保険業法 第180条の8(業務の執行)
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- 清算人は、清算相互会社(清算人会設置相互会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
- 2.清算人が二人以上ある場合には、清算相互会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。
- 3.前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない。
- 一支配人の選任及び解任
- 二従たる事務所の設置、移転及び廃止
- 三第四十一条第一項又は第四十九条第一項において準用する会社法第二百九十八条第一項各号に掲げる事項
- 四清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算相互会社の業務の適正を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制の整備
- 4.会社法第三百五十三条から第三百五十六条まで(株式会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表、表見代表取締役、忠実義務、競業及び利益相反取引の制限)、第三百五十七条第一項及び第二項(取締役の報告義務)、第三百六十条第一項(株主による取締役の行為の差止め)並びに第三百六十一条第一項(第三号から第五号までを除く。)及び第四項(取締役の報酬等)の規定は、清算人(同条の規定については、第百七十四条第一項、第四項又は第九項の規定により内閣総理大臣が選任したものを除く。)について準用する。この場合において、これらの規定(同法第三百六十一条第一項第六号を除く。)中「株式会社」とあるのは「清算相互会社」と、同法第三百五十三条中「第三百四十九条第四項」とあるのは「保険業法第百八十条の九第五項において準用する第三百四十九条第四項」と、同法第三百五十四条中「代表取締役」とあるのは「代表清算人」と、同法第三百五十七条中「株主(監査役設置会社にあっては、監査役)」とあるのは「監査役」と、同条第二項中「監査役会設置会社」とあるのは「監査役会設置会社(保険業法第三十条の十第四項に規定する監査役会設置会社をいう。)」と、同法第三百六十条第一項中「株式を有する株主」とあるのは「社員である者」と、「著しい損害」とあるのは「回復することができない損害」と、同法第三百六十一条第一項第六号中「金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)」とあるのは「金銭でないもの」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
業務の執行とは何ですか?
定義業務の執行とは、保険業法第180条の8に定められた規定で、「清算人は、清算相互会社(清算人会設置相互会社を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第180条の8(業務の執行)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第180条の8の条文原文は「清算人は、清算相互会社(清算人会設置相互会社を除く。」で始まります。
- 保険業法第180条の8は第四節に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第180条の8の前の条は保険業法第180条の7です。
- 保険業法第180条の8の次の条は保険業法第180条の9です。
- 保険業法第180条の8には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第180条の8 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第180条の8(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/180_8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法180条の8は、清算相互会社の業務を清算人が執行し、清算人が二人以上なら過半数で決定すると定める。支配人の選解任など四事項は各清算人に委任できない。
Q · 保険の相互会社が清算に入ったら、契約者は清算人の行動を止められるんですか?
止められるが「回復不能な損害」の要件が必要
保険業法180条の8第4項は会社法360条1項(株主による取締役の行為の差止め)を準用し、清算相互会社の社員(保険契約者)が清算人の違法行為を差し止められると定めます。ただし読替えにより、株主の場合の「著しい損害」ではなく「回復することができない損害」が要件となり、ハードルが一段高くなっています。また差止めは清算人が当該行為を実行する前にしか使えず、資産処分が完了した後は損害賠償請求という別の手段に切り替える必要があります。
解説
相互会社という形態の保険会社に、株主はいない。出資者にあたるのは保険契約者自身であり、法律上の呼び名は「社員」である。その会社が解散して清算段階に入ると、指揮権は取締役から清算人へ移る。180条の8は、その清算人が何をどこまで単独で決められるかを線引きする条文だ。清算人が二人以上いれば業務は過半数決定。そのうえで支配人の選任解任、従たる事務所の設置移転廃止、社員総会・総代会の招集事項、内部統制体制の整備、この四つは各清算人への丸投げが法律上禁じられる。さらに会社法の忠実義務、競業・利益相反取引の制限、報告義務、報酬規制、そして差止請求権が丸ごと持ち込まれる。ここであなたが押さえるべきは差止めの読替えだ。株主なら「著しい損害」で足りるところ、社員は「回復することができない損害」でなければ動かせない。あなたの監督権は、清算局面で一段引き上げられた壁の向こうにある。
法的な位置づけ
保険業法180条の8は、清算人会を設置しない清算相互会社における清算人の業務執行権限と意思決定方法を定める規定である。清算人が複数の場合の過半数決定原則、各清算人へ委任できない四つの重要事項、および会社法の忠実義務・競業利益相反取引の制限・報告義務・報酬等・差止請求に関する規定の準用を内容とする。
よくある質問 AI による整理
Q1清算相互会社とは何ですか?
解散して清算手続に入った相互会社のことです。株主ではなく保険契約者が社員(出資者)にあたり、業務執行は取締役から清算人へ移ります。保険業法180条の8以下が清算人の権限を規律します。
Q2清算人に委任できない事項は何ですか?
支配人の選任解任、従たる事務所の設置移転廃止、社員総会・総代会の招集事項、業務適正確保体制の整備の四つです(180条の8第3項)。各清算人への委任が法律上禁止されています。
Q3清算人の決定はどうやって行いますか?
清算人が二人以上いる場合、定款に別段の定めがなければ清算人の過半数で決定します(180条の8第2項)。清算人会を設置している相互会社は本条の対象外です。
Q4清算人の行為を差し止められますか?
社員である者は会社法360条1項の準用により差止請求ができます。ただし要件は「回復することができない損害」に加重され、行為の実行前に限られます。
Q5清算人の報酬は誰が決めるのですか?
会社法361条1項・4項の準用により、定款または社員総会の決議で定めます。ただし内閣総理大臣が選任した清算人にはこの準用が除外されます。
Q6清算人は競業取引をしてもいいですか?
会社法356条の準用により、競業取引・利益相反取引には事前の承認手続が必要です。手続を欠けば清算人の任務懈怠責任が問われます。
Q7清算人は監査役に報告する義務がありますか?
会社法357条1項・2項の準用により、清算相互会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは直ちに監査役へ報告する義務を負います。
Q8内閣総理大臣が清算人を選任することはありますか?
保険業法174条1項・4項・9項により選任される場合があります。この清算人については会社法361条(報酬等)の準用が除外されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの保険、証券に相互会社って書いてあるんですけど、株式会社と何が違うんですか?
株主がいない点が決定的です。出資者にあたるのが保険契約者で、法律上は社員と呼ばれます。清算段階でも社員は会社法360条1項の準用(保険業法180条の8第4項)で清算人の違法行為を差し止められます。実務のポイント:ただし読替えで要件が「著しい損害」から「回復することができない損害」へ引き上げられています。相互会社だから権利が強いと思い込んで動くと、入口で弾かれる。
Q2清算人が二人いて意見が割れたら、会社はどうなるんですか?
定款に別段の定めがなければ過半数で決めます(180条の8第2項)。二人で割れれば決定できず、業務が止まります。だから実務では清算人を奇数にするか、定款で決定方法を先に定めておきます。実務のポイント:3項の四項目、支配人の選解任、従たる事務所の設置移転廃止、社員総会の招集事項、内部統制体制の整備は各清算人への委任が禁止されています。膠着を「一人に任せる」で回避する道は法律上ふさがれている。
Q3清算人が自分の関係会社に会社の不動産を売るのは、違法じゃないんですか?
直ちに違法ではありませんが、会社法356条1項2号の利益相反取引として準用され(180条の8第4項)、事前の承認手続が必要です。手続を欠けば清算人の任務懈怠責任が問われます。実務のポイント:清算局面の資産処分は買い手が限られるほど価格の妥当性を検証しにくい。承認の記録に鑑定評価や複数見積りが残っているかが、後の責任追及で真っ先に見られる箇所です。
Q4内閣総理大臣が選んだ清算人って、普通の清算人と何が違うんですか?
保険業法174条1項・4項・9項により内閣総理大臣が清算人を選任する場合があり、その清算人には会社法361条(報酬等)の準用が除外されています(180条の8第4項の括弧書)。報酬は社員総会の決議によらず、別の仕組みで定まります。実務のポイント:この除外は、行政が選んだ清算人の報酬を会社側の意思決定に握らせないための設計です。清算人の独立性がどこから来ているかを読み解く手がかりになる。
間違えやすい点 AI による整理
- 過半数決定というルールを知っている人でも、3項の重みを取り違えている。委任禁止の四項目は「できれば全員で決めよう」という努力目標ではなく、各清算人への委任そのものを法が禁じた事項である。委任に基づいて一人が下した決定の対外的効力は取引の相手方保護との関係で実務上解釈が分かれるが、少なくとも清算人個人の任務懈怠責任は残る。デッドロック回避のつもりの「一人に任せる運用」が、そのまま責任の火種になる。
- 「清算に入ったのだから会社はもう何もしない、監督する意味がない」という問いの立て方自体がずれている。清算段階こそ、残った資産をいくらで換価し誰に配るかという、最も金額の動く局面だ。180条の8がわざわざ忠実義務と利益相反規制を持ち込んでいるのは、この局面で私腹を肥やす余地が最大化するからである。
- 社員から見れば「契約者なのだから会社の暴走を止められて当然」だが、法律から見れば社員は、六箇月前から引き続き社員であり、かつ回復することができない損害が生じるおそれを示して初めて口を出せる立場だ。この落差を知らずに書面を送ると、中身を読まれる前に入口で弾かれる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用対象 | 保険業法180条の8:清算相互会社(清算人会非設置)の清算人 | 保険業法174条:内閣総理大臣による清算人選任の場面 会社法482条:清算株式会社の清算人 |
| 意思決定方法 | 清算人二人以上なら過半数(定款に別段の定めがあればそれによる) | 選任自体は行政処分、以後の業務決定は本条に従う 清算人二人以上なら過半数(会社法482条2項) |
| 委任禁止事項 | 支配人の選解任・従たる事務所・社員総会(総代会)招集事項・体制整備の四つ | 規定なし(選任根拠規定) 支配人の選解任・支店の設置移転廃止・株主総会招集事項・体制整備の四つ |
| 差止請求の要件 | 社員である者/回復することができない損害(会社法360条1項の読替準用) | — 株主/著しい損害(監査役設置会社等の場合) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では相互保険組織の規律が保險法に置かれ、清算人の職務権限は公司法の清算人規定を準用する構造。日本の180条の8のような委任禁止事項の明文列挙はない
韓国も相互会社の清算について商法の清算人規定を準用する構造を採る。日本法の影響が強く、業務決定の方法も類似する
ドイツの相互保険組合は日本の相互会社の母法にあたる制度。清算局面では株式法の清算人(Abwickler)規定が準用され、監督官庁 BaFin の関与が強い点が日本の金融庁に対応する
米国では保険会社の清算は州保険庁長官を receiver とする管理型清算が中心で、会社法の清算人規定を準用する日本型とは構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 加入していた生命保険の相互会社が解散し、清算手続に入ったという通知が届いたら、あなたに何ができる? 清算人が主要資産を不当に安く処分しようとしている場面なら、180条の8第4項が準用する会社法360条1項で差止めを請求できる。ただし「回復することができない損害」の疎明が要る。売却契約が締結された後では、差止めの対象そのものが消えている。
- あなたが清算人に就任した。清算人は二人、もう一人が独断で従たる事務所を廃止する手続を進めていた。3項2号により、これは各清算人に委任できない事項である。過半数の決定を欠いたまま執行すれば、あなた自身も監視を怠った側として任務懈怠を問われる立場に回る。
- 清算人が自分の親族の会社に、清算相互会社の不動産を売る。会社法356条1項2号の利益相反取引が準用される場面だ。承認手続を飛ばせば、その取引は後から丸ごと蒸し返される。
- 監査役として清算相互会社に残ったあなたのもとに、清算人から何の報告も上がってこない。会社法357条1項の準用で、清算人は会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したら直ちに監査役へ報告する義務を負う。読替えにより報告先はあなた一人だ。損害が現実化してから気付けば、監視義務違反の矢印はあなたにも向かう。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 会社が相互会社か株式会社かを登記事項証明書で確認し、清算人の氏名・人数・清算人会設置の有無まで押さえる。2. 自分の社員資格が六箇月以上継続しているかを確認、これが会社法360条1項準用の入口要件。3. 問題の行為が「回復することができない損害」を生むことを、資産の代替不能性や換価機会の一回性といった具体的事実で示す資料を揃える。4. 契約が締結される前に差止めの仮処分を検討、実行された後は清算人個人への責任追及に切り替える。
訴えられた側:1. 清算人が二人以上なら、業務決定の過半数を議事録で必ず残す。定款に別段の定めがあるならその条項も併記。2. 3項の四項目は各清算人に委任できない、単独決裁の慣行があれば直ちに止める。3. 自分や親族・関係会社との取引は会社法356条準用の承認手続を先に通し、鑑定評価や複数見積りの記録を残す。4. 報酬は定款または社員総会決議の根拠を就任時点で確保する。5. 内閣総理大臣が選任した清算人であれば、報酬規定の準用対象外である点を確認する。
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はない。実務上最も厳しいのは差止請求で、清算人が当該行為を実行する前でなければ行使できないという事実上の期限が働く。清算人の任務懈怠に基づく損害賠償請求権については、一般の消滅時効(民法166条1項、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が基準となる(最新の改正状況をご確認ください)。
改正沿革 AI による整理
- 平成17年(2005年)会社法制定に伴う整備 会社法の制定に合わせて相互会社の清算に関する規定が再編され、清算株式会社に関する会社法482条に対応する条文として置かれた。従前の商法を準用する構造から、会社法を準用する構造へ切り替わっている
- 令和元年(2019年)会社法改正に伴う整備 会社法361条1項の報酬等に関する規定が拡充されたことを受け、準用範囲を「第3号から第5号までを除く」と限定し、第6号についての読替えを追加した
- 保険業法 第174条内閣総理大臣による清算人の選任
- 保険業法 第180条の9清算相互会社の代表に関する規律
- 保険業法 第41条社員総会の招集事項の準用元
- 保険業法 第49条総代会の招集事項の準用元
- 保険業法 第30条の10監査役会設置会社の定義規定
- 会社法 第482条清算株式会社に関する対応規定
- 会社法 第356条競業・利益相反取引制限の準用元
- 会社法 第360条差止請求の準用元、要件が加重
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