民事執行法 第25条(強制執行の実施)
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強制執行は、執行文の付された債務名義の正本(債務名義に係る電磁的記録がファイルに記録されたものである場合にあつては記録事項証明書、債務名義が電磁的記録をもつて作成された執行証書である場合にあつては公証人法(明治四十一年法律第五十三号)第四十四条第一項第二号の書面又は同項第三号の電磁的記録。以下同じ。)に基づいて実施する。ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その債務名義の正本に基づいて実施する。
この条文の基本情報
強制執行の実施とは何ですか?
定義強制執行の実施とは、民事執行法第25条に定められた規定で、「強制執行は、執行文の付された債務名義の正本(債務名義に係る電磁的記録がファイルに記録されたものである場合にあつては記録事項証明書、債務名義が電磁的記録をもつて作…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第25条(強制執行の実施)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第25条の条文原文は「強制執行は、執行文の付された債務名義の正本(債務名義に係る電磁的記録がファイルに記録されたものである場合にあつては記録事項証明書、債務名義が電磁的記録をもつて作…」で始まります。
- 民事執行法第25条は第一節 総則に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第25条の前の条は民事執行法第24条です。
- 民事執行法第25条の次の条は民事執行法第26条です。
- 民事執行法第25条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第25条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第25条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法25条は、強制執行は執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施すると定める。ただし少額訴訟の確定判決と支払督促は、執行文なしで正本のみで実施できる。
Q · 裁判に勝った判決書があれば、そのまま相手の預金を差し押さえられますか?
できません。判決に執行文を付ける手続が必要です
民事執行法25条により、強制執行は「執行文の付された債務名義の正本」に基づいて実施されます。判決正本だけでは足りず、判決を出した裁判所の書記官に執行文を付与してもらう必要があります(同26条)。さらに債務名義と執行文が相手方に送達された証明も必要です(同29条)。例外は同条ただし書で、少額訴訟の確定判決、仮執行宣言を付した少額訴訟の判決、支払督促については、執行文なしで正本のみによる強制執行が認められます。
解説
勝訴判決の入った封筒を開けて、あなたはほっとする。だが相手は一円も振り込んでこない。ここで多くの人が固まる。裁判に勝つことと、お金を回収することは、まったく別の手続きだからだ。民事執行法25条は、給料や預金や不動産を差し押さえる「強制執行」を始めるには、単なる判決正本では足りず、そこに「執行文」という一行を書記官に付けてもらった債務名義の正本が要ると定める。この執行文が、ただの紙を国家権力で他人の財産を奪える武器に変えるスイッチだ。ただし例外がある。少額訴訟の確定判決、仮執行宣言を付した少額訴訟判決、そして支払督促。この三つは執行文なしで、正本だけでいきなり差押えに進める。スピードが命の小口債権のために用意された近道だ。あなたが握るべき事実は二つ。勝訴後にもう一手続き必要だということ、そしてその一手続きを飛ばせる三枚の切符があるということだ。
法的な位置づけ
民事執行法25条は強制執行の実施要件を定める規定であり、強制執行は執行文の付された債務名義の正本に基づいて行われる旨を規律する。債務名義に係る電磁的記録がファイルに記録されている場合は記録事項証明書が正本に代わる。同条ただし書は、少額訴訟の確定判決、仮執行宣言を付した少額訴訟の判決および支払督促について、執行文を不要とする例外を定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債務名義の種類と執行文の要否を判定する 手元の文書が民事執行法22条の債務名義に当たるかを確認し、25条ただし書の3類型(少額訴訟の確定判決、仮執行宣言付き少額訴訟判決、支払督促)に該当するかを判定する。該当すれば執行文の手続を丸ごと飛ばせる
- 2.裁判所書記官または公証人に執行文の付与を申請する 判決を出した裁判所の書記官(執行証書なら原本を保管する公証人)に執行文付与申立書と債務名義の正本を提出する。条件成就や当事者の承継がある場合は、その証明文書を添えて条件成就執行文・承継執行文の付与を受ける(民事執行法26条・27条)
- 3.債務名義と執行文の送達証明を取得する 執行を開始するには債務名義(および必要な場合は執行文と証明文書)が債務者に送達されている必要がある(民事執行法29条)。未送達なら送達申請を行い、済んでいれば送達証明書の交付を受ける。ここを飛ばすと申立てが却下される
- 4.差し押さえる財産を特定する 相手の預金口座(金融機関名・支店名)、勤務先、不動産の所在を特定する。分からない場合は財産開示手続や第三者からの情報取得手続(民事執行法196条以下)を申し立て、金融機関や市町村・年金機構から情報を得る
- 5.執行裁判所に強制執行を申し立てる 執行文の付された債務名義の正本(ただし書該当なら正本のみ)、送達証明書、当事者目録・請求債権目録・差押債権目録を揃えて、債権差押命令や不動産強制競売を申し立てる。相手が財産を移す前に着手できるかが回収率を左右する
よくある質問 AI による整理
Q1執行文とは何ですか?
債務名義に強制執行できる効力があることを裁判所書記官または公証人が公証する付記です。民事執行法25条により、原則としてこの執行文が付いた正本がなければ強制執行を実施できません。
Q2執行文はどこで取得できますか?
判決なら判決を出した裁判所の書記官、執行証書(公正証書)ならその原本を保管する公証人に申請します(民事執行法26条)。申立書と債務名義の正本を提出して付与を受けます。
Q3執行文なしで差押えできるのはどんな場合ですか?
民事執行法25条ただし書により、少額訴訟の確定判決、仮執行宣言を付した少額訴訟の判決、支払督促の3つは執行文不要です。債務名義の正本だけで強制執行を申し立てられます。
Q4債務名義とは何ですか?
強制執行の根拠となる公的文書で、民事執行法22条に列挙されています。確定判決、仮執行宣言付き判決、和解調書、調停調書、支払督促、強制執行認諾文言付き公正証書などが該当します。
Q5執行文の付与にかかる費用はいくらですか?
裁判所の執行文付与手数料は1通あたり収入印紙300円が基本です。送達証明書の交付にも別途手数料がかかります。公証人による執行証書の執行文付与は手数料規程に従います。
Q6送達証明書はなぜ必要ですか?
民事執行法29条により、債務名義(および必要な場合は執行文)が債務者へ送達されていることが執行開始の要件だからです。送達証明書がないと差押命令の申立ては受理されません。
Q7電磁的記録の判決でも強制執行できますか?
できます。民事執行法25条括弧書は、債務名義に係る電磁的記録がファイルに記録されている場合は記録事項証明書を、電磁的記録による執行証書の場合は公証人法44条1項の書面等を正本に代わるものとしています。
Q8執行文は2通目以降ももらえますか?
もらえます。債権の完全な弁済を得られない場合など、必要があるときは同一の債務名義について執行文の再度付与・数通付与を受けられます(民事執行法28条)。複数の財産へ同時に執行するときに使います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判で勝ったのに相手が払いません。すぐに財産を差し押さえられますか?
判決正本だけでは差し押さえられない。まず判決を出した裁判所の書記官に執行文を付けてもらい(民事執行法26条)、さらに債務名義と執行文が相手へ送達された証明も揃えて(同29条)、初めて執行裁判所に差押えを申し立てられる。実務のポイント:多くの人が執行文の存在を知らず勝訴後に止まるが、実務では判決確定と同時に執行文付与と送達証明の取得をまとめて依頼するのが定石だ。相手が預金を動かす前に撃てるかは、この初動の速さで決まる
Q2公正証書を作っておけば、裁判せずにいきなり差押えできるって本当ですか?
本当だが条件がある。公正証書の中に『債務者は直ちに強制執行に服する』という強制執行認諾文言が入っていれば、その公正証書は執行証書となり、25条にいう債務名義になる。ただし対象は金銭債権など一定のものに限られる。実務のポイント:離婚の養育費や貸金では、この一文が入っているか否かで、相手が滞納した際に『裁判数か月コース』か『即給料差押えコース』かが分かれる。作成時に公証人へ認諾文言の付記を必ず確認すること
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判に勝てば相手は払う、払わなければ国が取り立ててくれる」と思い込んでいる人が多いが、25条はそう動かない。勝訴判決はあくまで「差し押さえてよい」という許可証にすぎず、執行文を付け、財産を自分で特定し、執行を申し立てるところまで、動くのはすべてあなた自身だ
- 執行文が必要なことは知っていても、その例外の破壊力までは知らない人が多い。債権額が60万円以下なら少額訴訟、金額に争いがなければ支払督促を選ぶことで、執行文の付与手続きを丸ごと飛ばせる。訴訟の入口でどのルートを選ぶかが、回収スピードを数週間単位で左右している
- 「執行文さえ取れば即差押えだ」と考えている人は、問いの立て方が一つ手前でずれている。実際には債務名義と執行文の『送達』(29条)が済んでいなければ執行は始まらない。あなたが『次は執行文』と思ったその先に、送達というもう一枚のカードが必ず控えている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 民執25条:強制執行の実施要件(執行文付き正本が必要) | 民執22条:債務名義の種類の列挙 民執29条:債務名義・執行文の送達(執行開始要件) |
| 手続の順序 | ②執行の入口ルールを定める | ①そもそも何が執行の根拠になるかを決める ③執行文取得後、送達が済んで初めて開始できる |
| 欠けたときの効果 | 執行文がなければ執行機関は執行に着手できない | 債務名義に当たらなければ執行そのものが不可能 未送達なら申立てが却下・執行開始不可 |
| 例外・特則 | ただし書:少額訴訟の確定判決・仮執行宣言付き少額訴訟判決・支払督促は執行文不要 | 電磁的記録による債務名義も22条各号に含まれる 同時送達で足りる場合や事前送達が不要な保全とは異なる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は執行名義の種類を4条で列挙し、6条で執行名義を証する文書の提出を求めるが、日本の執行文に相当する付与手続を置かない。執行力の審査は執行法院が直接行う点で日本より一段階短い
韓国は「집행력 있는 정본(執行力ある正本)」概念を採り、原則として執行文の付与を要する点で日本とほぼ同型。少額事件の簡易化についても類似の政策的例外がある
ドイツは vollstreckbare Ausfertigung(執行文付き正本)と、執行開始前の送達を要件とする点で日本25条・29条の直接の母法にあたる。Vollstreckungsklausel の付与は Urkundsbeamter が行う
米国は執行文という付記制度を持たず、判決債権者が裁判所書記官に writ of execution の発付を求め、執行官(sheriff / marshal)が執行する。機能的には執行文+差押命令を一体化した構造
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし裁判に勝った相手が、判決後ものらりくらりと払わなかったら、あなたはどう動くのか。判決正本を握りしめても差押えはできない。書記官に執行文を付与してもらい、相手の預金や勤務先を特定して初めて、回収がようやく動き出す。ここで止まる人が驚くほど多い
- 身に覚えのある借金を放置していたある朝、給料の振込額が半分に減っていた。勤務先に差押命令が届いたのだ。相手はすでに債務名義と執行文を揃えて撃ってきている。取り戻したいなら、請求異議の訴えや執行抗告の期限内に動くしかなく、残された時間は驚くほど短い
- 離婚時に養育費の取り決めを公正証書にした。相手が支払いを止めた。強制執行認諾文言が入っていれば、裁判を一切経ずに元配偶者の給料を差し押さえられる。25条の「執行証書」がこれだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 判決が確定したら、その判決を出した裁判所の書記官に執行文の付与を申請する(民事執行法26条) 2. 債務名義と執行文が相手に送達された証明(送達証明書)を取得する(同29条)、これがないと執行できない3. 相手の預金・給料・不動産を特定する、分からなければ財産開示手続や第三者からの情報取得手続(同196条以下)を使う4. 執行裁判所に差押命令を申し立てる。なお少額訴訟の確定判決・支払督促・執行認諾文言付き公正証書なら、執行文の付与を飛ばして正本だけで進める
訴えられた側:1. 差押命令が届いたら、まず債務名義が何か(判決か公正証書か)、執行文が正当に付与されているかを確認する2. その債権自体に異議(既に弁済した、時効など)があれば請求異議の訴え(同35条)、執行文の付与に問題があれば執行文付与に対する異議の訴え(同34条)で争う3. 給料の差押えは原則として手取りの4分の1まで(同152条、生活維持部分は差押禁止) 4. 早期に弁護士へ相談し、分割弁済の和解で執行を止める交渉も並行する(最新の改正状況をご確認ください)
時効(請求できる期限):執行文付与や強制執行の申立て自体に固有の期間制限はない。ただし確定判決で確定した債権の消滅時効は10年(民法169条1項)で、この期間内に執行に着手しないと債権そのものが時効で消えうる。執行抗告は裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間(民事執行法10条2項)
学説
通説:執行文は、判決手続と執行手続の分離を前提に、執行機関が実体審査をせずに迅速に執行できるようにするための公証手段と解される。執行文付与機関の審査は形式的なものにとどまり、実体的な争いは請求異議の訴えや執行文付与に対する異議の訴えで処理される。
簡易迅速化の要請を重視する立場:少額訴訟・支払督促について執行文を不要とする25条ただし書は、小口債権では執行文付与という審査ゲートのコストが回収の実効性を上回るとの政策判断に基づく。手続保障は債務者側の異議・督促異議で確保されると説明される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)前後 少額訴訟・支払督促による簡易迅速な債権回収制度の整備に伴い、これらについては執行文を要せず正本のみで執行できる旨のただし書が整えられた(具体的施行年の詳細は要確認)
- 令和5年(2023年)デジタル化改正 民事訴訟手続等のデジタル化に伴い、債務名義が電磁的記録の場合の記録事項証明書、電磁的記録による執行証書の場合の公証人法上の書面・電磁的記録等を執行の基礎とする文言が追加された(段階施行、最新の施行状況をご確認ください)
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧民事訴訟法・競売法に分散していた強制執行の規律を統合し、強制執行の実施要件として執行文の付された債務名義の正本を要する旨を25条に定めた
- 2.平成8年〜平成16年(1996〜2004年)前後 改正:少額訴訟制度の創設と支払督促手続の整備に伴い、これらの債務名義については執行文を要せず正本のみで強制執行できる旨のただし書が整えられた(各改正の施行年の詳細は要確認)
- 3.令和5年(2023年) 改正:民事関係手続のデジタル化に伴い、債務名義に係る電磁的記録がファイルに記録されている場合の記録事項証明書、電磁的記録により作成された執行証書についての公証人法44条1項所定の書面・電磁的記録を執行の基礎とする括弧書が追加された(段階施行、最新の施行状況は要確認)
- 民事執行法 第22条債務名義の種類の列挙、本条の前提
- 民事執行法 第26条執行文の付与手続
- 民事執行法 第27条条件成就・承継の場合の執行文付与要件
- 民事執行法 第29条債務名義・執行文の送達、執行開始の前提
- 民事執行法 第35条請求異議の訴え、債務者側の実体的防御
- 民事訴訟法 第368条少額訴訟制度、本条ただし書の例外の根拠
- 民事訴訟法 第382条支払督促の要件、執行文不要の例外の根拠
- 公証人法 第44条執行証書の正本・書面、本条括弧書の直接引用
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