要点所得税法 38 条は、譲渡所得の取得費を取得金額・設備費・改良費の合計と定める。建物など減価する資産は償却費相当額が控除され、取得費は保有年数分だけ目減りする。
Q · 家を売ったとき、取得費っていくらで計算されるの?
買値に設備費と改良費を足し、建物は減価分を引いた額です
所得税法 38 条により、取得費は資産の取得に要した金額、設備費、改良費の合計額です(1 項)。ただし建物など減価する資産は、取得から譲渡までの償却費相当額が差し引かれます(2 項)。土地は減価しないので満額残ります。契約書などで取得費を証明できない場合、実務では売値の 5% しか認められず(概算取得費)、残る 95% が儲け扱いとなって課税されます。相続財産なら被相続人の取得費を引き継ぎます(60 条)。
実家を 3,000 万円で売った。手元に丸ごと残ると思っているなら、そこが最初の落とし穴だ。譲渡所得税は売値ではなく「売値から取得費と譲渡費用を引いた残り」に課される。つまりこの条文は、税務署が持つ計算式の分母ではなく、あなたが自分で積み上げる盾である。38 条 1 項が認める盾は三種類、買った金額、設備費、改良費。1 項はここで止まらない。2 項が牙を出す。建物のように時の経過で価値が減る資産は、償却費相当額を差し引かれる。だから同じ 3,000 万円で買った家でも、20 年住んだ後の取得費は 3,000 万円ではない。そして最悪なのは、買ったときの契約書を捨てていた場合だ。証明できない取得費はゼロと同じ扱いになり、実務では売値の 5% しか認められない。3,000 万円で売れば 2,850 万円が儲け扱いになる。あなたが守るべきは条文の解釈ではなく、20 年前の紙一枚だ。
所得税法 38 条は譲渡所得の取得費を定める規定であり、取得費とは、別段の定めがある場合を除き、資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の合計額をいう。家屋など減価する資産では、この合計額から取得の日から譲渡の日までの償却費相当額を控除した金額が取得費となる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
資産の取得に要した金額に、設備費と改良費を加えた合計額です(所得税法 38 条 1 項)。譲渡益=売値-取得費-譲渡費用で計算され、取得費が高いほど課税される儲けは小さくなります。
相続税を納めた資産を、相続税の申告期限の翌日から 3 年以内に売れば、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例です(租税特別措置法 39 条)。期限を過ぎると使えなくなります。
相続時の評価額ではなく、亡くなった被相続人が買ったときの金額をそのまま引き継ぎます(所得税法 60 条 1 項)。昭和に 400 万円で買った土地なら、取得費は 400 万円です。
譲渡した年の翌年 2 月 16 日から 3 月 15 日までに確定申告します。申告後に取得費の計上漏れに気付いた場合、法定申告期限から 5 年以内なら更正の請求ができます(国税通則法 23 条 1 項)。
売買契約書に内訳がない場合、固定資産税評価額比や建物の標準的建築価額表などで按分します。建物だけが減価するため、按分方法の選び方で取得費が数百万円動くことがあります。
贈与税を払っていても、取得費は贈与者(祖父母など)の購入額を引き継ぎます(所得税法 60 条 1 項)。「贈与でもらったから取得費ゼロ」と申告すると納税額が大きく変わります。
買値のほか、仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、司法書士報酬、設備費、改良費などです。自宅取得ローンの使用開始日までの利息も算入できるとされています(最判平成 4.7.14)。
実務では売値の 5% を概算取得費として認めます(措置法 31 条の 4 と関係通達)。ただし市街地価格指数や当時の資料で実額を推計し 5% より高く認められた裁決例もあり、扱いは分かれます。
ゼロではなく、実務上は譲渡収入金額の 5% を概算取得費として認めています(租税特別措置法 31 条の 4 と関係通達)。ただし残る 95% には課税されます。相続の場合、取得費は 60 条 1 項で被相続人から引き継ぎます。業界裏話ヒント:市街地価格指数や当時の分譲パンフレット、住宅ローンの金銭消費貸借契約書から実額を推計し、5% より高い取得費が認められた国税不服審判所の裁決例が存在します。ただし否認された事例もあり、実務上、解釈が分かれています。5% と言われて即座に諦める人と、根拠資料を積んで交渉する人で、納税額は桁が違う
38 条 2 項があるためです。建物は使用と時の経過で減価するとみなされ、取得の日から譲渡の日までの償却費相当額が取得費から差し引かれます。自宅のような非業務用資産は、施行令 85 条により耐用年数を 1.5 倍した旧定額法で計算します。業界裏話ヒント:土地は減価しません。売買契約書に土地と建物の内訳が書かれていない場合、按分方法(固定資産税評価額比、建物の標準的建築価額表など)の選び方で建物価額が変わり、取得費が数百万円動きます。この按分を税理士任せにせず、複数の方法で試算させる
資産の価値を高め、または使用可能期間を延長する支出であれば「改良費」として 38 条 1 項が明文で取得費に含めています。壊れた箇所を直しただけの原状回復(修繕費)は含まれません。業界裏話ヒント:この線引きは条文になく、通達と裁決例の蓄積で決まるため、実務上、判断が分かれる典型論点です。工事の請負契約書に「修繕」ではなく実際の工事内容(間取り変更、耐震補強、設備更新)を明記させておくだけで、20 年後の税務調査で改良費と認められる確率が変わる
自宅を取得するためのローン利息のうち、その家を使用開始する日までの期間に対応する部分は取得費に算入できると最高裁が判断しています(最判平成 4.7.14)。登録免許税、不動産取得税、司法書士報酬も、非業務用資産であれば取得費に含まれます。業界裏話ヒント:これらは 38 条 1 項の「取得に要した金額」の解釈として通達で整理されています。逆に事業用資産では、これらの費用は取得時にすでに必要経費として控除しているため、取得費に二重計上できません。同じ支出でも用途によって扱いが逆転する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 所得税法 38 条:取得費(買値+設備費+改良費、減価控除)の算定 | — |
| 決める数字 | 控除できる取得費の額 | — |
| 典型的な落とし穴 | 建物の償却費控除(2 項)と契約書紛失による 5% 概算 | — |
| 節税の鍵 | 改良費・諸費用の証拠保管と土地建物の按分 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。