事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。次条第二項及び第十二条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。
要点パート・有期雇用労働法第 10 条は、事業主が通常の労働者との均衡を考慮して短時間・有期雇用労働者の賃金を決定する努力義務を定める。努力義務のため賃金差額の請求根拠にはならない。
Q · パートだから時給が低いのは、この条文で正当化されるの?
努力義務なので、これ単独では賃金差額を請求できません
パート・有期雇用労働法 10 条は、事業主に「通常の労働者との均衡を考慮して賃金を決めるよう努める」ことを求める努力義務規定です。語尾が「努めるものとする」であるため、違反しても直接の罰則はなく、これを根拠に「同じ賃金を払え」と請求することもできません。賃金格差を実際に争う拘束力ある根拠は隣の第 8 条(不合理な待遇の禁止)であり、職務の内容や責任に照らして待遇差が不合理かどうかで勝負が決まります。
コンビニのレジに 10 年立つあなたと、入社半年の正社員。時給換算では正社員の方が高い。理不尽だと問い詰めたとき、会社が盾にするのがこの条文だ。「賃金は均衡を考慮して決定するように努める」。ここで効いてくるのが語尾の「努めるものとする」。これは努力義務であり、守らなくても直接の罰則はなく、あなたが「同じ賃金を払え」と請求できる根拠にもならない。多くのパート・有期労働者がここで「やっぱり仕方ない」と諦める。だが本当の武器は隣にある。第 8 条の不合理な待遇の禁止は努力義務ではなく拘束力を持つ。10 条が霧をかけている間に、戦う人は 8 条を抜く。賃金が低いこと自体ではなく、その差が職務の内容や責任に照らして不合理かどうか、勝負はそこで決まる。
パート・有期雇用労働法第 10 条は、賃金決定における均衡考慮の努力義務を定める規定である。事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、短時間・有期雇用労働者の職務の内容や成果、意欲、能力、経験その他の就業実態を勘案して賃金を決定するよう努めるものとされる。ただし通勤手当その他厚生労働省令で定めるものは対象から除かれる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
均衡待遇(10 条・8 条)は職務内容の違いに応じたバランスある処遇を求めるもの、均等待遇(9 条)は職務も配置も通常の労働者と同視すべき場合に差別的取扱いそのものを禁じるものです。
はい。語尾が「決定するように努めるものとする」であり、努力義務です。違反しても直接の罰則はなく、賃金差額の請求権も発生しません。拘束力ある規定は 8 条です。
10 条自体に罰則はありません。努力義務のため行政指導の対象にとどまります。ただし待遇差が不合理な場合は 8 条違反として、未払差額を損害賠償で請求される可能性があります。
働き方改革関連法により、大企業は 2020 年 4 月 1 日、中小企業は 2021 年 4 月 1 日から短時間・有期雇用労働者に適用が開始されました。
通勤手当は労務の対価というより実費補償の性質が強く、職務内容と直接結びつかないため、厚生労働省令により均衡考慮の対象賃金から除外されています。ただし 8 条の不合理性判断では別途対象になります。
賃金請求権の消滅時効は 5 年(当面の間 3 年、労基法 115 条)。8 条違反を不法行為で構成する場合は損害を知った時から 3 年(民法 724 条)です。
同一の事業主に雇用される、いわゆる正社員(無期雇用フルタイム労働者)を指します。比較対象を誰にするかで不合理性の結論が変わるため、実務では特定が重要です。
10 条は賃金決定の努力目標を示すにとどまり争いの武器になりません。実際に待遇差を争うときは、拘束力を持ち差額請求の根拠となる 8 条を主語にします。
「全く同じ」を保証する条文はありません。10 条は均衡を考慮する努力義務にとどまり、同じ賃金を払えとまでは命じていません。争えるのは 8 条で、職務内容や責任が同じなのに待遇差が不合理な場合に限られます。業界裏話ヒント:弁護士はまず比較対象になる正社員を一人特定するところから始めます。誰と比べるかで不合理性の結論が変わるため、自分と職務がほぼ同じ正社員を見つけられるかが勝敗の半分を決めます
一律に違法とは言えません。最高裁は 2020 年(令和 2 年)、賞与(大阪医科薬科大学事件)と退職金(メトロコマース事件)について不支給が直ちに不合理とは言えないと判断し、一方で日本郵便事件では扶養手当や各種休暇の格差を不合理と認めました。業界裏話ヒント:同じ格差でも、手当の趣旨ごとに結論が分かれます。通勤手当や皆勤手当のように趣旨が明確な手当ほど格差は不合理と認められやすく、賞与・退職金は会社の裁量が広く認められやすい。狙うなら趣旨の明確な手当から崩すのが定石です
それ自体が次の一手になります。パート・有期法 14 条 2 項は、求めがあれば待遇差の内容と理由を説明する義務を事業主に課しています。説明を拒む、または合理的説明ができないこと自体が、後の紛争で会社に不利な事情になります。業界裏話ヒント:説明を求めるときは必ず書面かメールで、日付が残る形にする。口頭で求めて口頭で濁されると証拠が残りません。説明の不備は 8 条の不合理性を推認させる材料として実務で効いてきます
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 法的拘束力 | 10 条:努力義務(罰則・請求権なし) | — |
| 適用対象 | 均等待遇すべき者を除く短時間・有期雇用労働者の賃金 | — |
| 求めるもの | 均衡を考慮した賃金決定への努力 | — |
| 争いの武器になるか | ならない(努力目標にとどまる) | — |
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