要点所得税法 162 条は、租税条約が国内源泉所得について 161 条と異なる定めを置く場合、その限度で条約が国内法に優先すると定める。ただし軽減税率の適用には届出書の提出が必要である。
Q · 日本の税法で課税対象でも、租税条約があれば税金は下がるの?
条約が優先します。ただし届出書を出さないと軽減されません
所得税法 162 条は、租税条約が国内源泉所得について 161 条と異なる定めを置く場合、その適用を受ける者については異なる限度で条約によると定めます。さらに条約が 161 条 1 項 6 号から 16 号に代わる定めを置くときは、条約上の国内源泉所得を対応する号の所得とみなします。ただし条約の軽減税率は自動適用されず、支払前に租税条約に関する届出書を提出しなければ、所得税法 212 条により原則 20.42% が源泉徴収されます。
日本国内で生じた所得に日本の税務署が課税できるか。その線引きは前条の161条が国内源泉所得として列挙している、と多くの人は思っている。だが162条まで読むと、その線引きは最終決定ではないと分かる。あなたが相手国との租税条約の適用を受ける非居住者や外国法人なら、条約が161条と異なる定めを置いている限り、その限度で条約の方が勝つ。しかも162条は単に条約優先を宣言するだけでなく、条約が独自に定めた国内源泉所得を、161条6号から16号のどの区分に当たるかへ翻訳して当てはめる仕掛けまで備えている。つまり源泉徴収の税率も、申告の要否も、条約という上書きレイヤーを通してから決まる。国内法だけを見て「これは課税対象だ」と判断した瞬間、あなたは半分の情報で結論を出したことになる。
所得税法 162 条は、国内源泉所得に関する租税条約優先の適用関係を定める規定である。租税条約が前条と異なる定めを置く場合、その適用を受ける者については異なる限度で条約が優先し、条約が 161 条 1 項 6 号から 16 号に代わる定めを置くときは、条約上の国内源泉所得を対応する各号の所得とみなす。
AI 輔助整理,以條文原文為準
租税条約が国内源泉所得について 161 条と異なる定めを置く場合、その限度で条約が優先すると定める規定です。条約が 6 号から 16 号に代わる定めを置くときは対応する号の所得とみなします。
国内法では所得税法 212 条により原則 20.42%(復興特別所得税を含む)です。適用条約に限度税率があり届出書を提出すれば、その税率まで下がります。
受給者が作成し、支払者を経由して支払者の所轄税務署へ提出するのが原則です。受給者が直接持ち込む書類ではなく、支払者の協力が前提になります。
上書きレイヤーがないため、所得税法 161 条の国内源泉所得の区分と 212 条の源泉徴収がそのまま適用されます。162 条の出番はありません。
取り戻せます。租税条約に関する届出書と併せて還付請求を行うか、申告済みなら国税通則法 23 条の更正の請求によります。ただし即時軽減より数ヶ月遅れます。
非居住者となった後は国内源泉所得のみが課税対象です。役務提供地が国外なら日本の課税権が及ばない場合もあり、最終判断は移住先との条約によります。
所得税法 162 条は所得税(源泉徴収を含む)の適用関係を定めます。法人税では法人税法 139 条に並行する条約優先の規定が置かれています。
源泉徴収義務者である支払者が不足分の本税に加え、不納付加算税と延滞税を負担します。受給者への求償は可能ですが、実務では回収困難な例が少なくありません。
条約に軽減や免税の定めがあっても、自動では適用されません。支払者を通じて「租税条約に関する届出書」を提出して初めて、162条を経由して条約の税率が適用されます。届出がなければ所得税法212条の国内法どおり原則20.42%が源泉徴収されます。業界裏話ヒント:届出書は支払いの前に出すのが鉄則。後から出すと即時軽減ではなく、還付請求という数ヶ月がかりの遠回りになる。最初の支払い前にこの一枚を用意できるかで資金繰りが変わる
原則できません。162条2項は、AOA(帰属主義)の内部取引ルールを持たない租税条約が適用される非居住者について、恒久的施設と本店等との間の内部利子の支払いを『なかったもの』として扱います。つまり内部利子で損金を作る節税は条約次第で封じられます。業界裏話ヒント:どの条約にAOA型の内部取引条項が入っているかで結論が真逆になる。新しい条約ほど内部取引を認める傾向があり、締結年で扱いが分かれる。適用条約の版を確認せず設計すると足元をすくわれる
条約が優先します。162条が正面から『前条(161条)の規定にかかわらず、その租税条約に定めるところによる』と定め、憲法98条2項の条約遵守義務がその土台です。ただし条約は課税を重くする方向には基本的に働きません。業界裏話ヒント:条約優先といっても、有利な方を自由に選べるわけではなく、条約が定める源泉ルールへ機械的に置き換わる。有利か不利かは条約ごとに読み解くしかなく、『条約イコール必ず減税』と思い込むと、逆に不利な号へ当てはめられることもある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 162 条:条約が 161 条と異なるとき、その限度で条約を優先させる上書きスイッチ | — |
| 適用の前提 | 適用可能な租税条約が存在し、161 条と異なる定めがあること | — |
| 税率への影響 | 条約の限度税率まで軽減、場合により免税 | — |
| 手続の要否 | 租税条約に関する届出書の提出が事実上の作動条件 | — |
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