要点徴収法 26 条は、雇用保険の届出を怠った事業主が、時効で消滅した保険料に加算額を上乗せして任意に納付できる特例納付保険料を定める。厚生労働大臣は納付を勧奨する。
Q · 会社が特例納付保険料を払わないと、自分の失業給付は増えないのですか?
会社が払わなくても、遡及は別ルートで判定されます
徴収等法 26 条の特例納付保険料は任意です。厚生労働大臣は対象事業主に納付を勧奨しなければなりませんが(2 項)、事業主が書面で申し出て初めて納付義務が確定します(3 項・5 項)。一方、労働者の被保険者期間の遡及は雇用保険法 14 条 2 項 2 号で判定され、給与明細等で雇用保険料の控除が確認できれば 2 年を超えて算入されます。事業主が納付に応じるかどうかを待つ必要はありません。
給与明細の控除欄に「雇用保険」の四文字があるのに、ハローワークの記録では加入期間が半分しかない。この落差は現実に起きる。事業主が保険関係成立届(4 条の 2 第 1 項)を出さないまま、保険料だけ賃金から天引きしていた場合だ。国が事業主から保険料を取り立てる権利は 2 年で時効消滅する(徴収法 41 条 1 項)。取り立てはできない、しかし労働者の記録の穴は残る。その穴の財源側を埋めるために置かれたのが本条である。ここで厚生労働大臣にできるのは「勧奨」だけ、事業主の側も「納付することができる」にとどまる。任意である。だが本当に知るべきはその先だ。事業主が一円も払わなくても、あなたの被保険者期間の遡及は雇用保険法 14 条 2 項 2 号の側で判定される。給付を左右するのは事業主の財布ではなく、あなたが給与明細を残しているかどうかである。
特例納付保険料とは、雇用保険に係る保険関係が成立していたにもかかわらず保険関係成立届を提出していなかった事業主が、時効により徴収権が消滅した一般保険料のうち雇用保険率に応ずる部分の額に、厚生労働省令で定める額を加算して任意に納付する保険料をいう。労働保険徴収等法 26 条 1 項が定め、対象事業主には当該事業を承継する者を含む。
AI 輔助整理,以條文原文為準
雇用保険の保険関係成立届を怠った事業主が、時効で徴収権の消滅した雇用保険料相当額に厚生労働省令で定める加算額を加えて任意に納付する保険料です(徴収法 26 条 1 項)。
届出を怠った事業主のほか、その事業を承継する者も「対象事業主」に含まれます(26 条 1 項)。事業譲渡や親族間の事業承継の後でも勧奨の名宛人になり得ます。
一律の法定期限はありません。事業主が書面で申し出た後、政府が額を決定し期限を指定して通知します(4 項)。その指定期限までに納付する義務が生じます(5 項)。
5 項は申出をした対象事業主に納付義務を課しています。申出をすれば義務が確定する構造のため、資金繰りと対象範囲を確定させてから書面を出すのが実務上の要点です。
原則 2 年ですが、給与明細等で雇用保険料の控除が確認できる場合は、その確認できる最も古い日まで遡って被保険者期間に算入されます(雇用保険法 14 条 2 項 2 号)。
徴収法 4 条の 2 の届出義務や雇用保険法 7 条の届出義務には、それぞれ罰則規定が置かれています。26 条が任意なのは時効消滅した保険料の納付局面に限られます。
26 条 1 項は対象事業主に「事業を承継する者」を含めています。M&A や事業承継の労務デューデリジェンスで雇用保険の加入状況を確認すべき理由がここにあります。
含まれません。26 条 1 項は算定対象を一般保険料のうち「雇用保険率に応ずる部分の額」に限定しており、労災保険率に対応する部分は対象外です。
できます。被保険者資格の確認請求(雇用保険法 8 条)に期限はありません。原則は 2 年遡及ですが、給与明細等で雇用保険料の天引きが確認できれば、その確認できる最も古い日まで遡って被保険者期間に算入されます(同法 14 条 2 項 2 号)。業界裏話ヒント:窓口で最初に「2 年までです」と説明されることがあります。特例は書類を出して初めて検討が始まるので、明細か源泉徴収票を一枚出せるかどうかで返ってくる答えが変わります
本条の納付は任意で、勧奨に応じないこと自体に直接の罰則はありません(1 項が「納付することができる」と書いている理由です)。ただし保険関係成立届や被保険者に関する届出を怠っていた事実は別問題として残り、徴収法 4 条の 2、雇用保険法 7 条の義務違反にはそれぞれ罰則規定があります。業界裏話ヒント:一人分の勧奨は調査の入口になりやすい。他の未届者を自分で先に洗い出しておくと、是正が一度で済みます
時効消滅した一般保険料のうち雇用保険率に応ずる部分で、その労働者に係る額(基本額)に、厚生労働省令で定める加算額(基本額の 10 %)を加えた額です(最新の改正状況をご確認ください)。労災保険率に対応する部分は入りません。業界裏話ヒント:雇用保険側だけ見て判断すると全体像を誤ります。同じ期間について厚生年金・健康保険も是正すると、そちらは別枠で遡及と延滞金が発生し、桁が一つ変わることがあります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 納付義務の性質 | 徴収法 26 条:任意(書面の申出により義務が確定) | — |
| 対象となる保険料 | 時効消滅した一般保険料のうち雇用保険率に応ずる部分+加算額 | — |
| 未納付の効果 | 申出前は効果なし(本条自体に罰則なし)/申出後は督促・滞納処分(27 条) | — |
| 労働者の給付への影響 | 納付の有無は被保険者期間の遡及と切り離されている | — |
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