河川法 第63条(他の都府県の費用の負担)
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- 国土交通大臣が行なう河川の管理により、第六十条第一項の規定により当該管理に要する費用の一部を負担する都府県以外の都府県が著しく利益を受ける場合においては、国土交通大臣は、その受益の限度において、同項の規定により当該都府県が負担すべき費用の一部を当該利益を受ける都府県に負担させることができる。
- 2.国土交通大臣は、前項の規定により当該利益を受ける都府県に河川の管理に要する費用の一部を負担させようとするときは、あらかじめ、当該都府県を統轄する都府県知事の意見をきかなければならない。
- 3.都府県知事が行なう河川の管理により、当該都府県以外の都府県が著しく利益を受ける場合においては、当該都府県は、その受益の限度において、当該都府県が負担した当該管理に要する費用の一部を、当該利益を受ける都府県に負担させることができる。
- 4.都府県知事は、前項の規定により当該利益を受ける都府県に河川の管理に要する費用の一部を負担させようとするときは、あらかじめ、当該利益を受ける都府県を統轄する都府県知事に協議しなければならない。
この条文の基本情報
他の都府県の費用の負担とは何ですか?
定義他の都府県の費用の負担とは、河川法第63条に定められた規定で、「国土交通大臣が行なう河川の管理により、第六十条第一項の規定により当該管理に要する費用の一部を負担する都府県以外の都府県が著しく利益を受ける場合においては、国土交…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 河川法第63条(他の都府県の費用の負担)は、日本の河川法に含まれる条文です。
- 河川法第63条の条文原文は「国土交通大臣が行なう河川の管理により、第六十条第一項の規定により当該管理に要する費用の一部を負担する都府県以外の都府県が著しく利益を受ける場合においては、国土交…」で始まります。
- 河川法第63条は第三章 河川に関する費用に置かれています。
- 河川法の公布日は昭和39年7月10日です。
- 河川法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 河川法第63条の前の条は河川法第62条です。
- 河川法第63条の次の条は河川法第64条です。
- 河川法第63条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第63条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000167 - 本サイト収録
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第63条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/339AC0000000167/63
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点河川法63条は、河川管理により他の都府県が著しく利益を受ける場合、国土交通大臣または管理する都府県が、受益の限度で費用の一部をその都府県に負担させられると定める。
Q · 上流の県が造った堤防で下流の県が助かったら、下流の県も工事費を払うの?
著しい受益があれば、受益の限度で負担を求められうる
河川法63条により、国土交通大臣が管理する河川では大臣が、都府県知事が管理する河川ではその都府県が、管理によって著しく利益を受ける他の都府県に、受益の限度で費用の一部を負担させることができます。ただし自動的に発生する義務ではなく、「負担させることができる」という裁量的な制度です。大臣が負担させる場合は相手方知事の意見を事前にきく必要があり(2項)、都府県同士の場合は事前の協議が必要です(4項)。
解説
川は県境を気にせず流れる。上流の県が堤防を固め、ダムで流量を調整すれば、洪水の危険が減るのは下流の県だ。ところが工事費の請求書は、原則としてその川を管理する側に届く。河川法63条は、このずれを補正する条文である。国土交通大臣が管理する川なら、大臣は「著しく利益を受ける」別の都府県に、費用の一部を負担させることができる。都府県知事が管理する川なら、その都府県自身が、利益を受ける都府県に費用の一部を求めることができる。条件は二つあり、利益が「著しい」こと、そして請求できるのは「受益の限度」までであることだ。手続にも違いがある。大臣が負担させるときは相手の知事の「意見をきく」だけで足りるが、都府県同士の場合は相手の知事と「協議」しなければならない。あなたが払う県民税の一部が、行ったこともない隣県の川の工事に回る仕組みが、この一条に書かれている。
法的な位置づけ
河川法63条は、河川管理費用を受益する他の都府県へ付け替える調整規定である。国土交通大臣の管理により第60条の負担都府県以外の都府県が著しく利益を受ける場合は大臣が、都府県知事の管理により他の都府県が著しく利益を受ける場合は当該都府県が、受益の限度で費用の一部を負担させることができる。事前に、前者は相手知事の意見聴取、後者は協議を要する。
よくある質問 AI による整理
Q1河川法63条とは何ですか?
河川の管理で他の都府県が著しく利益を受けるとき、大臣または管理する都府県が、受益の限度で管理費用の一部をその都府県に負担させられると定める規定です。
Q2河川の工事費は誰が払う?
原則は河川管理者側の負担です(河川法59条)。大臣管理の区間は都府県も一部を負担し(60条)、さらに63条で利益を受ける他の都府県へ一部を付け替えられます。
Q3河川法63条の「著しく利益を受ける」とはどの程度?
法律に数値基準はありません。実務では氾濫想定区域や被害軽減額などの試算で受益を示すことになり、その算定方法が最大の争点になります。
Q4他県の河川工事費を負担させられたら拒否できる?
大臣が負担させる場合、法律上求められるのは知事の意見聴取で、同意は要件ではありません。ただし「著しい利益」「受益の限度」の枠を超える負担は争う余地があります。
Q5都府県同士の河川費用負担に協議は必要?
必要です。河川法63条4項により、管理する都府県の知事は、負担させる前に受益都府県の知事と協議しなければなりません。
Q6河川法63条に北海道は含まれる?
条文の文言は「都府県」で、北海道は明記されていません。北海道の河川費用の扱いは別の規定との関係で確認が必要です。
Q7河川の費用負担で県同士がもめたらどうなる?
協議がまとまらない場合、地方自治法上の自治紛争処理委員による調停の利用が考えられます。適用の可否は個別に確認が必要です。
Q8河川法63条の負担金はどこで確認できる?
負担金は都府県の予算に計上されるため、議会の予算審議資料や公表される予算書で確認できます。算定資料は情報公開請求の対象になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1下流の県が得してるなら、勝手に請求書を送っちゃえばいいんじゃないの?
そうはいかない。都府県同士の場合、負担させる前に相手の知事と協議しなければならない(河川法63条4項)。請求できる額も「受益の限度」までに限られる。実務のポイント:この種の協議では、算定方法そのものが最大の争点になる。氾濫モデルの前提を一つ変えるだけで受益額は大きく動くため、技術職員どうしの数字の詰め合いで、事実上の決着がつくことが多い
Q2国から負担しろって言われたら、県は断れないんですか?
大臣が負担させる場合、法律が求めているのは県知事の「意見をきく」ことであり(河川法63条2項)、県の同意は要件になっていない。ただし、利益が「著しい」ことと「受益の限度」という枠は大臣も守らなければならない。実務のポイント:意見書は通過儀礼として扱われがちだが、後で負担額の妥当性を問題にするなら、この意見書に何が書かれていたかが最初の記録になる。中身の薄い意見書は、後から自分の首を絞める
Q3住民として、うちの県が他県に払ってる負担金をチェックする方法はある?
負担金は県の予算に計上されるため、議会の予算審議や公表される予算書で確認できる。根拠が河川法63条なのか、60条などの直轄事業負担金なのかで、論点は大きく違う。実務のポイント:情報公開請求で協議の記録や算定資料を請求すると、受益の算定の前提が見えてくることがある。地元の議員にとっても、そこが質問の切り口になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「上流の工事で下流が助かるなら、下流県が払うのは当然」と考えがちだが、本条は「負担させることができる」と書いているだけである。義務的に発生する負担ではなく、大臣や管理する都府県の判断で初めて動く制度だ。さらに、利益が「著しい」ことと、「受益の限度」を超えないことという二重の枠がはめられている
- 2項の「意見をきく」と4項の「協議」は、似ているようで重みが違う。大臣が相手のときは意見を述べる機会が保障されるだけで、反対しても法的に止める効力は原則としてない。都府県同士なら協議が必要になり、一方的に負担を押し付けにくい構造になっている。ただし「協議」も「同意」とは異なり、合意がなければ絶対に負担させられないとまで言えるかは、解釈が分かれうる
- 国と自治体の費用負担の争いというと、2009年に当時の大阪府知事が国の直轄事業負担金を「ぼったくりバーの請求書」と批判した件が思い浮かぶかもしれない。あれは本来の負担者である都府県と国との問題(河川法60条などの領域)である。本条が扱うのはその先、負担を他の都府県に付け替える横方向の調整であり、論点の層が一段異なる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 負担の方向 | 河川法63条:管理側から、利益を受ける他の都府県へ横方向に付け替え | 河川法60条:大臣管理の河川の費用を、国と当該都府県で分担(縦方向) 河川法70条:河川工事で著しく利益を受ける者への受益者負担金 |
| 負担する主体 | 60条の負担都府県以外の都府県、または管理都府県以外の都府県 | 当該河川の区間が属する都府県 工事により著しく利益を受ける者(詳細な範囲は条文で要確認) |
| 発動要件と上限 | 「著しく利益を受ける」こと+「受益の限度」まで、かつ裁量(できる規定) | 法定の負担割合に基づく 著しい受益+受益の限度(現行効力・細目は要確認) |
| 事前手続 | 大臣の場合は相手知事の意見聴取(2項)、都府県間は協議(4項) | 本条とは別の手続体系(詳細は条文で要確認) 本条の意見聴取・協議の仕組みとは別枠(詳細は条文で要確認) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では河川管理は水利法、政府間の経費区分は財政收支劃分法、受益者からの費用徴収は工程受益費徵收條例が担う。自治体間で負担を付け替える条文が日本と同じ構造かどうかは個別確認が必要。
韓国の河川法にも河川管理費用の負担に関する規定がある。受益する自治体への付け替えの具体的な要件は条文の確認が必要。
ドイツでは水管理の多くを州法が規律し、州をまたぐ治水は州間協定で調整されることが多い。
米国では連邦の治水事業に非連邦側の費用分担が求められ、州をまたぐ調整は州際協定が担う。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 上流県の県議会で、ある議員が質問した。「うちの県費で造る調節池の効果を最も受けるのは、下流の大都市圏ではないか」。答弁に立つ河川課長が根拠として引くのが本条3項である。法律上の手段はある。問題は「著しい利益」を数字で示せるかどうかだ
- 国土交通省の地方整備局から、隣県の区間で行う改良工事の費用について、あなたの県にも負担を求める内々の打診が来たら、どうする? 2項によれば、大臣は県知事の意見をきかなければならない。この意見書が、負担額を争える最初で、事実上最大の場になる
- あなたは下流県の財政課の担当者で、上流県から協議の申入れ文書が届いた。来年度予算の査定締切まであと3週間。受益の算定根拠を出してもらわないかぎり、負担金を予算案に載せることはできない
- 県境を流れる一級河川の流域で、豪雨の後に市民団体が「上流の遊水地のおかげで下流は浸水を免れた。下流県は応分の負担をすべきだ」とSNSで訴え、議論が広がった。感情論を制度論に変える入口が本条である
- 上流県の担当者として、あなたは下流県に負担を求める側に立った。だが受益額の算定に使ったモデルの前提を、相手方の技術職員に一つずつ崩されていく。「著しく」の立証責任は、事実上、請求する側にある
取るべき行動
被害を受けた側:負担を求められる都府県の立場の場合。1. 大臣からの意見照会(2項)や他の都府県からの協議申入れ(4項)を受けたら、受益の算定根拠と前提データの開示を書面で求める2. 利益が「著しい」と言える水準か、「受益の限度」を超えていないかを、自県の技術職員や外部の専門家と検証する3. 意見書や協議の記録を残し、予算案に計上する前に議会へ説明できる材料をそろえる4. 都府県間で協議がまとまらない場合は、地方自治法上の自治紛争処理委員による調停の利用も検討する(適用の可否は個別に確認が必要)
訴えられた側:負担を求める側(管理する都府県)の場合。1. 工事の効果を、氾濫シミュレーションや被害軽減額などの数値で示し、「著しい利益」を立証できる状態にする2. 請求額は受益の範囲内に収め、算定方法を相手が検証できる形で開示する3. 相手の知事との協議(4項)は形式的に済ませず、記録を残して誠実に行う。手続に不備があれば、負担そのものの正当性を争われる口実になる4. 相手の予算編成スケジュールを逆算し、早めに協議を始める
時効(請求できる期限):本条に固有の期限はない。ただし協議や意見聴取は負担を求める前に済ませる必要がある(2項・4項の「あらかじめ」)。成立した負担金の債権の消滅時効は、私人間の債権のように民法166条によるのではなく、地方公共団体の金銭債権として地方自治法236条(原則5年)の適用が問題になる(最新の改正状況をご確認ください)。実務上は相手側の予算編成の締切が、事実上の期限になる
学説
受益者負担論:河川管理の費用は管理者負担を原則としつつ、特定の主体が著しい利益を受ける場合に限り、受益の範囲内で負担の付け替えを認める考え方。本条はこれを都府県間の関係に適用したものと整理できる。
改正沿革 AI による整理
- 昭和39年(1964年) 現行河川法の制定とともに新設。旧河川法の府県単位の管理から水系一貫管理へ移行したことに伴い、都府県間の費用の調整規定として置かれた
- 平成11年(1999年)公布、平成13年(2001年)施行 中央省庁等改革に伴い、「建設大臣」を「国土交通大臣」に改めたとみられる。改正法の特定と、その他の改正の有無は要検証
改正の年表
- 1.昭和39年(1964年) 新設:現行河川法の制定に伴い新設。水系一貫管理への移行を受け、都府県間の費用調整規定として置かれた。
- 2.平成11年(1999年)公布、平成13年(2001年)施行 改正:中央省庁等改革に伴い「建設大臣」が「国土交通大臣」に改められたとされる。改正法の特定は要検証。
- 河川法 第59条管理者が費用を負担する原則
- 河川法 第60条大臣管理河川の費用の都府県負担、本条1項の前提
- 河川法 第64条受益市町村への負担の付け替え(現行効力を要確認)
- 河川法 第70条受益者負担金、私人への受益負担(現行効力を要確認)
- 地方財政法 第10条の2国直轄建設事業の経費負担区分(現行効力を要確認)
- 地方自治法 第251条自治紛争処理委員による団体間紛争の調停
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