水質汚濁防止法 第22条(報告及び検査)
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- 環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、特定事業場若しくは有害物質貯蔵指定事業場の設置者若しくは設置者であつた者に対し、特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設の状況、汚水等の処理の方法その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、その者の特定事業場若しくは有害物質貯蔵指定事業場に立ち入り、特定施設、有害物質貯蔵指定施設その他の物件を検査させることができる。
- 2.環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、指定地域において事業活動に伴つて公共用水域に汚水、廃液その他の汚濁負荷量の増加の原因となる物を排出する者(排出水を排出する者を除く。)で政令で定めるものに対し、汚水、廃液等の処理の方法その他必要な事項に関し報告を求めることができる。
- 3.前二項の規定による環境大臣による報告の徴収又はその職員による立入検査は、公共用水域及び地下水の水質の汚濁による人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることを防止するため緊急の必要があると認められる場合に行うものとする。
- 4.第一項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
- 5.第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
この条文の基本情報
報告及び検査とは何ですか?
定義報告及び検査とは、水質汚濁防止法第22条に定められた規定で、「環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、特定事業場若しくは有害物質貯蔵指定事業場の設置者若しくは設置者であつた…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 水質汚濁防止法第22条(報告及び検査)は、日本の水質汚濁防止法に含まれる条文です。
- 水質汚濁防止法第22条の条文原文は「環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、特定事業場若しくは有害物質貯蔵指定事業場の設置者若しくは設置者であつた…」で始まります。
- 水質汚濁防止法第22条は第五章 雑則に置かれています。
- 水質汚濁防止法の公布日は昭和45年12月25日です。
- 水質汚濁防止法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 水質汚濁防止法第22条の前の条は水質汚濁防止法第21条です。
- 水質汚濁防止法第22条の次の条は水質汚濁防止法第23条です。
- 水質汚濁防止法第22条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第22条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000138 - 本サイト収録
水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第22条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/345AC0000000138/22
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点水質汚濁防止法22条は、環境大臣又は都道府県知事が特定事業場の設置者や元設置者に報告を求め、職員に立入検査させることができると定める。犯罪捜査目的では使えない。
Q · 県の環境担当が予告なしで工場に立入検査に来たら、断れるの?
断れない。正当な理由なく拒めば罰金の対象になる
水質汚濁防止法22条1項により、都道府県知事(政令市では市長)は職員に特定事業場へ立ち入らせ、特定施設や記録を検査させることができます。事前予告や令状は要件ではなく、正当な理由なく拒否・妨害・忌避すれば同法33条の罰則対象です。一方、職員は身分証明書を携帯し提示しなければならず(4項)、権限を犯罪捜査のために使うことは認められていません(5項)。まず身分証を確認し、立会人と記録係を置いて対応するのが実務の基本です。
解説
工場の排水口を実際に見に来るのは、ほとんどの場合、環境省ではなく都道府県(政令市では市)の担当職員である。水質汚濁防止法22条は、その職員に二つの権限を与えている。一つは報告を求める権限、もう一つは事業場に立ち入って施設や記録を検査する権限だ。環境大臣がこの権限を使えるのは、健康被害や生活環境の被害を防ぐため緊急の必要がある場合に限られる(3項)。見落とされやすいのが、対象に「設置者であつた者」まで含まれている点である。工場を閉めても、売却しても、過去の排水について報告を求められる可能性は残る。立入検査に令状はいらないが、職員は身分証明書を持ち歩き、関係人に示さなければならない(4項)。また、この権限は犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない(5項)。一方で、測定記録(14条)の食い違いが検査で見つかれば、排出基準違反の直罰(31条)に向けた告発へ進むことがある。検査当日に何を見せ、何を記録に残すかで、その後の行政指導で済むのか刑事事件になるのかが分かれる。
法的な位置づけ
水質汚濁防止法22条は、同法の施行に必要な限度において、環境大臣又は都道府県知事が特定事業場・有害物質貯蔵指定事業場の設置者及び設置者であった者に対して報告を徴収し、職員による立入検査を行う権限を定める行政調査規定である。環境大臣の権限は緊急時に限定され、検査職員の身分証明書携帯・提示義務と犯罪捜査目的の否定が併せて規定されている。
手順
- 1.職員の身分証明書を確認する 受付に職員が来たら、22条4項に基づく身分証明書の提示を求め、所属・氏名・来訪時刻を記録する。検査そのものは拒まず、社内の責任者に即時連絡する
- 2.立会人と記録係を決める 検査には排水設備に詳しい立会人と、見られた場所・質問内容・指摘事項を時刻付きで記録する記録係の二人を付ける。推測での回答は避け、「確認して回答する」と伝える
- 3.測定記録と現場の整合性を示す 排出水の測定記録(14条)、処理施設の運転日誌、廃液処理の委託記録を提示する。提出した書類はすべて写しを手元に残し、持ち帰られた資料の一覧を作る
- 4.指摘事項を受けて是正計画を固める 指摘を受けた場合は、改善命令(13条)や告発に進む前に、原因分析と是正計画を文書化して担当課に説明する。排出基準超過の疑いがあれば早期に環境法に詳しい弁護士へ相談する
よくある質問 AI による整理
Q1水質汚濁防止法の立入検査とは何ですか?
都道府県知事等の職員が特定事業場に立ち入り、特定施設や排水処理の状況、記録などを確認する行政調査です。根拠は水質汚濁防止法22条1項です。
Q2水質汚濁防止法の立入検査を拒否したらどうなる?
正当な理由なく拒否・妨害・忌避すると、同法33条により罰金の対象となります。法人の場合は両罰規定(34条)で会社も処罰されえます。
Q3立入検査に事前連絡はありますか?
22条は事前予告を要件としていません。運用上は事前連絡がある場合もありますが、排水の実態を確認するため抜き打ちで行われることもあります。
Q4報告徴収の回答期限はいつまで?
22条自体に期限の定めはなく、都道府県等から届く報告徴収通知書に記載された回答期限に従います。期限内に難しい場合は早めに担当課へ相談します。
Q5立入検査の職員が本物か確認できる?
できます。22条4項により、職員は身分を示す証明書を携帯し関係人に提示する義務があります。提示を求め、所属と氏名を記録しておきましょう。
Q6旅館やガソリンスタンドも立入検査の対象?
政令で定める特定施設(旅館業の厨房・浴場施設や自動式車両洗浄施設など)を持つ事業場であれば対象になります。業種名ではなく施設の有無で判断されます。
Q7立入検査で違反が見つかると逮捕される?
直ちに逮捕とは限りません。多くは行政指導や改善命令(13条)から始まりますが、排出基準違反には直罰(31条)があり、告発に進むこともあります。
Q8工場排水の汚れを見つけたらどこに通報する?
都道府県(政令市では市)の環境部局に通報します。日時と場所がわかる写真を添えて文書やメールで伝えると、立入検査の判断材料になりやすくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1県の人が急に来たんですけど、社長がいないから今日は帰ってくださいって言っていいんですか?
日程の調整をお願いすることはできる。ただ、正当な理由なく拒んだり先延ばしにしたりすれば、検査の拒否・忌避として罰則(33条)の対象になりうる。22条1項は事前の予告を要件にしていない。実務のポイント:抜き打ちで来たとき、職員が真っ先に見るのは排水口の現状と測定記録(14条)の整合性である。社長の不在を理由に帰ってもらうより、その場で立ち会い、記録を取る方が後々有利になることが多い
Q2工場はもう売却して手放したのに、昔の排水について報告しろと言われました。応じないといけませんか?
応じる必要がある。22条1項は「設置者であつた者」も報告徴収の対象としており、虚偽の報告や報告しないことは罰則の対象になる。実務のポイント:跡地で地下水汚染が見つかると、過去の設置者が浄化措置命令(14条の3)の対象になる可能性もある。報告内容はその判断材料になるため、回答前に当時の図面や廃液処理の記録を探し出し、事実だけを書くのが鉄則である
Q3立入検査で見られた記録から、警察沙汰になることってあるんですか?
ありうる。5項は、立入検査を犯罪捜査の手段として使うことを禁じているだけで、検査で判明した違反を告発することまでは禁じていない。排出基準違反には直罰(31条)があり、法人にも両罰規定(34条)が及ぶ。実務のポイント:実際の運用では、違反が見つかっても多くは行政指導や改善命令から始まる。告発に進むかどうかを左右するのは、測定記録の改ざんや隠蔽があるかどうかである。数値の悪さより、記録の不誠実さの方がはるかに重く見られる
間違えやすい点 AI による整理
- 「令状がないなら立入検査は断れる」と考える人がいる。しかし立入検査は行政調査であり、令状は不要とされている(川崎民商事件、最大判昭和47.11.22の趣旨)。職員が力ずくで押し入ることはできないが、拒否や妨害は刑事罰の対象になる(同法33条)。断れば済むのではなく、断ったことそのものが違反になる
- 5項に「犯罪捜査のためではない」とあるので、検査で見られた内容が刑事事件に使われることはないと思われがちである。これは危険な楽観だ。5項が禁じているのは、捜査を目的として立入検査を使うことである。検査で見つかった違反が告発のきっかけになることまでは禁じていない。税務調査について最高裁は、調査で得た資料が後に犯則事件の証拠に使われる可能性があっても、それだけで調査は違法にならないとしている(最決平成16.1.20)
- 工場を閉鎖すれば水質汚濁防止法とは縁が切れる、と考える経営者は多い。だが法律は、施設を持っているかではなく、汚染の原因を作ったかに目を向けている。22条1項が「設置者であつた者」まで報告と検査の対象にしているのはそのためだ。廃業してから数年たって地下水汚染が見つかっても、報告の義務から逃れることはできない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 22条:行政が事業場の実態を確認する調査権限 | 14条:事業者自身が排出水を測定し記録する義務 13条:違反のおそれがある場合の改善命令 |
| 義務・権限の主体 | 環境大臣(緊急時のみ)・都道府県知事 | 排出水を排出する者 都道府県知事 |
| 違反時の効果 | 報告拒否・虚偽報告・検査拒否は33条で罰金 | 記録義務違反は罰則の対象 命令違反は刑事罰の対象 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも主管機関の職員は証明文書を携帯して事業場に立ち入り、検査や採取ができる。拒否には罰則がある点で日本と同じ構造である。
韓国も環境部長官等に報告徴収と事業場への出入検査の権限を認め、検査時の権限証票の提示を求める。
ドイツの水管理法も、水域監督官庁に土地・施設への立入りと情報提供請求の権限を与える。基本権制限を明示する点が特徴である。
米国では EPA が記録の提出請求と施設への立入りを行える。ただし令状要件は判例法で別途問題となる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 月曜の朝九時、受付に「県の環境保全課です、立入検査に来ました」と二人の職員が現れた。事前連絡はない。社長は出張中で、工場長のあなたが対応するしかない。帰ってもらうことはできない。拒めば、それだけで罰金の対象になる
- 三年前に閉鎖したメッキ工場の跡地で、地下水から六価クロムが検出された。すでに事業をたたんだあなたのもとに、県から報告徴収の文書が届いた。もう設置者ではないのに答える義務はあるのか? 22条1項は「設置者であつた者」も対象にしているため、答えなければならない
- 旅館を営むあなたは、厨房と浴場の排水が「特定施設」の扱いになっていることを今まで知らなかった。県から届いた報告徴収書の回答期限は二週間後。そこには過去一年分の排水測定記録を出すよう書かれている。記録はない。この二週間で何を用意し、どう説明するかが勝負になる
- 近所の川が白く濁り、魚が浮いている。上流の工場が怪しいとあなたは思う。住民には工場の中を調べる権限がない。だが県に通報すれば、職員が22条に基づいて工場に入り、記録と排水口を調べることができる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 川や水路の濁り、異臭、魚が死んでいるといった異常を、日時と場所がわかる写真や動画で残す2. その日のうちに都道府県(政令市では市)の環境部局へ文書かメールで通報し、立入検査を求める3. 後日、報告徴収や立入検査の結果を情報公開請求で確認する4. 健康被害や財産被害がある場合は、無過失責任(19条)に基づく損害賠償請求を検討する
訴えられた側:1. 職員の身分証明書を確認し、検査を拒まない(拒否・妨害は33条の罰則対象) 2. 立会人と記録係を置き、見られた場所、提出した書類、指摘された内容を時刻付きで記録する3. 提出物の写しを手元に残し、推測では答えずに「確認して回答する」と伝える4. 排出基準の超過が疑われる場合は、直罰(31条)もありうるため、早い段階で環境法に詳しい弁護士に相談し、是正計画を先に固める
時効(請求できる期限):22条そのものには時効の定めがない。報告徴収に応じる期限は、通知書に記載された回答期限による。報告拒否・虚偽報告・検査拒否の罰則(同法33条、30万円以下の罰金)の公訴時効は3年で、行為時から数える(刑事訴訟法250条2項6号)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の立入検査は間接強制型の行政調査であり、職員が実力で抵抗を排除して立ち入ることはできない。拒否に対しては罰則(33条)で履行を担保する仕組みと理解されている。
通説:5項は検査を犯罪捜査の手段として使うことを禁じる趣旨であり、検査で判明した違反事実を行政庁が告発することまでは妨げないと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)改正 地下水汚染の未然防止のため、有害物質貯蔵指定施設・有害物質貯蔵指定事業場が制度化され、報告徴収・立入検査の対象に加えられたとされる。改正の回数と各項の沿革は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和45年(1970年) 新設:いわゆる公害国会で水質汚濁防止法が制定され、特定事業場に対する報告徴収・立入検査の規定が置かれた。
- 2.平成23年(2011年) 改正:地下水汚染の未然防止のため有害物質貯蔵指定施設の制度が設けられ、有害物質貯蔵指定事業場も報告徴収・立入検査の対象に加えられた。
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