要点徴収法 20 条は、有期事業のメリット収支率が 85% を超え又は 75% 以下のとき、政府が確定保険料を 40% の範囲内で引き上げ又は引き下げると定める。差額は徴収・充当・還付される。
Q · 工事が終わったあと、労災保険料が上がったり下がったりするって本当ですか?
本当です。無事故なら下がり、大きな労災があれば上がります
徴収法 20 条は、有期事業(単独の工事など)について、事業終了から 3 箇月又は 9 箇月を経過した日前の業務災害に関する保険給付の額と、納付済みの確定保険料の額との割合(メリット収支率)を計算し、85% を超えれば引き上げ、75% 以下であれば引き下げると定めます。増減幅は 100 分の 40 の範囲内で厚生労働省令が定めます。継続事業の 12 条 3 項が「将来の保険料率」を動かすのに対し、20 条は「すでに確定した保険料額そのもの」を事後的に改定し、差額は徴収・充当・還付されます(3 項)。
建設現場が一つ終わるたびに、その現場だけの成績表が静かに作られている。工事期間中に労災保険からいくら給付が出たか、その額を納めた確定保険料と比べる。徴収法20条は、この比率(メリット収支率)が75%以下なら保険料を引き下げ、85%を超えたら引き上げると定める。幅は厚生労働省令の範囲で最大40%。継続事業のメリット制(12条3項)が「将来の保険料率」を動かすのに対し、20条は「すでに納め終えた確定保険料そのもの」を事後的に書き換える。つまり現金が戻る、あるいは追加で取られる。判定時期は事業終了から3ヶ月後(1項1号)と9ヶ月後(同2号)の二段構え。じん肺や石綿疾患などの特定疾病に係る給付、労災保険法16条の6第1項2号の遺族補償一時金は分子から除外される。前の職場が原因の職業病で、たまたま最後にいた現場が罰されないための調整である。
徴収法 20 条は、有期事業に係る確定保険料の特例(メリット制)を定める規定である。事業終了から 3 箇月又は 9 箇月を経過した日前の保険給付の額と確定保険料の額との割合に応じ、政府が確定保険料の額を 100 分の 40 の範囲内で省令の定める率により引き上げ又は引き下げる。12 条 3 項が将来の料率を動かすのに対し、本条は確定保険料額自体を事後的に改定する。
労災の発生実績に応じて労災保険料を割引・割増する仕組みです。有期事業では徴収法 20 条が確定保険料額そのものを、継続事業では 12 条 3 項が保険料率を増減させます。
分子は業務災害に関する保険給付の額(特定疾病に係る給付と労災保険法 16 条の 6 第 1 項 2 号の遺族補償一時金を除く)、分母は確定保険料から非業務災害率相当分を減じた額に調整率を乗じた額です。
20 条 1 項は 100 分の 40 の範囲内と定め、具体的な率は厚生労働省令によります。事業の種類や確定保険料額の規模により上限が抑えられる場合があるため、最新の省令をご確認ください。
判定の基準日は事業終了日から 3 箇月経過日(1 項 1 号)と 9 箇月経過日(同 2 号)です。労働局の処理を経るため、通知は工事終了から半年以上あとに届くことも珍しくありません。
あります。徴収法 41 条により、労働保険料の還付を受ける権利は 2 年で時効消滅します。通知を放置したまま 2 年が過ぎれば、引下げ分は受け取れなくなります。
労働者死傷病報告を怠り又は虚偽報告をすれば、労働安全衛生法 100 条・120 条により 50 万円以下の罰金の対象となります。公共工事の指名停止など行政上の不利益にも直結します。
1 項 1 号の 3 箇月判定では第一種調整率を用います。2 号の 9 箇月判定では、年金給付や 9 箇月経過後の給付に要する費用等を考慮した第二種調整率を用い、将来分の見込みを織り込みます。
20 条は「厚生労働省令で定める有期事業」を対象とし、建設の事業のほか立木の伐採の事業などが典型です。規模要件を満たさない事業や一括有期事業には適用されません。
政府が引き下げると決めても、現金が自動で口座に入るわけではありません。20条3項は差額の徴収・充当・還付を定めますが、実務では労働局から特例の通知が届き、還付請求の手続を経て初めて振り込まれます。未納があれば先に充当されます。業界裏話ヒント:この通知は工事終了から半年以上経って届くため、担当者が異動した会社ほど取りこぼす。竣工時の引継書に「保険料の精算は未了」と一行残すだけで防げる
一括有期事業(徴収法7条)としてまとめた分は継続事業とみなされるため、メリット制は20条ではなく12条3項の側で計算されます。20条が働くのは、単独の有期事業として扱われる規模の工事です。業界裏話ヒント:同じ工事量でも、単独扱いか一括扱いかで増減の効き方も精算のタイミングも変わる。請負金額の要件を満たす案件がどちらの枠に入っているかを把握していない会社が、実は多い
20条1項各号は、じん肺や石綿関連疾患などの特定疾病にかかった者に係る保険給付を、収支率の計算から明文で除外しています。長い潜伏期間を持つ職業病の負担を、たまたま最後にいた現場に背負わせないための調整です。業界裏話ヒント:除外されるべき給付が計算に残ったまま引上げ通知が来る例は実際にある。合計額だけ見ず、給付の内訳を一件ずつ開示させて該当性を確認する
支給決定そのものの取消しを事業主が求めることはできませんが、令和6年7月4日の最高裁判決は、メリット制で保険料を増額された事業主が、労働保険料認定決定の取消訴訟の中で当該災害の業務起因性を争うことを認めました。業界裏話ヒント:入口を「支給決定の取消し」にすると原告適格なしで終わり、「保険料認定決定の取消し」にすると中身の審理に入れる。争う対象の選び方だけで結論が変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 何を動かすか | 徴収法 20 条:確定した保険料の額そのものを事後改定 | — |
| 対象事業 | 省令で定める有期事業(建設の事業、立木の伐採の事業など) | — |
| 判定の時点 | 事業終了日から 3 箇月経過日(1 項 1 号)/9 箇月経過日(同 2 号) | — |
| 手続と効果 | 政府の職権判定 → 差額の徴収・充当・還付(3 項)。還付請求権は 2 年で時効(41 条) | — |
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