要点労働保険徴収法 31 条は、労働者が負担するのは雇用保険の失業等給付・育児休業給付に係る部分の二分の一のみと定める。労災保険料と雇用保険二事業分は全額が事業主負担となる。
Q · 給料から引かれている労働保険料、労災の分まで払わされていませんか?
労災保険料は全額事業主負担。労働者は一円も払いません
労働保険徴収法 31 条 1 項は、被保険者が負担する額を、雇用保険の失業等給付・育児休業給付に係る率に対応する部分の二分の一と定めています。労災保険のみが成立する事業(同法 12 条 1 項 2 号)が列挙から外れているのは、労災保険料に労働者の負担分が存在しないためです。日雇労働被保険者は印紙保険料の半額(1 円未満切捨て)を追加で負担し、残りはすべて同条 3 項により事業主が負担します。
給与明細の控除欄に並ぶ数字のうち、雇用保険料だけは計算式があなたに開示されていない。本条が決めているのは、労働保険料という一つの塊を労使でどう切り分けるかであり、その切り分けは三層構造になっている。労災保険料は一円も労働者に回らず全額が事業主負担。雇用保険のうち失業等給付と育児休業給付にあたる部分だけが、労使で半分ずつ。そして雇用安定事業・能力開発事業(いわゆる雇用保険二事業)に対応する部分は、これもまた全額が事業主負担。つまり世間で言われる「雇用保険は労使折半」は正確ではなく、事業主側の負担率のほうが常に高い。あなたの明細に「労働保険料」とだけ一括表示されているなら、その中に本来一円も入ってはならない労災分が紛れていないか、内訳を検算する立場にあなたは立っている。
労働保険徴収法 31 条は、労働保険料の労使負担区分を定める規定である。被保険者は、一般保険料のうち雇用保険の失業等給付・育児休業給付に係る率に対応する部分の二分の一を負担し、日雇労働被保険者はこれに加えて印紙保険料の二分の一を負担する。事業主は労働保険料の総額からこれらを控除した残額、すなわち労災保険分と雇用保険二事業分を含む部分を負担する。
労災保険料と雇用保険料を合わせた呼称です。徴収法上は一般保険料・印紙保険料などに区分され、31 条がその労使の負担区分を定めています。
引かれません。31 条 1 項は労災保険のみが成立する事業(12 条 1 項 2 号)を負担対象から外しており、労災保険料は全額が事業主負担です。
賃金総額に失業等給付・育児休業給付に係る率を掛け、その二分の一が労働者負担です。雇用保険二事業に係る率は労働者負担に含めません。
引かれます。健康保険や厚生年金と異なり雇用保険料に標準賞与額の上限はなく、賞与額に率を掛けた額の二分の一が控除されます。
徴収法 32 条 2 項により、事業主は控除額を記載した計算書を作成し被保険者に交付する義務があります。交付を求めるのは正当な権利行使です。
雇用保険法および徴収法に基づき年度ごとに定められ、厚生労働省が労働者負担分と事業主負担分を分けて公表します(最新の告示をご確認ください)。
毎年 6 月 1 日から 7 月 10 日までが年度更新期間です。事業主が前年度の確定保険料を精算し、当年度の概算保険料を申告・納付します。
会社への返還請求は賃金請求権として扱われ、各支払日を起算点に労働基準法 115 条の時効内なら請求可能です。まず控除計算書で内訳を確認します。
半分ずつになるのは失業等給付と育児休業給付に対応する部分だけです。雇用安定事業・能力開発事業に対応する部分は本条3項により事業主が全額負担するため、事業主の負担率のほうが必ず高くなります。業界裏話ヒント:料率は年度ごとに告示で変わり、厚生労働省は毎年「労働者負担」「事業主負担」を分けた表を公表しています。この表を一度見れば折半でないことは一目で分かるのに、社内説明では折半と言い続ける会社が多い(最新の改正状況をご確認ください)
徴収法32条2項は、事業主が被保険者負担分を賃金から控除したときは、その控除額を記載した計算書を作成して被保険者に交付しなければならないと定めています。内訳を求めるのはお願いではなく、条文上の交付義務の履行を求める行為です。業界裏話ヒント:この項の存在を知っている労働者はほとんどいないため、条番号を挙げて求めると経理の対応温度が変わります。多くの会社は義務自体を認識しておらず、指摘されて初めて明細の項目を分割する
雇用保険は原則として主たる賃金を受ける一つの事業所でのみ被保険者となるため、二重に引かれているなら一方が誤りの可能性があります。例外は65歳以上のマルチ高年齢被保険者(本人の申出により二社の労働時間を合算)です。業界裏話ヒント:二重加入はハローワークの資格取得確認の段階で弾かれるのが本来ですが、加入手続をせず控除だけしている事業所は検知されません。自分の被保険者資格はハローワークで照会でき、加入していなければ控除の根拠自体がない
印紙保険料は事業主が印紙を貼って納付しますが、本条2項により日雇労働被保険者はその半額(1円未満切捨て)を負担し、通常は賃金から控除されます。額は賃金日額に応じ三段階(徴収法22条)です。業界裏話ヒント:貼られた印紙の枚数が、そのまま日雇労働求職者給付金の受給資格(直前2か月の通算枚数)に直結します。印紙を貼らない事業主に当たると、負担だけして給付を失う。手帳は毎回自分の目で確認する価値がある(最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 徴収法 31 条:誰がいくら負担するかという負担の帰属 | — |
| 主体 | 被保険者(1 項・2 項)と事業主(3 項) | — |
| 労災保険分の扱い | 負担対象から除外(12 条 1 項 2 号が列挙されていない) | — |
| 誤りが起きたときの争い方 | 法定外控除として労働基準法 24 条違反を主張し過払分の返還請求 | — |
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