要点民事保全法 42 条は、保全命令の取消決定に保全抗告があった場合、二要件の疎明を条件に、抗告裁判所が担保を立てさせて取消決定の効力を停止できると定める。抗告自体に停止効はない。
Q · 保全命令の取消決定に抗告したら、取消しは自動で止まるの?
止まりません。42 条の効力停止を別に申し立てる必要があります
民事保全法 42 条により、保全命令を取り消す決定に保全抗告があった場合、抗告裁判所は申立てにより、保全抗告についての裁判をするまでの間、取消決定の効力の停止を命じることができます。ただし要件は厳格で、①原決定の取消しの原因となることが明らかな事情、②取消しにより償うことができない損害を生ずるおそれ、この二つの疎明が必要です。さらに担保を立てさせて、または担保を立てることを条件として発令されます。保全抗告そのものには執行停止の効力がないため、この申立てを別に打たない限り取消決定は効力を持ち続けます。
苦労して相手の預金口座に仮差押えをかけた。ところが相手が争い、裁判所があなたの仮差押えを取り消す決定を出した。あなたは即座に保全抗告で不服を申し立てる。だが落とし穴がある。取消しの決定は、抗告しただけでは止まらない。抗告裁判所が結論を出すまでの数週間、相手はその口座から金を引き出し、資産を別名義に移し、あなたの勝訴を紙切れに変えられる。民事保全法 42 条は、この一瞬の空白を塞ぐ緊急ブレーキだ。あなたが申し立て、(1)元の取消決定が明らかに誤っていること、(2)取り消されたままだと取り返しのつかない損害が出ること、この二つを疎明できれば、抗告裁判所は担保と引き換えに取消決定の効力を止められる。保全抗告そのものより先に、まずこの効力停止を取りにいけるかどうかが、回収できるかできないかの分岐点になる。
民事保全法 42 条は効力停止の裁判を定める規定である。保全命令を取り消す決定に対する保全抗告の係属中、抗告裁判所は申立てにより、保全抗告についての裁判をするまでの間、担保を立てさせて、または担保を立てることを条件として、当該取消決定の効力を停止できる。発令要件は、原決定の取消しの原因となることが明らかな事情と、償うことができない損害を生ずるおそれの二点の疎明である。
AI 輔助整理,以條文原文為準
保全異議や保全取消しの申立てについての裁判に不服がある当事者が、上級裁判所に不服を申し立てる手続です。民事保全法 41 条が根拠で、送達を受けた日から 2 週間の不変期間内に申し立てます。
保全抗告が係属している間に限られます。抗告についての裁判が出れば目的を失うため、実務上は保全抗告と同時、または取消決定の告知直後に申し立てるのが原則です。
金銭賠償では回復できない損害を指します。責任財産の散逸、係争不動産の第三者への売却と登記移転、株式の移転による支配権の変動などが典型例として主張されます。
保全抗告を審理する抗告裁判所です。42 条 1 項は「抗告裁判所は、申立てにより」と定めており、職権ではなく当事者の申立てが必要です。
二要件のいずれかを欠く場合です。原決定の取消しが明らかに誤りとまでは言えない場合、または損害の主張が抽象的な危惧にとどまり償えない損害の疎明が不足する場合に却下されます。
取消決定の効力が止まるため、保全命令は抗告についての裁判が出るまで効力を保ちます。すでに執行された仮差押えの効力も維持され、債務者は当該財産を自由に処分できません。
保全異議(26 条)は保全命令を発した裁判所への不服申立て、保全抗告(41 条)は異議や取消しの裁判に対する上級審への不服申立てです。効力停止は前者が 27 条、後者が 42 条です。
民訴 334 条は抗告一般における執行停止の規定で、42 条はその特則です。保全手続の緊急性に対応して要件を明文化し、担保提供を条件とする点が特徴です。
止まりません。保全抗告は即時抗告と違い、それ自体には執行停止の効力がありません(民事保全法 41 条)。取消決定を止めたければ、42 条の効力停止を別に申し立て、二要件を疎明する必要があります。業界裏話ヒント:ここを知らずに抗告状だけ出して安心し、その間に相手の口座が空になった、というのが債権者側の典型的な取りこぼし。抗告と効力停止は必ずセットで同時に打つ
事案によりますが、被保全債権額や停止で相手が被りうる損害を基準に、数十万から数百万円規模になることもあります。担保は 42 条 1 項の明文上の条件です。業界裏話ヒント:担保金は「相手が停止で損した場合の弁済原資」なので、抗告に勝てば取り戻せます。手元資金がなくても、銀行等との支払保証委託契約(ボンド)で代替できる場合があり、現金を寝かせずに停止を取る手がある
言えません。42 条 2 項が 27 条 4 項を準用しており、効力停止の裁判に対しては不服を申し立てることができません。争いの本体はあくまで保全抗告そのものです。業界裏話ヒント:だからこそ債務者側は効力停止の攻防に体力を使いすぎず、抗告本体で取消しの正当性を固める方が合理的。逆に債権者側は、停止さえ取れれば時間を確保でき、その間に本案訴訟の準備を進められる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる不服申立て | 42 条:保全命令を取り消す決定に対する保全抗告(41 条)の係属中 | — |
| 発令要件 | 原決定の取消しの原因が明らかな事情+償うことができない損害のおそれ、両方の疎明 | — |
| 担保 | 担保を立てさせて、または担保を立てることを条件として発令(明文の条件) | — |
| 不服申立ての可否 | 42 条 2 項が 27 条 4 項を準用し、効力停止の裁判に対しては不服申立てができない | — |
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