保険業法 第122条(保険計理人の解任)
クイックジャンプ
内閣総理大臣は、保険計理人が、この法律又はこの法律に基づく内閣総理大臣の処分に違反したときは、当該保険会社に対し、その解任を命ずることができる。
この条文の基本情報
保険計理人の解任とは何ですか?
定義保険計理人の解任とは、保険業法第122条に定められた規定で、「内閣総理大臣は、保険計理人が、この法律又はこの法律に基づく内閣総理大臣の処分に違反したときは、当該保険会社に対し、その解任を命ずることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第122条(保険計理人の解任)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第122条の条文原文は「内閣総理大臣は、保険計理人が、この法律又はこの法律に基づく内閣総理大臣の処分に違反したときは、当該保険会社に対し、その解任を命ずることができる。」で始まります。
- 保険業法第122条は第五章 経理に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第122条の前の条は保険業法第121条です。
- 保険業法第122条の次の条は保険業法第122条の2です。
- 保険業法第122条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第122条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第122条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/122
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法122条は、保険計理人が同法または同法に基づく処分に違反したとき、内閣総理大臣が当該保険会社に対して解任を命じられると定める。命令の名宛人は会社である。
Q · 保険計理人って、金融庁の一言で会社を辞めさせられるんですか?
金融庁が会社に「この保険計理人を解任せよ」と命じられる規定です
保険業法122条により、内閣総理大臣(実務上は金融庁長官へ委任)は、保険計理人が同法または同法に基づく処分に違反したとき、当該保険会社に対してその解任を命ずることができます。重要なのは、命令の名宛人が保険計理人本人ではなく保険会社である点です。したがって履行義務は会社側にあり、不利益を受ける本人が直接処分を争えるかは、名宛人でない者の不服申立適格の問題として別途検討を要します。要件は「法律又はこの法律に基づく処分に違反したとき」であり、故意の不正に限定されていません。
解説
保険会社の中に、社長でも取締役会でもない、たった一人だけ「金融庁の一存で首を切られる」ポジションがある。保険計理人(アクチュアリー)だ。保険業法122条は、内閣総理大臣(実務上は金融庁長官へ委任)が、保険計理人がこの法律またはこの法律に基づく処分に違反したとき、その保険会社に対して解任を命じることができると定める。ここで注意すべきは、命令の相手が保険計理人本人ではなく「保険会社」だという構造だ。会社は自社の人事権を持っているように見えて、この一点では持っていない。あなたが保険数理の専門職としてキャリアを積むなら、あなたの職業生命は雇用契約と労働法だけでなく、金融庁の判断にも直結している。そして保険契約者の側から見れば、責任準備金が足りているかを検証する最後の砦が、会社の顔色を伺って甘い意見書を書けないよう、この条文が背中を守っている。
法的な位置づけ
保険業法122条は、保険計理人に対する監督上の解任命令を定める規定である。内閣総理大臣は、保険計理人が同法または同法に基づく内閣総理大臣の処分に違反した場合、当該保険計理人を選任した保険会社に対してその解任を命ずることができる。同法120条の選任義務、121条の確認および意見書提出義務と一体をなす監督の仕組みである。
手順
- 1.違反とされた具体的行為と根拠条項を特定する 金融庁からの指摘や報告徴求(保険業法128条)の内容を読み込み、問題とされているのが121条の確認義務の不履行か、意見書の内容か、別の処分違反かを条文単位で切り分ける。争点が特定できなければ反論も後任準備も組み立てられない
- 2.数理判断の根拠資料と社内の意見表明記録を時系列で保全する 責任準備金の算定根拠、使用した基礎率、経営陣とのやり取りの記録、社内会議での意見表明の議事録を、日付順に保全する。解任命令の検討が始まってからでは記録は作れないため、検査対応の初期段階で着手する
- 3.不利益処分に係る意見陳述の機会を活用する 解任命令は保険会社に対する不利益処分であるため、行政手続法上の意見陳述手続の適用の有無を確認し、反論の余地があれば主張と裏付け資料を提出する。専門職としての数理的判断の合理性を第三者の見解で補強できると効果的である
- 4.後任の保険計理人の選任と届出を並行準備する 命令の履行義務は会社側にあるため、後任候補の資格要件確認、取締役会決議、保険業法120条に基づく選任の届出を並行して進め、業務の空白期間を作らない。監督官庁への報告姿勢が、その後の行政上の評価を左右する
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法122条とは何ですか?
保険計理人が保険業法または同法に基づく処分に違反したとき、内閣総理大臣が当該保険会社に対してその解任を命ずることができると定める監督規定です。
Q2保険計理人は誰が選任するのですか?
保険会社の取締役会の決議で選任します(保険業法120条)。会社が選ぶ職でありながら、122条により監督官庁が解任を命じられる構造になっています。
Q3解任命令は保険計理人本人に出されるのですか?
いいえ。条文の名宛人は当該保険会社です。不利益を受けるのは本人ですが、処分の相手方は会社であり、本人が直接争えるかは不服申立適格の問題になります。
Q4解任命令の対象になるのはどんな違反ですか?
「この法律又はこの法律に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき」です。粉飾などの不正に限られず、法令上求められる確認や意見書提出を怠った場合も射程に入りえます。
Q5保険計理人の意見書には何を記載するのですか?
責任準備金の積立が妥当か、契約者配当が公正か、将来の保険金支払能力が確保されているかを確認した結果を記載します(保険業法121条)。
Q6責任準備金とは何ですか?
将来の保険金・給付金の支払いに備えて保険会社が積み立てる負債性の準備金です。積立水準が妥当かを保険計理人が検証し、意見書に反映します。
Q7解任命令に不服があるときの手続は?
行政処分一般のルールとして、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内が原則です。まず名宛人が誰かの確認が出発点になります。
Q8解任命令と業務改善命令の違いは?
122条は特定の保険計理人の解任という人事に直接介入する処分、132条の業務改善命令は業務運営全体の是正を求める処分で、射程と効果が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険計理人って、要するに社内の数字の担当者ってことですか?
位置づけが違う。保険計理人は取締役会の決議で選任され(120条)、責任準備金の積立や契約者配当の妥当性を確認して意見書を提出する法定の職である。実務のポイント:この職に就けるのは日本アクチュアリー会の正会員等の要件を満たす者に限られ、実働人数は限られている。だからこそ交代の事実は業界内で可視性が高く、理由の説明されない交代そのものが情報になる。
Q2解任を命じられたら、その人はもう業界で働けなくなるんですか?
本条は当該保険会社での解任を命じる規定であり、資格そのものを剥奪する条文ではない。ただし選任には要件審査があり(120条)、事実上の再任用のハードルは高くなる。実務のポイント:資格剥奪ではないという法的な線引きと、実務上のキャリアへの影響は全く別物である。法的に可能であることと、現実に再び選任されることは一致しない。
Q3契約者の立場で、この条文が使われたかどうかを知る方法はありますか?
行政処分は金融庁が公表する場合があり、保険会社側も重要事項として開示することがある。加えて保険計理人の交代自体は会社の開示資料から追える。実務のポイント:処分の有無より、保険計理人が短期間で複数回交代している事実の方が先行指標になりやすい。数理判断をめぐる社内対立は、処分に至る前に人事として現れることが多いためである。
間違えやすい点 AI による整理
- 「解任命令なら、当然その専門職本人に通知が行くはずだ」と考えがちだが、条文が名宛人としているのは保険会社である。つまり不利益を受けるのは保険計理人本人なのに、行政処分の相手方は会社という構造になっている。本人が直接争えるかは、処分の名宛人でない者の原告適格・不服申立適格の問題となり、実務上も慎重な検討を要する論点である
- 保険計理人の役割を「保険料を計算する人」と理解している人は多い。だが本条の重みは、その理解では説明できない。保険計理人は責任準備金の積立が妥当か、契約者配当が公正か、将来の保険金支払能力が確保されているかを確認し意見書を提出する(120条、121条)。数十年先の支払能力を担保する検証者であり、だからこそ監督官庁が直接その適格性に介入する必要がある
- 「金融庁が解任を命じるのは、粉飾や横領のような不正があったときだけだろう」と思われがちだが、条文の要件は「この法律又はこの法律に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき」である。故意の不正に限定されていない。法令が求める確認手続を尽くさなかった、必要な意見書を出さなかった、といった義務の不履行も射程に入りうる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の中身 | 保険業法122条:保険計理人の解任命令 | 保険業法121条:保険計理人の確認義務と意見書提出義務 保険業法132条:保険会社に対する業務改善命令等 |
| 発動の要件 | 保険計理人がこの法律またはこの法律に基づく処分に違反したとき | 決算期ごとに責任準備金・契約者配当等を確認する場面で常に作動 業務運営または財産の状況に照らし必要があると認められるとき |
| 名宛人 | 当該保険会社(保険計理人本人ではない) | 保険計理人本人(義務の主体) 保険会社 |
| 効果の性質 | 特定の専門職の人事に直接介入する(解任の強制) | 違反があれば122条の解任命令の前提事実になる 業務運営全体の是正を求める(人事の特定はしない) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も保険業者に簽證精算人員の聘用を義務づけ、主管機関が撤換を求めうる構造をとる。責任準備金の検証を担う専門職の独立性を監督権限で支える点で日本と同型である
韓国も選任計理士制度を置き、金融当局が解任を要求しうる。会社が選任し当局が退出を促すという二層構造は日本と近い
ドイツも責任アクチュアリー制度を持ち、監督当局が適格性を欠く場合に解任を求めうる。生命保険・医療保険で特に重い役割が与えられている
米国は州保険庁が Appointed Actuary の意見書を審査し、適格性を否認することで実質的に退出させる。中央の一条ではなくモデル法と州規則の組み合わせで機能する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 決算期末、経営陣から「責任準備金の積立水準をもう少し緩められないか」と示唆された保険計理人。従えば会社は当期利益を確保できる。だが121条の確認義務に反する意見書を出せば、その先にあるのは122条の解任命令だ。会社の指示に従うことが、自分を守らない構造になっている
- もし、あなたが中堅保険会社の保険計理人で、金融庁の検査で過去3年分の意見書に検証不足を指摘されたとしたら? 会社は「担当者の判断ミス」として処理したいが、金融庁が122条で解任命令を出せば、その事実は業界内に即座に伝わる。日本の保険計理人の実働人数は限られており、匿名では済まない
- 保険会社の人事部門の担当者。保険計理人の交代を検討していたところ、金融庁から解任命令の可能性を示唆された。ここで「自主的な交代」と「解任命令による交代」では、後の120条に基づく選任届出の扱いも、経営責任の評価も全く違う。どちらの形をとるかで、会社への行政上の心証が変わる
- 契約者としてあなたの保険会社の経営健全性を調べたい。有価証券報告書やソルベンシー・マージン比率だけでなく、保険計理人が短期間で交代していないかを見る。理由の説明されない交代は、内部で数理判断をめぐる対立があった可能性を示すシグナルになる
取るべき行動
被害を受けた側:保険計理人本人として解任命令の対象となった場合、まず処分の名宛人が会社であることを踏まえ、自身が争える立場にあるかを行政訴訟に明るい弁護士と確認する。並行して、違反とされた行為について、数理的判断の根拠資料、社内での意見表明の記録、経営陣からの指示の有無を時系列で整理する。日本アクチュアリー会など専門職団体の対応窓口にも早期に接触し、専門職としての判断の合理性を裏付ける第三者の見解を確保しておく。
訴えられた側:保険会社として解任命令を受けた、または受ける可能性がある場合、命令の名宛人は会社であり、履行義務は会社側にある。まず違反とされた具体的行為と根拠条項を特定し、行政手続法上の意見陳述の機会(不利益処分に係る手続)で反論の余地があるかを検討する。同時に、後任の保険計理人の選任と届出(120条)の準備を並行させ、業務の空白期間を作らない。監督官庁への報告姿勢が、その後の行政上の評価を大きく左右する。
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期間制限は置かれていない。ただし行政処分に対する審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)が原則であり、この期間を過ぎると処分の効力を争う道が事実上閉じる(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
通説的理解:本条の趣旨は、保険計理人が会社に選任され会社から報酬を受ける従属的地位にあることを前提に、監督官庁の解任権限を通じて法令遵守を会社への忠誠より上位に置かせる点にあると理解されている。命令の名宛人を会社に限定し要件を法令違反に絞ることで、行政の人事介入は必要最小限に画されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 改正:保険業法が全部改正され(平成7年法律第105号)、現行法が制定された。保険計理人の選任、確認および意見書提出、解任命令に関する規定が120条以下に体系的に置かれ、本条もその一環として現在の位置に配置された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める