保険業法 第138条(保険契約移転手続中の契約)
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- 移転会社は、第百三十六条第一項の決議後に移転対象契約を締結するときは、保険契約の移転をし、又はしないこととなった時までの間は、当該移転対象契約を締結する者に対し、次に掲げる事項を通知し、当該移転対象契約が移転する場合には移転先会社の保険契約者となることについてその承諾を得なければならない。
- 一第百三十五条第一項の契約の要旨
- 二移転会社及び移転先会社の貸借対照表(外国保険会社等の場合にあっては、日本における保険業の貸借対照表)
- 三前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
- 2.前項の承諾をした者は、前条の規定の適用については、移転対象契約者でないものとみなす。
この条文の基本情報
保険契約移転手続中の契約とは何ですか?
定義保険契約移転手続中の契約とは、保険業法第138条に定められた規定で、「移転会社は、第百三十六条第一項の決議後に移転対象契約を締結するときは、保険契約の移転をし、又はしないこととなった時までの間は、当該移転対象契約を締結する者に対し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第138条(保険契約移転手続中の契約)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第138条の条文原文は「移転会社は、第百三十六条第一項の決議後に移転対象契約を締結するときは、保険契約の移転をし、又はしないこととなった時までの間は、当該移転対象契約を締結する者に対し…」で始まります。
- 保険業法第138条は第一節 保険契約の移転に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第138条の前の条は保険業法第137条です。
- 保険業法第138条の次の条は保険業法第139条です。
- 保険業法第138条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第138条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第138条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/138
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法138条は、移転決議後に保険契約を結ぶ者に対し、移転契約の要旨と両社の貸借対照表を通知し、移転先会社の契約者となる承諾を得るよう移転会社に義務付ける。
Q · 保険の申込みと一緒に出された「移転に関する承諾書」って、サインしても大丈夫ですか?
承諾すると異議申立の対象者から外れます
保険業法138条は、保険契約の移転について136条1項の決議がされた後、移転が実行され又は実行しないと決まるまでの間に移転対象契約を締結する場合、移転会社に対し、135条1項の移転契約の要旨、移転会社と移転先会社の貸借対照表、内閣府令で定める事項を通知し、移転先会社の保険契約者となることについて承諾を得るよう義務付けています。そして2項により、承諾した者は137条の異議申立手続では移転対象契約者でないものとみなされ、異議を述べる契約者の頭数から外れます。サイン前に両社の貸借対照表を確認することが要点です。
解説
保険会社が契約の塊ごと他社へ移す「保険契約の移転」。株主総会での決議が済んだ後、移転が実行されるまでには数か月の空白期間がある。その空白期間に新しく保険に入るあなたは、極めて特殊な立場に置かれる。契約したその日に、あなたの契約相手が別会社に変わる可能性があるのだ。保険業法138条は、その空白期間の契約者に対して移転会社に二つの義務を課す。第一に移転契約の要旨と移転元・移転先双方の貸借対照表を通知すること、第二に「移転先会社の保険契約者になること」への承諾を取ること。ここで見落としてはいけないのは2項だ。承諾した者は、137条の異議申立手続における「移転対象契約者」ではないとみなされる。つまり、あなたは承諾した瞬間、後から異議を述べて移転を止める側の頭数から外れる。承諾書へのサインは、単なる確認ではなく、異議権の事前放棄である
法的な位置づけ
保険業法138条は、保険契約の移転に係る決議後に移転対象契約を締結する場合の手続を定める規定である。移転会社は、当該契約を締結する者に対し、移転契約の要旨、移転会社及び移転先会社の貸借対照表等を通知し、移転先会社の保険契約者となることの承諾を得る義務を負う。承諾をした者は、第137条の適用上、移転対象契約者でないものとみなされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.通知書の三点セットが揃っているか確認する 移転会社から渡された書類に、135条1項の移転契約の要旨、移転会社と移転先会社の双方の貸借対照表、内閣府令で定める事項が含まれているかを確認する。一つでも欠けていれば138条1項の通知義務が果たされていない可能性がある
- 2.移転先会社の支払能力を独自に確認する 貸借対照表だけでは支払能力は測れない。保険業法111条に基づくディスクロージャー資料で移転先会社のソルベンシー・マージン比率と直近の決算を確認し、格付機関の評価も併せて調べる
- 3.承諾の法的効果を募集人に確認させる 「承諾すると137条の異議申立てに参加できなくなるという理解でよいか」「承諾しない場合の当該契約の取扱いはどうなるか」を書面またはメールで質問し、回答を記録として残す。1項は即答を義務付けていないため、判断まで時間を取ってよい
- 4.承諾の可否を決め、記録を保存する 移転先会社の財務に納得できれば承諾書に署名し、控えを保管する。納得できなければ承諾を保留し、他社商品との比較を行う。いずれの場合も通知書・貸借対照表・承諾書の控えを契約期間中は保存する
よくある質問 AI による整理
Q1保険契約の移転とは何ですか?
保険会社が保有する契約を包括して他の保険会社に移す手続です。保険業法135条の移転契約、136条の決議、139条の認可を経て実行され、契約者の相手方会社が入れ替わります。
Q2保険業法138条の通知事項は何ですか?
1項が定めるのは三つです。135条1項の移転契約の要旨、移転会社と移転先会社の貸借対照表(外国保険会社等は日本における保険業の貸借対照表)、そして内閣府令で定める事項です。
Q3移転の承諾をすると何が変わりますか?
138条2項により、承諾した人は137条の適用上「移転対象契約者でない」とみなされます。異議を述べて移転を止める集団手続の分母からも分子からも外れる効果が生じます。
Q4保険契約の移転に金融庁の認可は必要ですか?
必要です。保険業法139条により、保険契約の移転は内閣総理大臣の認可を受けなければ効力を生じません。認可権限は金融庁長官に委任されて運用されています。
Q5保険会社が変わっても保険料や保障は同じですか?
移転は契約条件を維持したまま行われるのが原則で、保険料や保障内容は通常変わりません。ただし将来の保険金支払能力は移転先会社の財務に依存するため、貸借対照表の確認が重要です。
Q6移転対象契約者の異議申立てはどう行いますか?
137条の手続により、公告された一定期間内に異議を述べます。異議を述べた者が法定の割合を超えると移転ができなくなります。138条で承諾した人はこの手続に参加できません。
Q7移転決議前と決議後で契約者の扱いは違いますか?
違います。決議前からの契約者は137条の異議申立手続で扱われ、決議後に契約した者は138条の事前通知と個別承諾で処理されます。加入時期で法的地位が分かれる設計です。
Q8保険契約の移転と保険会社の破綻処理は違いますか?
別の制度です。移転は135条以下の任意の再編手続で、破綻時は保険契約者保護機構による救済(保険業法259条以下)が中心になります。両者が組み合わさる場面もあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1その承諾書、断ったら保険に入れないってことですか?
138条1項は、移転対象契約を締結する者に承諾を得なければならないと定めるだけで、承諾しない者を締め出せとは書いていない。実務上は、承諾しなければ当該契約を移転対象から外して移転会社に残す扱いも考えられる。実務のポイント:募集現場では「形式的な書類です」と一言で流されることが多いが、承諾は2項で異議申立資格の喪失に直結する。その場で「承諾しない場合の取扱いはどうなりますか」と聞くと、相手は本社照会に回さざるを得ず、テンプレ対応から個別説明に切り替わる
Q2貸借対照表なんてもらっても読めません。どこを見ればいいんですか?
純資産の額と責任準備金の規模の関係、そして移転元と移転先の比較が起点になる。ただし保険会社の支払能力を測る主要指標はソルベンシー・マージン比率で、これは貸借対照表本体ではなく保険業法111条のディスクロージャー資料に載る。実務のポイント:138条が法定しているのは貸借対照表までで、比率までは条文上求められていない。だから自分から聞かないと出てこない。この一問を投げられる契約者は極めて少ない
Q3承諾したあとで移転先の会社に不安が出てきたら、どうすればいいですか?
137条の異議申立には2項により参加できない。残る道は、契約自体の解約や他社への切替という私的な選択になる。生命保険なら解約返戻金の水準と再加入時の告知・年齢による保険料上昇を必ず試算すること。実務のポイント:移転そのものは契約条件を維持したまま行われるのが原則なので、不安だけを理由に解約すると、保障の空白と保険料上昇という確実な損を負う。移転先の財務指標を確認してからでも遅くない
間違えやすい点 AI による整理
- 承諾書は「説明を受けました」という受領確認だと思われがちだが、法的な意味は全く違う。2項により、承諾した者は137条の異議申立手続上「移転対象契約者でないものとみなす」。異議を述べる契約者が一定割合を超えれば移転自体ができなくなる仕組み(137条2項)の中で、あなたは分母からも分子からも消える。確認書のつもりが、実は集団的な拒否権からの離脱届である
- 移転される側の契約者は全員同じ扱いを受けると考えている人が多い。だが法律から見れば、決議前から契約していた人と、決議後に契約した人は完全に別カテゴリだ。前者には異議申立の機会(137条)、後者には事前の情報開示と個別承諾(138条)。この落差を知らずに「他の契約者と一緒に反対すればいい」と構えていると、自分にはその席がないことに後から気付く
- 「保険会社が変わっても契約内容は同じだから関係ない」という理解は、契約条件の面では概ね正しいが、支払能力の面では危うい。移転先会社の財務が脆弱であれば、将来の保険金支払いの確実性は変わる。だからこそ法は、通知事項の筆頭に近い位置に両社の貸借対照表を据えた。契約書ではなく財務諸表を読ませる設計になっている理由がそこにある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる契約者 | 138条:136条1項の決議後に移転対象契約を締結する者 | 137条:決議前から契約している移転対象契約者 139条:移転手続全体(契約者個人ではなく監督上の要件) |
| 与えられる手段 | 事前の通知(要旨・両社の貸借対照表・府令事項)と個別承諾 | 公告後の異議申立て、異議者が一定割合を超えれば移転不可 内閣総理大臣の認可という行政によるチェック |
| 契約者側の効果 | 承諾すると2項により移転対象契約者でないとみなされる | 集団的な拒否権の頭数に算入される 個別契約者に直接の申立権は生じない |
| 判断材料 | 通知された両社の貸借対照表(111条の開示資料で補完) | 公告および135条の移転契約の要旨 当局が審査する契約者保護上の支障の有無 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では主管機関の処分として営業譲渡や契約移転が命じられる場面が中心で、決議後の新規契約者に限定した個別承諾規定という形は取っていない
韓国も保険契約の包括移転を法定し、決議・公告・異議手続と監督当局の認可という構造を採る。日本法と近い設計
ドイツは監督庁(BaFin)の許可を中心に据え、個々の契約者の同意ではなく監督審査で契約者保護を担保する設計が強い
米国は州法ベースで、契約者の明示的同意または一定期間内の不異議をもって移転の効力を認める運用が見られる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 生命保険の営業担当から「実は当社、来年から契約が別会社に移ることになりまして」と説明され、通常の申込書に加えて見慣れない承諾書を差し出された。両社の貸借対照表のコピーも渡された。ここで「よく分からないから、とりあえずサインしておこう」と押印すると、あなたは異議申立の頭数から外れる。分厚い財務諸表こそが、法が読ませたい本体だ
- もし承諾しないまま契約を結んだら、どうなる? 138条1項は承諾を得なければならないと定める。つまり承諾しなければ、その契約は移転対象から外れて移転会社に残るか、そもそも契約自体が締結されないかのどちらかになる。移転会社に残された契約者は、移転で規模が縮小した会社に取り残されるリスクを負う
- あなたが保険代理店の担当者側だとする。移転決議後の募集で、この通知と承諾取得を怠ったまま契約を成立させた。この手続違反は、後に移転の効力や説明義務違反をめぐる紛争の火種になる。募集人としての説明義務(保険業法294条)とも重なる領域で、記録が残っていない側が不利になる
- 承諾書の提出期限は今週末まで、と代理店から催促されている。だが渡された移転先会社の貸借対照表を見ると、ソルベンシー・マージン比率の記載がどこにあるのか分からない。この三日間で判断する材料は、実は手元の書類だけではない。移転先会社の直近のディスクロージャー誌(保険業法111条)を金融庁のサイトや会社サイトで確認できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書を受け取ったら、まず135条の移転契約の要旨で「何が移転し、何が残るか」を確認する2. 両社の貸借対照表を並べ、純資産と責任準備金の水準を比較、加えて移転先会社のソルベンシー・マージン比率を開示資料で確認3. 承諾すれば137条の異議申立から外れる点を理解した上で判断、納得できなければ承諾を保留し他社商品も比較する4. 通知自体がなかった場合は、募集人と保険会社に書面で説明を求め、やり取りを保存する
訴えられた側:1. 移転会社・代理店の側であれば、決議日以降の新規契約すべてを洗い出し、通知と承諾取得の漏れがないか台帳で管理する2. 通知事項は1項の三号(契約の要旨、両社の貸借対照表、内閣府令で定める事項)を漏らさず、交付記録と承諾書原本を保存3. 承諾を得た契約者は137条の異議申立手続の対象から除外されるため、異議者数の集計基準を明確に分ける4. 手続不備が判明した場合は、当局への報告と個別の追完対応を早期に検討する
時効(請求できる期限):1項の通知と承諾は「第136条1項の決議後」から「保険契約の移転をし、又はしないこととなった時までの間」に締結する契約が対象。個別の期限日ではなく、移転手続の進行に連動する期間で区切られる。なお承諾や説明をめぐる損害賠償請求には、特定の時効規定はなく一般消滅時効(民法166条、権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正(平成7年法律第105号)により、保険契約の移転に関する一連の規定(135条以下)が整備され、移転決議後に締結される契約について通知と個別承諾を求める本条が置かれた
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