民事執行法 第93条(開始決定等)
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- 執行裁判所は、強制管理の手続を開始するには、強制管理の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し収益の処分を禁止し、及び債務者が賃貸料の請求権その他の当該不動産の収益に係る給付を求める権利(以下「給付請求権」という。)を有するときは、債務者に対して当該給付をする義務を負う者(以下「給付義務者」という。)に対しその給付の目的物を管理人に交付すべき旨を命じなければならない。
- 2.前項の収益は、後に収穫すべき天然果実及び既に弁済期が到来し、又は後に弁済期が到来すべき法定果実とする。
- 3.第一項の開始決定は、債務者及び給付義務者に送達しなければならない。
- 4.給付義務者に対する第一項の開始決定の効力は、開始決定が当該給付義務者に送達された時に生ずる。
- 5.強制管理の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
この条文の基本情報
開始決定等とは何ですか?
定義開始決定等とは、民事執行法第93条に定められた規定で、「執行裁判所は、強制管理の手続を開始するには、強制管理の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し収益の…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第93条(開始決定等)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第93条の条文原文は「執行裁判所は、強制管理の手続を開始するには、強制管理の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し収益の…」で始まります。
- 民事執行法第93条は第一款 不動産に対する強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第93条の前の条は民事執行法第92条です。
- 民事執行法第93条の次の条は民事執行法第93条の2です。
- 民事執行法第93条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第93条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第93条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/93
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法93条は、執行裁判所が強制管理の開始決定で不動産を差し押さえ、債務者に収益処分を禁じ、給付義務者へ賃料を管理人に交付するよう命じる手続を定める。効力は送達時に生じる。
Q · 判決を取っても相手の口座は空。でも家賃収入のあるアパートがある。ここから回収できる?
できます。強制管理で家賃を管理人経由で回収します
民事執行法93条により、執行裁判所は強制管理の開始決定で不動産を差し押さえ、債務者(大家)に収益の処分を禁じ、賃借人など給付義務者に対し「賃料を管理人に交付せよ」と命じます。建物を競売で叩き売らずに、そこから生まれる家賃を管理人経由で毎月回収できます。天然果実も法定果実(家賃)も対象です。給付義務者への効力は開始決定が送達された時に発生し、送達日を境に賃借人が回収に組み込まれます。市況が悪く競売で安値になりそうな不動産ほど、この手段の価値が上がります。
解説
判決を取っても相手の口座は空。だが相手は賃貸アパートを一棟持ち、毎月そこに家賃が振り込まれている。ここで多くの人は「競売にかけるしかない」と考えるが、市況が悪ければ二束三文で買い叩かれ、手数料と時間だけが消える。民事執行法93条が用意するのは、もう一本の道だ。強制管理の開始決定。裁判所は建物を売らずに差し押さえ、債務者(大家)に収益の処分を禁じ、さらに賃借人(給付義務者)に対して「今後の家賃は管理人に払え」と直接命じる。あなたは建物という資産を市場で叩き売ることなく、そこから生まれる家賃を管理人経由で毎月回収できる。天然果実(収穫前の作物)も法定果実(家賃)も対象になる。開始決定は債務者と給付義務者の双方に送達され、賃借人への効力はその送達の瞬間に発生する。つまり送達の日を境に、賃借人があなたへの回収に組み込まれる。競売しか頭になかった債権者は、この蛇口の存在を知らないまま回収を諦めている。
法的な位置づけ
民事執行法93条は強制管理の開始手続を定める規定であり、執行裁判所が開始決定で不動産を差し押さえ、債務者の収益処分を禁止し、給付義務者に対し賃料等の給付目的物を管理人へ交付するよう命じる。対象となる収益は後に収穫すべき天然果実および弁済期が到来した法定果実であり、給付義務者への開始決定の効力は送達時に発生する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.執行力ある債務名義を確保する 確定判決、和解調書、調停調書、執行証書(公正証書)など、強制執行の前提となる債務名義を用意する。確定判決なら確定証明、送達証明も併せて取得しておく
- 2.対象不動産の収益と給付義務者を調査する 不動産登記事項証明書で所有関係を確認し、現地調査や賃貸借契約から家賃収入の有無と賃借人(給付義務者)を特定する。誰にいくらの賃料が発生しているかを押さえる
- 3.執行裁判所に強制管理を申し立てる 不動産所在地を管轄する執行裁判所に強制管理を申し立てる。開始決定で不動産の差押え、債務者への収益処分禁止、給付義務者への管理人交付命令を出してもらう
- 4.市況が悪ければ競売と同時に申し立てる 競売で安値になりそうな不動産では、競売と強制管理を同時に申し立て、二重開始決定(民事執行法93条の2)で両輪を回す。競売が入札不調でも家賃回収が止まらない
よくある質問 AI による整理
Q1強制管理とは何ですか?
不動産を売却せず、そこから生まれる賃料などの収益を管理人が回収して債権者に配当する強制執行の方法です。民事執行法93条が開始決定を定めます。競売と並ぶもう一本の回収ルートです。
Q2給付義務者とは誰のことですか?
債務者(大家)に賃料などを支払う義務を負う人、典型的には賃借人です。開始決定が給付義務者に送達されると、以後の賃料は管理人に交付する義務が生じます(民事執行法93条1項・4項)。
Q3強制管理の対象になる収益の範囲は?
後に収穫すべき天然果実と、既に弁済期が到来し又は後に到来する法定果実(賃料など)です(民事執行法93条2項)。駐車場料や売電収益なども法定果実として射程に入りえます。
Q4強制管理と担保不動産収益執行の違いは?
強制管理は債務名義に基づく無担保債権者の手続、担保不動産収益執行は抵当権者などが行う手続です。後者は民事執行法180条が強制管理の規定を準用し、仕組みはほぼ共通します。
Q5強制管理はいつ効力が発生しますか?
開始決定が給付義務者(賃借人)に送達された時に効力が生じます(民事執行法93条4項)。送達日を境に、その後の賃料が管理人への交付対象に切り替わります。
Q6強制管理の申立てに必要な書類は?
執行力のある債務名義の正本、送達証明書、不動産登記事項証明書、賃貸借の内容が分かる資料などです。不動産所在地を管轄する執行裁判所に申し立てます。
Q7強制管理では管理費用はどうなりますか?
収益からは管理人の報酬・管理費用・公租公課などが先に控除され、残った金額が債権者への配当に充てられます。手取りは家賃全額ではない点に注意が必要です。
Q8強制管理はいつ終わりますか?
債権と執行費用が完済されたとき、または申立ての取下げ・取消しにより終了します。前提の債務名義上の債権が消滅時効にかかると執行できなくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1借りてる部屋の大家が強制管理になったら、家賃は誰に払えばいいの?二重払いにならない?
開始決定が賃借人(給付義務者)に送達された時点から、家賃は管理人に払う義務が生じます(民事執行法 §93 4項)。送達前に大家へ払った分は有効ですが、送達後に大家へ払っても管理人にもう一度請求され、二重払いになります。実務のポイント:送達書面に記された「送達日」を必ず控え、その日以降は管理人指定の口座へ。日付を一日勘違いすると、その月の家賃を二度払う羽目になる
Q2競売と強制管理、どっちで回収したほうが得なんですか?
一括で回収したいなら競売、建物を残して家賃から継続回収するなら強制管理です。両方を同時に申し立てる二重開始決定も可能です(民事執行法 §93の2)。市況が悪く競売で安値になりそうな不動産ほど、強制管理の価値が上がります。実務のポイント:競売と並行して強制管理も打っておくと、競売が入札不調(不売)でも家賃回収が止まらない。回収の取りこぼしを防ぐ実務の定石です
Q3強制管理の決定に納得いかない場合、後から覆せますか?
開始決定に対しては執行抗告ができますが(民事執行法 §93 5項)、告知を受けた日から1週間の不変期間内に限られます(同 §10)。期間を過ぎると、前提の債権が消えたなどの事情がない限り争えません。実務のポイント:1週間は郵便の往復で簡単に溶ける。決定書が届いたら中身より先に日付印を見て残り日数を数え、理由は後回しでもまず期限内に抗告状だけ出すのが鉄則
間違えやすい点 AI による整理
- 「不動産の強制執行=競売(オークション)」と思い込んでいる人が多いが、実際には売却せず収益だけを回収する強制管理という並行ルートがある。競売一本しか知らない債権者は、市況が悪くて建物が高く売れない局面で、回収の武器を一つ丸ごと取りこぼしている
- 賃借人の目からは「毎月きちんと大家に家賃を払えば義務は果たした」はずだが、法律から見ると、開始決定の送達を受けた後は管理人に払わなければ弁済にならない(民事執行法 §93 4項)。この落差に気付かず大家へ払い続けると、管理人からもう一度請求される。あなたにとっての「支払完了」が、法的には「未払」になっている
- 強制管理という制度名を聞いたことがあっても、その効力が「賃借人への送達の瞬間」に発生する、という時点の重さを軽視している人が多い。送達日を一日勘違いするだけで、どの月の家賃から回収に組み込まれるかがずれ、動く金額が変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 回収の仕組み | 93条:建物を売らず収益(家賃)を管理人が回収 | 43条:強制競売で不動産を換価し代金から回収 93条の2:競売と強制管理の二重開始決定 |
| 資産への影響 | 所有権は債務者に残り、収益処分のみ禁止 | 所有権が売却により買受人へ移転 両手続を並行、片方の不調をもう片方が補完 |
| 回収スピード | 毎月の家賃から継続回収(時間はかかる) | 売却代金で一括回収(市況に左右される) 同時進行で取りこぼしを最小化 |
| 適する局面 | 売れない不動産・家賃収入で暮らす債務者 | 高値売却が見込める優良物件 市況が読めず両にらみしたい場面 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も査封済み不動産について執行法院が強制管理を命じうる点で日本と共通。収益から費用を控除し残余を債権者に配当する構造も類似する
韓国も換価によらず収益を管理人が収取する強制管理を認める。日本の民事執行法を範型とした継受制度に位置づけられる
ドイツの強制競売・強制管理法における Zwangsverwaltung が本条の範型。管理人(Zwangsverwalter)が収益を管理し債権者に配当する仕組みで、日本法の直接の母法にあたる
米国では裁判所が receiver を選任し不動産の賃料収益を収取・分配する。エクイティ上の救済で、州の民事手続法により運用され、日本の強制管理に機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸した金が返らない。相手に現金はないが、家賃収入のあるアパートを持っている。競売にかけても市況が悪く安値になると聞き、回収を半ば諦めていた。だが強制管理なら建物を売らず、毎月入る家賃を管理人経由で吸い上げられる。相手が持っているのが「収益を生む不動産」であることが、逆に回収の突破口になる
- あなたが借りているマンションの大家が強制管理を受けた。ある日、裁判所から「今後の賃料は管理人◯◯に支払え」という書面が届く。ここで今まで通り大家に振り込み続けると、送達後の支払は管理人に対して無効となり、もう一度請求されて二重払いになる。あなたは加害者でも被害者でもないのに、書面一通で支払先を切り替える義務を負う
- あなたが所有する賃貸ビルに強制管理の開始決定が下りた。建物の所有権はあなたに残るが、家賃を自分で受け取ることも、収益を勝手に処分することもできなくなる。慌てて賃借人と新たな契約を結び直して収益を隠そうとしても、処分禁止に反する行為は覆される
- もし開始決定に納得がいかなかったら、どうする? 執行抗告ができるのは、決定の告知を受けた日から1週間の不変期間だけ(民事執行法 §10)。あと数日で郵便の往復に溶ける。日付印を確認せず机に置いておくと、その週のうちに争う権利が消える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 執行力ある債務名義(確定判決、和解調書、公正証書等)を確保2. 対象不動産に家賃収入があるか、賃借人が誰かを登記簿と現地で調査し、給付義務者を特定3. 不動産所在地を管轄する執行裁判所に強制管理を申し立て、開始決定で賃借人に対し賃料の管理人交付を命じてもらう4. 市況が悪く競売で安値になりそうなら、競売と同時申立て(民事執行法 §93の2)で両輪を回し、回収の取りこぼしを防ぐ
訴えられた側:1. 開始決定を受けたら、前提の債権が既に消滅している、手続に瑕疵があるなど不服の余地を検討し、告知から1週間以内に執行抗告(民事執行法 §10、§93 5項) 2. 収益の処分は禁止されるので、送達後に賃借人と有利な新契約を結んで収益を隠す行為は覆されうる3. 収益からは管理費用・公租公課が控除され残余が配当に充てられる、生活や事業の維持に関わるなら早期に弁護士へ4. 根本解決は前提債務の弁済または和解による手続取消
時効(請求できる期限):執行抗告は開始決定の告知を受けた日から1週間の不変期間(民事執行法 §10)。この期間を過ぎると決定を争えない。強制管理の申立て自体に固有の時効はないが、前提となる債務名義上の債権が消滅時効(民法 §166、原則5年または10年)にかかれば執行できなくなる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:強制管理は不動産を換価せず収益を捕捉する執行方法であり、強制競売の代替または並行手段として位置づけられる。給付義務者への開始決定の効力は送達時に生じ、送達後に債務者へなされた弁済は債権者・管理人に対抗できないと解される(民執93条4項)。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)改正 担保不動産収益執行制度の新設に合わせ、強制管理の規律を整備。給付請求権・給付義務者の定義を明文化し、開始決定を給付義務者にも送達すること、その効力が送達時に発生することを明確化した
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定に伴い、旧民事訴訟法下の不動産執行を再編し、強制競売と並ぶ強制管理の手続を体系化した
- 2.平成15年(2003年) 改正:担保不動産収益執行制度の新設に合わせ強制管理の規律を整備。給付請求権・給付義務者の定義を明文化し、開始決定を給付義務者にも送達すること、効力が送達時に発生することを明確化した
- 民事執行法 第43条不動産執行の方法、強制競売と強制管理の選択関係
- 民事執行法 第93条の2強制管理の二重開始決定
- 民事執行法 第94条強制管理の管理人の選任
- 民事執行法 第95条管理人の権限、収益の収取と管理
- 民事執行法 第180条担保不動産収益執行が強制管理の規定を準用
- 民法 第614条賃料支払時期、法定果実の弁済期の実体法的根拠
- 民法 第371条抵当権の効力が果実に及ぶ範囲、収益執行の実体的基礎
- 破産法 第42条破産手続開始により強制管理が失効する特則
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