要点所得税法 60 条の 4 は、外国の出国税で課税された有価証券等を日本で売却する際、外国で収入金額に算入された金額を取得費に上書きし、二重課税を排除する規定である。
Q · 海外で株の含み益に「出国税」を払っていたら、日本で売るとき二重課税されないの?
外国出国税で課税済みの含み益は取得費に上書きでき二重課税を防げます
所得税法 60 条の 4 により、外国の国外転出時課税(出国税)の適用を受けた有価証券等を日本の居住者が譲渡した場合、その外国税額の計算上『譲渡があったものとみなして収入金額に算入された金額』を、日本の譲渡所得等の計算における取得費に置き換えられます(第 1 項)。未決済信用取引・デリバティブ取引は決済損益額を調整します(第 2 項)。これにより、外国で既に課税された含み益に日本が再び課税する二重課税を回避できます。ただし対象は、外国法令が『みなし譲渡課税』の構造をとる場合に限られます(第 3 項)。
カナダやフランス、ドイツに住んでいたあなたが、日本へ移り住む。出国のとき、その国はあなたの株式やファンドの含み益に「出国税(exit tax)」を課していた。まだ一株も売っていないのに、値上がり分へ課税されたのだ。数年後、日本の居住者になったあなたが、その株を売る。ここで何も知らなければ、日本は最初に買った値段を基準に譲渡所得を計算し、海外ですでに課税された値上がり分に、もう一度課税する。同じ利益への二重課税だ。所得税法60条の4は、この穴を塞ぐ。外国の出国税の計算で「収入金額に算入された金額」を、日本での取得費として上書きできる。課税済みの部分は、日本の課税対象から外れる。国境をまたいで資産を持つ人にとって、この一条を知っているかどうかが、手取りを大きく分ける。
所得税法 60 条の 4 は、外国の国外転出時課税(出国税)の適用を受けた有価証券等・未決済信用取引等・未決済デリバティブ取引について、その外国税額の計算上収入金額に算入された金額を日本での譲渡所得等の計算における取得費に置き換える取得費調整規定である。同法 60 条の 2 の国内版制度に対応し、国際的二重課税を排除する機能を持つ。
AI 輔助整理,以條文原文為準
居住者が国外へ転出する際、まだ売っていない有価証券等の含み益に対し『譲渡があったものとみなして』課税する制度です。日本の 60 条の 2 に相当し、外国にも同種の制度があります。
外国で出国税を課された有価証券等を、日本の居住者になった後に譲渡した年の確定申告で使います。外国で収入金額に算入された金額を取得費に上書きします。
何もしなければ取得価額を基準に譲渡所得が計算され、海外課税済みの値上がり分に再課税されます。60 条の 4 を適用すると、その二重課税分が取得費上書きで消えます。
適用されます。第 2 項が未決済信用取引等・未決済デリバティブ取引について、外国出国税の計算上算出された利益・損失相当額を決済損益額から加減算すると定めています。
実務上、外国の課税証明書・申告書がなければ収入金額算入額を立証できず、上書きが認められないおそれがあります。出国税を払った年の書類一式の保管が要点です。
法定申告期限から 5 年以内なら更正の請求で是正できます(国税通則法 23 条 1 項)。起算点は法定申告期限で、譲渡年翌年 3 月 15 日が基準です。
含み益を持つ有価証券等が対象のため、ストックオプションや自社株を抱えるスタートアップ関係者が海外移住から帰国したケースでも射程に入ります。
第 4 項が政令に委任しており、所得税法施行令に適用細目が定められています。条番号は改正で変動するため、現行効力を e-Gov で確認する必要があります。
大いに関係します。その課税が外国の「出国税(転出時課税)」であれば、60条の4により、外国で収入金額に算入された金額を日本での取得費に上書きでき、同じ含み益への二重課税を避けられます(60条の4第1項、対応する国内制度は60条の2)。業界裏話ヒント:この上書きは外国の課税証明書がないと立証できません。売却時に慌てて探しても、数年前の外国税務書類は取り寄せに数か月かかることが多い。出国税を払った瞬間に、その年の申告書一式を保管しておくのが分かれ道
別物です。外国税額控除は日本の税額から外国税を差し引く仕組みですが、出国税は売却前の含み益に課され、日本の売却益課税とは年度も対象もずれるため控除で拾いきれません。60条の4は取得費そのものを上書きして二重課税の元を断ちます。業界裏話ヒント:実務では外国税額控除だけで処理しようとして取りこぼす例が多い。取得費調整と外国税額控除は二重取りにならない範囲で切り分ける必要があり、この整理を誤ると調査で否認される
鍵は3項の要件です。外国法令が『国外転出に相当する事由が生じたときに、譲渡や決済があったものとみなして外国所得税を課す』構造であることが必要で、実際に売って課された通常の譲渡益課税は該当しません(60条の4第3項、外国所得税の意味は95条1項)。業界裏話ヒント:国ごとに制度名も要件も違うため、現地の条文原文と課税根拠の確認が欠かせない。ここを詰めずに上書きすると、要件不該当でまるごと否認されるリスクが最も高い(最新の各国制度・改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 機能 | 60 条の 4:外国出国税を受けた資産の取得費を上書き(二重課税排除) | — |
| 課税のタイミング | 居住者となった後、資産を実際に譲渡・決済した時 | — |
| 調整の対象 | 取得費(収入金額算入額に置換)・決済損益額 | — |
| 適用の要件 | 外国法令が『みなし譲渡課税』の構造をとること(3 項) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。