人事訴訟法 第23条(検察官の関与)
クイックジャンプ
- 人事訴訟においては、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、必要があると認めるときは、検察官を期日に立ち会わせて事件につき意見を述べさせることができる。
- 2.検察官は、前項の規定により期日に立ち会う場合には、事実を主張し、又は証拠の申出をすることができる。
この条文の基本情報
検察官の関与とは何ですか?
定義検察官の関与とは、人事訴訟法第23条に定められた規定で、「人事訴訟においては、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、必要があると認めるときは、検察官を期日に立ち会わせて事件につき意見を述べさせることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第23条(検察官の関与)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第23条の条文原文は「人事訴訟においては、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、必要があると認めるときは、検察官を期日に立ち会わせて事件につき意見を述べさせることができる。」で始まります。
- 人事訴訟法第23条は第一章 総則に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第23条の前の条は人事訴訟法第22条です。
- 人事訴訟法第23条の次の条は人事訴訟法第24条です。
- 人事訴訟法第23条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第23条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第23条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/23
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法23条は、裁判所が必要と認めるとき検察官を期日に立ち会わせ意見を述べさせることができ、立ち会う検察官は事実の主張と証拠の申出ができると定める。
Q · 離婚や婚姻無効の裁判に検察官が来ることがあるのはなぜ?
裁判所が必要と認めた場合のみで、刑事の嫌疑とは無関係です
人事訴訟法23条により、裁判所は必要と認めるとき、検察官を人事訴訟の期日に立ち会わせて意見を述べさせることができます。立ち会う検察官は事実の主張や証拠の申出もできます(同条2項)。身分関係の確定判決は第三者にも効力が及ぶため(同法24条)、当事者の合意だけで戸籍が書き換わらないよう、公益の代表者(検察庁法4条)が関与する仕組みです。立会いは裁判所の職権事項で、当事者に申立権はありません。
解説
検察官が民事の法廷に座る場面がある、と聞いて意外に思うならそれが正常な反応だ。人事訴訟、つまり離婚・婚姻無効・親子関係不存在確認・認知・養子縁組無効といった身分をめぐる裁判では、裁判所は必要と認めれば検察官を期日に立ち会わせ、事件について意見を述べさせることができる(1項)。しかもこの検察官は傍聴人ではない。事実を主張し、証拠の申出までできる(2項)。あなたと相手方が「その通りです」と口を揃えた事実に対して、第三の声が「違う」と主張できる構造になっている。理由は単純だ。身分関係の確定判決は当事者だけでなく第三者にも効力が及ぶ(同法24条)。あなたの戸籍が書き換われば、相続人の範囲も在留資格の前提も動く。だから人事訴訟では当事者の自白が裁判所を縛らず(同法19条)、裁判所は主張されていない事実まで斟酌できる(同法20条)。検察官の関与は、その公益フィルターの最後の一枚だ。
法的な位置づけ
人事訴訟法23条は、人事訴訟における検察官の関与を定める規定であり、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官が必要と認めるときに、検察官を期日に立ち会わせて事件につき意見を述べさせる権限を付与し、立ち会う検察官に事実の主張及び証拠の申出の権能を認める。身分関係の確定判決が第三者にも効力を及ぼすことを背景とする公益的関与の制度である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.呼出状の根拠条文を確認する 期日呼出状や裁判所からの通知に「検察官」の記載があれば、23条の立会い(関与者)か12条3項の被告(当事者)かを最初に確認する。刑事事件の嫌疑と混同しない
- 2.客観資料を揃える 当事者の供述ではなく記録が問われる前提で、住民票の異動歴、戸籍謄本、送金・家計の記録、渡航記録、写真の撮影日時データなどを集める。親子関係事件ではDNA鑑定の要否も検討する
- 3.時系列表を1枚にまとめる 出会い・同居・別居・届出などの出来事を日付順に並べ、各項目に裏付け資料の番号を対応させる。検察官の事実主張に即座に照合できる形にする
- 4.検察官の主張に備えて反論書面を準備する 検察官から事実主張や証拠申出が出ることを前提に、反論の柱と裏付け書類を期日前に確定させ、弁護士と準備書面の方針を詰める
よくある質問 AI による整理
Q1人事訴訟とは何ですか?
離婚、婚姻の無効・取消し、嫡出否認、認知、親子関係の存否確認、養子縁組の無効など、身分関係の形成や存否の確認を目的とする訴えです(人事訴訟法2条)。
Q2人事訴訟で検察官が立ち会うのはどんなとき?
裁判所又は受命・受託裁判官が「必要があると認めるとき」です(人事訴訟法23条1項)。当事者の主張だけでは真実に届かないおそれがある事案で職権により決められます。
Q3検察官の立会いを当事者から申し立てられる?
申立権はありません。立会いは裁判所の職権事項です。ただし、立会いの必要性を指摘する上申書を提出して職権発動を促すことは実務上考えられます。
Q4立ち会った検察官は何ができる?
事件について意見を述べるほか、事実を主張し、証拠の申出をすることができます(人事訴訟法23条2項)。傍聴人とは違い、審理の中身に踏み込める立場です。
Q5人事訴訟で検察官が被告になるのはどんな場合?
被告とすべき者が死亡しているなど被告とすべき者がいない場合です(人事訴訟法12条3項)。この場合の検察官は当事者で、23条の立会いとは別の制度です。
Q6人事訴訟の判決は第三者にも効力がある?
あります。人事訴訟の確定判決は原則として第三者に対しても効力を有します(人事訴訟法24条1項)。この対世効が検察官関与の根拠の一つです。
Q7人事訴訟の判決が確定したら戸籍はどうなる?
判決の内容に応じて戸籍の届出や訂正申請が必要です。たとえば確定判決による戸籍訂正は、確定日から1か月以内に申請する義務があります(戸籍法116条)。
Q8人事訴訟はどこの裁判所で行う?
家庭裁判所です(人事訴訟法4条)。平成16年(2004年)の人事訴訟法施行により、地方裁判所から家庭裁判所に移管されました。
この条文についての質問 AI による整理
Q1期日に検察官が来るって連絡が来たんですけど、私、何か罪に問われるんですか?
人事訴訟法23条の立会いは、検察庁法4条にいう公益の代表者としての民事関与で、捜査や起訴とは別軌道です。立会いだけで犯罪の嫌疑が認定されるわけではありません。ただし検察官は事実を主張し証拠の申出ができる立場です(同条2項)。実務のポイント:実務上この立会いは極めて稀。だからこそ発動した事案は、裁判所が当事者の言い分だけでは真実に届かないと判断したシグナルと読める。弁論の重点を供述から客観資料へ切り替えるのがこのタイミングだ
Q2相手も無効だと認めているので、すぐ判決が出ますよね?
出ないことがあります。人事訴訟では自白の拘束力が排除され(同法19条)、裁判所は当事者が主張しない事実も斟酌して職権で証拠調べができます(同法20条)。確定判決の効力が第三者にも及ぶため(同法24条)、二人の合意だけでは足りません。実務のポイント:当事者双方が同じ結論を望む事件ほど、裁判所は馴れ合い訴訟を警戒する。主張が一致しているときは、それを喜ぶのではなく、第三者が見て納得する裏付けを先に積む
間違えやすい点 AI による整理
- 「検察官が出てくるなら刑事事件になったということか」と問う人がいるが、問いの立て方そのものが誤っている。人事訴訟の検察官は、検察庁法4条にいう公益の代表者として民事の期日に立ち会う。捜査や起訴とは別軌道で、立会い自体が犯罪の嫌疑を意味するわけではない。もっとも偽装婚姻のように刑事の構成要件と重なる事案では両方が動く余地はある、そこは冷静に切り分けて考えること。
- 23条で検察官が「被告」になると思い込むと、書面の宛先から間違える。被告とすべき者が死亡している等で検察官が被告となるのは同法12条3項の場面。23条の検察官は当事者ではなく、期日に立ち会って意見を述べ、事実を主張し証拠を申し出る関与者だ。訴状の被告欄に書く相手か否かで、手続の入口が全く違う。
- あなたから見れば人事訴訟は夫婦二人、親子二人の私的な決着だ。法律から見れば、戸籍という公簿を書き換え、相続人の範囲や在留の前提まで動かす公的手続である。この落差を知らずに「相手も同意しているから形式だけ」と構えると、職権探知と検察官関与が発動した瞬間、準備不足がそのまま敗訴理由に変わる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 検察官・関与者の立場 | 人訴23条:期日に立ち会う公益的関与者(当事者ではない) | 人訴12条3項:被告とすべき者がいない場合の被告(当事者) 人訴9条:参与員(民間の良識を反映する関与者) |
| 関与の発動 | 裁判所が必要と認めるとき(職権) | 法律上当然(被告とすべき者の不存在) 裁判所が必要と認めるとき |
| できること | 意見陳述、事実の主張、証拠の申出 | 当事者として訴訟行為全般 審理・和解の試みへの立会い、意見陳述 |
| 制度の狙い | 対世効のある判決に公益の視点を入れる | 相手方不在でも身分関係を確定できるようにする 家族関係の判断に社会常識を反映する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は家事事件の審理で裁判所による職権の事実斟酌・証拠調べを認める。日本の23条のような検察官の期日立会いに直接対応する規定ではなく、公益確保の手段が職権探知側に寄っている点が異なる。
韓国も家事訴訟で職権調査を定め、当事者の主張に拘束されない審理を認める。身分関係の公益性を重視する発想は日本と共通する。
ドイツは婚姻事件で職権探知を定め、婚姻取消しでは行政庁の関与を認める。公益の担い手が検察官ではなく行政庁である点が日本と異なる。
フランスは ministère public が partie jointe として民事事件に関与でき、親子関係事件などは通知が義務とされる。日本の23条より関与が制度的に広い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、当事者二人が口裏を合わせて婚姻無効の判決を取りにきたら、裁判所は止められるのか? 止められる。裁判所は検察官を期日に立ち会わせ、意見を述べさせ、反対の事実を主張させることができる。当事者が揃って認めた事実が、そのまま判決の土台になるとは限らない。
- あなたが人事訴訟の被告で、原告の言い分を全部認めて早く終わらせたいと考えている。その期日に検察官が座っていたら、話は変わる。あなたの「認めます」は、裁判所を拘束しない(同法19条)。
- 国際結婚の在留資格が絡む婚姻無効事件で、裁判所が検察官の立会いを決めた。次の期日まで3週間、あなたが用意すべきは共同生活の実体を示す客観資料(住民票の異動歴、家計の入出金、渡航記録、写真の撮影日時データ)だ。検察官は事実を主張し証拠の申出ができる立場で入ってくる。あなたの説明ではなく、記録が問われる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手が争わない事案でも、客観資料(住民票の異動歴、送金記録、渡航記録、写真の撮影日時データ、必要ならDNA鑑定)を第1回期日までに揃える。自白は裁判所を拘束しない(同法19条) 2. 第三者として対世効(同法24条)を受ける立場なら、共同訴訟参加や独立当事者参加の可否を先に検討し、困難なら裁判所へ職権発動を促す上申書を出す3. 検察官が立ち会う期日では供述より記録が問われる。時系列表を1枚作って持参する
訴えられた側:1. 「全部認めて早く終わらせる」は人事訴訟では機能しない。自白の拘束力は排除され(同法19条)、裁判所は主張されない事実も斟酌できる(同法20条) 2. 立会いが決まっても刑事の嫌疑と混同して黙り込むのは最悪手。検察庁法4条の公益代表としての関与であり、あなたの説明機会が減るわけではない3. 検察官側から事実主張と証拠申出が出る前提で、反論の柱と裏付け書類を期日前に確定させる
時効(請求できる期限):23条自体に期間の定めはない。立会いは裁判所の職権事項で当事者に申立権はなく、期限管理の対象は本体の訴えの側にある。例:婚姻の取消しは詐欺を発見し又は強迫を免れた後3か月(民法747条2項)、認知の訴えは父又は母の死亡の日から3年(民法787条)、嫡出否認の訴えは令和4年(2022年)改正で原則3年(民法777条、2024年4月1日施行。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:人事訴訟の確定判決は対世効を有し、身分関係は公益にかかわるため、当事者の処分に委ねきれない。23条の検察官関与は、19条・20条の職権探知とともに、判決の真実性を担保する公益的装置と理解される。
実務上の理解:立会いは裁判所の裁量に委ねられ、実際に発動される例は多くないとされる。発動された場合、当事者の供述よりも客観資料による立証が重視される局面と受け止められる。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定、平成16年(2004年)4月1日施行 人事訴訟法(平成15年法律第109号)の制定により新設。旧人事訴訟手続法(明治31年法律第13号)を全面的に置き換え、検察官の公益的関与を現代語で整備した。制定後の改正沿革(民事手続のIT化関連改正等が本条に及んでいるか)は人的検証が必要
改正の年表
- 1.明治31年(1898年) 新設:人事訴訟手続法(明治31年法律第13号)の制定により、人事訴訟における検察官の関与が制度化された。
- 2.平成15年(2003年) 新設:人事訴訟法(平成15年法律第109号)の制定により旧人事訴訟手続法を全面的に置き換え、検察官の立会い・意見陳述・事実主張・証拠申出を本条に整備。平成16年(2004年)4月1日施行。
- 人事訴訟法 第9条参与員の立会い、民間良識の反映装置
- 人事訴訟法 第12条被告とすべき者がない場合は検察官が被告
- 人事訴訟法 第19条自白の拘束力等の排除、職権探知の前提
- 人事訴訟法 第20条職権による事実の斟酌と証拠調べ
- 人事訴訟法 第24条確定判決の対世効、公益関与の根拠
- 検察庁法 第4条検察官の公益代表者としての権限
- 民事訴訟法 第179条自白は証明不要の一般原則、19条が排除
- 戸籍法 第116条確定判決による戸籍訂正の申請義務
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める