不動産登記法 第162条(検査の妨害等の罪)
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- 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
- 一第二十九条第二項(第十六条第二項において準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
- 二第二十九条第二項の規定による文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの提示をせず、若しくは虚偽の文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものを提示し、又は質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
- 三第百三十七条第五項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げたとき。
この条文の基本情報
検査の妨害等の罪とは何ですか?
定義検査の妨害等の罪とは、不動産登記法第162条に定められた規定で、「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第162条(検査の妨害等の罪)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第162条の条文原文は「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 不動産登記法第162条は第八章 罰則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第162条の前の条は不動産登記法第161条です。
- 不動産登記法第162条の次の条は不動産登記法第163条です。
- 不動産登記法第162条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第162条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第162条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/162
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法162条は、登記官の実地調査の検査拒否や虚偽陳述、筆界特定のための立入り拒否を三十万円以下の罰金で処罰する規定。ただし検査は日出から日没までに限られる。
Q · 登記官が土地を調べに来たとき、断ったらどうなるの?
要件を満たした検査の拒否は三十万円以下の罰金、前科も残る
不動産登記法162条により、29条2項の実地調査における検査を拒み・妨げ・忌避した場合、質問に陳述せず又は虚偽の陳述をした場合、137条5項に違反して筆界特定のための立入りを拒んだ場合は、三十万円以下の罰金に処されます。過料ではなく刑罰なので、確定すれば前科が残ります。ただし29条2項の検査は日出から日没までに限られ、137条2項の宅地等への立入りは三日前までの事前通知が必要で、正当な理由があれば拒めます。要件を欠く立入りの拒否は、そもそも本条の射程外です。
解説
登記官が巻尺と身分証を持って敷地に現れる日がある。相続で見つかった未登記の建物を表題登記したとき、隣人が筆界特定を申し立てたとき、その二つが代表例だ。不動産登記法162条は、そこであなたが「入らないでください」と言った瞬間に何が起きるかを定める。三十万円以下の罰金。過料ではなく罰金であり、確定すれば前科として残る。ただしこの条文は、あなたを丸裸にする条文ではない。29条2項の検査は日出から日没までの間に限られ、137条の立入りは事前通知を要し、正当な理由があれば拒める。つまり「拒めば罰金」ではなく「要件を満たした調査を、理由なく拒めば罰金」である。目の前の立入りが要件を満たしているかどうかを玄関先で判別できるかが、その後の五年を分ける。
法的な位置づけ
不動産登記法162条は、登記官の実地調査および筆界特定手続における立入りの実効性を刑罰で担保する罰則規定であり、同法29条2項の検査の拒否・妨害・忌避、文書等の不提示・虚偽提示、質問に対する陳述拒否・虚偽陳述、137条5項に違反する立入りの拒否・妨害を構成要件として、三十万円以下の罰金を科す。
よくある質問 AI による整理
Q1不動産登記法162条とは?
登記官の実地調査の妨害と、筆界特定のための立入り拒否を処罰する罰則規定です。三十万円以下の罰金で、過料ではなく刑罰にあたります。
Q2登記官の実地調査は何のために行われる?
申請された面積・構造・所在が現地の実態と一致するかを確認するためです。表題登記や職権登記の正確性を支える手続で、29条2項が根拠です。
Q3筆界特定の立入りは何日前に通知される?
宅地または垣・柵等で囲まれた土地に立ち入る場合、137条2項により三日前までの事前通知が必要です。通知後に日程調整を申し出る余地があります。
Q4不動産登記法の罰金と過料はどう違う?
162条の罰金は刑罰で前科になりますが、164条の過料は行政上の秩序罰で前科になりません。金額の差ではなく法的性質の差です。
Q5実地調査拒否の公訴時効は何年?
法定刑が罰金のみなので三年です(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は犯罪行為が終わった時(同法253条1項)となります。
Q6登記官は身分証明書を見せる義務がある?
あります。29条3項および137条4項が身分証明書の携帯と関係者への提示を定めています。提示を求めることは拒否ではなく確認行為です。
Q7会社の土地で現場担当者が拒んだら誰が罰せられる?
162条は「当該違反行為をした者」を処罰するため、実際に拒んだ本人がまず対象になります。申請名義人である法人の担当者とは一致しません。
Q8日没後に来た検査は断ってもいい?
29条2項の検査は日出から日没までに限られるため、時間外の検査に応じる義務はなく、断っても162条1号の構成要件には当たりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記官が来たとき断ったら、本当に前科がつくんですか?
29条2項の要件を満たした検査を拒めば、162条1号で三十万円以下の罰金です。過料ではなく罰金なので、確定すれば前科として記録が残ります。実務では略式命令(刑事訴訟法461条)で書面処理されることが多い。実務のポイント:罰金刑は執行終了から五年で言渡しの効力が消えますが(刑法34条の2)、検察庁の記録自体は残ります。帰化申請や一部の海外ビザ申請で申告を求められるのは、この記録の方です
Q2隣の人が筆界特定を申し立てて、うちの庭を測らせろと言ってきました。断れませんか?
正当な理由があれば断れます(137条5項)。裏返せば、理由なく拒めば162条3号の対象です。ただし宅地や塀で囲まれた土地への立入りは三日前までの事前通知が必要で、日出前と日没後は占有者の承諾がなければ立ち入れません(137条2項、3項)。実務のポイント:正当な理由の中身は条文に書かれておらず、実務上も解釈が分かれます。全面拒否より、代替日を書面で提示した記録を残す方が、立件段階では圧倒的に強い
Q3質問されたけど答えたくない。黙っていたら罰金ですか?
162条2号は、陳述をしない場合と虚偽の陳述をした場合の両方を処罰します。黙秘そのものが構成要件に書き込まれている点が重要です。もっとも行政調査での供述義務と憲法38条1項の自己負罪拒否特権の関係は実務上解釈が分かれる論点で、最高裁は税務調査について一律に特権が及ぶわけではないとしています(最大判昭和47.11.22)。実務のポイント:虚偽陳述は沈黙より重く評価されます。記憶が曖昧な事項を断定形で埋めないこと
間違えやすい点 AI による整理
- 「役所の立入りは拒めるのか」という問いを立てた時点で、問いの形が誤っている。162条が処罰するのは、要件を満たした検査や立入りを拒んだ場合に限られる。問うべきは拒否の可否ではなく、目の前の立入りが29条2項の時間制限、137条2項の事前通知、身分証の提示という要件を満たしているかである。要件を欠く立入りは、そもそも本条の射程外にある
- 三十万円以下という金額は知っていても、それが「罰金」であることの意味が軽く見られている。不動産登記法164条の過料は行政上の秩序罰で前科にならないが、162条の罰金は刑罰であり前科になる。両者の差は金額の桁ではなく質であって、罰金刑の言渡しの効力が消えるまでには執行終了から五年かかる(刑法34条の2)
- あなたから見れば、自分の土地に見知らぬ他人が入るのを断っただけの話だ。法律から見れば、登記簿という公示制度の記載が現地と一致しているかを確かめる唯一の手段を潰した行為になる。この落差が、玄関先の一度の門前払いを刑事事件に変える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 法的性質 | 162条:罰金(刑罰、前科になる) | 164条:過料(行政上の秩序罰、前科にならない) 刑法95条:懲役又は罰金(公務執行妨害罪) |
| 処罰される行為 | 実地調査の検査拒否・妨害・忌避、陳述拒否・虚偽陳述、筆界特定の立入り拒否 | 表示に関する登記の申請義務違反 暴行又は脅迫による公務の妨害 |
| 暴行・脅迫の要否 | 不要(消極的な拒否・沈黙でも成立しうる) | 不要(申請をしないという不作為) 必要(暴行又は脅迫が構成要件) |
| 免れる方向の主張 | 時間帯要件・事前通知要件の欠如、137条5項の正当な理由 | 申請義務の不存在、正当な事由 職務行為の適法性の欠如 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は測量実施のための他人の土地への立入権を法定し、妨害には行政罰(罰鍰)で対応する構成が中心で、日本のような罰金刑による担保とは性質が異なる
韓国も測量のための土地立入権と妨害に対する罰則を測量関係法に置く。登記法そのものではなく測量法制側に罰則を配置する点が日本と異なる
ドイツは地籍(Kataster)が州の所管であり、立入権と妨害への制裁は州法に分散する。原則として Ordnungswidrigkeit(秩序違反)として過料で処理される
米国は公有地の測量を妨害する行為を連邦法で処罰する。私有地の境界確定は州法および民事手続に委ねられ、刑罰による担保は限定的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 隣家が筆界特定を申し立て、三日後の午前に筆界調査委員と測量業者があなたの庭に入るという通知が郵便受けに入っていた。正当な理由なく拒めば162条3号の罰金対象になる。残された三日で、拒否するのか、日程変更を申し入れるのか、立会人を用意するのかを決めなければならない。判断材料は通知書に書かれた根拠条文だけだ
- もし登記官が冬の午後五時半、日が落ちてから「中を検査させてください」と来たら、どうなる? 29条2項の検査権は日出から日没までの間に限られる。時間外の検査に応じる義務はなく、断っても162条1号の構成要件には当たらない。ただし何時に来て何を求められたかの記録がなければ、後から時刻を争うのは難しい
- 未登記のままだった実家の物置を、相続を機に表題登記した。翌週、登記官が実地調査に来て増築部分について質問した。同居していた家族が面倒がって黙り込む、その沈黙が162条2号の陳述拒否に当たる
- あなたが不動産会社の担当者で、社有地の分筆登記を申請した。実地調査に来た登記官に対し、現場の職人が「聞いていない」と門を閉めた。162条が罰するのは「当該違反行為をした者」であり、申請名義人である会社の法務担当ではなく、門を閉めた本人がまず矢面に立つ。現場への事前連絡が抜けていた責任は、刑事責任の名宛人とは一致しない
取るべき行動
被害を受けた側:要件を欠く立入りを受けた側の手順。1. その場で身分証明書の提示を求め、氏名・所属・根拠条文・到着時刻を記録する2. 日没後の検査(29条2項違反)、三日前通知のない宅地への立入り(137条2項違反)であれば、その事実を口頭で指摘し、写真か録音で時刻を残す3. 拒否の一言で終わらせず、代替日を書面で提示する4. 損失が出た立入りには137条6項の損失補償請求の余地がある。法務局の監督官庁窓口への申出も並行して検討する
訴えられた側:1. 拒否した時点の時刻、相手の人数、身分証提示の有無を思い出せる限り書き出す。時間帯要件と通知要件のどちらかが欠けていれば構成要件該当性そのものを争える2. 137条3号のケースでは「正当な理由」の主張が本丸。病臥中、立会人不在、通知記載の日時と実際の来訪日の齟齬などは具体的事情として意味を持つ3. 陳述拒否で問われている場合、記憶にない事項を断定的に答え直さないこと。虚偽陳述は黙秘より重く評価される4. 略式命令の通知が来た段階でも、正式裁判を請求する道は残っている
時効(請求できる期限):公訴時効は三年(刑事訴訟法250条2項6号、法定刑が罰金のみの罪)。起算点は犯罪行為が終わった時(同法253条1項)。加えて137条2項の立入りは三日前までの通知なので、通知を受けてから応対方針を決められる時間は実質三日しかない
学説
通説:162条の各号は、登記官の実地調査権および筆界特定のための立入権という行政調査の実効性を確保するための行政刑罰であり、調査権の発動要件(時間帯、事前通知、身分証明書の提示)を欠く場合には構成要件該当性が否定されると解される
有力説:罰則で担保された陳述義務は憲法38条1項との緊張関係を生じるため、陳述内容が刑事責任追及に直結する場面では、供述義務の範囲を限定的に解すべきとする議論がある
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 オンライン申請制度の導入を柱とする全部改正で現行法が成立し、実地調査の妨害に対する罰則が現在の条文位置に整理された。旧法規定の承継か新設かは要検証
- 平成17年(2005年)筆界特定制度の創設 筆界特定手続の新設に伴い、137条の立入りを拒む行為を処罰する第3号が加えられたと解されるが、追加時期と文言の正確な確認が必要
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)によりオンライン申請制度が導入され、実地調査の妨害に対する罰則が現行の条文位置に整理された
- 2.平成17年(2005年) 改正:筆界特定制度の創設に伴い、137条の立入りを拒み又は妨げる行為を処罰する規定が本条に加えられた
- 不動産登記法 第29条本罪が担保する実地調査の検査・質問権
- 不動産登記法 第16条職権登記における29条2項の準用
- 不動産登記法 第28条職権による表示登記、実地調査の前提
- 不動産登記法 第137条筆界特定のための他人の土地への立入権
- 不動産登記法 第164条申請義務違反の過料、罰金との性質差
- 刑法 第95条暴行脅迫を伴う場合の公務執行妨害罪
- 刑事訴訟法 第461条罰金刑の略式命令による処理手続
- 刑事訴訟法 第250条罰金のみの罪の公訴時効三年
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