要点所得税法 240 条は、源泉徴収した所得税を納付しなかった者に 10 年以下の拘禁刑または 200 万円以下の罰金を科す罰則。脱税と異なり不正の手口は不要で、不納付だけで成立する。
Q · 給料から天引きした源泉所得税を納め忘れたら、逮捕されるの?
悪質と判断されれば刑事告発され、最長 10 年の拘禁刑もありうる
所得税法 240 条は、徴収した源泉所得税を納付しなかった者に 10 年以下の拘禁刑または 200 万円以下の罰金(併科あり)を科します。脱税罪(238 条)と異なり帳簿改ざん等の不正の手口は不要で、ただ納めなかった事実だけで犯罪が成立します。多くの単純な納め忘れは不納付加算税・延滞税で行政処理されますが、多額・反復・意図的で悪質と見られれば刑事告発の対象になります。法人の場合は両罰規定(244 条)により代表者個人も処罰されうる点に注意が必要です。
毎月、従業員の給料から所得税を天引きしている。その天引きした金は一瞬あなたの会社の口座を通るが、法的にはあなたの金ではない。従業員が国に納めるべき税を、あなたが預かって代わりに納める、それが源泉徴収だ。240条が牙をむくのはここ。預かった税を納めず会社の運転資金に回した瞬間、あなたは他人の金を横領したのと同じ構図に立つ。だから罰が重い。最長10年の拘禁刑、または200万円以下の罰金、しかも併科もある。さらに脱税罪と違い、帳簿を改ざんするような不正の手口は一切要らない。ただ納めなかった、それだけで犯罪が成立する。とりわけ従業員10人未満で納期の特例(216条)を使い、半年分をまとめて納める会社ほど、手元に貯まった税金を資金繰りで食いつぶし、納期にゼロという崖に落ちやすい。
所得税法 240 条は源泉徴収に係る不納付犯を定める罰則規定であり、源泉徴収義務者が給与・報酬・利子・配当等について徴収して納付すべき所得税を納付しなかった行為を処罰する。脱税犯(238 条)が不正の手段を構成要件とするのに対し、本条は不納付という不作為のみで成立する点に特徴がある。
原則 10% ですが、税務署の指摘前に自主納付すれば 5% に軽減されます(国税通則法 67 条)。法定納期限内の完納など一定要件では不適用になる場合もあります。
従業員 10 人未満の事業者が源泉所得税を年 2 回にまとめて納められる制度です(216 条)。手元に半年分が貯まるため、資金繰りで流用し不納付に陥るリスクもあります。
必要です。原稿料・デザイン料・弁護士や税理士への報酬など 204 条の報酬・料金は源泉徴収の対象で、10.21% 等を天引きして納付する義務があります。
不納付犯(240 条)の公訴時効は 7 年です(長期 10 年の拘禁刑にあたる罪)。これとは別に、行政上の延滞税は納期限の翌日から発生し続けます。
違います。脱税(238 条)は帳簿改ざん等の不正の手口が要件ですが、不納付犯(240 条)は納めなかった事実だけで成立します。
一括が困難な場合、税務署に相談して分割納付や納付計画を提示できます。誠実な納付意思の可視化が刑事告発の回避につながります。
240 条 2 項により、情状によって罰金の上限が 200 万円を超え、不納付額に相当する金額まで引き上げられることがあります。
原則、徴収した月の翌月 10 日までに納付します。納期の特例を選択した場合は 7 月 10 日と翌年 1 月 20 日の年 2 回です。
単なる納め忘れの多くは不納付加算税(国税通則法67条)と延滞税で行政的に処理され、いきなり逮捕とはなりません。刑事告発(240条)は多額・反復・意図的など悪質な案件に限られます。ただし脱税罪と違い不正の手口が要件でないため、悪質と見られれば起訴のハードルは低い。業界裏話ヒント:税務署は「払う意思があるか」を見ています。指摘後すぐ全額納付する会社はまず告発されず、何度も約束を破り分割にも応じない会社が告発リストに乗る
会社の民事上の納税義務が整理されても、240条の刑事責任と両罰規定による代表者個人の責任は別枠です。会社清算後に当時の代表者が起訴された例もあります。業界裏話ヒント:源泉所得税は破産手続でも他の債権より優先的に扱われることが多く、簡単には消えません。「倒産すれば全部消える」は最も危険な誤解で、この一点を軽く見た元社長ほど後で足をすくわれる
原則あなたが払い直す必要はありません。給与から適法に源泉徴収された以上、あなたは源泉徴収票をもとに確定申告で控除・還付を受けられ、納付義務を負うのは会社(源泉徴収義務者)です。業界裏話ヒント:源泉徴収票が発行されないときは要注意。給与明細や振込記録で「天引きされていた事実」を自分で証明できるよう保管しておくと、税務署との交渉で立場が全く変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 犯罪類型 | 240 条・不納付犯:徴収した税を納めない不作為犯 | — |
| 不正の手口の要否 | 不要(納めなかった事実のみで成立) | — |
| 法定刑 | 10 年以下の拘禁刑・200 万円以下の罰金(併科可) | — |
| 典型シーン | 資金繰りで預り源泉税を流用し納期にゼロ | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。