不動産登記法 第135条(筆界調査委員による事実の調査)
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- 筆界調査委員は、前条第一項の規定による指定を受けたときは、対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査をすること、筆界特定の申請人若しくは関係人又はその他の者からその知っている事実を聴取し又は資料の提出を求めることその他対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査をすることができる。
- 2.筆界調査委員は、前項の事実の調査に当たっては、筆界特定が対象土地の所有権の境界の特定を目的とするものでないことに留意しなければならない。
この条文の基本情報
筆界調査委員による事実の調査とは何ですか?
定義筆界調査委員による事実の調査とは、不動産登記法第135条に定められた規定で、「筆界調査委員は、前条第一項の規定による指定を受けたときは、対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査をすること、筆界特定の申請人若しくは関係人又はその他…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第135条(筆界調査委員による事実の調査)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第135条の条文原文は「筆界調査委員は、前条第一項の規定による指定を受けたときは、対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査をすること、筆界特定の申請人若しくは関係人又はその他…」で始まります。
- 不動産登記法第135条は第二款 筆界の調査等に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第135条の前の条は不動産登記法第134条です。
- 不動産登記法第135条の次の条は不動産登記法第136条です。
- 不動産登記法第135条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第135条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第135条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/135
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法135条は、筆界調査委員に測量・実地調査・聴取・資料提出要求の権限を与える一方、その調査は所有権の境界を決めるためのものではないと定める。
Q · 筆界特定を申請すれば、どこまでが自分の土地か決めてもらえますか?
決まるのは地番の境である筆界だけで、所有権の境界は決まりません
決まりません。不動産登記法135条1項は、筆界調査委員に測量、実地調査、関係人からの聴取、資料提出の要求という調査権限を与えますが、同条2項は、その調査が所有権の境界の特定を目的とするものでないことに留意しなければならないと定めます。筆界は明治の地租改正以来の公法上の線であり、当事者の合意や長年の占有では動きません。「どこまでが自分の所有物か」を争うのであれば、筆界特定ではなく所有権確認訴訟や取得時効(民法162条)の主張が入口になります。
解説
筆界特定を「役所が土地の境界を決めてくれる制度」と理解して申請すると、結果を受け取った日に足元が抜ける。135条1項は、法務局が指定した筆界調査委員に、測量、実地調査、関係者からの聴取、資料提出の要求という強い調査権限を与える。ところが2項が即座に釘を刺す。この調査は所有権の境界を決めるためのものではない、と。筆界とは明治の地租改正以来引き継がれてきた公法上の線であり、地番と地番の区切りである。当事者が合意しても、20年占有し続けても動かない。一方で所有権の境界は、売買、合意、時効取得で動く。あなたが隣人と争っているのが「どこまでが自分の土地か」であれば、調査委員がどれだけ丁寧に話を聴いても、その答えは出てこない。委員に向かって「30年ここを使ってきた」と訴えることは、筆界の判断材料としてはほぼ空振りである。
法的な位置づけ
不動産登記法135条は、筆界調査委員の事実調査権限を定める規定である。1項は測量、実地調査、申請人・関係人その他の者からの聴取、資料提出の要求その他筆界特定に必要な調査を行う権限を認め、2項はその調査が所有権の境界の特定を目的とするものでない旨の留意義務を課す。公法上の筆界と私法上の所有権界を峻別する構造をとる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.争いの正体が筆界か所有権界かを切り分ける 「地番の線がどこか」なら筆界特定、「どこまでが自分の物か」なら所有権確認訴訟。135条2項がある以上、入口を間違えると時間と費用を失って振り出しに戻る。公図と現況(塀・通路・耕作範囲)のずれがどこにあるかを図に起こして判別する
- 2.筆界の物証を時系列で整理する 旧土地台帳、地租改正期の絵図、地積測量図、境界標の写真、年代の分かる航空写真を古い順に並べる。占有の歴史を語る資料とは別ファイルにする。混ぜて出すと筆界の判断材料として届かない
- 3.136条の立会通知が届いたら必ず現地へ行く 測量および実地調査の立会いは、当事者が現地の物証を筆界調査委員へ直接示せるほぼ唯一の場面。境界標の位置、古い塀の基礎、水路の跡を現場で指差して説明する。指定された日時限りで、後日の再現はきかない
- 4.意見聴取等の期日までに意見書と資料を出し切る 139条・140条の意見聴取等の期日を過ぎてから提出した資料は、原則として筆界特定書に反映されない。期日前に、筆界の物証と自分の主張を紐づけた意見書としてまとめ、提出済みの証跡を残す
- 5.結果を受けて次の軌道を選ぶ 筆界特定の結果に不服でも、所有権は別軌道で争える。筆界そのものを争うなら筆界確定訴訟(148条により確定判決と抵触する範囲で筆界特定は効力を失う)、所有権を争うなら所有権確認訴訟。取得時効の証拠は温存しておく
よくある質問 AI による整理
Q1筆界特定とは何ですか?
法務局の登記官が、筆界調査委員の調査を経て、土地の地番と地番の区切りである筆界の現地における位置を判断する行政手続です。裁判ではないため、所有権の帰属までは決まりません。
Q2筆界と所有権界の違いは?
筆界は明治の地租改正以来引き継がれた公法上の線で、合意や占有では動きません。所有権界は売買・合意・時効取得で動く私法上の線です。両者は一致することも、ずれることもあります。
Q3筆界調査委員はどんな人ですか?
土地家屋調査士、弁護士、司法書士など筆界に関する専門的知識を持つ者から、法務局長または地方法務局長が指定します(不動産登記法134条)。事件ごとに指定される点が特徴です。
Q4測量の立会いを欠席したらどうなりますか?
手続は止まりません。立会いは136条で機会を与えられるもので、欠席しても調査は進みます。現地で物証を示す機会を失い、以後は書面での意見提出に頼ることになります。
Q5筆界特定にはどのくらい時間がかかりますか?
事案の複雑さや測量範囲によりますが、申請から筆界特定までに半年前後かかるとされます。関係人が多い場合や資料が乏しい場合はさらに長期化します。
Q6隣人が申請した筆界特定に自分も巻き込まれますか?
関係人として通知され、資料提出を求められることがあります。応じないと相手方の資料だけを材料に筆界が特定されるため、放置は不利に働きます。
Q7筆界特定を申請できるのは誰ですか?
対象土地の所有権登記名義人など、法が定める申請適格者です。相続人も申請できます。隣接地の所有者は関係人として手続に関与します。
Q8長年使ってきた土地を取り戻したいときはどの手続ですか?
筆界特定ではなく、取得時効(民法162条)を主張する所有権確認訴訟です。135条2項がある以上、占有の長さは筆界を動かす材料になりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1筆界特定の結果に納得がいかないんですが、法務局に不服申立てできますか?
原則としてできないと解されている。筆界特定は登記官による筆界の判断であって、権利義務を直接動かす行政処分ではないとされるためである。正面の道は筆界確定訴訟で、148条は判決が確定すれば抵触する範囲で筆界特定が効力を失うと定める。実務のポイント:それでも先に筆界特定を取る実務家が多いのは、特定書と図面が訴訟で強い証拠になり、相手の和解意欲を一段上げるからである。負けても捨て札にならない
Q2調査委員に「ここは昔からうちが使ってる」と言えば、考慮してもらえますか?
聴取の対象にはなる(135条1項)。ただし2項があるため、占有の事実がそのまま筆界を動かすことはない。委員が重く見るのは公図、旧土地台帳、地積測量図、境界標、古い航空写真といった、明治期以来の線を推認させる物証である。実務のポイント:占有の話は筆界の場では弱いが、後に取得時効を争うとき、調査の記録として残る価値がある。言うこと自体は無駄ではなく、言い方を変える
間違えやすい点 AI による整理
- 「境界をはっきりさせたい」という言い方そのものが、二つの別物を一語に押し込んでいる。地番と地番の区切り(筆界)と、どこまでが自分の所有物か(所有権界)は、動く条件がまったく違う。問いを分けないまま制度を選ぶと、答えが出ても自分の問題は片付かない
- あなたから見れば「祖父の代から60年うちが耕してきた土地」。筆界の枠組みから見れば「明治の地租改正時に引かれた線がどこにあったか」という、占有年数とは無関係の問いである。この落差に気付かないまま調査委員に占有の歴史を語り続けると、聴取記録だけが増えて筆界は1ミリも動かない
- 筆界特定が法務局の公式な判断であることは知られているが、その判断に対して審査請求も取消訴訟も原則としてできないと解されている点までは知られていない。行政の判断でありながら行政不服の道が開かれておらず、争うなら裁判所の筆界確定訴訟という別の入口に回ることになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律している場面 | 135条:筆界調査委員が行う事実の調査と、その目的の限界 | 136条:測量・実地調査に当事者が立ち会う機会の保障 148条:筆界確定訴訟の確定判決と筆界特定の関係 |
| 主体 | 筆界調査委員(134条により法務局長等が指定) | 筆界調査委員が通知し、申請人・関係人が立ち会う 裁判所(判決)と、既にされた筆界特定 |
| 所有権への効果 | なし。2項が所有権の境界の特定を目的としない旨を明記 | なし。立会いは手続保障であって権利判断ではない 判決と抵触する範囲で筆界特定が効力を失う |
| 当事者が動くべきタイミング | 調査の過程で物証を出す。占有の主張は筆界には効きにくい | 通知された日時限り。欠席すると現地での立証機会を失う 筆界特定の結果を見た後、訴訟提起を判断する段階 |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は地籍図重測の枠組みで界址調査を行い、地政事務所が主体となる。行政手続で界址を確定しつつ、所有権の帰属は民事訴訟に委ねる分業は日本と同型
韓国は地籍再調査事業のなかに경계결정위원회(境界決定委員会)を置き、行政的に境界を決定する。日本の筆界特定より事業型・面的に進める点が異なる
中国は登記の前提として権籍調査・地籍調査を行い、土地権属紛争は原則として行政機関による処理を先行させる。行政の関与範囲が日本より広い
ドイツは Liegenschaftskataster を基礎に、境界標設置請求権を民法典が定める。境界が不明な場合の処理(§ 920)まで実体法に置く点が日本と対照的
フランスは隣人に対する境界画定請求権を民法典が定め、géomètre-expert が実務を担う。行政手続としての筆界特定に相当する制度は置かれていない
米国は連邦統一の地籍制度を持たず、境界紛争は測量士の調査を証拠とする州裁判所の訴訟で処理される。adverse possession により所有権界が動く点は取得時効と類似
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 筆界調査委員から測量と実地調査の立会通知が届いた。指定日は9日後の平日午前。有給を使ってまで立ち会う意味はあるのか。ある。136条の立会いは、当事者が現地の物証を委員に直接示せるほぼ唯一の場面であり、ここを飛ばせば残るのは書面での意見提出だけになる。古い写真も境界標の位置も、現場で指差してこそ重みが出る
- 隣人が単独で筆界特定を申請し、あなたは関係人として通知を受けた。申請していないあなたにも、調査委員から資料の提出が求められる。無視すれば、相手の資料だけを材料に筆界が特定される
- 亡父の代から使ってきた畑の一角が、公図では隣家の地番に入っていた。取り返せると考えて筆界特定を申請したが、135条2項が立ちはだかる。占有の長さは筆界を動かす材料にならない。この場合に必要なのは筆界特定ではなく、取得時効(民法162条)を主張する所有権確認訴訟である。制度の入口を間違えると、半年と数十万円を失って振り出しに戻る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 争いの正体を先に切り分ける。地番の線(筆界)か、どこまで自分の物か(所有権界)か。後者なら筆界特定ではなく所有権確認訴訟へ2. 筆界なら、公図、旧土地台帳、地積測量図、境界標、年代入りの航空写真を時系列で整理3. 136条の立会通知が来たら必ず現地へ行き、物証は現場で示す4. 意見聴取等の期日(140条)までに意見書と資料を出し切る。期日後の追加は原則として届かない
訴えられた側:1. 申請人が誰で、対象土地と関係土地のどこが争点かを申請書の写しで確認2. 資料提出を求められたら、所有権の主張と筆界の物証を分けて出す。混ぜると委員に届かない3. 立会いと意見聴取の機会は放棄しない。不参加は、相手の資料だけで筆界が決まる状況を自分で作ることになる4. 結果が不利でも所有権は別軌道である。占有や合意の証拠は温存し、必要なら筆界確定訴訟または所有権確認訴訟へ進む
時効(請求できる期限):筆界特定の申請自体に期限はなく、本条に消滅時効の定めもない。効いてくるのは手続上の期限である。測量および実地調査の立会いは通知された日時限り(136条)、意見と資料の提出は意見聴取等の期日まで(139条、140条)。所有権を別軌道で争うなら、民法162条の取得時効(20年、善意無過失なら10年)の起算点管理が並行して必要になる
学説
通説・実務:筆界特定は登記官による筆界の位置の判断であって、権利義務を直接形成する行政処分ではないと解されており、審査請求や取消訴訟の対象にはならないとされる。筆界そのものを争う正面の道は筆界確定訴訟である。
通説:135条2項は、行政機関が終審として裁判を行えないという憲法76条2項の要請を受け、筆界特定手続が私権である所有権の帰属判断に踏み込まないことを立法段階で明示した確認規定と理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成17年(2005年)改正、平成18年(2006年)1月20日施行 不動産登記法等の一部を改正する法律により筆界特定制度が新設され、本条も同時に新設された。従来、境界の争いは裁判所の筆界確定訴訟しか道がなく時間と費用の負担が大きかったため、法務局に専門家である筆界調査委員を置く行政手続が創設された。2項は、新制度が裁判所の権限領域に踏み込まないことを立法段階で明記したものである
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:不動産登記法等の一部を改正する法律により筆界特定制度が創設され、本条も新設された。従来は裁判所の筆界確定訴訟しか道がなく時間と費用の負担が重かったため、法務局に専門家である筆界調査委員を置く行政手続が設けられた。制度の施行は平成18年(2006年)1月20日。
- 不動産登記法 第123条筆界および筆界特定の定義規定
- 不動産登記法 第134条調査権限が発生する前提となる委員の指定
- 不動産登記法 第136条測量・実地調査への当事者立会権の保障
- 不動産登記法 第143条調査結果を受けた筆界特定の判断枠組み
- 不動産登記法 第148条筆界確定訴訟の判決確定による効力喪失
- 土地家屋調査士法 第3条筆界特定手続の代理権限の根拠
- 民法 第162条所有権界が筆界からずれる主因となる取得時効
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