要点消費税法12条の4は、税抜1,000万円以上の高額特定資産を取得した事業者を、翌課税期間から3年間、免税事業者に戻れず簡易課税も選べない状態に固定する規定である。
Q · 1,000万円超の設備や物件を買って消費税の還付を受けたら、翌年から免税事業者に戻れますか?
原則3年間は戻れない。免税も簡易課税も封じられる
消費税法12条の4により、免税事業者でも簡易課税でもない課税期間中に税抜1,000万円以上の高額特定資産を取得すると、翌課税期間から、取得日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも免税事業者に戻れません。同期間中は簡易課税を新たに選択することもできず、原則課税での申告・納税が続きます。自己建設の場合は、建設等が完了した日の属する課税期間が3年の起算点となります。
1,000万円を超える機械や建物、あるいは販売用の不動産を買い、支払った消費税を仕入税額控除で取り戻す。ここまでは合法だ。問題はその後にある。多くの事業者は「翌年から売上が1,000万円以下なら免税事業者に戻れる」と考える。だが消費税法12条の4は、その出口を塞ぐ。高額特定資産(税抜1,000万円以上、政令で定めるもの)を、免税でも簡易課税でもない課税期間中に取得すると、翌課税期間から、取得日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで、あなたは免税事業者に戻れず、簡易課税も新たに選べない。これが実務で「3年縛り」と呼ばれる仕掛けだ。狙いは、高額資産の還付だけ受けて免税に逃げる租税回避の封じ込めにある。還付の甘さだけを見て資金計画を立てると、翌々期に思わぬ納税が口を開けて待っている。
消費税法12条の4は、高額特定資産を取得した場合の納税義務免除の特例を定める規定である。免税事業者でも簡易課税でもない課税期間中に、政令で定める税抜1,000万円以上の高額特定資産の課税仕入れ等を行った事業者は、その翌課税期間から、取得日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで、9条1項本文の適用を受けられない。
棚卸資産および調整対象固定資産のうち、政令で定める価額が高額なもの、すなわち一の取引の単位につき税抜1,000万円以上の資産をいいます。販売用不動産などの棚卸資産も含まれます。
取得日の属する課税期間の翌課税期間から、取得日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までです。年度末近くに買うほど実質的な拘束年数は長くなります。
建設等に要した費用が政令の金額以上となった日で特例が発動し、3年の起算は建設等が完了した日の属する課税期間の初日からです。着工期ではなく完成期が基準になります。
調整対象固定資産は税抜100万円以上の固定資産で、棚卸資産を含みません。高額特定資産は税抜1,000万円以上で、棚卸資産と調整対象固定資産の両方を射程に入れます。
なります。12条の4第3項により、金・白金の地金等の課税期間中の仕入れ等の合計額が政令で定める高額に該当すると、同じく翌課税期間から3年間、免税が停止されます。
選べません。12条の4は37条1項の適用を受けない課税期間中の取得を要件とし、縛り期間中は簡易課税制度選択届出書の効力も制限されるため、原則課税での申告が続きます。
対象です。条文は棚卸資産を明示しており、販売用マンションや建売住宅など税抜1,000万円以上の在庫不動産も高額特定資産に当たります。ここが平成28年新設の最大の眼目です。
納税義務があるのに無申告・免税申告となり、更正処分により本税に加えて過少申告加算税や延滞税が課されます。不服がある場合は通知日の翌日から3か月以内に審査請求を行います。
12条の4がそう定めているからです。高額な資産の還付だけ受けて翌期に免税へ逃げる租税回避を封じるため、取得日の属する課税期間の翌期から起算3年経過日の属する課税期間まで、9条1項の免税は適用されません。業界裏話ヒント:還付の金額だけを見て喜ぶと、翌々期に原則課税で納税義務が発生していることを見落とし、申告漏れで過少申告加算税まで乗る。還付が出た時点で3年分の納税予定表を作るのがプロの初動です
税抜(本体価格)で、原則として一の取引の単位ごとに判定します(施行令25の5)。年間の仕入れ合計ではありません。まとめ買いを契約単位で分ければ下回る場面もあれば、一体の資産として合算される場面もあります。業界裏話ヒント:この「一の取引の単位」の認定は実務上、解釈が分かれる論点で、発注の仕方を事前に設計するかどうかで結論が変わる。買った後に相談しても遅い、というのが税理士が積極的には言わない勘所です
関係します。免税事業者でも簡易課税でもない課税期間中に税抜1,000万円以上の資産を取得すれば、登録の動機に関わらず12条の4第1項が発動し、9条1項の免税に戻れなくなります。業界裏話ヒント:インボイス登録で課税事業者になった小規模事業者が、その後の設備投資で3年縛りに入る事故が増えている。登録と大型投資が同じ時期に重なる人ほど危ない。買う前に一言、縛りの確認を入れるだけで防げます
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|---|---|---|
| 規定の性質 | 消費税法12条の4:免税・簡易課税の選択権を期間限定で停止する特例(租税回避防止) | — |
| 発動・適用要件 | 免税でも簡易課税でもない課税期間中に税抜1,000万円以上の高額特定資産を取得(金地金等は合計額基準) | — |
| 効果 | 翌課税期間から起算3年経過日の属する課税期間まで9条1項本文が不適用、簡易課税の新規選択も不可 | — |
| 実務上の意味 | 還付を受けた事業者に3年分の原則課税納税を義務づけ、還付逃げを封じる | — |
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