要点法人税法146条の2は、恒久的施設を有する外国法人に、帰属する第三者取引と本支店間の内部取引の明細書類を財務省令の定めにより作成する義務を課す。
Q · 本社と日本支店の間でやり取りしただけなのに、書類を作らないといけないんですか?
作成義務あり。なければ推計課税を招きます
法人税法146条の2により、恒久的施設を有する外国法人は、恒久的施設に帰せられる第三者との取引(1項)と、本店等と恒久的施設との間の資産移転・役務提供などの内部取引(2項)について、財務省令で定める明細書類を作成しなければなりません。作成しなければ独立企業間価格の立証が弱まり、税務調査で税務署の推計により恒久的施設帰属所得を引き上げられるリスクが高まります。取引が発生した事業年度中に作成する同時文書化が実務上の要です。
東京に支店を構えて日本市場で稼ぐ外国企業。その支店(税法でいう恒久的施設、PE)が生んだ利益には日本の法人税がかかる。ここに落とし穴がある。本社と支店は同じ一つの会社だから、両者の間でお金や資産を動かしても「取引」ではない、と普通は考える。法人税法146条の2はその常識を裏切る。本社から支店へ特許やノウハウを移した、本社が支店に役務を提供した、そうした社内の資産移転や役務提供(内部取引)を、独立した第三者どうしの取引とみなし、その明細書類を財務省令の様式で作れと命じる。第三者との取引でPEに帰属するものも同じだ。書類がなければ、税務調査で税務署が独自に所得を推計し、あなたの支店の利益は膨らまされる。作らなかった事実そのものが、更正処分の入口になる。
法人税法146条の2は、恒久的施設を有する外国法人に課される書類作成義務を定める規定である。1項は恒久的施設に帰属する第三者との取引の明細書類、2項は本店等と恒久的施設との間の内部取引の明細書類について、財務省令の定めに従った作成を義務づける。恒久的施設帰属所得の計算過程を検証可能にする手続的基盤として機能する。
本店等と恒久的施設との間の資産の移転、役務の提供その他の事実で、法人税法138条1項1号に該当するものです。法的には社内のやり取りですが、税務上は独立企業間の取引とみなして損益を計算します。
法人税法2条が定義する、外国法人の日本国内における支店・工場等の事業を行う一定の場所、建設工事現場、契約締結代理人などです。PEがあると恒久的施設帰属所得への課税と本条の書類義務が生じます。
条文上の明示的な提出期限ではなく、取引が生じた事業年度中に作成する同時文書化が実務の基本です。調査通知後に作った書類は後付けと評価され、独立企業間価格の主張力が大きく落ちます。
OECD承認アプローチ(Authorized OECD Approach)のことで、恒久的施設を本店から独立した企業とみなし、機能・資産・リスクに応じて所得を帰属させる考え方です。日本は2016年4月以後開始事業年度から採用しています。
移転価格文書は国外関連者という別法人との取引が対象、本条2項は同一法人内の本店等と恒久的施設との内部取引が対象です。相手が別法人か自社内かで根拠条文と様式が分かれます。
恒久的施設を有し、かつ恒久的施設帰属所得を有する外国法人が義務者です。日本支店の担当者ではなく外国法人そのものが名宛人であり、支店任せにしても本国法人の義務は消えません。
条文は記載事項も様式も財務省令に委任しています。実際の記載事項は法人税法施行規則の該当条項で定められるため、適用事業年度時点の現行省令を必ず確認してください。
作成義務違反であることは確かですが、実務上の打撃は形式違反より課税面にあります。書類がないと独立企業間価格の立証が困難になり、税務署の推計による所得増額を招きやすくなります。
2014年(平成26年)の税制改正でOECDのAOAが導入され、恒久的施設を本社から独立した企業とみなして課税するようになったからです(法人税法138条、142条)。社内の資産移転や役務提供も内部取引として、独立企業なら生じたはずの損益を計算します。業界裏話ヒント:この独立企業擬制は、本社が高税率国・支店が低税率国という配置での利益移転を防ぐ狙いがある。だからこそ税務署は内部取引の価格に神経を尖らせる。書類の精度が、そのまま調査の当たりの強さを決める
罰金そのものより怖いのは、書類がないことで税務署の推計課税を招き、課税所得を一方的に膨らまされる点です(法人税法146条の2、138条1項1号)。同時文書化を怠ると、独立企業間価格の主張が弱まり、更正のリスクが跳ね上がります。業界裏話ヒント:実務では『ペナルティ額』を気にする経営者が多いが、国際税務に強い税理士が最初に確認するのは推計課税の余地の方。数十万の話ではなく、数千万の所得上振れが本当の損失になる
駐在員事務所が情報収集や広告など準備的・補助的な活動に留まるなら、恒久的施設に当たらず義務は生じません(法人税法2条の恒久的施設の定義)。ただし契約締結の代理や事業の中核を担い始めるとPEと認定され、義務が発生します。業界裏話ヒント:『駐在員事務所だからPEではない』は思い込みの温床。実態として営業や契約交渉をしていればPE認定され、遡って書類義務違反を問われる。看板ではなく機能で判定される点を、税務署は見抜いてくる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 法人税法146条の2:帰属取引・内部取引の明細書類の作成義務(手続) | — |
| 名宛人と発動条件 | 恒久的施設を有し恒久的施設帰属所得を有する外国法人 | — |
| 違反・不備の帰結 | 独立企業間価格の立証が弱まり、税務署の推計による所得増額を招く | — |
| 実務上の着手時期 | 取引が生じた当該事業年度中(同時文書化) | — |
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