人事訴訟法 第12条(被告適格)
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- 人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者の一方が提起するものにおいては、特別の定めがある場合を除き、他の一方を被告とする。
- 2.人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者以外の者が提起するものにおいては、特別の定めがある場合を除き、当該身分関係の当事者の双方を被告とし、その一方が死亡した後は、他の一方を被告とする。
- 3.前二項の規定により当該訴えの被告とすべき者が死亡し、被告とすべき者がないときは、検察官を被告とする。
この条文の基本情報
被告適格とは何ですか?
定義被告適格とは、人事訴訟法第12条に定められた規定で、「人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者の一方が提起するものにおいては、特別の定めがある場合を除き、他の一方を被告とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第12条(被告適格)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第12条の条文原文は「人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者の一方が提起するものにおいては、特別の定めがある場合を除き、他の一方を被告とする。」で始まります。
- 人事訴訟法第12条は第三節 当事者に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第12条の前の条は人事訴訟法第11条です。
- 人事訴訟法第12条の次の条は人事訴訟法第13条です。
- 人事訴訟法第12条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第12条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第12条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法12条は身分関係訴訟の被告を法定する。当事者の一方が訴えるなら他方、第三者が訴えるなら双方、被告とすべき者が全員死亡なら検察官を被告とする。
Q · 離婚や婚姻無効の裁判って、誰を訴えればいいの?
法律が被告を固定しており、原告は自由に選べない
人事訴訟法12条により、身分関係の当事者の一方が訴える場合(例:夫が妻に離婚を求める)は他の一方が被告です。第三者が訴える場合(例:相続人が亡父の婚姻無効を求める)は当事者の双方が被告で、一方が死亡していれば生存者のみが被告となります。被告とすべき者が全員死亡している場合は検察官を被告とします。被告を誤ると、主張の中身を審理されないまま訴えが却下されます。
解説
離婚したい、婚姻を無効にしたい、親子関係を否定したい。そう思ったとき最初にぶつかる壁は「誰を相手に訴えるのか」である。普通の民事訴訟なら、自分に損をさせた人を訴えればいい。しかし身分関係の訴訟は違う。人事訴訟法12条は、被告にできる人を法律の側があらかじめ固定している。配偶者を訴えるなら相手方配偶者、第三者が婚姻無効を訴えるなら夫と妻の双方、そして相手が全員死んでいるなら検察官である。ここであなたが知っておくべき恐ろしさは、被告を間違えると中身の主張がどれだけ正しくても訴えが却下されるという点だ。不倫の証拠を何年分集めても、被告適格を外した瞬間、裁判所は中身を一行も読まない。身分関係は当事者だけの私事ではなく戸籍という公的記録に直結するため、法律は「誰と誰の間で決着をつけるか」を当事者の選択に委ねていない。この一条を知っている人は、訴状の表紙で躓かない。
法的な位置づけ
人事訴訟法12条は、人事に関する訴えにおける被告適格を定める規定である。身分関係の当事者の一方が提起する場合は他の一方、当事者以外の者が提起する場合は当事者の双方(一方死亡後は他の一方)を被告とし、被告とすべき者が存在しないときは検察官を被告とする。特別の定めがある場合はそれに従う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.争う身分関係の類型を特定する 離婚、婚姻無効、婚姻取消し、親子関係不存在確認、認知など、どの人事訴訟に当たるかを確定する。類型ごとに特別の定めの有無が異なり、被告構成が変わる
- 2.原告の立場を確認する 自分が身分関係の当事者本人か、当事者以外の第三者かを確認する。当事者本人なら他の一方のみ、第三者なら当事者の双方を被告とするのが原則
- 3.相手方の戸籍・生死を確認する 身分関係の当事者の戸籍謄本・除籍謄本・戸籍の附票を取得し、生死と現住所を確定する。一方死亡なら生存者のみ、全員死亡なら検察官を被告とする
- 4.調停前置を確認する 離婚や婚姻無効等は、原則として訴訟の前に家庭裁判所で家事調停を申し立てる必要がある(家事事件手続法257条)。調停不成立後に訴訟へ移行する
- 5.訴状の被告欄を確定して提出する 確認した被告構成に基づき訴状を作成し、家庭裁判所に提出する。提出後も第一回口頭弁論期日前に相手方の戸籍を再確認し、死亡等の変動があれば速やかに対応する
よくある質問 AI による整理
Q1被告適格とは何ですか?
訴訟で被告として判決を受ける資格のことです。人事訴訟では人事訴訟法12条が被告となる者を法定しており、これを欠く訴えは却下されます。
Q2婚姻無効の訴えは誰が被告になりますか?
夫婦の一方が訴えるなら他方配偶者、第三者が訴えるなら夫婦双方が被告です。一方が死亡していれば生存者、双方死亡なら検察官が被告となります。
Q3親子関係不存在確認の訴え 被告は誰?
親または子が訴えるなら相手方、第三者が訴えるなら親子双方が被告です(人事訴訟法12条1項・2項)。全員死亡なら検察官が被告になります。
Q4検察官が被告になる訴訟とは?
人事に関する訴えで、被告とすべき者が全員死亡しているときに検察官が被告となります(人事訴訟法12条3項)。戸籍を正す道を残すための制度です。
Q5人事訴訟で被告を間違えたらどうなる?
被告適格を欠く訴えは訴訟要件を満たさず、本案審理に入らないまま却下されます。早期に気付けば補正や当事者の変更で対応できる場合もあります。
Q6離婚訴訟で配偶者が死亡したらどうなる?
離婚は夫婦が生存していることが前提のため、配偶者の死亡により婚姻は死亡で解消します。離婚訴訟を検察官相手に続けることはできません。
Q7人事訴訟法12条の「特別の定め」とは?
嫡出否認の訴えや認知の訴えなど、民法や人事訴訟法の別の条文が被告を個別に定めている類型を指します。その場合は個別規定が優先します。
Q8人事訴訟はどこの裁判所に提起する?
家庭裁判所です。管轄は人事訴訟法4条が定め、原則として当事者の住所地を基準とします。離婚等は訴え提起前に家事調停を経る必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1離婚したいんですけど、不倫相手も一緒に訴えられますか?
離婚の訴えの被告は配偶者本人のみである(人事訴訟法12条1項)。不倫相手への請求は民法709条の損害賠償であり、人事訴訟法17条により離婚訴訟に併合できる場合もあるが、被告の立場は全く別である。実務のポイント:不倫相手への慰謝料請求を先に起こすと、配偶者に離婚の意思と証拠の手札が丸見えになる。順番次第で財産分与の交渉力が変わるため、弁護士はどちらを先に出すかを必ず検討する
Q2相手が亡くなっていたら、もう戸籍は直せないんですか?
直せる。被告とすべき者が死亡して誰もいない場合、検察官を被告として訴えを提起する(人事訴訟法12条3項)。検察官は個人的利害を持たず、手続の相手方として立つだけである。実務のポイント:検察官相手の訴訟は対立が薄い反面、裁判所が証拠を厳しく見る傾向がある。争う相手がいないから通りやすいと考えると足元をすくわれるので、書証の準備は通常事案より厚くする
Q3被告を間違えたら、訴え直せばいいだけでは?
訴え直しは可能だが、無条件ではない。被告の変更は任意的当事者変更や訴えの追加的変更の可否という難しい問題になり、認められなければ新たに訴訟を起こし直すことになる。その間に印紙代と時間が失われる。実務のポイント:第一回口頭弁論期日前に気付けば補正で収まることが多い。訴状を出した直後に相手方の戸籍を再確認する習慣がある弁護士とない弁護士で、依頼者の負担が数か月違う
間違えやすい点 AI による整理
- 「不倫された側だから、不倫相手を訴えて離婚できる」と考える人が多いが、そもそも問いの立て方が誤っている。離婚の訴えの被告は配偶者本人であり、不倫相手は身分関係の当事者ではない。不倫相手に請求できるのは慰謝料という金銭のみで、婚姻を解消する力は一切持たない。二つの請求は相手も裁判所の扱いも別物である
- 被告適格の話は形式的な手続の問題にすぎないと軽く見られているが、深刻さの度合いが理解されていない。被告適格を欠く訴えは訴訟要件を満たさず、本案審理に入らないまま却下される。数年分の証拠も、支払った着手金も、費やした精神力も、中身を判断されないまま終わる。形式の失敗は実質の敗訴より回復が難しい場合がある
- 「相手が死んだら訴訟はできない」と思われがちだが、12条3項は逆を定める。被告とすべき者が誰もいなくなったとき、検察官が被告になる。戸籍上の身分関係は当事者が消えても残り続けるため、これを正す通路を法律が用意している
- 自分から見れば「夫婦二人の問題」でも、法律から見れば戸籍という公的記録の訂正手続である。この落差が当事者を苦しめる。だからこそ被告を選ぶ自由がなく、和解で自由に内容を決められる範囲も限られる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 人訴12条:誰を被告とするか(被告適格) | 人訴24条:確定判決の効力が誰に及ぶか(対世効) 人訴17条:関連する損害賠償請求を併合できるか |
| 当事者の選択の自由 | なし。身分関係の構成に応じて法定 | なし。第三者にも効力が及ぶ あり。併合するかは原告の判断 |
| 不倫相手の位置づけ | 離婚訴訟の被告にはなれない | 身分関係の判決効を受ける立場にない 慰謝料請求の被告として併合され得る |
| 違反・誤りの効果 | 被告適格を欠けば訴え却下 | 判決が画一的に確定し争いを蒸し返せない 併合要件を欠けば分離・別訴 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も第三者が婚姻事件を提起する場合は夫婦を共同被告とし、一方死亡後は生存者を被告とする点で日本と類似する
韓国も身分関係訴訟の相手方を法定し、相手方となるべき者が死亡した場合は検察官を相手方とする仕組みを持つ
ドイツは婚姻事件で第三者や行政庁が申し立てる場合の相手方を定め、手続を FamFG に一本化している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 配偶者の不貞で離婚を決意した。訴える相手は不倫相手ではなく、配偶者本人である。不倫相手への慰謝料請求は民法709条の一般民事訴訟であり、別の手続になる。二つを混ぜた訴状を出すと、家庭裁判所で整理を求められ、最初の期日が丸ごと無駄になる
- 亡くなった父に、家族の誰も知らなかった婚姻届が出ていた。相続人であるあなたは婚姻無効を訴えたい。父はすでに死亡し、相手方の女性は生きている。この場合12条2項後段により、生存している一方だけを被告とする。双方を書くと不適法な部分が生じる
- もし被告にすべき人が全員亡くなっていたら、訴訟は起こせないのか? 起こせる。12条3項が検察官を被告に据える。相手は検察官個人ではなく国の機関であり、感情的な対立はない。それでも戸籍を正す判決を得る道は確保されている
- 調停が不成立になり、訴訟提起まであと2週間しか猶予がない状況で、被告欄に誰の名前を書くかで手が止まる。訴状の被告欄は後から補正できる場合もあるが、相手方が死亡していた事実を見落としていると、期日が何か月も空転する
- 親子関係不存在確認を、子でも親でもない伯父が訴えるとき。身分関係の当事者以外が提起する類型なので、親と子の双方を被告とする。自分が原告だから相手は一人でいいだろうという直感は、ここで完全に裏切られる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 争いたい身分関係を特定する(離婚、婚姻無効、親子関係不存在など)、それぞれ被告構成が変わる2. 自分が身分関係の当事者本人か第三者かを確認、本人なら相手方一人、第三者なら双方が原則3. 相手方の戸籍謄本・除籍謄本を取得して生死と現在の戸籍状態を確認、死亡していれば2項後段または3項へ4. 離婚・婚姻無効等は原則として家庭裁判所の調停前置(家事事件手続法257条)、いきなり訴訟は不適法として付調停になる
訴えられた側:1. 訴状を受け取ったら、まず自分が被告適格を持つ立場かを確認、外れていれば本案に入る前に主張する2. 身分関係の当事者双方が被告とされるべき事案で一方しか被告にされていない場合も同様に指摘する3. 答弁書の提出期限と第一回期日を確認、欠席すると不利益が生じる類型がある4. 身分関係訴訟は自白や擬制自白が通常訴訟と同じようには扱われない場面があるため、放置せず必ず弁護士に相談する
時効(請求できる期限):訴えの類型ごとに期間制限が異なる。嫡出否認の訴えは原則として子の出生を知った時から3年(民法777条、令和4年改正により従来の1年から延長、最新の改正状況をご確認ください)。離婚の訴えや婚姻無効の訴え自体に出訴期間の定めはないが、離婚に伴う財産分与は離婚から2年、慰謝料は損害および加害者を知った時から3年(民法724条)で消滅する
学説
通説:人事訴訟の判決は対世効を持つため、身分関係を形成する者を必ず手続に関与させる必要がある。12条2項による双方被告は固有必要的共同訴訟と解され、3項の検察官は公益の代表者として手続上の相手方に立つ。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:人事訴訟法の制定により、旧人事訴訟手続法の下で類型ごとに置かれていた被告に関する規律を、12条に一般規定として整理した。人事訴訟は家庭裁判所の管轄とされた。
- 人事訴訟法 第2条人事に関する訴えの定義、本条の適用範囲を画する
- 人事訴訟法 第4条人事訴訟の管轄、被告の住所地を基準とする接続
- 人事訴訟法 第14条検察官が被告となる場合の訴訟追行の特則
- 人事訴訟法 第24条確定判決の対世効、被告固定の理由となる効力範囲
- 人事訴訟法 第17条関連請求の併合、不貞相手への損害賠償請求の接続
- 家事事件手続法 第257条調停前置主義、訴え提起前の手続的前提
- 民法 第774条嫡出否認の訴えにおける当事者の特別の定め
- 民事訴訟法 第133条訴状の必要的記載事項、被告の特定義務(現行効力を要確認)
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