要点民事保全法 39 条は、特別の事情があるとき、債務者が担保を立てることを条件に仮処分命令を取り消せると定める。仮差押えには使えず、特別の事情は疎明で足りる。
Q · 仮処分をかけられたら、本案判決が出るまで事業を止めるしかないの?
担保を積めば仮処分を取り消せる場合があります
民事保全法 39 条により、仮処分命令で償うことのできない損害を生ずるおそれその他の特別の事情があるときは、債務者は担保を立てることを条件に仮処分命令を取り消してもらえます。特別の事情は証明ではなく疎明で足ります(39 条 2 項)。相手の権利が最終的に金銭賠償で満たされる性質なら、担保を積んで事業を止めずに戦い続けられます。ただしこの出口は仮処分専用で、仮差押えには使えません。金銭債権なら金で保全すれば足りるためです。
競合他社が特許侵害を主張し、あなたの主力製品に販売差止めの仮処分をかけてきた。工場のラインは止まり、毎日損失が膨らむ。本案訴訟の決着まで一年以上、それまで待てば会社が持たない。ここで効くのが民事保全法 39 条だ。仮処分によって「償うことができない損害」が生じるおそれ、あるいはその他の「特別の事情」があるとき、あなた(債務者、つまり仮処分をかけられた側)は担保を積むことを条件に、その仮処分を取り消してもらえる。押さえるべきは二点。第一に、この出口は仮処分専用で、仮差押えには使えない。金銭債権なら金で保全すれば足りるからだ。第二に、証明ではなく「疎明」で足りる(39 条 2 項)。疎明とは、一応確からしいと裁判官に思わせる程度の証明で、通常の証明より軽い。相手の権利が最終的に金銭賠償で埋め合わせられる性質のものなら、あなたは金を積んで事業を動かし続けられる。
民事保全法 39 条は、特別の事情による仮処分命令の取消しを定める規定である。仮処分により償うことができない損害を生ずるおそれその他の特別の事情がある場合に、債務者の申立てに基づき、担保の提供を条件として、仮処分命令を発した裁判所または本案裁判所が当該命令を取り消すことができる。仮差押えには適用されない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
いったん発令された保全命令(仮差押え・仮処分)を、一定の事由により取り消してもらう手続です。民事保全法は 37 条(本案不提起)・38 条(事情変更)・39 条(特別の事情)の 3 類型を定めます。
仮処分で償うことができない損害を生ずるおそれや、被保全権利が金銭賠償で足りるのに現物拘束の損害が著しく不均衡な場合などです。39 条 2 項により疎明で足ります。
使えません。39 条は仮処分専用です。仮差押えは金銭債権を金で守る制度なので、担保を積んで外すという発想がそもそも成り立たず、申立ては不適法になります。
証明は裁判官が確信を抱く程度、疎明は一応確からしいと思わせる程度で足ります。疎明は即時に取り調べられる証拠に限られます(民訴 188 条)。39 条は疎明で足ります。
裁判所が事案に応じて定めます。債権者が仮処分を失うことで生じ得る損害を担保する趣旨で、被保全権利の価額や見込まれる損害を基礎に算定されます。供託の資金繰りを並行して準備します。
仮処分命令を発した裁判所、または本案の裁判所に申し立てます(39 条 1 項)。どちらに申し立てるかは審理の進行状況を踏まえて選択します。
保全抗告を提起します(民事保全法 41 条)。決定の送達を受けた日から 2 週間の不変期間内という制限があるため、期限管理が重要です。
37 条は債権者が本案を提起しない場合、38 条は事情変更があった場合、39 条は特別の事情があり担保を積む場合の取消しです。39 条は仮処分限定で、担保提供が条件になる点が特徴です。
いいえ。相手の権利が最終的に金銭賠償で足りる性質なら、民事保全法 39 条で担保を積んで仮処分を取り消せます。特別の事情は疎明(39 条 2 項)で足り、証明より軽い。業界裏話ヒント:多くの当事者は 37 条(本案不提起)や 38 条(事情変更)ばかり見て 39 条を見落とす。相手が本案を淡々と進める限り 37・38 条は効かないが、39 条は損害の不均衡さえ疎明できれば独立して効く。この差を知る弁護士かどうかで、事業が止まる期間が丸ごと変わる
いいえ。担保は条件の一つで、まず特別の事情の疎明が要ります(39 条 1 項・2 項)。相手の権利が金銭では償えないもの、たとえば名誉毀損の差止めや人格権に基づく仮処分は、そもそも 39 条の射程外になりやすい。業界裏話ヒント:39 条が効くかは「被保全権利が金銭賠償になじむか」でほぼ決まる。実務ではこの見立てが分かれることがあり、金銭補償で足りると構成できるかが弁護士の腕の見せどころ。申立て前にこの一点を詰めるかどうかで結果が変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 取消しの原因 | 39 条:特別の事情(償えない損害のおそれ等) | — |
| 対象となる保全 | 仮処分のみ(仮差押えには不適用) | — |
| 担保提供の要否 | 担保を立てることが取消しの条件 | — |
| 疎明の対象 | 特別の事情を債務者が疎明(39 条 2 項) | — |
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