保険業法 第120条(保険計理人の選任等)
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- 保険会社(生命保険会社及び内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社に限る。第三項及び第百二十二条において同じ。)は、取締役会において保険計理人を選任し、保険料の算出方法その他の事項に係る保険数理に関する事項として内閣府令で定めるものに関与させなければならない。
- 2.保険計理人は、保険数理に関して必要な知識及び経験を有する者として内閣府令で定める要件に該当する者でなければならない。
- 3.保険会社は、保険計理人を選任したとき、又は保険計理人が退任したときは、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
この条文の基本情報
保険計理人の選任等とは何ですか?
定義保険計理人の選任等とは、保険業法第120条に定められた規定で、「保険会社(生命保険会社及び内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社に限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第120条(保険計理人の選任等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第120条の条文原文は「保険会社(生命保険会社及び内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社に限る。」で始まります。
- 保険業法第120条は第五章 経理に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第120条の前の条は保険業法第119条です。
- 保険業法第120条の次の条は保険業法第121条です。
- 保険業法第120条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第120条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第120条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/120
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法120条は、生命保険会社と一定の損害保険会社に対し、取締役会で保険計理人を選任し保険料の算出方法など保険数理事項に関与させる義務を定める。選任・退任は内閣総理大臣に届け出る。
Q · 保険会社に保険計理人を置くのは義務なんですか? 置かないとどうなるの?
生保と一定の損保は選任義務があり、怠れば業法違反です
保険業法120条1項は、生命保険会社および内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社に対し、取締役会の決議で保険計理人を選任し、保険料の算出方法など府令が定める保険数理事項に関与させる義務を課します。保険計理人は保険数理に関する知識・経験の府令要件を満たす者でなければならず(2項)、選任・退任のいずれも遅滞なく内閣総理大臣(実務上は金融庁)への届出が必要です(3項)。選任を怠れば、それ自体が業法上の義務違反となります。
解説
保険会社の中に、社長でも取締役でもないのに、決算を止める力を持つ人間が一人だけ座っている。それが保険計理人(アクチュアリー)だ。保険業法120条は、生命保険会社と一定の損害保険会社に対し、取締役会の決議でこの人物を選任し、保険料の算出方法など内閣府令が定める保険数理事項に関与させることを義務づける。しかも本人は「保険数理に関して必要な知識及び経験を有する者」という府省令要件を満たさなければならず、選任も退任も内閣総理大臣(実務上は金融庁)への遅滞なき届出が必要である。あなたが払う保険料の中身、将来受け取る保険金の裏付けとなる責任準備金、その数字が妥当かどうかを最初に検証するのは金融庁でも監査法人でもない。この120条で選ばれた一人だ。保険会社を選ぶとき、あなたはこの職の存在すら知らずに数十年分の掛金を預けている。
法的な位置づけ
保険業法120条は、保険計理人の選任義務を定める規定である。生命保険会社および内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社は、取締役会において保険計理人を選任し、保険料の算出方法その他の保険数理事項に関与させなければならない。保険計理人には府令が定める知識・経験要件が課され、選任および退任は内閣総理大臣への届出事項となる。
よくある質問 AI による整理
Q1保険計理人とは何ですか?
保険業法120条に基づき取締役会が選任する法定の職で、保険料の算出方法など府令が定める保険数理事項に関与します。府令の知識・経験要件を満たす者に限られます。
Q2保険計理人の選任は義務ですか?
生命保険会社と、内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社は選任義務を負います。すべての損害保険会社が一律に義務を負うわけではありません。
Q3保険計理人の選任は誰が決めるのですか?
120条1項により取締役会が選任します。社長の一存や人事部の内示ではなく、取締役会決議という会社法上の正式手続を経る必要があります。
Q4保険計理人の退任は届出が必要ですか?
必要です。120条3項により、選任時も退任時も内閣府令の定めに従い、遅滞なく内閣総理大臣(金融庁)へ届け出なければなりません。
Q5保険計理人の資格要件は何ですか?
120条2項は「保険数理に関して必要な知識及び経験を有する者として内閣府令で定める要件に該当する者」と規定し、具体的要件は府令に委任されています。
Q6損害保険会社も保険計理人が必要ですか?
1項括弧書きの「内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社」に当たれば必要です。該当性は条文だけでは決まらず、最新の府令で確認してください。
Q7保険計理人は何に関与するのですか?
保険料の算出方法その他、保険数理に関する事項として内閣府令で定めるものです。責任準備金の積立(116条)の妥当性検証も実務上の中心となります。
Q8保険計理人を置かないと違法ですか?
義務対象の保険会社が選任していなければ120条1項違反です。金融庁の監督上の措置や報告徴求の対象となり得るため、該当性の確認が先決です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険計理人ってアクチュアリーのことですか? 資格がないとなれないんですか?
実務上はアクチュアリー(日本アクチュアリー会の正会員等)が就くのが通例だが、120条2項が求めるのは「保険数理に関して必要な知識及び経験を有する者として内閣府令で定める要件に該当する者」であり、要件の中身は府令側にある。実務のポイント:この職に就ける人材の絶対数が少ないため、保険会社の数理部門の人事は業界内で筒抜けである。中途採用市場での希少性が、実は職務の独立性を陰で支えている。
Q2保険計理人が「この保険料はおかしい」と言ったら、会社は従わないといけないんですか?
120条は関与させる義務を課すにとどまり、意見に拘束力を与える条文ではない。ただし121条以下で確認と意見書の提出が義務づけられ、122条では内閣総理大臣が保険計理人に説明や報告を求める仕組みが用意されている。実務のポイント:拘束力の有無より、意見書に懸念が記録されるかどうかが実務では決定的である。記録が残った時点で、経営が押し切っても後日の当局検査で必ず掘り返される。
Q3うちは損保なんですが、本当に保険計理人を置かないといけないんですか?
120条1項は生命保険会社に加え「内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社」を対象とする。長期の保険期間や積立型の商品を扱うかどうかといった要素が府令の要件に関わるため、自社が該当するかは条文だけでは決まらない(最新の府令をご確認ください)。実務のポイント:該当性がグレーな会社ほど、後から該当と判断されたときの遡及的な体制整備コストが重い。迷ったら当局に事前照会する方が、結果的に安い。
間違えやすい点 AI による整理
- 保険計理人は「保険会社の数理担当の偉い人」という肩書だと思われがちだが、実態は法定の職である。取締役会決議で選任され、選任・退任が国に届け出られ、その職責は121条以下で法定される。会社が自由に任免して自由に黙らせられる社内ポストではない。
- 「保険計理人がいるなら保険会社は安全」と受け取る人が多いが、そこを深掘りすべきである。1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本では生命保険会社の破綻が相次いだ。保険計理人制度が存在していてもなお、逆ざやの累積は防ぎきれなかった。この制度は破綻を封じる魔法ではなく、経営判断の暴走に一つブレーキを噛ませる仕組みにすぎない。制度の存在と安全性を同一視した瞬間、あなたは会社選びの判断材料を一つ失う。
- 「自分は保険料を払うだけの立場だから、社内の人事の話は関係ない」という前提そのものが誤っている。保険料の算出方法という、あなたが毎月支払う金額の根拠に法的に関与させられている人物であり、その関与の有無が商品の健全性を左右する。契約者から見た唯一の可視化手段は、保険会社が公表するディスクロージャー資料と、ソルベンシー・マージン比率などの健全性指標である。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の中心 | 保険業法120条:保険計理人の選任・資格・届出 | 保険業法121条:保険計理人の確認義務と意見書提出 保険業法122条:内閣総理大臣による説明・報告請求 |
| 義務を負う主体 | 保険会社(生保+府令要件該当の損保) | 保険計理人本人 保険計理人(当局からの請求の名宛人) |
| 作動する場面 | 平時の体制整備(選任時・退任時) | 毎決算期の数理的検証と意見書 当局が疑義を持ったとき |
| 違反時の帰結 | 選任懈怠・届出遅延として業法上の義務違反 | 確認・意見書の欠落として職務上の問題 説明拒否は監督上の措置に直結 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も保険業に精算人員の選任を求め、保険料率と責任準備金の妥当性に関与させる。主務官庁は金融監督管理委員会
韓国も選任計理士制度を置き、保険料と責任準備金の適正性を確認させる。金融委員会・金融監督院が監督
ドイツは責任アクチュアリーを法定し、保険料と準備金の十分性について経営陣への報告義務を課す。Solvency II 体系と接続
米国は州法ベースで Appointed Actuary が Actuarial Opinion を提出。連邦統一法ではなく州保険局が監督する点が日本と構造的に異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが35歳で加入した終身保険。60歳になったとき、その保険会社が予定利率の逆ざやで苦しんでいるとする。契約時の保険料が数理的に妥当だったか、責任準備金が足りているかを毎期チェックしていたのは、120条で選任された保険計理人である。あなたの保険証券の裏側には、名前も知らないこの人の判断が積み重なっている。
- 保険会社の経営企画部に配属されたあなたが、新商品の保険料率を下げて売りやすくしたいと提案する。ところが保険計理人が「基礎率の妥当性が説明できない」と関与を拒む。この一言で商品発売は止まる。営業サイドから見れば障害物、法から見れば防波堤。この落差を理解しないまま社内で押し切ろうとすると、あなたは121条の確認義務と122条の金融庁報告命令の射程に自ら踏み込むことになる。
- 損害保険会社に勤めているあなたは「うちは損保だから保険計理人は不要」と聞かされてきた。だが120条1項の括弧書きは「内閣府令で定める要件に該当する損害保険会社」を含めている。自社が該当するかどうかは、思い込みではなく府令の要件で決まる。該当するのに選任していなければ、それ自体が業法違反である。
- 保険計理人が突然辞任した。あと何日以内に金融庁へ届け出るか、社内の誰も即答できない。条文は「遅滞なく」としか書いていない。だからこそ社内規程で日数を決めておくかどうかで、監督当局の心証は変わる。
- もし、保険会社が破綻したらあなたの保険はどうなる? 破綻時に契約者保護機構が引き継ぐ責任準備金の額は、破綻前に保険計理人が検証してきた数字が土台になる。破綻処理の交渉は、ゼロからの査定ではなく、この積み上げの上で行われる。
取るべき行動
被害を受けた側:契約者の立場で保険会社の健全性に不安を感じたら、1. その会社のディスクロージャー資料でソルベンシー・マージン比率と基礎利益の推移を数期分確認する2. 保険計理人の意見書の要旨が開示されていれば読む3. 金融庁の監督上の措置(業務改善命令等)の公表を検索する4. 不安が具体化したら解約ではなく、まず生命保険協会や金融サービス利用者相談室に相談する。破綻時は契約者保護機構による保護があり、慌てた解約が最も損になる場合がある(最新の保護内容をご確認ください)。
訴えられた側:保険会社側の立場で選任漏れ・届出遅延を指摘されたら、1. 該当性の判断根拠(自社が府令要件に当たるか)を文書で再確認する2. 取締役会議事録で選任決議の存否と日付を特定する3. 届出の遅延であれば、遅延理由と再発防止策をまとめて速やかに自主報告する4. 保険計理人の資格要件(府令が定める知識・経験)を満たしているかを証憑で裏付ける。当局対応では、隠すより先に出す方が処分の幅を確実に狭める。
時効(請求できる期限):3項の届出は「遅滞なく」であり日数の明示はない。実務では選任・退任の事実発生後、社内で確定次第直ちに処理する運用が求められる。本条自体に消滅時効の概念はないが、選任懈怠や届出違反に起因して契約者に損害が生じた場合の民事責任は、一般消滅時効(民法166条、権利行使可能を知った時から5年または権利行使可能時から10年)による。
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