要点消費税法37条は、基準期間の課税売上高が5000万円以下の事業者が届出により、売上の消費税額に業種別のみなし仕入率を乗じて仕入税額控除を計算できる簡易課税制度を定める。
Q · 簡易課税ってそもそも得なんですか、損なんですか?
経費が少ない業種は得、投資する年は損になりやすい
消費税法37条の簡易課税は、実際の課税仕入れを集計せず、売上の消費税額に業種別のみなし仕入率(卸売90%〜不動産業40%)を掛けて仕入税額控除を計算する制度です。実際の経費率がみなし仕入率より低い業種ほど納税額が下がります。逆に大型設備投資をする年は、原則課税なら受けられる還付が一切受けられません。しかも適用開始から2年間は原則課税に戻せず(37条6項)、高額特定資産を取得すると届出自体が制限されます(37条3項)。単年ではなく2〜3年スパンでの判断が必要です。
消費税の確定申告書を前に、電卓を叩く手が止まる。売上で預かった消費税から、仕入れや経費で払った消費税を差し引く、それが原則だ。だが領収書を一枚ずつ集計するのは、一人でやる事業者には地獄に近い。消費税法37条は、その地獄から抜け出す扉を用意している。基準期間(原則2年前)の課税売上高が5000万円以下なら、実際の経費を一切見ずに、売上の消費税に業種ごとの「みなし仕入率」を掛けるだけでいい。卸売業なら90%、サービス業なら50%。ここに罠が潜む。あなたの実際の経費が少ない業種ほど、みなし仕入率のほうが実額を上回り、払う税金が減る。逆に大きな設備投資をする年は、原則課税なら還付が受けられるのに、簡易課税を選んでいると1円も戻ってこない。しかも一度選ぶと2年間は後戻りできない。この一枚の届出書が、あなたの手元に残る現金を年単位で左右する。
消費税法37条は簡易課税制度を定める規定であり、基準期間における課税売上高が5000万円以下の事業者が所轄税務署長に届出書を提出した場合、課税標準額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等に係る税額を控除した残額に、事業の種類ごとに政令で定めるみなし仕入率を乗じた金額を、当該課税期間の仕入れに係る消費税額とみなす。原則課税に代わる特例である。
AI 輔助整理,以條文原文為準
実際の仕入れを集計せずに控除額を出すため、事業の種類ごとに政令で定められた割合です。卸売業90%、小売業80%、製造業70%、その他60%、サービス業50%、不動産業40%の6区分が基本です(消費税法施行令57条)。
適用を受けたい課税期間の初日の前日までです。個人事業者が翌年から使うなら12月31日まで。ただし事業を開始した日の属する課税期間など政令で定める期間なら、その期の末日までに出せば当期から適用できます(37条1項)。
受けられません。簡易課税は売上の消費税額から機械的に控除額を計算するため、控除額が売上税額を上回る構造になりません。設備投資で還付を狙うなら、事前に原則課税へ戻しておく必要があります。
既に適用中なら当期は継続しますが、高額特定資産の仕入れ等を行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までは、新たに簡易課税の届出書を提出できません(37条3項3号)。
事業の種類ごとに課税売上を区分し、区分ごとのみなし仕入率で加重平均するのが原則です。区分が明確でないと、その事業者が営む事業のうち最も低いみなし仕入率が適用される扱いになります。
その課税期間は原則課税で申告することになり、適用は翌期以降にずれ込みます。ただしやむを得ない事情がある場合の提出遅れには政令の特例があり(37条8項)、税務署長の承認を受けられる余地があります。
37条1項は免税事業者を適用対象から除いていますが、届出書自体は事前に提出しておくことができ、課税事業者となった課税期間から効力が生じます。インボイス登録と同時に検討する場面が典型です。
「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出します(37条5項)。ただし事業廃止の場合を除き、適用開始の課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出できません(37条6項)。
自分の実際の経費率が、業種のみなし仕入率より低ければ簡易課税が得です。経費の少ないサービス業やコンサル業ほど有利になります(37条1項、30条)。ただし設備投資で還付を受けたい年は原則課税が有利。業界裏話ヒント:税理士は「経費率がみなし仕入率を下回るなら簡易」と即答しますが、本当の落とし穴は翌年以降の投資計画です。2年縛りがあるので、今年だけでなく2年スパンで損得を見ないと、還付を丸ごと失う年が来ます
戻れます。「選択不適用届出書」を出せば原則課税に戻せます(37条5項)。ただし適用開始から2年間は継続適用義務があり、その間は戻れません(37条6項)。事業を廃止した場合は例外です。業界裏話ヒント:大型投資を計画している事業者は、その前年のうちに「やめる届出」を先に出して原則課税へ戻しておく逆算テクを使います。期限を過ぎてから気付いても手遅れ、動くのは投資を決めた瞬間です
使える可能性があります。判定するのは今年の売上ではなく、基準期間(原則2年前)の課税売上高だからです(37条1項、9条)。2年前が5000万円以下なら、去年超えていても当期は使えます。業界裏話ヒント:逆に基準期間がない新設法人は、資本金額や特定期間の売上で別途判定され、意図せず原則課税を強制されるケースがあります。「売上が小さいから当然簡易」と思い込むと、見ている年を間違えます
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 控除額の計算方法 | 37条:売上税額 × 業種別みなし仕入率(実額不要) | — |
| 適用の入口要件 | 基準期間の課税売上高5000万円以下+選択届出書の提出 | — |
| 還付の可否 | 構造上、還付は生じない | — |
| 拘束期間・制限 | 適用開始から2年間は不適用届出不可(6項)+高額特定資産取得時は届出制限(3項) | — |
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