要点民事保全法 23 条は仮処分の必要性を定め、係争物に関する仮処分は権利実行が困難になるおそれ、仮の地位を定める仮処分は著しい損害や急迫の危険がある場合に発令できる。
Q · 裁判の判決を待っていたら相手に財産を動かされそう。判決の前に止める方法はありますか?
判決を待たずに相手の処分を止め、仮の地位も認めさせる制度です
民事保全法 23 条の仮処分が使えます。1 項の係争物に関する仮処分は、現状の変更により権利の実行が不能または著しく困難になるおそれがあるときに、目的物の処分禁止や占有移転禁止を命じます。2 項の仮の地位を定める仮処分は、争いがある権利関係について著しい損害や急迫の危険を避ける必要があるときに、賃金の仮払いや出版差止めなど、判決を待たずに法的地位を仮に確定させます。要件は証明ではなく疎明で足り、早ければ数日から数週間で発令されます。ただし 2 項の類型は原則として債務者が立ち会える審尋を経る必要があります(4 項)。
裁判で勝つには、普通なら判決まで一年も二年もかかる。だがその間に相手が争いの目的である不動産を第三者へ売り飛ばし、登記まで移してしまったら、あなたの勝訴判決は紙切れになる。民事保全法23条は、その「待っている間に手遅れになる」を防ぐ緊急装置だ。二種類ある。一つは係争物に関する仮処分。争いの目的物そのものを凍結する(不動産の処分禁止、占有の移転禁止など)。もう一つは仮の地位を定める仮処分。判決を待たずにあなたの法的立場を仮に確定させる(解雇されても賃金を仮に払わせる、名誉を害する記事の出版を差し止めるなど)。どちらも本案訴訟より要件が緩い。完全な証明ではなく「疎明」(一応確からしいと裁判官に思わせる程度の説明で足りる)で動き、早ければ数日から数週間で発令される。知っておくべきは、後者の中に「断行の仮処分」があり、判決を待たずに事実上の結論を先取りできる点だ。
民事保全法 23 条は、仮処分命令の発令要件である保全の必要性を定める規定である。1 項は係争物に関する仮処分について、現状の変更により権利の実行が不能となり、または著しい困難を生ずるおそれを要件とする。2 項は仮の地位を定める仮処分について、争いがある権利関係に生ずる著しい損害または急迫の危険の回避の必要を要件とする。4 項は 2 項の類型につき、口頭弁論または債務者が立ち会うことができる審尋の期日を原則として義務づける。
AI 輔助整理,以條文原文為準
仮差押えは金銭債権の回収を守るため相手の財産を差し押さえる制度(民事保全法 20 条)です。仮処分は 23 条により、金銭以外の権利について目的物を凍結したり、判決前に法的地位を仮に定めたりする制度です。
仮処分を出さないと権利保護が手遅れになるという急迫性のことです。1 項では現状変更による権利実行の不能または著しい困難のおそれ、2 項では著しい損害または急迫の危険が要件になります。
事案により異なりますが、係争物に関する仮処分は疎明資料が揃っていれば数日から 2 週間程度で発令されることもあります。仮の地位を定める仮処分は審尋期日を経るため、通常はより時間がかかります。
生活の維持に必要な範囲が目安となり、従前賃金の全額とは限りません。他に収入があるか、扶養家族がいるか、住宅ローンなど固定支出があるかを疎明資料で示すことが重要です。
債務者は保全異議(民事保全法 26 条)を申し立てて同一審級で再審理を求められます。さらに起訴命令(37 条)や事情変更等による保全取消し(38 条・39 条)も選択肢になります。
仮の地位を定める仮処分のうち、賃金の仮払いや妨害排除など、債権者に本案judgment と同様の満足を先に与える類型です。効果が強い分、必要性の疎明は厳しく判断されます。
保全執行は、仮処分命令が債権者に送達された日から 2 週間を経過するとできなくなります(民事保全法 43 条 2 項)。せっかく発令されても、この期間を逃すと空振りになります。
本案の管轄裁判所または係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄します(民事保全法 12 条)。急ぐ場合は係争物所在地の裁判所を選べるかどうかが実務上の分かれ目になります。
戻ってきます。担保(民事保全法14条)は、不当な保全で相手に損害が出たときの賠償の引当てで、本案訴訟で勝つなどして相手の損害賠償請求権がないと確定すれば取り戻せます。業界裏話ヒント:担保額は裁判官の裁量で、被保全権利の疎明が強いほど下がり、争いの少ない事案では無担保で発令されることもある。逆に疎明が弱いと高額を積まされ、事実上そこで断念させられる。担保の見立ては申立て前に弁護士と詰めておくべき勝負どころだ
取ったまま放置は危険です。相手は起訴命令の申立て(民事保全法37条)で、あなたに本案訴訟の提起を裁判所から命じさせられ、期間内に提起しないと仮処分は取り消されます。業界裏話ヒント:とはいえ断行の仮処分で相手が事実上目的を達すると、争う実益を失った相手方が本訴に来ず、そのまま決着することは実務で少なくない。「仮処分で終わらせる」戦略が成り立つかは、断行型を取れるかどうかにかかっている
係争物に関する仮処分(本条1項)は密行性があり、相手を審尋せず発令・執行できます。一方、仮の地位を定める仮処分(本条2項)は原則として口頭弁論か債務者が立ち会える審尋を経る必要があり(本条4項)、抜き打ちにはできません。業界裏話ヒント:同じ紛争でも、係争物型に構成できれば密行性が使え、仮の地位型だと相手に反論の機会が生じる。どちらの型で申し立てるかで奇襲できるか否かが変わるため、実務では係争物型に組み立てられないかをまず検討する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象と目的 | 23 条 1 項:係争物(金銭以外の権利の目的物)の現状維持 | — |
| 必要性の要件 | 現状の変更により権利実行が不能または著しく困難になるおそれ | — |
| 債務者の手続保障 | 密行性あり。債務者を審尋せず発令・執行が可能 | — |
| 典型的な命令内容 | 処分禁止の仮処分、占有移転禁止の仮処分 | — |
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