個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。
要点個人情報保護法 19 条は、違法又は不当な行為を助長・誘発するおそれがある方法での個人情報の利用を禁じる。本人の同意や利用目的の範囲内であっても適用される絶対的な制限である。
Q · 本人の同意さえもらえば、集めた個人情報はどう使ってもいいの?
同意があっても、不当な利用は禁止されます
個人情報保護法 19 条により、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法での個人情報の利用は禁止されます。取得が適法で(20 条)、利用目的の範囲内で(18 条)、本人の同意があっても、この禁止は突き抜けて働きます。差別的取扱いや私的制裁、違法行為を誘発するおそれのある利用が典型例で、違反すれば個人情報保護委員会の勧告・命令(148 条)の対象になります。
破産者マップという事件を覚えているだろうか。官報に載った破産者の情報を地図上に貼り付けて公開したサイトだ。情報源は公開情報、取得は合法、利用目的も明示していた。それでも社会は「これは許されない」と感じた。だが 2020 年改正前の個人情報保護法には、それを止める条文がなかった。取得の適正さと利用目的の範囲さえ守れば、あとは自由だったからだ。19 条はその穴を塞いだ。違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法での利用は、たとえ本人の同意があっても、利用目的の範囲内であっても禁止される。あなたが押さえるべきは「不当」の一語だ。違法でなくてもいい。社会通念上適正とは認められない行為を誘発するおそれがあれば足りる。この一語が、あなたの会社のデータ利活用企画を、法務が止められる根拠になっている。
個人情報保護法 19 条は不適正利用の禁止を定める規定であり、個人情報取扱事業者に対し、違法又は不当な行為を助長し又は誘発するおそれがある方法での個人情報の利用を禁ずる。取得の適正さ(20 条)や利用目的(18 条)の形式審査を通過した利用であっても、その方法が社会通念上不適正であれば本条により違法となる。
個人情報保護法 19 条が定める規定で、違法又は不当な行為を助長・誘発するおそれのある方法での個人情報の利用を禁じます。取得や利用目的が適法でも別途判断されます。
直ちに違法とはいえないが、社会通念上適正とは認められない行為を指します。違法でなくても、差別や私的制裁を誘発するおそれがあれば本条に触れます。
直罰はなく、報告徴収(146 条)・勧告・命令(148 条)の段階を踏みます。命令違反で 178 条の刑事罰、法人には 184 条で最大 1 億円の罰金があります。
官報の破産者情報を地図上に集約公開した事件で、公開情報でも集約と公開の方法が私的制裁を誘発するおそれがあるとされ、19 条新設の契機になりました。
公開情報の収集自体は合法でも、収集した情報で差別的取扱いを誘発するおそれがあれば 19 条に触れうると、ガイドライン通則編が事例として挙げています。
できます。19 条違反の利用については 35 条 5 項が利用停止・消去の請求事由を明文で認めており、事業者が応じなければ委員会に申出できます。
同じ内容です。令和 2 年改正で 16 条の 2 として新設され、令和 3 年の法統合で 19 条に繰り下がりました。文言は変わっていません。
なりません、とは限りません。19 条は提供の有無でなく利用の方法を見るため、自社内完結の分析でも差別的取扱いを誘発するおそれがあれば適用されます。
19 条は取得の適法性を問わない条文だからだ。官報の破産者情報も、SNS の投稿も、一つ一つは誰でも見られる。だが集約して検索可能にした瞬間、私的制裁や差別的取扱いを誘発するおそれが生まれる。20 条(適正取得)をクリアしても 19 条は別に判断される。業界裏話ヒント:弁護士が最初に確認するのは取得経路ではなく「その形にまとめた結果、誰がどんな行動に出るか」だ。委員会もそこを見る
大丈夫ではない。同意は利用目的の変更(18 条)や第三者提供(27 条)を適法化する装置であって、19 条の不適正利用は同意で解除できない。同意書をどれだけ精緻に作っても、この条文は残る。業界裏話ヒント:法務レビューで「同意取得済みです」と答えた瞬間、相手が 19 条を知っている弁護士なら論点がずれたと判断する。答えるべきは「その利用で誰が不利益を受けるか」であって、同意の有無ではない
されない。19 条違反に直罰規定はなく、個人情報保護委員会の報告徴収(146 条)、指導助言(147 条)、勧告・命令(148 条)という段階を踏む。刑事罰は命令に違反した場合の 178 条だ。業界裏話ヒント:実務上の致命傷は刑事罰ではなく、148 条の勧告・命令が公表されることだ。企業名が委員会サイトに載れば、取引先の与信審査と上場審査に直撃する。刑事罰の話をする前に、公表を止める交渉をする
令和 2 年(2020 年)改正で新設され、令和 4 年(2022 年)4 月 1 日に施行された。当初は 16 条の 2 という番号で、令和 3 年(2021 年)のデジタル社会形成整備法による法統合で 19 条に繰り下がった。業界裏話ヒント:2021 年以前に書かれた社内規程やチェックリストは、条番号がずれている。「16 条の 2」で検索して残っていたら、法統合後の条番号体系で全面的に見直すべき合図だ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規制の対象局面 | 19 条:利用の方法(部屋の中で何をするか) | — |
| 同意で解除できるか | できない(同意を突き抜ける絶対的制限) | — |
| 判断基準 | 違法又は不当な行為を助長・誘発するおそれ | — |
| 違反時の帰結 | 勧告・命令(148 条)、命令違反で刑事罰(178 条) | — |
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