。
この条文の基本情報
個別避難計画情報の利用及び提供とは何ですか?
定義個別避難計画情報の利用及び提供とは、災害対策基本法第49条の15に定められた規定で、「市町村長は、避難支援等の実施に必要な限度で、前条第一項の規定により作成した個別避難計画に記載し、又は記録された情報(以下「個別避難計画情報」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第49条の15(個別避難計画情報の利用及び提供)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第49条の15の条文原文は「市町村長は、避難支援等の実施に必要な限度で、前条第一項の規定により作成した個別避難計画に記載し、又は記録された情報(以下「個別避難計画情報」という。」で始まります。
- 災害対策基本法第49条の15は第三節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第49条の15の前の条は災害対策基本法第49条の14です。
- 災害対策基本法第49条の15の次の条は災害対策基本法第49条の16です。
- 災害対策基本法第49条の15には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第49条の15 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第49条の15(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/49_15
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法49条の15は、個別避難計画情報の提供を定める。平時は本人と支援者の同意(条例の特別の定めがあれば不要)が要るが、災害時は同意なしで提供できる。
Q · 親の個別避難計画の情報は、同意しなくても消防や近所の人に渡るの?
平時は同意が原則必要、災害時は同意なしで渡ります
災害対策基本法49条の15第2項により、平時に個別避難計画情報を消防・警察・民生委員などの避難支援等関係者へ提供するには、要支援者本人と避難支援等実施者の双方の同意が原則として必要です。ただし市町村の条例に特別の定めがあれば同意は不要です。災害が発生し、または発生するおそれがあり、生命・身体の保護に特に必要と認められるときは、同条3項により同意なしで「その他の者」にも提供できます。
解説
名簿に名前が載っているだけでは、誰も迎えに来ない。高齢の親や障害のある家族について、市町村は「誰が、どの道を通って、どこへ連れて行くか」を一人ずつ書いた個別避難計画を作ることができる。本条は、その計画に書かれた情報を誰に渡してよいかを決めている。まず平時。計画情報が消防、警察、民生委員、自主防災組織などの避難支援等関係者に渡るのは、本人と、支援を引き受けた近所の人などの両方が同意したときだけである。ただし市町村が条例で特別の定めを置いていれば、同意がなくても平時に提供できる。次に災害が起きたとき、または起きそうなとき。命を守るために特に必要なら同意はいらず、関係者だけでなく「その他の者」にまで情報が渡る。あなたの家族の情報がいつ、誰に届くかは、同意書を出したかどうかと、住んでいる町の条例で大きく変わる。同意しないままでいれば、計画は平時の避難訓練にも見守りにも使われない。
法的な位置づけ
災害対策基本法第49条の15は、市町村長が作成した個別避難計画に記載・記録された情報(個別避難計画情報)の取扱いを定める規定である。避難支援等に必要な限度での目的外内部利用、平時における同意または条例に基づく避難支援等関係者への提供、災害時における同意を要しない提供、および計画未作成の要支援者への必要な配慮を定める。
手順
- 1.市町村に名簿掲載と計画作成状況を確認 家族が要支援者に当たるか、名簿に載っているか、個別避難計画が作成済みかを市町村の福祉担当課または防災担当課に問い合わせる
- 2.ケアマネジャー等と計画内容を具体化 避難先、移動手段、服薬、医療機器、ペット、緊急連絡先を計画に具体的に書き込む。福祉専門職の協力を得ると実効性が上がる
- 3.本人と支援者の双方から同意を得る 平時提供には要支援者本人と避難支援等実施者の両方の同意が必要。支援者には情報提供の範囲と、救助の法的義務を負わない点を説明して同意を得る
- 4.自分の町の条例を確認 例規集検索で「避難行動要支援者」等を検索し、同意なしの平時提供を認める特別の定めがあるかを確認する
よくある質問 AI による整理
Q1個別避難計画情報とは何ですか?
市町村が要支援者ごとに作る個別避難計画に記載・記録された情報です。避難先、移動手段、支援者、服薬などが含まれ、災害対策基本法49条の15で取扱いが定められています。
Q2個別避難計画の情報提供に同意しないとどうなる?
条例に特別の定めがなければ、平時は関係者に提供されず訓練や見守りに使われません。ただし災害時は3項により同意なしで提供されえます。
Q3個別避難計画情報は誰に提供される?
平時は地域防災計画で定める避難支援等関係者(消防、警察、民生委員、社会福祉協議会、自主防災組織など)です。災害時は「その他の者」にも広がります。
Q4同意なしで要支援者情報を提供するのは違法?
違法ではありません。災害が発生またはそのおそれがあり、生命・身体保護に特に必要なら3項で同意不要と明記されています。平時も条例の特別の定めがあれば適法です。
Q5個別避難計画の同意は撤回できる?
本条に撤回の明文はありませんが、平時提供の根拠が同意である以上、市町村に申し出て今後の提供停止を求めることが考えられます。運用は市町村ごとに確認が必要です。
Q6市町村の条例で同意不要にできるのはなぜ?
2項ただし書が「条例に特別の定めがある場合」を除外しているためです。地域事情に応じ、議会の議決を経て平時提供の範囲を広げられる仕組みです。
Q7個別避難計画がない人は災害時に放置される?
放置はされません。4項により市町村長は計画のない要支援者についても、関係者への情報提供その他の必要な配慮をしなければなりません。
Q8避難行動要支援者名簿と個別避難計画の違いは?
名簿は対象者の一覧(49条の10、11)、個別避難計画は一人ひとりの具体的な避難手順(49条の14、15)です。情報提供の仕組みは同型です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1同意しなかったら、災害のとき誰も助けに来てくれないんですか?
そうではない。3項により、災害が起きた、または起きそうなときに命を守るため特に必要と認められれば、同意がなくても情報は提供される。ただし平時の訓練、顔合わせ、見守りには使われない。実務のポイント:現場の支援者がよく口にするのは「顔を知っている人なら夜でも戸を開けてくれる」ということだ。発災の夜に情報だけ届いても、初めて会う人を家に入れない高齢者は少なくない
Q2近所の人に頼まれて支援者を引き受けました。私の情報も配られるんですか?
計画には支援者の氏名や連絡先も載るので、平時の提供には支援者自身の同意も必要になる(本条2項)。災害時は3項により、支援者の同意がなくても提供されうる。実務のポイント:自分の町に同意を不要とする条例があるかどうかは、地域防災計画を読んでも分からないことがある。例規集の検索サービスで「避難行動要支援者」と検索すると早い
Q3自治会でもらった要支援者の情報、役員の引き継ぎで次の人に渡していいの?
受け取った人と、かつて受け取っていた人には、49条の16の秘密保持義務がかかる。引き継ぎは個人間で渡すのではなく、市に確認したうえで、新しい役員が改めて提供を受ける形にするのが安全である。実務のポイント:トラブルが多いのは、引き継ぎの後に前任者の手元に紙が残っているケースだ。返却と廃棄の日付を記録しておけば、自分を守る証拠になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「個人情報だから本人が同意しない限り絶対に外に出ない」と思われがちだが、それは平時に限った話である。災害が起きた、または起きそうなときは、3項によって同意なしで提供できる。さらに平時であっても、市町村が条例で特別の定めを置いていれば同意は不要になる。同意の有無より、自分の町の条例がどう書いているかの方が決定的な場合がある
- 同意が必要なのは要支援者本人だけだと思われている。実際には2項は、計画に載った避難支援等実施者(近所の支援者など)の同意も求めている。本人が同意しても、支援者が同意しなければ平時の提供は止まる。支援者を頼む段階で情報提供まで説明しておかないと、計画は完成しても使えない
- 「支援者を引き受けたら、助けられなかったときに責任を問われる」という恐れから断る人は多い。だが本条が定めているのは情報の流れであって、支援者に救助を法的に義務づける規定ではない。内閣府の取組指針も、支援者本人や家族の安全確保が前提であることを示している。問うべきは「責任を負うか」ではなく「何ができる範囲かを計画に正直に書くか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象情報 | 49条の15:個別避難計画情報(一人ひとりの避難手順) | 49条の11:避難行動要支援者名簿情報(対象者一覧) 49条の16:提供を受けた者の秘密保持義務 |
| 平時提供の要件 | 要支援者と避難支援等実施者の同意、または条例の特別の定め | 要支援者本人の同意、または条例の特別の定め 提供後の受領者に秘密保持義務を課す |
| 災害時の扱い | 生命・身体保護に特に必要なら同意不要、「その他の者」にも提供可 | 同様に同意不要で「その他の者」にも提供可 災害時に受け取った者にも義務が及ぶ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では要支援者計画の専用条文より、個人資料保護法の目的外利用の例外(生命身体の危険防止)で災害時の情報共有を正当化する構造が中心
韓国も個人情報保護法の目的外提供制限の例外として、生命・身体の急迫した危険がある場合の提供を認める
ドイツは GDPR の「生命に関わる利益」を根拠に、州の災害保護法の枠組みで処理。日本のような平時同意と条例の二段構造ではない
米国は HIPAA 上、災害救援目的での医療情報開示を一定条件で認める。地域の要支援者登録は州・郡ごとの任意登録制が多い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一人暮らしの母に市役所から「個別避難計画の作成と情報提供への同意」の書類が届いた。母は「個人情報を近所に知られたくない」と言って捨てようとしている。ここで同意しなければ、平時の情報提供は原則止まる。ただし大雨特別警報の夜には本条3項により、同意がなくても情報は救助側へ渡りうる。問題は、事前の打ち合わせも訓練もないまま、その夜を迎えることだ
- 自治会の防災担当になったあなたの手元に、要支援者十数人分の計画情報が届いた。うっかり自治会の LINE グループに一覧表の写真を上げた。受け取った人には49条の16で秘密保持義務がかかる。善意の共有のつもりでも、立場は一気に「情報を漏らした側」に変わる
- 近所の高齢夫婦の避難支援者を引き受けてほしいと頼まれた。あなたの氏名や連絡先も計画に載る。だから平時の提供には、あなた自身の同意も必要になる
- 線状降水帯の予報が出て、避難指示まであと数時間。市は県外から来た応援部隊と災害ボランティア団体に、計画情報を同意なしで渡した。これは違法なのか? 3項の「その他の者」にあたり、命を守るために特に必要と判断されれば適法である
- もし障害のある子どもの計画を作らないまま災害が来たら、何も情報は渡らないのか? 4項により、市町村長は計画のない要支援者についても、関係者に必要な情報を渡すなどの配慮をしなければならない。ただし中身の薄さは、事前に作った計画とは比べものにならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 家族が要支援者に当たるなら、市町村の福祉課か防災課に、名簿への掲載と個別避難計画の作成状況を問い合わせる2. 計画を作るときは、避難先、移動手段、服薬、医療機器、連絡先を具体的に書いてもらう3. 平時提供への同意は、本人と支援者の両方がそろって初めて効く。支援者にも説明して同意をもらう4. 情報が不適切に広まったと感じたら、提供先と経緯の説明を市に求め、49条の16の秘密保持義務違反として是正を申し入れる
訴えられた側:1. 自治会役員や民生委員として計画情報を受け取ったら、保管場所と閲覧できる人を決め、SNS やグループチャットには載せない2. 49条の16の秘密保持義務は、役職を退いた後も続く3. 市が49条の17に基づいて求める漏えい防止措置(施錠保管や返却など)を記録に残す4. 漏えいが起きたら隠さず、直ちに市へ報告し、被害拡大の防止を優先する
時効(請求できる期限):本条そのものに特定の時効はない。一般消滅時効(民法166条、債権は5年または10年)が適用される。情報漏えいなどで損害賠償を請求する場合は、民法724条により、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年である。自治体の職員による漏えいは国家賠償法の対象になりうる(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)改正 令和元年東日本台風などで高齢者や障害者の犠牲が相次いだことを受け、個別避難計画の作成を市町村の努力義務とした。それにあわせ、計画情報の利用・提供に関する規定として新設されたとみられる。その後の改正の有無は人による確認が必要
改正の年表
- 1.令和3年(2021年) 新設:令和元年東日本台風などで高齢者・障害者の犠牲が相次いだことを受けた改正で、個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされ、計画情報の利用・提供規定として本条が設けられた
- 災害対策基本法 第49条の14個別避難計画の作成(本条の情報源)
- 災害対策基本法 第49条の11名簿情報の利用・提供、同型の規定
- 災害対策基本法 第49条の10避難行動要支援者名簿の作成義務
- 災害対策基本法 第49条の16提供を受けた者の秘密保持義務
- 災害対策基本法 第49条の17提供時の漏えい防止措置の配慮
- 個人情報の保護に関する法律 第69条目的外利用・提供の禁止に対する法令上の例外
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