保全異議の申立てを取り下げるには、債権者の同意を得ることを要しない。
要点民事保全法 35 条は、保全異議の申立ての取下げに債権者の同意を要しないと定める。取り下げても保全命令はそのまま残り、債権者に不利益が生じないことがその理由である。
Q · 保全異議を取り下げるとき、相手(債権者)の同意はいるの?
同意は不要。債務者の判断だけで取り下げられます
民事保全法 35 条により、保全異議の申立ての取下げに債権者の同意は必要ありません。訴えの取下げは被告が本案について弁論した後は被告の同意を要しますが(民事訴訟法 261 条 2 項)、保全異議は逆です。異議を取り下げれば争いの対象だった保全命令はそのまま有効に残り、債権者は不利益を受けないためです。ただし取下げと同時に、異議で狙えたはずの保全命令の取消し・変更の機会も失われます。保全そのものから抜けたい場合は、37 条から 39 条の保全取消しという別ルートを検討する必要があります。
仮差押えを食らった。あなたは債務者として「こんな差押えは不当だ」と保全異議を申し立てた。ところが審理の途中で債権者と示談がまとまり、異議を取り下げたくなった。ここで多くの人が身構える。「相手の同意がいるんじゃないか」と。民事保全法35条の答えは明快だ。要らない。通常の訴えを取り下げるには、相手が本案について弁論した後は被告の同意が必要(民訴261条2項)。だが保全異議の取下げにその縛りはない。理由は構造にある。異議を取り下げれば、争いの対象だった保全命令はそのまま生き残る。つまり債権者は何も失わない、むしろ得をする。失うものがない相手に同意権を与える意味がないから、法はそれを外した。逆に言えば、あなたが異議で勝ち取れたはずの取消し・変更のチャンスは、取下げと同時に消える。取下げは自由だが、その自由は諸刃だ。
民事保全法 35 条は、保全異議の申立ての取下げについて債権者の同意を要しない旨を定める規定である。取下げによって保全命令は発令時のまま存続し、債権者は応訴の利益を失わないため、訴えの取下げにおける被告の同意(民事訴訟法 261 条 2 項)に相当する制約が課されていない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
保全異議の申立てについての決定が確定するまでの間であれば取り下げられます。決定が確定した後は取り下げる対象自体が存在しなくなるため、撤退を考えるなら審理中に判断する必要があります。
保全異議に申立期間の定めはなく、保全命令が存続する限り再度の申立て自体は考えられます。ただし同じ主張の蒸し返しは実益が乏しく、事情が変わったなら 38 条の保全取消しを検討する方が現実的です。
異議の取下げでは保全命令が残るため、債権者が立てた担保もそのまま維持されます。担保の取戻しは保全命令が失効または取り消された場面の問題であり、異議を取り下げただけでは動きません。
複数の保全命令や可分な申立てを争っている場合、一部の取下げも考えられます。どの範囲を残すかで審理対象が変わるため、取下書に対象を明確に特定して記載する必要があります。
実務では取下書を裁判所に提出する書面方式が基本です。期日で口頭の取下げが記録されることもありますが、後日の争いを避けるため書面で残すのが安全です。
取下げは手続を終わらせる処分行為にあたるため、委任状の授権範囲が問題になります。民事保全法 7 条で民事訴訟法が準用される関係もあり、特別の委任の記載を事前に確認してください。
和解しても異議が自動的に消えるわけではありません。取下書を提出して初めて手続が終わります。和解条項に取下げの時期と保全命令の取扱いを明記しておくと後日の紛争を防げます。
裁判所を通じて債権者側にも取下げの事実は伝わりますが、それは通知であって同意を求める手続ではありません。債権者が異議を述べても取下げの効力は妨げられません。
要りません(民事保全法35条)。訴えの取下げは相手が本案で争った後は被告の同意が必要(民訴261条2項)ですが、保全異議は真逆で、あなた単独で取り下げられます。取り下げても元の保全命令が残り、債権者は不利益を受けないからです。業界裏話ヒント:相手方が「同意が必要」と言ってきたら知識不足かブラフ。35条を示せば崩れる交渉カードなので、鵜呑みにして譲歩しないこと。
消えません。取り下げるのは『異議』だけで、保全命令そのものは元のまま有効に残ります。保全から解放されたいなら取り下げる対象を間違えています。狙うのは事情変更による保全取消し(民事保全法38条)など別ルートです。業界裏話ヒント:「異議を取り下げれば楽になる」と誤解して撤退すると命令が確定的に残り、後から取消しを狙う足場まで失う。取下げ前に必ず次の一手を決めておくこと。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 取下げの対象と目的 | 民事保全法 35 条:債務者が自らの保全異議(不服申立て)を撤回する | — |
| 相手方の同意 | 不要(35 条が明文で否定) | — |
| 保全命令のゆくえ | そのまま有効に存続し、取消し・変更のチャンスは消える | — |
| 時期の限界 | 保全異議の決定が確定するまで | — |
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